グリフィンドールの一年生はパーシーに続いてペチャクチャと騒がしい人ごみの中を通り、大広間を出て大理石の階段を上がった。ちなみにスリザリンは監督生が居なかったのでスリザリンの先生、スネイプが引率していった。
「ふわぁ、銀ちゃん眠いアル。おんぶ」
神楽はお腹いっぱいになったせいか、それとも夜遅いせいか眠たそうに銀時の背中に飛び付いた。
「うぉっ。おい、神楽せめて部屋まで頑張れよ」
銀時が背中に飛び付いた神楽に言うも神楽はブンブンと首を振った。
「無理アル。眠いーー銀ちゃーーん、おんぶゥゥウ」
神楽は甘えるように銀時の背中にすり寄った。そんな神楽に銀時は微かに眉を寄せ、仕方なさげにため息をつきおんぶする。
神楽は嬉しそうにギュッと銀時にしがみついた。
そんな様子を見て新八と土方以外のグリフィンドール生は銀時と神楽が恋人同士なんだと勘違いしていた。
ハリーは仲の良い銀時と神楽を見て頬を染めた。人目もはばかずいちゃつく恋人同士を見て何故か恥ずかしくなったようだ。
「ヒュー、ヒュー、可愛い恋人たちと一年生ちゃん。なんてなんて愉快なんだ!!」
突然ポンと音がして、意地悪そうな暗い目の大きな口をした小男が現れた。あぐらをかき、意地悪な甲高い笑い声をあげている。
「ピーブズだ、ポルターガイストのピーブズだ」
パーシーが一年生に伝えた。どうやらゴーストのようである。
ハリーはゴーストだと判断すると、心配そうに銀時と土方を見た。しかし、予想と違い二人は平気そうである。
「ピーブズ、行ってしまえ。そうしないと男爵に言いつけるぞ。本気だぞ」
パーシーが怒鳴った。
ピーブズは舌をべーッと出し、近くにあった鎧をガラガラ言わせながら遠のいていった。
「ピーブズには気をつけたほうがいい。悪戯好きだからな。ピーブズをコントロールできるのは『血みどろ男爵』だけなんだ。僕ら監督生の言うことさえ聞きゃしなーー」
「ギャァァァアアッ!!」
パーシーが話している途中、恐怖に満ちた叫び声がした。あの特徴のある声は先程までここにいたピーブズの声である。
「ピーブズ?」
パーシーは不思議そうにピーブズが飛んでいった方向を見た。
「あっちはスリザリン寮に向かう道だが……『血みどろ男爵』にでも会ったか」
パーシーはそう納得すると寮に向かって歩き出した。銀魂メンバーはスリザリンに向かったピーブズに何と出会ったのかなんとなく分かったのだろう。小さく合掌をした。
しばらく歩いていくと、廊下のつきあたりにピンクの絹のドレスを着たとても太った婦人の肖像画がかかっていた。
「合言葉は?」
肖像画の婦人が聞いてきた。
「カプート ドラコニス」
パーシーがそう唱えると、肖像画がパッと前に開き、その後ろの壁に丸い穴があるのが見えた。どうやらその穴を登っていくらしい。
「おぉ、隠し穴ネ」
起きていたのか神楽が銀時の背中から穴を見つめ、キラキラと瞳を輝かせた。
「おい、神楽。起きてるなら自分で歩けや!!」
銀時は神楽を下ろそうとするも神楽はイヤイヤと首を振った。そんな神楽に銀時はため息をひとつし、みんなが登っていった穴に登っていった。
ーー穴はグリフィンドールの談話室につながっていた。心地よい円形の部屋で、フカフカしたひじかけ椅子がたくさん置いてあった。
「へぇー、意外と広いじゃねぇか」
「確かに広いですね」
銀時と新八はキョロキョロと辺りを見渡した。生徒たちはパーシーの指示で、神楽以外の女の子は女子寮に続くドアから、銀時、新八、土方以外の男の子は男子寮に続くドアからそれぞれの部屋に入っていった。
「で、俺たちはなんで残されたんだ」
土方が眉を寄せてパーシーを見つめた。銀時は寮についたので神楽を背中から下ろそうとしている。
