【完結】陰キャのハマーン様   作:むにゃ枕

5 / 16
エゥーゴのハマーン様
そんな大人修正してやる!


 シャア・アズナブルは、クワトロ・バジーナと名を改めた。そして、部下と共にティターンズのガンダムを奪取するためにグリーン・ノアへと向かっている。

 

「シュネー。私に続け」

「はい。大尉」

 

 シュネーは、クワトロと同様にノーマルスーツとジェットパックを装備している。

 桃色の髪をポニーテールにし、重い前髪と眼鏡を掛けているのが特徴的だ。

 

「大尉。感じませんか? ニュータイプの存在を……」

「そうだな。アムロの再来かもしれん」

 

 シャア(クワトロ)ハマーン(シュネー)もニュータイプ故に、コロニー内にいる誰かの存在を鋭敏に感じていた。

 

 ハマーンはアクシズを捨てた。幼いミネバも、体調を崩したマハラジャも全てを妹のセラーナに押し付けてきた。何も知らなかったセラーナは愕然としただろう。

 何せ姉がシャアと家を捨ててどこかに行ってしまったのだから。

 

「はじまったな……」

 

 アポリーとロベルトのリック・ディアスが、コロニー警備のジムⅡと戦闘を開始したようだ。落下の衝撃と共に爆発が起こる。

 

「あのガンダム、勝手に動いてます!?」

「仲間割れか?? まあ良い。ガンダムを奪取する」

 

 クワトロとシュネーは、それぞれガンダムMK2に無理矢理乗り込んだ。そしてそのままコロニーに開いた穴を目指す。

 

「あんたらエゥーゴだろ!」

「誰? 生憎、ガンダムは間に合ってるわ」

「カミーユ。カミーユ・ビダンだ。ティターンズの奴ら、ユイリィに乱暴を!」

「ふーん。カミーユって名前なのに男なのね。子供は大人しく家に帰りなさい。エゥーゴは軍隊よ。子供の来る場所じゃないわ」

「あんただって子供だろ! そうやって他人を見下して自分勝手で! 年齢だけ重ねた子供だ!」

「こ、このガキィ……」

 

 シュネーとカミーユの間に不穏な空気が漂う。それを収めたのはクワトロだった。

 

「シュネー、やめろ。済まなかったなカミーユくん。私たちの旗艦へ案内しよう」

「ええ。分かりました。貴方は?」

「クワトロ・バジーナだ。大尉をしている」

「よろしくお願いします。クワトロ大尉」

 

 シュネーはこれ見よがしに中指を立てていた。カミーユはそれに対して口汚く捲し立てる。

 

「クワトロ大尉。ブライト・ノア大尉だ。カミーユくんに助けられてね。私と民間人のファ・ユイリィくんもそちらで保護を頼みたい」

 

 カミーユの乗るガンダムMK-Ⅱのコクピットには3人が詰め込まれているらしい。

 

 リック・ディアスと合流したクワトロらは無事にアーガマまで戻った。

 

「3機のガンダムを奪取したのか。アーガマの格納庫が満杯になりそうだな。で、あそこはなんでいがみ合っているんだ?」

「さぁ。性格的な問題でしょう」

 

 シュネーとカミーユは睨み合っていた。

 

「アンタみたいな子供は家に帰った方が良いわ。ほら、さっさと帰りなさい。パパとママが待ってるでしょ」

「親父とお袋は、僕の心配なんかしていないよ! 余計なお世話だね!」

「だったら尚更よ。子供なのよあなたは」

「黙れ、眼鏡女。あんたみたいな上から目線で、勝手に思い込む奴が嫌いなんだよ」

「そう。私も生意気なガキは嫌いよ。ニュータイプの力に溺れるだけの弱者だもの」

 

 シュネーは、クワトロに首根っこを押さえられて、カミーユから離された。

 

「クワトロ大尉。なんでこんな奴をエゥーゴに置いてるんですか!? 自分勝手で、視野が狭い偏屈な女を」

「大尉。この小生意気なガキをグリーン・ノアへ送り返しましょう。エゥーゴには不要です」

「なんだと!」

「何よ!」

 

