FGO × BIOHAZARD RE4   作:ダイアジン粒剤5

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第3話

 何処とも知れぬ闇の中。

 奇妙な虫の紋章が描かれた祭壇の前で、異形の杖を手にした男が佇んでいる。

 男は豪華な刺繍の施された深紫色のフードを目深に被っており、まるで祈りでも捧げているかのように目を閉じている。

 だが突然、何かを見つけたかのようにその瞳を大きく見開いた。

 その瞳孔は白く輝いており、明らかにまともな生命のモノが持つ目では無かった。

 

 「来たか……星見台の、魔術師よ」

 

 そう呟いた男は大きく腕を広げ、同時に思考の根をも大きく広く伸ばしていく。

 伸ばされた根は聖体によって一つとなった全ての者たちへと届き、男の全身に巨大な集合意識の一部へと成れたことへの歓喜が満ちる。

 その歓喜は男を通じて全ての者へと繋がり、巨大な多幸感の奔流の中、男は言葉を綴る。

 

 「使徒たちよ――かの魔術師を、我がもとへ。かの者へも恩寵を授け、聖なる虫を星の海の彼方へと届けん」

 

 男の言葉と意思は全体へと伝わり共有され、全ての神の家畜(ガナード)たちへの啓示となり、家畜たちは男の預言を実行すべく動き出す。

 それはまるで、一つの生き物かの如く。

 

 

 一方そのころ、未だ森の中の藤丸たちは。

 

 「なんじゃあ、こりゃあ? 虫かえ?」

 

 倒したチェーンソー男たちの中で蠢いていた、何かを取り出し確認していた。

 既に絶命したのか動かなくなっていたが、それは一見クモのようにも見える、虫としか形容できない異形のモノだった。

 

 「カルデアと通信できれば、ダヴィンチちゃんやシオンに調べてもらえたんだけど……」

 

 呟く藤丸だったが、無いものねだりをしても始まらない。

 その二人の天才以外にも、数多の英霊集うカルデアには医神をはじめ優秀な叡智が揃っている。

 彼らの力があれば、この虫が何なのか、どのようにして人を操っているのか、なんなら操られた人を救うことが出来るのかどうかまで分かったかもしれない。

 だがこの場に来た三人にはそんな能力はなく、藤丸の召喚術も、召喚した英霊に調査を手伝ってもらえるほどの万能性はない。

 

 「まあええ、人かどうかはわしが見ればわかる。人で無ければ、敵じゃ。叩っ斬ればええ」

 

 そしてこういう時、以蔵は迷わず常に正しい。

 日頃から自分は頭が悪いと自嘲し実際悪いが、だからこそ考えすぎることなく物事の本質を見誤らない。

 

 「……そう、だね」

 

 一方の藤丸は、未だそこまで割り切れない。

 数多の修羅場をくぐってはきたが、人を傷つけ殺すことには決して慣れない。

 殺さないで済むなら絶対に殺したくはないし、助けることが出来るならば全力で助けたいのだ。

 

 「――付近の偵察完了、今戻った」

 

 ちょうどその時、周辺の探索に出ていた雑賀孫一が森の奥から戻って来た。

 チェーンソー男達との戦いでは活躍できなかった分、雑賀の名に懸けて挽回して見せると、マスターの護衛を以蔵にませて物見に出ていたのだ。

 

 「おう、戻ったかチビ助。で、どうないじゃった?」

 

 「……チビ助じゃない。次言ったら、撃つ」

 

 コンプレックスの身長の事を言われ、思わず外套の中の銃に手が伸びかけるが、マスターの手前今回はグッと我慢する。

 

 「ちょっと行ったところに、村があった。人もいて、普通に生活を送っていた。遠目に見る限りでは、普通の村。……ただ、ちょっと変なところもあった」

 

 「変なところ?」

 

 藤丸の問いに、蛍が頷く。

 

 「そう、変なところ。子供がいなかった、一人も。あれくらいの村なら、普通は子供がいるはず」

 

 「寺子屋にでも行っとるんじゃないかえ?」

 

 以蔵の言葉に、蛍が目を丸くして驚く。

 

 「以外、以蔵の口からそんな言葉が出るなんて」

 

 「なんじゃと、馬鹿にしとるがか!? わしかて寺子屋くらい行ったことあるし、読み書きくらい出るんじゃ!」

 

 「まあまあ」

 

 怒り始めた以蔵を宥めつつ、藤丸は蛍に向き合う。

 

 「とりあえず、その村に行ってみようか。案内してくれる?」

 

 

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