※9月23日に別作品の最新話を今作の方に間違えて更新してしまいました。お詫び申し上げます。
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―蟹坊主―
出没地域…中部地方と九州一部地域
危険度…高
人間友好度…低
蟹坊主は名の通り坊主…つまりは僧の様な格好をしている。本性を現すと巨大な蟹になるという。逸話として以下の通りの様な話がある。
山梨県山梨市万力の長源寺にはかつて甲斐国万力村にあった同寺の住職のもとを雲水が訪ねて問答を申し込んだ。
『両足八足、横行自在にして眼、天を差す時如何』
と質問したという。問に詰まる住職を雲水は殴り殺し立ち去った。その後も代々の住職が同様に死んでしまいとうとう寺は無人となってしまった。話を聞いた法印*1という旅の僧がここに泊まったら例の雲水が訪ねて来て同様の問答を仕掛けたので雲水は
「お前は蟹だろう」
と言って
別説によると法印が寺に泊まると夜中に身長3メートルもある怪僧が現れ問答を仕掛けた。しかし、正体を見破られ独鈷で刺されて逃げ去っていった。翌朝に法印が村人たちと共に血痕を辿ると、そこには巨大な蟹が死んでいたという。また、長源寺の本尊は千手観音だが、この巨大蟹の死体から千手観音の姿が現れ、法印がそれに感激して千手観音を寺の本尊に祀り法印は
なお長源寺の山号は蟹沢山というが享保11年*3までの山号は富向山だ。つまり、蟹坊主伝説が語られたのは享保11年より後と考えられる。長源寺ではこの化蟹伝説に基いた1885年作成の【救蟹伝説掛軸】という物がある。
この伝説にちなんで蟹が逃げ去ったといわれる場所には【蟹追い坂】や【蟹沢】といった地名が残されている。長源寺には【蟹の爪跡】とされる2つの穴があいた石や蟹が投げつけたという1メートル以上の巨石などが残されている。昔は蟹の甲羅も残されていたが現在紛失している。
長源寺と同様に無人の寺に泊まった旅の僧に蟹の化け物が問答をしかけて僧がこれを暴いて退治するという伝説や昔話は中部地方を中心に多く見られる。
石川県珠洲市の永禅寺や富山県小矢部市の本叡寺に存在している。小矢部市には伝説にちなんで【北蟹谷】の名が残っている。
福岡県福津市の祥雲寺には、問答に負けた和尚は大蟹に食い殺された伝説、岩手県西磐井郡花泉町の伝承だと甲橋という橋で巨大な蟹が僧に化けて問答をしかけたが、寛法寺という寺の住職に鉄扇で退治された伝説等、似たような問答を仕掛けるカニの化け物の話は狂言の【蟹山伏】がルーツとされている。
蟹坊主はナゾナゾを問答してくるとので答えを知っておくのが重要だろう。
◆
―500年前?―
「覚悟!」
侍と侍が斬って斬られる戦国の世である森の中を森にいるのはおかしな者たちだった。鬱蒼とした森には居ないはずの美しき女性と数人の侍、修行僧がいた。
彼等は追っ手を逃れていた。すると山寺が見えてきた。彼等はお寺の中に入るが修行僧だけはその場に残った。
やがて追っ手の侍がやって来た。修行僧は言った。
「両足八足、横行自在にして、眼は天を指す。これいかに?」
だが、侍は斬り掛かってきた。修行僧は泡を噴き出すと斬り掛かってきた侍に吹きかけた。すると侍は銅像になって固まってしまった。修行僧はやって来た侍を泡にしていると呪術師と思われる男がやって来た。彼は怪しげな術で修行僧を封印した。
◆
―現代鳥取県境港ビーチ―
真名や阿求、鬼太郎ファミリーは浜辺にやって来ていた。
鬼太郎、猫娘、真名、阿求はそれぞれいつもの服を着て浜辺にビニールシートを敷いて寛いでいた。隣には水着姿の子泣きじじいと砂かけ婆の姿があった。
「父さん!日焼けし過ぎですよ」
「大丈夫じゃよ、鬼太郎」
「日焼けするのは結構ですが目に負荷をかけると炎症が起きかねませんよ…」
「なんと!そうなのか阿求殿!」
そんな親子と阿求の会話を聞いていた子泣きじじいは言った。
「そうじゃぞ、折角浜辺に来たんじゃから酒でも飲みながら体を焼くのが1番じゃ」
「楽しいねぇ」
子泣きじじいと砂かけ婆の話に異議を唱える者がいた。
「わしゃちっとも楽しくないばい!なんでこないなビーチまで来てなんで子泣きのフンドシにならないかんの!」
そう言うと一反木綿は結び目を解いて去っていった。その後の子泣きじじいの様子に砂かけ婆が子泣きじじいをビンタしたが理由は押して然るべき。
そして時間が過ぎていると猫娘が唐突に言った。
「そう言えば一反木綿は?」
「一反木綿なら大きな貝殻を探すそうじゃ」
「なんで貝殻?」