 クワトロにすれば、カミーユの方がマシだった。シュネー(ハマーン)は20を迎え、クワトロと交わした結婚の約束が有効だと主張してくるのだ。

 クワトロ(シャア)は身を固める気はサラサラ無かったし、厄介な子供であるシュネーに恋愛感情は抱いてなかった。情は湧いているのだが、それは困った妹に対する情だった。

 

「2人ともやめろ。君たちは同じフネの仲間になる。喧嘩をするようならシュネーはアクシズに、カミーユはグリーン・ノアへ送り返すぞ」

「分かりましたよ。喧嘩をしなければ良いんでしょう」

「アクシズ……今更戻れないわ。分かったわよ」

 

 シュネーは、クワトロに擦り寄った。クワトロの腕に、自分の腕を通す。躱されたシュネーは、無理矢理クワトロの手を握った。

 

「ねぇ大尉。私たちの結婚式はどうするの?」

「なんのことだか分からない。私は君に恋愛感情を持っていない」

「…………ちょっと、そこまで言わなくても良いんじゃない」

「君がしつこいからだ。私はお父上から君のことを託されたが、それは君と結婚するということを意味しない。ただ、アルテイシアのようには思っている」

 

 シュネーは、何回もすげなく扱われているため、別段深いショックは受けなかった。しかし、腹は立つものである。

 

「敵が来るわ」

「敵だと? ティターンズの追っ手か?」

「私はキュベレイで出る。大尉は?」

「そうしよう」

 

 アーガマの格納庫には純白と深紅のキュベレイが並んでいた。キュベレイはアクシズからハマーンとシャアが持ち出してきたものである。

 ファンネルを搭載しており、リック・ディアスよりも図抜けた性能を示すワンオフ機だ。

 

「シュネー少尉。キュベレイ。出ます」

 

 純白のキュベレイが、アーガマのカタパルトから射出される。即座に展開されたファンネルが、シュネーの意のままに、宙を飛び交う。

 

「30バンチの悪夢だ……」

「クソ、敵うわけねぇ」

 

 サイド1、30バンチ。ティターンズによる虐殺を未然に食い止めたキュベレイは、彼らから蛇蝎の如く嫌われていた。

 

「よっつめ!」

 

 ティターンズのハイザックはみるみるうちに数を減らしていった。キュベレイに触れることも出来ない。まさにワンサイドゲームだった。

 

「なんだ……あの化け物は……」

 

 バスク・オムは、その脅威をまざまざと目にした。白いキュベレイがハイザックをあっという間に蹴散らし、赤いキュベレイが、艦艇を沈めていく。

 

「赤い彗星のシャア! そして白い魔女ハマーン! 奴らを落とせ! 落とした奴には褒賞をやる!」

「バスク大佐! 敵MS、こちらに向かってきます!」

「ええい! 味方は何をしている! 無能めが! サラミスを盾にしろ!」

 

 30バンチの暴動鎮圧に失敗したティターンズは落ち目だった。G3ガスを充填した注入艇が拿捕され、それは白日の元に晒された。

 起死回生のため開発していたガンダムMK-Ⅱは、試作機の3機を全て奪われてしまった。全て、白い魔女の引き起こした災厄である。

 

「敵MS、引き返します!! 助かりました……」

「馬鹿者! この損害だぞ! 何が助かっただ!!」

 

 バスクは弱音を吐いたオペレーターを殴り飛ばした。ここまでの損害を出した以上、バスクが更迭されるのは明白である。

 念の為確保していた駒を使うべき時が来たようだ。

 

「ジェリド・メサ中尉。カプセルを用意しろ」

「はっ」

 

 バスクが用意させたカプセルの中には、2人の民間人が入っている。ガンダムMK-Ⅱを強奪した民間人カミーユ・ビダンの両親だ。

 技術大尉であるフランクリン・ビダンは命乞いをしたが、バスクは聞かなかった。バスクは、監督責任を主張し、大尉であるフランクリンも人質にすることにしたのである。

 カミーユの母であるヒルダも連邦の技術者だったが、バスクには最早、敵味方の区別はなかった。

 

「それは停戦交渉の材料だ。ジェリド中尉、有効に使ってくれよ」

 

 ジェリドはカプセルの中身を知らなかった。しかし、停戦交渉の材料というのならば、貴重な資源か何かなのだろうと考えていた。

 

 悲劇の引金を自分が引くことになると、ジェリドは全く思っていなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。