稗田阿求の幻想縁起   作:味八木

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誤字報告の修正は慣れないんですよね。

前話の最後を加筆修正しました。

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欲望の金剛石!輪入道の罠!

 

 

 

―輪入道―

 

危険度…極高

人間友好度…低

出没地域…京都をはじめとする近畿地方

 

炎に包まれた牛車の車輪の中央に男性の顔がついた姿をしている。

 

この妖怪の顔を見てしまうと魂が抜き取られてしまう為、基本的にこの妖怪に遭遇したら命はない。その為、夜、白熱電球やLED電気とは違うオレンジ色から赤色の光が近づいてくるのを見たら逃げて決して振り向いてはいけない。

 

家に入ってくる可能性もあるが「此所勝母の里」と書いた紙を呪符として家の戸に貼ると輪入道が近づくことができないとされている。理由として「此所勝母の里」とは中国の儒家の孔子の門人である曾子が「母に勝つ」の名を嫌って勝母の里に足を踏み入れなかったという『史記』の「鄒陽列伝」での逸話が由来とされているからである。

 

輪入道は魂を抜き取られてしまうので不要な外出を控えるべきだろう

 

            幻想縁起より抜粋

            稗田阿求

     

 

 

 

 

 

東京某所

 

そこには今ある宝石店が異様な人気を誇っていた。

 

その宝石店の広告にはこうあった。『ダイヤモンドを袋に詰めて100万円!』…と。一カラットのダイヤモンド一つに付き10万円から100万円と言う価格で取引されているため、この店の大盤振る舞いさが際立つだろう。

 

そんな店の近くに鬼太郎と猫娘がショッピングに来ていた。

 

「持つよ猫娘」

「別に良いわよ鬼太郎」

 

鬼太郎は猫娘の荷物を持ってあげようと猫娘に近づいた。しかし、不意に高級な車が猫娘の直ぐ側を通った為に鬼太郎は猫娘を抱き寄せて車を回避した。その時に猫娘の顔が赤くなっているが鬼太郎は気づいていない。

 

危ない車が止まった為、鬼太郎と猫娘はどんな奴が運転しているのか見て文句を言おうとした。しかし、意外なことに出てきたのは金ピカのいかにも成金と言った様なスーツを着込み紫色のサングラスをかけた頬に髭が横に突き出した人物―ねずみ男―がいたからだ。

 

「おい。ねずみ男、何でそんな格好してるんだ?」

「また何か悪巧みしてるんじゃないでしょうね!」

 

猫娘が猫目と爪を全開にして威嚇する。だが、ねずみ男は慌てもせずにサングラスを外して言った。

 

「おいおい。俺はダイヤモンドの商売で成功したんだ。言いがかりはよしてくれ」

 

そう言ってねずみ男が指を差した所には人が争い合うようにダイヤモンドを奪い合っている姿だった。鬼太郎はねずみ男が指さした宝石店を見ていると不意に妖怪アンテナが起動した。アンテナは宝石店のダイヤモンド取り放題のブースで反応しており鬼太郎は疑心を深めた。

 

「おい。ねずみ男」

「何だい?鬼太郎ちゃん?」

 

おちゃらけたねずみ男に核心をつく質問をした。

 

「あのダイヤモンドから小さいけど妖気の反応があった。お前、あのダイヤモンドどうしたんだ?」

 

そう言った瞬間ねずみ男の反応が悪くなった。それを見て追撃をかける。

 

「やっぱり何か隠してるな」

「なんだよ!別に妖気があったから何だってんだ。いつからお前は人間の味方になったんだ!もういい!お前とは絶交だ!」

 

そう言って鬼太郎を横目に宝石店に入っていった。

 

鬼太郎は『人間の味方』とねずみ男に言われて人間に甘くなっていることを改めて実感した。

 

 

 

 

 

 

 

ある日の夜。ねずみ男は客数十名を連れて山奥に来ていた。

 

客はねずみ男のダイヤモンド鉱山で採掘し放題の話を聞いてやって来た者たちだ。客達は人気のない山奥の鉱山に訪れていた。

 

「ねぇ?ホントにこんな所にダイヤモンドなんてあるの?」

「ええ、有りますよ。もう少し先ですが…」

 

 

 

