外道がギルド職員なのは間違っているだろうか?   作:社畜

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その後の処理

 正邪の戦い。『大抗争』。死の7日間とも呼ばれる戦いの後にこそギルドの本当の仕事が残っていた。

 

 生き残った者達をリストアップ。行方不明者を探しながら倒壊した区画の確認、優先的に直す場所を話し合い、その間の住民の仮の拠点の確保。

 

 食料の配膳に、各建築ファミリアへの依頼。資材の調達。数カ月たった今でも仕事は減らない。

 

「レーメル。西区角の倒壊状況と優先修理を纏めておいたから建築系ファミリアに連絡を取っておいてくれ。ローズ、冒険者遺族の一部が集会を開いてる。死神(タナトス)と接触する可能性があるから【ロキ・ファミリア】に監視を依頼してこい」

 

 書類をテキパキ纏めるクロノ。職員としてもちゃんと優秀。さすがにそろそろ昇格させないわけにはいかないとロイマンは覚悟を決めた。

 

「クロノ先輩! 【ソーマ・ファミリア】が先の戦いに対する褒賞をよこせと!」

「成果に見合う褒賞は用意する。お前等は40万ヴァリスを後でやると伝えておけ」

「暴れててそれどころじゃ」

「ちょっと殴ってくる」

 

 

 

 

 

「すまんな………」

「俺は元々ギルド職員だから問題ない。仕事を時間内で終わらせれば、激務に追われる皆の顔が見れるしな」

「お前それでもいけるのか」

 

 と、呆れるフェルズ。クロノは1本の錆びた剣を片手で弄ぶ。

 アストレアを経由して、神エレボスから与えられた古代の神秘。神が創り人に与えた天授物(アーティファクト)

 

 モンスターの地上進出を精霊と共に英雄の力となることで防いでいた神造物である。因みにこれは人を支配する剣。

 

 この剣を持つだけで畏敬を抱かせる、神威を放つ剣だ。最早朽ちかけ、残された力も僅かだが。後一回ぐらいは使えるそうだ。

 

「…………でも強いんだよなぁ」

 

 とは言えそろそろランクアップしないと、ただでさえ強い奴が増えてテンションが下がってるのに。

 

「ちょっと旅行に行ってくる」

「旅行?」

闇派閥(イヴィルス)支援者(パトロン)………どうにも研究費用の代わりに魔道具(マジックアイテム)を流していたみたいで…………これはオラリオとしても止めるべきだからな」

 

 何せ今のオラリオの情勢なれば都市外に眷属を出せるファミリアがない。しかし闇派閥(イヴィルス)とは言えオラリオで開発されたものが他国で猛威を振るうとなると批判される可能性もある。

 

「というわけで行ってくる」

 

 そう言ってクロノが向かったのは【ガネーシャ・ファミリア】の畜舎。調教師(テイマー)が従えたモンスター達が唸り声を上げたり喧嘩したりする中、進んでいくと静かになる。

 

 モンスター達は奥にいるそれを恐れて物音を立てぬように震えているのだ。

 

「久し振りだなマルス」

 

 巨大な檻の中、鎖で縛られた巨大な竜。クロノが深層にて雷で自由を奪い、氷で貫き、炎で焼いて身の程を思い知らせ支配した強竜(カドモス)

 

 ダンジョンの壁から出た瞬間、産声は苦痛の悲鳴となった哀れな竜だ。

 

 生まれたその時から、己は強者ではなく弱者。奪う者ではなく支配される者と理解させられた怪物。

 

 金の被膜を定期的に千切られたりする本当に可哀想な竜だ。戯れに魔石を与えられ、力が増し挑むも何度も殺されかけた竜は最早クロノに逆らわない。

 

 鎖を引き千切り檻を壊し、クロノに近付くと顎が地面にめり込む程に頭を下げる。弱者の媚にクロノはニコニコ笑う。犬と戯れる飼い主のような笑みに近くで見守っていた団員達は困惑する。

 

「背に乗せろ。久々に、空を飛ばさせてやる」

 

 その時間だけは好きだった。マルスはクロノを乗せ空高くへと飛び上がる。

 

 

 

 

「……………なんだこれは」

 

 そう呟くのは【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】ヘディン・セルランド。

 女神の気まぐれで砂漠世界に訪れることとなり、女神が目をつけた王族が覚悟を示し、敵国を滅ぼす事となった。

 

 事前に準備はしていた。決戦の地を指定し、敵に選択権のない選択肢を選ばせ、後は八万の軍勢を8人で殲滅するだけのはずだった。

 

 だが決戦の地には死が広がっていた。赤く染まる大地、苦悶の表情で凍り付いた氷像、味方同士で殺し合った死体に、青い炎に焼かれる兵士達、赤い炎が燻る死体が広がる中央でバジリスクの死体を食らう竜。

 

 砂丘ごと2つに切られたエルフの死体を前に1人の男が砂漠特有の果実酒を飲んでいた。

 

「……!」

 

 ヘディン達に気付く。

 

「これはセルランド氏。こんな場所で会うとは奇遇ですね」

「何故、貴様がここにいる」

「仕事です」

 

 その()()()に趣味で軍勢を滅ぼした。それだけのこと。手に持つのは鞭だ。魔力を感じる。

 

「私はもうオラリオに戻るので、観光楽しんでいってくださいね」

 

 モチベーションをすっかり回復させたクロノはマルスに乗りオラリオへ帰るとダンジョンに潜り深層にて神殺しを召喚。

 

 三ツ首の猛犬を殺し、ランクアップした。

 

 

 

 

 

おまけ

 

最愛の幻を見せるエルフの魔法攻撃! クロノは幻影状態になった!

 

目の前には変わらぬ光景が見えている!

 

「何故、何故だアアア!? 何故私の魔法が効かない!? お前の目には、最愛が見えているはずなのに!」

「そんな魔法使われるまでもなく。俺はお前達を愛している」

「はぁ!?」

「弱くて悪くて、だから何をしても良い。お前達みたいのがいるから、俺は今日も楽しく趣味と仕事を両立できる。ありがとう、愛しているぞ。だから壊そう」

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