東家の長男は夢に生きる   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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第3話

山城さんとの対決から暫くして、俺は正式に魔防隊の隊員となった。

 

正式な身分は六番組所属の正隊員であるが、戦闘力を考慮して有事の際は組長相当の戦力として運用する。

 

通常の防衛任務に加え戦力増強の為に指導員として各隊を回るというのが俺の仕事である。

 

しかし、公表した際に起きる影響が計り知れないという事で現状俺の存在を知るのは総理大臣を含めた一部の政府高官、魔防隊の正体員のみで緘口令を敷かれる事となった。

 

 

「駄目だ…………全然纏まらん…………」

 

 

六番組で生活する事になり、荷物を纏める事になったのだが持っていきたい漫画やゲーム、DVDなんかが多くて困っている。

 

 

「タブレットがあるのだから漫画は読めるでしょ。持っていくのは諦めなさい。出雲組長にも迷惑が掛かるでしょう」

 

 

そんな俺を白い目で見ながら腕を組んで佇んでいる母さん。

 

 

「紙には紙の良さがあるんだよ‼︎ゲームも映画もタブレットだけじゃ摂取出来ない楽しさがあるんだよ‼︎」

 

 

「楽しさ云々は置いておいて、千景の能力を考えると必要な物と言えるわね。一作品のみ持っていく事を許可します。後はタブレットで我慢なさい」

 

 

「よっしゃ‼︎じゃあどれにしようか……………」

 

 

母さんの許可が出たところで俺は持っていく作品を選び始める。

 

 

「千景、この前は良い戦いだったわ」

 

 

 

「そんな手放しで褒めるなんて珍しいね」

 

 

本棚に伸ばしていた手を止めて母さんの方を見る。

 

母さん、東風舞希という女性は厳格な人だ。東の次期当主であろうと自分に厳しく他人にも厳しい。

 

 

「勿論改善点ならあるわ。だけどそれも貴方が自分の能力を理解してなかった事に起因するから他に責める点が無いわ」

 

 

俺が桃の能力を使える事はあの戦いの時に初めて知った。

 

母さんは俺の能力に関する話に対して何か思う所があるのか、あまり踏み込んでこない。

 

 

「貴方の事だから特殊な能力を使った漫画の技は再現出来ないと考えてる事でしょう。心の底から信じて無かったから山城総組長に放ったかめはめ波は威力が低かった」

 

 

俺の夢叶える者〈ドリーマー〉は俺自身が出来ると信じればなんだって出来るという能力。

 

修行して身につくと信じた覇気は完全に俺の技として身に付いた。

 

だが、悪魔の実を食べてない俺はゴム人間にはなれないし、呪力が無い俺は無量空処も出来ない。

 

かめはめ波はあの場のテンションで放ったもの。覇気が出来るならいけるだろという自分と気の修行をしてない自分では出来ないという自分とで揺れていた所はある。

 

 

「貴方が今後能力を活用していく上で必要なのは発想よ。出来ない技をどうやって再現するかを考えて漫画を読む事ね」

 

 

「確かに…………今後はそういう修行も必要かな」

 

 

「それはそうと、早く荷物詰めないと出雲組長の迎えが来るわよ?」

 

 

どうやって色々な能力を再現しようかと考えていたが、約束の時間が迫っていたみたいだ。

 

とりあえずパッと目についた『僕のヒーローアカデミア』の単行本を片っ端からカバンに詰めていく。

 

 

「行く前に麻衣亜と話しておきなさい」

 

 

「麻衣亜は……………この時間だと部屋か」

 

 

東麻衣亜、3人いる妹の1人。東本家の長女である。

 

 

「あまり邪魔はしては駄目よ」

 

 

麻衣亜は魔防隊の任務の傍、配信業をしている。ゲームが上手いお嬢様口調のVチューバーとして。

 

俺はちょっとした事故から配信している事を知ったが実は母さんにも海桐花のクソババァにもバレてたりする。

 

 

「お姉様が入りますわよ〜‼︎」

 

 

女性配信者に男が絡むと炎上に繋がるからと部屋に入る際は女声で入れと麻衣亜から言われている。

 

能力の影響なのか、女声も割とあっさり習得出来たし腹話術も読唇術も習得した。

 

 

 

「なっ、に…………お姉様⁉︎今配信中ですのよ⁉︎」

 

 

