稗田阿求の幻想縁起   作:味八木

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アンケートにより鬼太郎小説を投稿します。

今回、設定の齟齬が無いように調べたり注釈に挑戦して執筆してたので遅くなりました。

又、ここおかしくない?と思った有識者の方とかコメントしてくれると有り難いです。

後、結構難産でした。




稗田家とは…

 

 

 

―飛鳥時代*1

 

 

 

日本の歴史においてこの時代は文字によって記録され始めた時期といえる。

 

 

そんな時代に有名な人物や出来事として聖徳太子(厩戸王子)や大化の改新、仏教伝来が挙げられる。

 

 

又、聖徳太子が行った物として冠位十二階と十七条の憲法が挙げられる。

 

 

そんな古代日本に転生した人物がいる。

 

 

稗田阿礼である。

 

この人物は生没年性別不詳であり分かっていることは現在で言う瞬間記憶能力を持っており、古事記の編纂に携わったとされている。

 

彼(ここでは時代を考えて彼と呼称する)は史実では天皇家記述をした様に古事記編纂に関わった事から高貴な身分かつ収入も多かったのだろう。

 

 

さてそんな稗田家に転生した人物の生涯は…

 

 

 

 

 

 

 

 

稗田阿礼side

 

 

 

 

(ここは何処だ?自分は何を?)

 

彼は困惑しつつ余り質感の良くない畳の様な物から体を起こした。

 

すると見知らぬ女性が自分に気づいた。

 

「稗田様!お目覚めになられましたか!」

 

その声を聞いた別の女性も自分に近寄ってきた。

 

その女性は着物には見えない古めかしい服とスカートが合体した様な格好をしている。

 

本人は知らないことだがこれは古衣(ちょうい)と呼ばれる長い上着と(くん)と呼ばれるスカートの様な物を身に着けている。

 

混乱しつつも話を続けなければと考え侍従と思われる女性に質問した。

 

「すまない。私はどうしたのだ?」

 

すると女性は今にも泣きそうな表情になって言った。

 

「稗田様はここ2日3日高熱で倒れておられました。神仏に祈祷をして良かったです。」

 

「そうか…ありがとう。因みにだが私は記憶が曖昧でな…今が何年か分かるか?」

 

「今は天武天皇の治世に御座います」

 

女性は何の気なしに言ったが阿礼は混乱の極みだった。

 

天武天皇?その天皇の名前に見覚えがあった。彼に転生した人物は東方マニアであり各キャラの元ネタ等を調べていた

 

その中に稗田阿礼と言う人物がいる。彼は東方Projectの稗田阿求のモデルとなった人物であり天武天皇により古事記の編纂を命じられた舎人(とねり)*2である。

 

ついでに言うと前世の親の顔や人間関係等が無くなり、知識のみが残っている。

 

「稗田様。今日はゆっくりとお休みください」

 

彼が混乱の極みにおり狼狽えているのを具合が悪いと勘違いした侍従がそう言った。

 

稗田阿礼も心の整理をしたかったのでその誘いに乗った。

 

そして彼は直に夢の彼方へ旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日彼は目を覚ました。どうやら睡眠を取ったことから脳が記憶の整理を行ったのか、自分の立場や人間関係、性格などを事細かに理解できた。

 

これも瞬間記憶能力のお陰だろうか…(そのせいで転生前の性格は無くなっているのに気付いていないのだが…)

 

そして、彼はその日に帝(今で言う天皇陛下)に呼び出され宮中に出向き帝と謁見していた。

 

「稗田よ。息災か?」

 

帝とは簾ごして謁見していたが声を聞いて彼は帝に対して一層畏怖した。転生前の人物はテレビ越しで天皇の声を聞いた事があるがその血の定めを感じ取ったが、この帝とは訳が違った。

 

神武天皇の血が転生前の天皇より濃いのも有るだろうが、直に謁見すると帝の尊さが肌で感じ取れるのだ。

 

彼は声を帝に余計な心配をかけぬよう絞り出した。

 

「はい。2日3日程高熱に悩まされましたが、神仏のお蔭で助かりました」

 

それを聞いた帝は1言…

 

「ならば良い」

 

とだけ言った。だが、ここで終わりでは無かった。

 

「時に古事記編纂はどうなっておる?」

 

稗田阿礼は稗田阿求同様、瞬間記憶能力を有しており日本史を覚えそれを太安万侶(おおのやすまろ)に伝えて書物にしてもらうのだ。

 

「順調に進んでおります」

 

その言葉に天武天皇は…

 

「励め」

 

短い激励だったが彼には十分だった。

 

「はっ!」

 

そう言って背中を見せないように退出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

(流石に緊張した…)

 

帝には見せなかったが彼は汗を垂らしていたのだ。それだけ天皇に対する畏怖が強かったのだろう。

 

(帝の期待に応えなければな!)

