FGO × BIOHAZARD RE4   作:ダイアジン粒剤5

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第4話

 雑賀孫一の案内で村に向かった藤丸と以蔵だったが、結論から言えば、その村に人間は一人もいなかった。

 一目見ただけで、以蔵は村の住民に人間は誰一人おらず全員が化け物であると看破した。

 そこで見つからないよう村から離れようとしたのだが、そこを異常なほど口が裂け長い牙を持ったオオカミに見つかり、村人にも気付かれてしまった。

 村人たちは、奇声を上げて襲い掛かって来た――人とはかけ離れた姿に、変異して。

 

 

 ――異形にして醜悪な柱が、無数に屹立し動き回る。

 

 土台となるのは人間の胴体、しかして首から上は数メートルはあろうかという長大な触手。

 巨大な鎌の様な先端を振り回すモノもあれば、四つに裂けた巨大な口の先から黒い毒液を吐き出すモノもある。

 そして人間の胴体は首から上に、そんな異形の触手を生やしながら、未だフラフラと歩き続けている。

 そんな化け物が数百本、動き回る光景は地獄絵図そのものだが、そんな地獄の中を無数の深紅の閃光が駆け回る。

 

 ――閃光の正体は深紅の馬鎧に身を包んだ騎馬の群れであり、その上には馬と同じく深紅の甲冑に身を包んだ鎧武者たちが跨り、手にした刀槍にて化け物たちを切り倒していく。

 

 更に騎馬武者たちの傍には、彼らを援護するかの如く漆黒の火縄銃が浮遊しながら追従しており、化け物たちの鎌や牙が武者たちに届かぬよう鉛玉を叩き込んでいる。

 

 

 「ハァ……ハァ……」

 

 「マスター、大丈夫かえ!? 気張りや!」

 

 黒のストライプスーツに赤いコートを羽織った青年と、漆黒の軍服に真っ赤なマントを羽織った少女を傍らに従えながら荒い息を吐く藤丸を、以蔵が気遣う。

 

 「ええい、邪魔じゃ! この、犬っコロどもが!」

 

 そしてそんな以蔵は、人間だったモノたちと同じような触手を背から生やし襲って来る狼たちを相手に、藤丸を守るべく必死に戦っていた。

 

 「死にやァ!」

 

 背中から出た触手も含めオオカミの全身を切り裂き、以蔵はようやく怪物を倒しきった。

 

 「こいつ等も、あの人モドキ共と同じじゃ。まともな生き物の形をしちょらんき、何処をどう切ったら死ぬかよぉ分からん」

 

 藤丸を狙って来る狼たちを全て切り倒し一息つく以蔵だったが、村の遠方に見える湖から巨大な水しぶきが上がった。

 

 「なんじゃあ!?」

 

 水しぶきの中から巨大な怪物が現れ、湖から這い上がりコチラへと向かって来る。

 

 「なんじゃありゃ、サンショウウオかえ!?」

 

 ソレは以蔵の言う通り、一見オオサンショウウオの様な外見をしていた。

 巨大な口に長く太い尾、そして体に比して小さい脚、全てがオオサンショウウオの特徴に合致している。

 だがその大きさはオオサンショウウオの比ではない。

 ゆうに二十メートルは超えており、恐竜並みのサイズだ。

 更には本来、両生類であるオオサンショウウオには無いはずの巨大な牙まで口内に揃えている。

 

 

 巨大オオサンショウウオ――個体名デルラゴは、村の建物を薙ぎ倒しながらコチラに向かって来る。

 火縄銃を従えた騎馬武者たちがその進撃を防ごうとするが、彼らの振るう刀槍や火縄銃の鉛玉では、デルラゴの巨体を止められない。

 傷こそ負わせられても、その歪な命には届かないのだ。

 

 「……以蔵さん。もう一人来てもらうから、その間、よろしく」

 

 そしてその様を見ていた藤丸は、右手の令呪を構える。

 

 「いけるんかえ?」

 

 「うん、あと一人なら」

 

 藤丸立香が同時に召喚できる英霊は、三騎まで。

 既に織田信長と武田信玄を召喚し、宝具まで開帳してはいるが、もうあと一人だけ呼び出すことが出来るのだ。

 

 「分かった。しっかり守っちゃるきに、気張りや!」

 

 以蔵の言葉を聞いた藤丸は頷き、目を閉じ集中して詠唱を始める。

 

 ――時間にして三十秒超。

 

 戦場では決して短くない時間だが、藤丸の召喚に応え光の粒子と共に英霊が特異点へと舞い降りる。

 

 ――白を基調とした服に一対の宝塔、赤い光背を背に、黒白の長髪をなびかせた女性。

 

 軍神たる毘沙門天の化身、上杉謙信の降臨だ。

 

 「謙信さん、お願い」

 

 藤丸の言葉に軽く頷くと、上杉謙信はデルラゴへと向けて空を駆けていく。

 

 「軍神の姉ちゃんかえ。まあ、あの姉ちゃんなら、あんなサンショウウオの化物程度どうとでもなるじゃろ」

 

 強力な英霊を三騎も同人召喚したことで体力をごっそりと持っていかれ、荒い息を吐くマスターに気遣う目線を送りながら、以蔵は村で行われている戦いを俯瞰する。

 もちろん以蔵に武将として戦場を把握する能力などありはしないが、しかし護衛としてマスターの安全を見極める観察眼は確かだ。

 そして、その眼で見たところ。

 現状、マスターの身に危険が迫る可能性は限りなく低い。

 首から化物を生やした人間も、背中から化物を生やした狼も、そいて化物オオサンショウウオも。

 マスターの身を危険晒す脅威ではない。

 

 「となると、あとどうなるか分からんがは、あの大男か」

 

 以蔵は、村の奥から襲ってきた大男を思い出す。

 全身真っ黒な服に身を包み、黒い帽子まで被った髭面の大男。

 以蔵が見る限り他と同じく完全に人間ではなく、同時に他の化物とは比べ物にならない強敵だとも感じた。

 

 「……気張りや、小娘。あん大男がこっちに来たら、ちぃと面倒じゃ」

 

 大男の相手を買って出た、白髪の少女の事を思う。

 この戦いの趨勢は、あの少女の小さな肩にかかっているのかもしれなかった。

 

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