「それが、君達は作者事情により男女混合で同じ部屋になってるんだ」
パーシーの言葉に新八が目をまばたたかせた。銀時も土方も意外そうにパーシーを見つめる。
「キャッホーーイ、それ銀ちゃんと同じ部屋って意味あるか!!」
神楽は嬉しそうに言った。パーシーはコクンと頷くと、とりあえずとばかりに銀時たち4人を部屋へと案内した。
部屋に入るとまず、深紅のビロードのカーテンがかかった、四本柱の天蓋つきベッドが四つ置かれてあるのが見えた。
荷物は隅に置いてあった。
「私、銀ちゃんの隣が良いネ」
ハイハイと神楽が手を上げる。
そんな神楽に銀時は頭をガシガシと掻き好きにすればいいといった感じで神楽を下ろし、適当にベッドへと座った。
新八や土方もそれを見てベッドに座る。もちろん神楽は銀時の隣を取っていた。
「見て、見て」
「どこ?」
「ほら、あの赤毛ののっぽとメガネ掛け器の間」
「あー、あの地味なメガネ掛け器の隣のメガネかけてるやつ?」
「顔見た?」
「あの傷を見た?」
翌日ハリーたちが寮を出たとたん、ささやき声がつきまとってきた。教室が空くのを外で行列して待っている生徒たちが、つま先立ちでハリーを見ようとしたり、廊下ですれ違った後でわざわざ逆戻りしてきてジロジロ見たりした。
「オイオイ、何これ?まるで動物園のパンダ並みじゃねぇか」
「本当ヨ。あんなジロジロジロジロ見られたら食欲減るネ。銀ちゃん、あいつらちょっとしめてきてもいいアルか?」
「よし、行ってこい神楽」
銀時は周りの視線に眉を寄せ、神楽に向かってグッと親指を立てた。
「行ってこいじゃねェェエ!!確かに鬱陶しいのは分かりますけど、ダメですよ」
「「えぇぇ」」
新八の言葉に神楽と銀時は不服そうな声を上げる。そんな三人を見てハリーが申し訳なさそうな顔で言った。
「ごめんね。みんな、僕のせいでこんな注目されちゃって……」
ハリーはしょんぼりと顔を俯かせた。
そんなハリーに銀時はがしがしと頭を掻いた。
「あー、アレだわ。別にオメェのせいじゃねぇよ」
「そうアル!!ハリーは何にも悪くないネ」
「そうですよ。だから気にしないで下さい」
銀時、神楽、新八はハリーを元気づけるかのように口々に言った。
「そうだな、万事屋と同意見になるのはしゃくだが、お前は悪くねぇよ」
「うん。ハリー気にしないで」
三人に加勢するかのよう先ほどまで黙って様子を窺っていた、土方とロンも頷いた。
そんな5人をハリーは順番に見ると嬉しそうにコクンと頷いた。
「よし、じゃあ早く行きましょう。急がないと授業に遅刻しちゃいますよ」
新八が言うとハリーとロンと土方はハッとした顔になったのだが、銀時と神楽はふわぁっと能天気に欠伸をしていた。
5人は急いで授業のある教室に向かった。まぁ、銀時と神楽はマイペースだったが……。
教室に着くと、どうやらまだ先生は来てないようだった。ただ、何故か教卓の上に猫が一匹佇んでいた。
「セーフ」
ロンが安心したように言った。5人は席につこうと空いてる席を探そうとしたとき、突然猫が輝き始めた。そして、ゆっくりと人型をかたどっていく。
「全くセーフじゃありませんよ」
現れたのは、マクゴナガル先生だ。5人はポカーンと口をあける。
「変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの一つです。いいかげんな態度で私の授業を受ける生徒は出ていってもらいます!!そして、二度とクラスには入れません。初めから警告しておきます。私は遅刻は許しません。次はないように」
「は、はい」
マクゴナガル先生の淡々とした言葉に5人はコクリと頷いた。