「引越しするお姉様を見送らないで配信する妹にお仕置きしに来ましたわ〜‼︎」

 

 

コメント欄を確認すれば俺の乱入にかなりの盛り上がりを見せていた。

 

 

「まだ出発の時間では無いですわよね⁉︎あ、ちょ、勝手にコントローラ繋げないでくださいまし‼︎」

 

 

「あら、格闘ゲームですのね………よろしくってよ。三先で勝負ですわ〜‼︎」

 

 

この後、三本先取で勝利というルールで麻衣亜をボコボコにしてやった。怒られたが配信が盛り上がった事もあってギリギリ許してもらえた。

 

配信が終了した事を確認すると麻衣亜は配信者モードから普段の状態に戻った。

 

 

「全く…………これだから兄さんは……………」

 

 

「はっはっは、許せ麻衣亜。これで最後だ」

 

 

笑いながら麻衣亜のおでこを指でツンとする。某忍者漫画の人気キャラのお兄さんのモノマネをする。

 

 

「似てるだけに本当腹立ちますね」

 

 

「さっき母さんと話してたんだけどさ………」

 

 

俺はさっき母さんと話した内容を麻衣亜に伝えた。

 

使える技を増やす為にするにはどうすれば良いか、その為のヒントを何かしら得られないかと思ったのだ。

 

東でオタク趣味に理解があるのは麻衣亜だけであるから仕方ない。決して配信に乱入したいとかでは無い。

 

 

「なるほど、つまり能力を拡張する為のきっかけが欲しいという事でよろしいですか?」

 

 

「そう。六番組の方に行く前に何かしらヒントが欲しいと思ってさ」

 

 

「兄さん、かめはめ波が撃てたのですよね?なら気を中心に考えて行けば良いのでは?」

 

 

「なる…………ほど?」

 

 

「気は一般の人からしたら存在しない物です。つまり、それを撃ち出すかめはめ波は仮想の質量を打ち出していると言えるのではないですか?茈と同じです」

 

 

「確かに‼︎」

 

 

気を扱えない人からしたら仮想のもの。麻衣亜の言う通りだ。

 

 

「母様の言う発想とは修行どうのでは無く、そのやり方を考えろという事でしょう」

 

 

流石は麻衣亜だ。優秀で客観的に物事を見れるからこそ出来るアドバイス。母さんが麻衣亜と話せと言ったのはこういう事だろう。

 

 

「そういう意味では兄さんが単行本で持っていく作品をヒロアカ にしたのは当たりでしょう。ぶっちゃけ兄様はその気になればAFOみたいに無数の能力や技を使えるんですから。正直ちょっと羨ましい」

 

 

「出発前に話せて良かったよ。また一緒にゲームしような」

 

 

「次は負けません」

 

 

画面端に追い込んでハメ倒した事は流石に根に持っているみたいだ。

 

俺が荷物を持って玄関を出ると、そこには既に出雲さんが待っていた。

 

 

「今日は私服なんですね」

 

 

「任務じゃないからね」

 

 

「似合ってますよ」

 

 

「そういう事言うタイプだとは思わなかったな」

 

 

「ほらウチって普通の家よりも女社会ですから。こうやって褒めたりしないと怒られるんすよ」

 

 

まぁ我が家は女傑の中の女傑しか居ないからね。男は基本的に立場が無い。男はそんな中で生き抜く為の術を自然と身につけるようになるのだ。

 

あの母さんを射止め………………いや、母さんの場合は父さんが狩られた側だろう。

 

 

「今日は千景君の歓迎会だよ。未成年の子もいるからお酒は無いけど」

 

 

「良いですね、ありがとうございます」

 

 

その後、六番組寮で俺の歓迎会ということで鍋パーティーを開いてもらった締めを雑炊にするか麺にするかで八千穂と争って負けた。

 

結局締めは麺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千景が乱入した配信での一幕。

 

 

 

 

「ワタクシがぁ捕まえてぇ‼︎」

 

 

「くっ………」

 

 

「画面端ィィィ‼︎バースト読んでェ‼︎」

 

 

「あっ、ちょ」

 

 

「まだ入るぅ‼︎ワタクシがァッ近付いてェッ‼︎ワタクシが決めたァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

 

「おファックですわよ‼︎‼︎‼︎」

 

 

今日一番の台パンで配信は締め括られた。




まだちょっと原作に入る前に絡ませときたいキャラもいるので原作には入らないです。
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