その質問に答えたのは頬が腫れた子泣きじじいだった。
「一反木綿の奴、猫娘に貝殻の水着を着て欲しいんじゃと」
「………ぶっ飛ばす」
猫娘は顔を赤面で呟いた。
街の方では庄司おじさんの飲み友達、キノピーがねずみ男と昼間から飲んでいた。キノピーはねずみ男にお酒を酌したりされたりと飲んだくれていた。そして、キノピーはねずみ男にお酒を与えた。
その後、ワンピースを着ていた真名は庄司おじさんの友達のキノピーが所有する畑で畑服姿で真名と猫娘は畑作業にいそしんでいた。そんな彼女らを尻目に酒を飲んでいたねずみ男は腹いせに顔を猫娘に引っかかられるのだが、それは別の話だ。
そんな平和な境港、そんな街に騒動が起きる…
◆
翌日、事件が起きた。庄司おじさんから連絡を受けた真名は鬼太郎達を連れて道路の一角に来ていた。そこには庄司おじさんが、あるものに縋り泣いていた。それは昨日の飲み友達のキノピーが酒瓶をもって銅像となって仰向けになって倒れていた。
「これは…」
「鬼太郎?何でこんな事になったか分かる?」
「現時点では何とも言えないけど…この銅像からは微かな妖気を感じる…恐らくこれは妖怪の仕業です」
「じゃあ、早く妖怪を見つけないと!」
猫娘の言葉に鬼太郎ファミリーや真名、阿求は頷いた。
妖怪アンテナに従って境港の街を歩くとキノピーと同じ様な姿になった人達を沢山見つけた。
この異常事態にねずみ男のビビビセンサーがバッチリ反応した。ねずみ男は偽の薬を銅像防止に効く特効薬として売りつけ回っていた。まあ、怪しまれて買ってくれる人はいなかったが…又、砂かけ婆は子泣きじじいの為に酒屋に焼酎を買いに向かった。
その間に他の鬼太郎ファミリーや真名、阿求は境港を歩き回っていた。すると目の前に今の時代には見慣れぬ修行僧の様な姿をした大男がいた。大男は大きな声でこういった。
「両足八足、横行自在にして、眼は天を指す。これ、いかに?」
鬼太郎達は困惑した。このナゾナゾの意味が分からない。しかし、完全記憶能力を持っている阿求には分かった。
「蟹です!答えは蟹でしょう!」
そう言うと修行僧は口から泡を出した。それに包まれた阿求は銅像になってしまった。
「蟹ではないのか!阿求殿が違うとなると…」
「再度問う。両足八足、横行自在にして、眼は天を指す。これ、いかに?」
阿求の答えが違う事に目玉の親父が驚いていると大男は再度問うた。鬼太郎ファミリーは別々の答えを提示する。
子泣きじじいがタコ、ぬりかべが百足だった。しかし、どちらも違ったらしく2人とも銅像になってしまった。
鬼太郎は阿求や子泣きじじい、ぬりかべが銅像にされてしまった事から今回の銅像事件の犯人はこの修行僧だと判断した。修行僧は再度同じ質問をしてくる。しかし、鬼太郎は戦闘態勢に移行して様子を伺う。痺れを切らしたのか修行僧は泡を出してきて鬼太郎は回避出来ず銅像になってしまった。
砂かけ婆は猫娘達と合流して逃げようとする。するとそこに庄司おじさんが車でやって来た。
「乗れ!早く!」
その言葉に、猫娘、砂かけ婆、目玉の親父、真名は車に素早く乗り込んで修行僧の手から逃れた。しかし、修行僧は走って車を追いかけていく…
◆
車の中で真名は目玉の親父に今後どうするかを聞いた。
「うむ…近くにある大山に遥か昔からいる鴉天狗ならば何か知っているやも知れぬ…」
「よし!分かった!今から車を飛ばすぜ!」
そう言って車を発進させ様とした時だった。突如、さっきまいたはずの修行僧が目の前にいたのだ。修行僧は車の被害を気にせず無理矢理止めてしまった。
「両足八足、横行自在にして、眼は天を指す。これ、いかに?」
同じ質問を仕掛けてくる修行僧、庄司おじさんは車から出て来て修行僧に甲子園時代の金属バットで攻撃を仕掛ける。しかし、修行僧は冷静に回避して泡を吐き出す。その泡に包まれて庄司おじさんも銅像になってしまった。
もはや万事休すか…そう思われた時だった。
「姫様!」
修行僧が砂かけ婆の姿を見て混乱し始めた。その隙に烏の大群がやって来たお陰で、猫娘、真名、砂かけ婆はガラスヘリコプターで大山に向かうことになった。
◆
―大山、鴉天狗の里―
真名達は鴉天狗の長老との面会を希望した。鴉天狗の一人は何か言いたげだったがそのまま部屋に通された。そこは暗い暗い大広間だった。
しかし、錫杖を突く音がすると火がボッ!と次々と現れそれと呼応する様に鴉天狗の武者達が姿を現した。一際大きな火がつくと彼等の目の前には鴉天狗の長老がいた。
砂かけ婆は境港での一連の事件、そしてその犯人である修行僧の話をした。すると、鴉天狗の長老は話し始めた。
