東家の長男は夢に生きる   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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焼肉と組長と俺

優希が七番組の管理人になってから仕事の合間に優希の指導もするようになった。

 

他の隊員に比べて共通の趣味を持つ優希の指導は比較的楽だった。武装色も見聞色も既に兆しが見え始めている。

 

 

「その肉焼けてるよ〜」

 

 

「ありがとう天花さん」

 

 

今日も今日とて天花さんと焼肉屋で食事である。

 

他の組に指導に行って天花さんが迎えにきてくれて、一緒に飯に行くというのがお決まりの流れになっている。

 

「そういえば七番組の調子はどう?」

 

 

「なんで七番組?」

 

 

「だって最近七番組に行く事多いでしょ?日万凛ちゃん居るし、あと京ちんの奴隷くん」

 

 

「優希は良い奴だよ。京香の奴隷なただけあって根性あるし、多分天花さんも気にいると思う」

 

 

ふーんと聞き流しながら焼いた肉を頬張り、ビールを飲む天花さん。

 

そこそこの回数、天花さんと飲んでいるが顔が赤くなったところを見た事が無い。

 

この人がめちゃくちゃに酔ってる所とか見て見たいけどその気配が無さすぎてもう諦めた。

 

 

「千景君がきてから八千穂も頑張ってるし………そろそろ試してみる?」

 

 

「魔都交流戦か……………良いんじゃないかな。八千穂も日万凛に会いたがってるし、天花さんと京香の勝負は俺も見てみたい」

 

 

魔都交流戦。魔防隊の組同士で行う試合形式の合同訓練だ。

 

部活動でいう所の練習試合みたいなものだが、行うのは能力を用いたバチバチの戦闘だ。

 

 

「私と京ちんだったらどっちが勝つと思う?」

 

 

「そりゃ天花さんでしょ」

 

 

「意外だなぁ。千景君の事だから妹弟子の京ちんが勝つとか言うと思ってた」

 

 

「優希がまだ未熟だし、天花さんなら優希から狙って京香の隙を突くのも出来るでしょ。まぁ、天花さんは一撃でも貰ったら厳しくなると思うけど」

 

 

優希には覇気を教えつつ、生身の優希全身ピンク筋化計画なんて事をしている訳だがまだこれからである。

 

それに戦闘経験が不足している優希を京香がカバーしながら戦うという事になるだろうが、見聞色に長けた天花さんなら能力を使いながら隙を突く事も容易だろう。

 

 

「千景君を私の奴隷って事にして私達もタッグで出てみる?」

 

 

「流石にそれは虐めになっちゃうよ」

 

 

「奴隷になるのは別に良いんだ」

 

 

「天花さんなら良いよ。他の組長………特に蝦夷ちゃんとかは何させられるか分からなくて怖い。母さんは論外」

 

 

蝦夷夜雲。天花さんと同じく組長の1人だけど俺を見る目がなんか怖い。獲物を狙う獣の目って感じで怖い。

 

五番組の訓練に行く時は天花さんも一緒に来てくれるのだが、なんか天花さんと合わせて狙われてる感じですごく怖い。

 

母さんというか東家では男は奴隷みたいなものだからね。俺は長男だから耐えられたけど次男だったら無理だ。

 

 

「話変わるけど天花さんって組長意外にも島根の観光大使みたいな事してるよね?SNSも人気だし、男と2人で焼肉って大丈夫なの?」

 

 

組長業務をこなしながら、島根県のPR動画に出演したり、SNSをやっていたりで組長の中でも天花さんは有名な方だ。

 

芸能人とかでは無いが、俺のせいで天花さんが炎上とかしたら申し訳無い。

 

 

「問題無いよ。魔防隊に関わる人で私達の事に文句言う人は居ない。だから千景君が罪悪感を感じることは無いよ」

 

 

「え、思考まで読めるようになったの⁉︎」

 

 

「あはは。千景君って結構分かり安いからね。千景君が魔防隊に入るにあたってそういう根回しはちゃんとしてるんだよ。君の事で文句なんて誰にも言わせないよ」

 

 

なんか凄みを感じる……………この人の1番凄い所ってこの強かさなんじゃなかろうか。

 

多分東の本家でも全然やってけるレベルの政治力あるよこの人。

 

 

「私さ、基本的には優等生なんだ」

 

 

「まぁ真面目だし仕事出来るし、強いからね。魔防隊的にも文句無しだよね」

 

 

「学生の時も、魔防隊でもずっと優等生やってきてなんか疲れちゃったんだ」

 

 

山城さんなんていう化け物のせいで霞むけど、天花さんも普通に超人の部類だ。

 

任務で仕事で私生活で、あらゆる場所で模範的に結果を出す優等生。どれだけ真面目だとしても限界がある。

 

こんな真面目な人が自分から疲れたと吐露した。

 

最近だと訓練も頑張ってるみたいだし、天花さんのメニューはちょっと見直した方が良いかもしれない。

 

 

「ペットでも飼ってみようかなって思ってた所に千景君と会ったんだよね」

 

 

「ん?」

 

 

「千景君ってなんていうか犬みたいで可愛いんだよね。今なら山城組長が犬飼ってる理由もなんか分かる気がするよ」

 

 

「流石に愛玩動物扱いは初めてで戸惑いを隠せないよ」

 

 

「チワワとかじゃなくてゴールデンレトリバーだね」

 

 

「しかも大型犬⁉︎」

 

 

「あ、国の方から通達だって。人型醜鬼が出たって…………七番組と三番組が遭遇したみたい」

 

 

いきなり携帯を見たと思ったら急に組長の顔に戻る天花さん。

 

人型醜鬼…………中々の厄ネタだな。しかも七番組か。京香達は大丈夫だろうか。

 

 

「三番組の方は総組長が行くから千景君と私達は七番組と連携するようにって指示があったよ」

 

 

携帯を眺めながら送られてきたであろう指示を読む天花さん。

 

 

「武器の調達急ぐように手配しなきゃな」

 

 

母さんにもらった刀だけでは折角の能力が活かしきれないと言う事で、東家を通して様々な武器を大量に発注していた。

 

対醜鬼用につくった武器とそれを持ち運ぶ為の手段の用意を準備していたのだが、人型醜鬼といった敵が出てきたとなると準備を前倒しする必要が出てきそうだ。

 

 

「さ、会計を済ませて今日の所は帰ろうか。八千穂達にも話しておかないと。明日朝イチで七番組に行くよ」

 

 

出来ればすぐにでも向かいたい所だが、朱々ちゃんと日万凛が負傷したとの事で治療を受けているらしい。

 

俺が行くと騒がしくなるから絶対に来るなと京香から連絡が直で来ていた。

 

 

「とりあえずその人型醜鬼にはお礼しないとなぁ………………」

 

 

「ほら、千景君の覇気で周りのお客さんとかに被害出るからさっさとお店出るよ」

 

 

「あ、ごめん」

 

 

山城さんと戦って以降、覇王色の覇気を発動出来るようになっており、まだコントロールが甘いのかちょっとした感情の昂りで無意識のうちに漏れ出る事がある。

 

その後、会計を済ませた俺達は天花さんの能力で六番組寮まで戻り、隊員達に報告したのだった。

 

 

なんか俺がペット扱いである事が有耶無耶にされたのは少しだけ納得がいかないが、それはそれ。

 

八千穂に相談したら「兄者はどうあがいても大型の駄犬ぞ」って真顔で言われた。麻衣愛には無言で犬のスタンプを送られた。




という事で天花さんとの焼肉回でした。

次回から本格的に原作に絡んで行きます!!!!!ぜひお楽しみに!!!!!!
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