客の1人がダイヤモンドの所在を怪しんでるがねずみ男は何食わぬ顔でやり過ごした。ねずみ男の言う通りに進んでいくと坑道の奥からオレンジ色の光が見えた。それはどんどん近づいてくる。客があの光について聞こうとする前にその光は客たちの前に現れた。

 

それは現代では見られないタイヤらしき物が絶えず燃え盛りそのタイヤの中央にはヒゲモジャの男性の顔が付いていた。それはねずみ男の隣に―輪入道―がやって来た。

 

「こやつらが今回の飯か?」

「はい。そのとおりです!」

 

その言葉を聞いた客はこれから起こることを察した者から我先にと逃げ出そうとしたが輪入道が息を吹き込むと息に触れた者から次々とダイヤモンドへと変形した。

 

「ふむ。食べた食べた」

「流石ですね!先生!」

 

そう、ねずみ男はダイヤモンドの採掘と言う餌をちらつかせ輪入道の住む鉱山に集めそこで魂を吸い取りその魂の食べ残しが通常より大きなダイヤモンドとして残るのである。これをねずみ男は売り捌いていたのである。

 

そして、元人間のダイヤモンドは店頭で破格の値段で売られてその安さに釣られて新たなダイヤモンドとなる人間を集めるというサイクルができており、輪入道は定期的に人間の魂を食べることが出来て、ねずみ男はダイヤモンドを売って金儲けできる。両者winwinの関係なのである。

 

なお、ダイヤモンド採掘に行ったきり人は帰ってこないが採掘したダイヤモンドで儲けて海外旅行で豪遊中と成りすましたねずみ男がX(当時Twitter)で発信した事で誰も疑わず拡散されていくのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の夜、ねずみ男はダイヤモンドで稼いだ金を使って豪華な外食をしていた。

 

ねずみ男は紫色のスーツを着込みテーブル一面にある高級料理を食べ赤ワインを飲んでいた。赤ワインを飲んでいたねずみ男は段々頬が赤くなっていきボトルの赤ワインをグラスに注ぎながら呟いた。

 

「いいもんだよな。他人の口車にほいほい釣られて流されて真実か疑いもしねえでよ」

 

実際、ねずみ男の言う通りだ。ダイヤモンド詰め放題で百万円と言う破格の値段でのダイヤモンドの詰め放題等と言う史上稀に見る大盤振る舞いに上流階級は勿論、中流家庭でさえ買いに来る始末。そして、ねずみ男がダイヤモンド鉱山での採掘し放題の話を耳にした客が輪入道によってダイヤモンドにされて金儲けに使われる。

 

そのダイヤモンドが本物なのか、宝石店に裏があるとか疑いもせずに人間はやってくるからだ。だが、その愚かな人間の欲のおかげで金儲けが出来ているのも事実な為ねずみ男は感謝している。

 

そんな赤ワインを嗜んでいるねずみ男を見つめる黒服サングラスの男がいた事を酔っていたねずみ男は知る由はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ねずみ男は仕事を終えて帰ろうとした所頭に

チャカッ…と何かが突き付けられたと感じた。後ろを目だけで向くと黒服サングラスの男達が囲んでおり黒服サングラスの1人がねずみ男の頭に拳銃らしき物を突き付けていた。

 

「貴様のせいで我々の儲けが激減したぞ」

「落とし前取ってもらおうか?」

 

どすの効いた声でねずみ男を黒服サングラスは脅してくる。黒服サングラスは続けた。

 

「我々はワン・ワールド・アダマス・シンジケートと言う。世界のダイヤモンドの流通、生産、価格を調節してるんだ。だが、お前が節操なく売るから俺たちのメンツは丸潰れだ。どう言う意味か分かるな?」

 

ねずみ男は人間世界にも詳しい。黒服サングラスの連中の話を纏めるのなら『シマを勝手に荒らした詫びにお前のダイヤモンドの仕入れ先を教えろ』と言ったところだ。輪入道の事を知られたくないので断りたかったが相手は大人数で銃を多数所持していると思われるのでねずみ男には選択肢は無かった。

 

 

 

 

「それじゃあうちの鉱山を紹介するよ」

 

そう言ってねずみ男は輪入道の待つ鉱山を訪れていた。ねずみ男は事前に決められた合図をすると直に輪入道が現れた。

 