 

彼は決意を一層新たにして職務に取り組もうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、阿礼は自分の屋敷もある都の飛鳥清美原宮(あすかきよみはらのみや)*3にある1つの屋敷を訪れていた。

 

「稗田阿礼と申します。太安万侶(おおのやすまろ)殿にお会いしたい。」

 

そう門の前で言うと中から侍従が出てきて手馴れた様子で案内してくれた。

 

「此方が太安様様の部屋にございます」

 

「ああ」

 

短いやり取りをして来た道を帰っていく侍従を横目に阿礼は部屋に入った。

 

「失礼するよ」

 

そう言って部屋の中を見ると1人の男性が現代で言うテーブルの上で書き物をしていたが私の声に反応して顔をあげた。

 

「おや、阿礼じゃないか。体は大丈夫なのか?」

 

彼が太安万侶(おおのやすまろ)である。万侶は体の調子を聞いてきた。(2日3日高熱でうなされたのだから当然である)

 

「先日帝からもお言葉をいただいたよ。帝の為にも古事記の遅れを取り戻さなければ…」

 

帝の信頼に応えるため、舎人(とねり)としての務めを果たそうと一層決意を新たにした。

 

「そう言う真面目っぽい所は高熱でうなされても変わらないな…」

 

そう言って太安万侶は紙を用意した。

 

その後は日が暗くなるまで古事記執筆に2人は勤しんだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

稗田阿礼に転生して数年が経ちすっかり飛鳥時代の現代とは比べ物にならない不便な暮らしにも順応して古事記の編纂が進んでいった頃、悲劇は起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天武天皇の崩御であった。

 

この事実に宮中は大慌てになった。葬儀の準備をする中で貴族達はそれぞれの思いを秘めていた。

 

ある者は今後の天皇位について、ある者は自分の利権について、ある者は今後の行く末を思い…

 

そんな中で人一倍天武天皇の崩御を悲しんだ人物がいる。稗田阿礼である。

 

彼は転生という神の御業を体験し、天武天皇に仕え、仕事にやりがいを持っていた。古事記編纂と言う一大事業を任されて献上しようと努力した中での崩御だった。*4

 

宮中の情勢が目まぐるしく変わる中、新たな天皇が即位した。

 

持統天皇(じとうてんのう)である。

 

第41代天皇の持統天皇は珍しい女性天皇である。

 

天武天皇の皇后であった彼女は皇太子が一人いたが彼に次ぐ皇位継承者が謀反の罪で処刑されており彼にもそのしわ寄せが来たのと年齢が幼い事が原因である。 

 

そんな宮中の政治争いに巻き込まれつつ太安万侶と作成した古事記は和銅5年(わどうごねん)(西歴712年)元明天皇(がんめいてんのう)*5に献上された。

 

こうして激動の飛鳥時代を生きた阿礼だったが現代人の知識は健在だ。その知識との答え合わせかの様に前世とは違い妖怪…人ならざるものを見る機会も数回あるし、聖徳太子(豊聡耳神子)と思われる文献も閲覧出来たからだ。そこで彼は稗田阿求の幻想縁起の様に妖怪を書き記したいと考えるようになった。

 

そこで彼は後年持ち得る知識と呪術系の専門家の意見を仰ぎ転生術式を作り上げた。

 

そして彼は死の間際に転生術式を発動し閻魔大王に謁見。地獄での100年の奉仕と引換に許可された。

 

そうして彼は稗田阿求まで続く稗田の人生を幻想縁起の編纂に注ぎ込んだのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
西暦592年から710年まで

*2
天皇や貴人に仕える職業で舎人は皇族に仕える

*3
藤原京の前に存在した都。現在の奈良県明日香村

*4
第四十代天皇。13年の統治であった。

*5
第43代女性天皇、日本史で有名な中大兄皇子の娘てあり天武天皇の皇太子の后にあたる






閻魔大王の閻魔王朝は鬼太郎第5期をベースにしてるので十三王や地獄の鍵が有りますが…出てくるのは当分先です。

100年の奉仕に関しても転生のペナルティで地獄時間の100年ですので現実だとそんなに経ってなかったりする。(地獄の責め苦の中には数百億年とか言う地球時間より長い刑罰が有るので…)

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