「お主らの話が本当ならばその修行僧は戦国時代、小国の姫に仕えていた蟹坊主という妖怪だ。あ奴は姫を守る為お主らに問うた質問で敵味方の区別をしていたと思う。奴自身も敵の呪術師によって封印され今、蘇ったのだろう」
鴉天狗の長老の話に真名は蟹坊主の生き様に感動した。しかし、現状頼りとなる鬼太郎は銅像になっている。目玉の親父はどうしようかと悩んでいると長老は言う。
「話は聞かせてやった。お主らは帰るが良い」
「助けてくれないんですか?!」
真名は思わず叫んだ。しかし、長老は意に返さなかった。
「我が一族は人間の無益な争いに首を入れるつもりは無い」
それだけ言って再び錫杖の突く音が鳴った。と同時に火が消え、気づいた頃には鴉天狗は皆いなくなっていた。
◆
「どうしたらいいんだろ…」
真名の失意の声が大山の山道に消えていった。鴉天狗の協力を取り付ける事が出来ず蟹坊主の凶行を止める事が出来ない。どうしようかと目玉の親父含めて悩んでいた。
「お待ち下さい」
声のする方を見ると、若い鴉天狗がやって来ていた。
「どうかしたのかのぉ?」
「蟹坊主による銅像化…ここ大山の霊水なら元に戻す事も出来るかもしれません」
「ほんと!ありがとう!えっ〜と…」
「小次郎です。鴉天狗の小次郎といいます」
「小次郎さん!宜しくね!」
真名の言葉に小次郎は頬を赤く染めるのだが、その事に気付く者は無かった。
◆
小次郎を連れて真名達は阿求の元に来ていた。阿求は妖怪の専門家とも言うべき人物だ。そんな人物が何故謎掛けを間違えたのか不安だが蟹坊主について知っているやも知れない。そんな思いで彼女を元に戻すことにした。
そして、小次郎の予想通り阿求はもとに戻った。
「どうですか!蟹坊主…ってどうかしまし…おぁ!」
阿求が元に戻った事に真名は嬉しさの余り、抱きついた。体の弱い阿求は受け止め切れず倒れてしまった。
しかし、そんな感動再会も束の間、修行僧もとい蟹坊主がやって来た。
「止めてくれ!お主の主である姫様は当の昔に亡くなっておる!もう辞めるんじゃ!」
砂かけ婆の説得に蟹坊主は否定する。
「そんなはずはない。お前たちの言うことが真実ならば、俺の名前も正体も知っているはずだ」
現実を直視しようとしない蟹坊主に砂かけ婆は残念そうに、そして憐れみをもって「蟹坊主」と答えた。
蟹坊主は信じたくないのか、プルプルと体を震わせ元の姿である巨大な蟹の姿へと変貌する。
「嘘だ!嘘だ!」
暴れる蟹坊主を抑えようと砂かけ婆と小次郎は奮闘する。真名と阿求は足手まといになるので蟹坊主から距離をとっている。
「あの?どういう展開になっているのですか?」
「う〜んと、話せば長くなるよ?」
しかし、2人は肝が据わってるのだろう。そんな会話を離れながらする始末だ。しかし、砂かけ婆と小次郎には蟹坊主は手に負えなかった。しかし、突如として雨雲も無いのに雨が降ったのだ。
この雨は、コッソリと千里眼で様子を見ていた鴉天狗の長老が「しょうがねえなあ〜」と何処かの異世界冒険者の様に独り言を呟くと、神通力で大山の霊水を巻き上げ、境港の街に降らせたのだ。これによって、銅像と化していた境港の住民、子泣きじじい、一反木綿、ぬりかべ、ねずみ男、そして鬼太郎といった者達が元に戻った。
鬼太郎は一瞬戸惑ったが、巨大な妖気の流れを見つけて蟹坊主が暴れている現場に急行した。
鬼太郎は巨大な蟹坊主に【髪の毛槍】を食らわせる。
しかし、蟹坊主の甲殻によって阻まれてしまう。だが、そこに砂かけ婆と小次郎が足止めを行った。その隙を見逃さず鬼太郎は髪の毛を伸ばして蟹の足を絡め取ってしまう。
そして、絡めた髪の毛を通して体内電気を流し込んだ。その影響で吐き出そうとした泡を口からブクブクと溢れさせてしまった。蟹坊主は銅像になる事が運命づけられた。
「蟹坊主…」
砂かけ婆は憐れんだ表情で呟いた。それを聞いた蟹坊主は残りゆく時間で遺言を託した。
「姫様の眠るこの街に、俺も一緒に…」
◆
蟹坊主による銅像事件から数日後、蟹坊主が銅像になった事で、蟹坊主の近くに砂かけ婆の若い頃を参考に姫様の銅像を作った。そして、その銅像のある道には鬼太郎や砂かけ婆、猫娘が魚を咥えている銅像が作られた。
やがて、この道は妖怪ロードとして境港ひいては鳥取の観光名所の1つになるのだった。
「皆も見に来てね!」
「真名さん?どうかしましたか?」
「ううん!何でもない!」
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