「ねずみ男よ。何か用か?」

 

そう言いながら輪入道はシンジケートの連中を見る。シンジケートは裏社会では影響力を持っていても妖怪については知らない為若干の悲鳴を上げたのもちらほら見られた。

 

「はい。実はですねこの者たちが輪入道様に協力したいと申しているんです」

「ほう?」

 

そう言って輪入道はシンジケートの方にねずみ男から目を向けた。しかし、話の意味が分からないシンジケートは反発する。

 

「おい!ダイヤモンド生産場所を教えろといったはずだそ!」

「ええ、ですから連れてきたんですよ」

 

シンジケートの連中はねずみ男の言葉を疑ったがねずみ男は見るほうが早いと輪入道に先ほど突っかかってきたシンジケートの1人の魂を吸い取った。結果としてダイヤモンドになってしまった。その様子を見たシンジケートの人達は興奮と恐怖に二分された。

 

ダイヤモンドの金儲けが人一人で大量生産出来ることに興奮を隠せない様子だ。この様子を見てねずみ男は自分の命が助かる事を確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

シンジケートが仲間に加わって最初に行ったのはダイヤモンドとなる素体の人間の確保だった。だが、そこは世界中にある程度の影響力を持つシンジケート、難民をコンテナ船のコンテナに詰め込んで運んで来たのだ。

 

ちなみに余談だが不法移民や難民はブローカーの案内でコンテナの中にギュウギュウ詰めで入れられるため、暑さて熱中症となり倒れてしまうものも少なくないという。

 

連れてきた或いは自主的に来た難民を輪入道のいる鉱山に連れて行った。そこで輪入道はいつもの様に魂を吸い取ろうとした。しかし、難民はスラムや治安の悪い環境で育った者が多い。その為危機察知能力が人一倍高い一人の難民は逃げようとした。しかし、シンジケートの一人に脳天を撃ち抜かれた。

 

流石にこの行動にはねずみ男も顔を顰めて穏便にする様に訴えるがシンジケートは「代わりは幾らでもいる」と気にも、とめていない様子。躊躇うと自分も撃たれるためねずみ男は従うしかない為実質事業が乗っ取られしまった。ねずみ男はダイヤモンドの魔力に取り憑かれていたがそれ以上に取り憑かれる集団を見て一周周って冷静になっていたのかもしれない。

 

それからというのも毎月数十人の人間を輪入道の食事としていたが、シンジケートが関わってから一週間に数十人と輪入道に食べられる為輪入道は終始ご機嫌………ではなくますます不機嫌になっていた。何故なら毎週の様に人間を食べている為人間を食べる事に積極的になり常に食べたいと欲は膨らんでいった。

 

そしてそんなダイヤモンドによる蜜月が続いて数週間後ついに事件が起こった。輪入道が我慢できなくなりダイヤモンド搬入のシンジケートの人間の魂まで吸い取ってしまった。

 

ついに手に負えなくなったと感じたねずみ男は絶交宣言をした鬼太郎に恥を忍んで頼むのがプライドを傷つけて嫌だったので真名名義で手紙を出したのだった。(ねずみ男的には他人名義で手紙を出すのはプライドが許す)

 

 

 

 

 

 

 

 

一方ゲゲゲハウスでは砂かけ婆や鬼太郎、猫娘が集まって真名から送られた手紙を見ていた。内容を要約すると『ねずみ男が経営する宝石店所有の鉱山で輪入道が暴れてるから助けて』といったものだった。だが、鬼太郎達はこの手紙がねずみ男から出されたものだと見当がついていた。何故なら、真名は基本メールを猫娘に送りメールを鬼太郎に見せる為手紙を出すのは滅多にない。それに、文体が真名に似ていないのだ。そして何より先程まで猫娘は真名とSNSで会話していたのが大きい。

 

「どうするの鬼太郎?これ、ねずみ男からでしょ」

 

猫娘はそう言うも不機嫌さを隠しきれてない。まあ、この前の出来事があったのだから仕方ないが…

 

「だろうな。まあ、助けに行くか」

「どうして?別に助ける義理なんて無いわよ」

 

猫娘が鬼太郎の言葉に驚いているが鬼太郎は猫娘にこう返した。

 

「あいつはどうしようもないやつだけど…何故か放っておけないんだ」

 

そう言って鬼太郎はゲゲゲハウスを出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼太郎が件の鉱山に行ったが人の気配が全く見られなかった。だが、人の痕跡は多く見られた。例えば足跡や黒いワゴン車と呼ばれるのは見られた。

 

鬼太郎は真名(ねずみ男)を探して坑道の奥へ奥へと進んでいく。そして、ねずみ男を発見した。

 

「鬼太郎?!どうして此処へ?!」

「真名に頼まれたからだ。それよりこんな所で何してる?早く逃げろ!」

 

そう言ってねずみ男を逃がすとねずみ男はそそくさと逃げた。

 

その後オレンジ色の炎を牛車にまとわせ中央部に男性の顔がついた―輪入道―が姿を現した。

 

「貴様…噂に聞くゲゲゲの鬼太郎だな?」

「その通りだ!今すぐ食べた人間の魂を解放しろ!」

「断る!儂はもっと欲深い魂を食べるのだ。邪魔をするな!」

 

予定調和の如く交渉が決裂すると輪入道はダイヤモンドにする光線を早速放った。だが、鬼太郎は光線を避けて続けざまに『髪の毛針』を放った。しかし、光線にあたり針状のダイヤモンドへと変化した。ならばと『リモコン下駄』を打ち込む。ダイヤモンド光線は直線上に飛ぶので下駄は難なく避けて輪入道に直撃した。そして追撃に再度『髪の毛針』を放った。『髪の毛針』は輪入道の顔にあたり悶えた。

 

 

 

 

 

…がそれは演技であり『髪の毛針』が当たる直前にダイヤモンドにして難を逃れていたのだ。そして、間髪入れずにダイヤモンド光線を放った。それは鬼太郎向かって放たれ下半身をダイヤモンドにしてしまった。そして身動きが取れなくなった鬼太郎に対してトドメの一撃を食らわせようとする。

 

が、しかし輪入道の背後から光がともった。それは勢いよく輪入道に突っ込んだ。それはシンジケートの連中が難民を連れてきた黒のワゴン車だった。

 

「鬼太郎!大丈夫か?!」

「ねずみ男!」

 

車を運転していたのはねずみ男だった。車を輪入道にぶつけて時間を稼いだのだ。だが、その代償に車は左部分が破壊されていた。

 

「貴様!何をする!」

 

輪入道がねずみ男に何のためらいもなくダイヤモンド光線を放った。結果としてねずみ男は因果応報かの様に自分もダイヤモンドになってしまった。助けも期待できない為、鬼太郎の生存は絶望的だと思われた。だが、鬼太郎は破壊された車を見る。

 

そうこうしている内に輪入道はダイヤモンド光線を放った。しかし、鬼太郎は手の届く範囲に合ったサイドミラーをダイヤモンド光線の延長線上に持って来た。

 

ダイヤモンド光線はサイドミラーによって跳ね返り輪入道に直撃しダイヤモンドとなった。そのダイヤモンドとなった輪入道をちゃんちゃんこで締め上げで砕き輪入道は討伐されダイヤモンドは下に戻った。

 

 

 

 

「鬼太郎…どうして助けてくれたんだ?」

 

ねずみ男は鬼太郎が助けてくれたことに疑問を感じていた。故に地面に横になりながら横で様子をしゃがんで見てる鬼太郎に問いた。

 

「まあ、憎めない…悪友だからかな?」

 

その言葉にねずみ男は柄にもなく目頭が熱くなったのだった。

 

「鬼太郎…俺は…ダイヤモンドはもう懲り懲りだ」

「それは良かった」

 

2人は面白おかしく笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、ゲゲゲハウスで鬼太郎は目玉のおやじの茶わん風呂の面倒を見ていると不機嫌そうな猫娘がやって来た。

 

「鬼太郎!見てよこれ!」

 

猫娘がスマホを見せると鬼太郎は思わず苦笑した。そこには『ビビビットコイン』なるものを立ち上げたねずみ男の写真だった。

 

「懲りないな…」

「本当!次会ったら顔ひん剥いてやるわ!」

 

鬼太郎はねずみ男の逞しさに一層関心した。

 






評価9を下さった小桜リエスタイナ様、ありがとう御座います!

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