ハリーと侍と賢者の石   作:近衛陸

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第14訓 教師苛めはほどほどに

 

 

さて、沖田と神楽が桂をボコ殴りしている頃。

ハリーに向かってフクロウが飛んできた。フクロウはヘドウィグだ。ヘドウィグはポトンとくわえていた紙をハリーの目の前に落とす。

どうやら、その紙は手紙のようだ。表にお世辞にも綺麗とは言えない字でハリーの名前が書かれていた。

 

「何?手紙?……ハグリッドからだ」

 

ハリーは裏返し差出人の名前を見て呟くといそいそと手紙を開き始めた。

 

―――――――――

 

親愛なるハリー

 

 

金曜日は午後しか授業がないはずだね。どうだろう、もしよかったら銀時たちを連れて三時頃にお茶に来ませんか?

 

君たちのこの一週間がどんなだったか聞きたいです。

 

返事はヘドウィグに持たせてください。

 

ハグリッド

 

―――――――――

 

ハリーは手紙の内容を読むとチラッと新八を見た。新八はハリーの視線にコクンと頷く。

 

ハリーはそれを見ると手紙の下に『はい、喜んで』と書いてヘドウィグに渡した。

すると、ヘドウィグは手紙をくわえ飛んでいった。

 

 

 

 

 

魔法薬学の授業は地下牢で行われた。地下のせいか、他の教室より寒く、壁にはずらりとガラス瓶に入ったアルコール漬けの動物がプカプカしていた。

 

「うわっ、趣味わりぃ」

 

その壁の動物たちを見て銀時がボソッと呟いたのはご愛嬌だ。

 

まず、スネイプは教室に入ると出席を取った。

 

そして、ハリーの名前まできてちょっと止まった。

 

「あぁ、さよう。ハリー・ポッター。われらが新しい――スターだね」

 

 

ドラコ・マルフォイとその仲間のブタ二匹はクスクスと冷やかし笑いをした。

 

それをチラッと銀時たちは見て眉を寄せる。

出席を取り終わると、スネイプは生徒たちを見渡した。

 

「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ」

 

スネイプが呟くように言った。銀魂メンバー以外の生徒たちはじっとスネイプを見つめる。

 

「このクラスでは瓶を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う生徒もいるかもしれんが……フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち登る湯気、人の血管の中をはいめぐる液体、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……まぁ、諸君がこの見事さを真に理解するとは期待してないがな」

 

 

スネイプの言葉に生徒たちはポカーンと口を開けた。銀時はふわぁっと欠伸をした。

 

スネイプは突然叫んだ。

 

「ポッター!!」

 

ハリーはビクッとしてスネイプを見上げる。

 

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

ハリーは目を真ん丸くして、ロンと新八を見た。しかし、二人は分からないと言った感じだ。

空気の読めないハーマイオニーが空中に高々と手を挙げた。

 

「わかりません」

 

ハリーは首を振って答える。

 

スネイプは口元をにやつかせた。

 

「チッ、チッ、チ――有名なだけではダメらしい」

 

当たり前かのように、ハーマイオニーの手は無視された。

 

「ポッター、もう一つ聞こう。ベゾアール石を見つけてこいと言われたらどこを探すかね」

 

やはり空気の読めないハーマイオニーが思い切り手を高くあげた。

マルフォイとブタ二匹は身をよじって笑っている。この3人もハリーと同様に質問の答えが分からないくせに良い度胸である。

 

「わかりません」

 

「クラスに来る前に教科書を開いて見ようとは思わなかったわけだな、ポッター、え?」

 

スネイプの言葉に限界が来たのだろう神楽がガタンと立ち上がった。

 

「先生!!酷いアル!!教科書開いた瞬間寝る体質だったらどうするアルか!!」

 

神楽の言葉にスネイプが眉を寄せた。

 

「君は、カグラだったな。今は我輩がしゃべっていいと言ったか?」

 

スネイプは腕を組むと神楽に向かってそれはもう偉そうに言った。

神楽の額に青筋が浮かぶ。神楽がスネイプにくってかかろうとした時、銀時がそれを止めた。

 

「神楽、止めとけ」

 

「銀ちゃん……分かったアル」

 

銀時が言うと神楽はしぶしぶといった感じに椅子についた。

 

「ふむ、グリフィンドールにも少しは身の程をわきまえる奴がいるようだな」

 

スネイプが言うと銀時は沖田と一瞬目を合わせてニタリと笑った。

 

「えぇ、分かってますよ。お宅がキャラ立ちに必死だってことに」

 

銀時の言葉にスネイプはピクッと眉を寄せる。

すると、沖田も銀時に合わせるように言った。

 

「あっ、やっぱそうだったんですねィ。おかしいと思いやした。教科書を読めば分かるなんて……教科書さえあれば自分がいらないって言ってるようなもんですし」

 

沖田はニタニタと笑って言った。スネイプの眉間にシワが刻まれた。

 

「な!?お前たち二人はサカタとオキタだったな、グリフィンドールにスリザリン減て」

 

スネイプが怒ったように言うが、その台詞を銀時が遮った。

 

「オイオイ、スネイプ先生がなんか言ったよ、げんて……続きなんだろうね?総一郎くん」

 

「旦那、総悟でさァ。さぁ、なんですかねィ。げんて……まぁ、一番有り得ないのは減点ですね」

 

「そうだよな、ここで減点なんてしたら自分が必要ないって認めたも同意語だしよォ。まさかスネイプ先生が減点なんて……しませんよね?」

 

「旦那ァ、失礼なこと言っちゃあダメですぜィ。そんなことするわけないじゃねぇですか」

 

銀時と沖田はスネイプをじっと見つめた、そしてニヤリと笑う。スネイプは口の端をひくつかせる。

周りの生徒も二人のその笑いを見て少し顔を青ざめた。

 

見えたのだ。銀時と沖田に悪魔の羽と尻尾がついてるのを……

 

スネイプは悔しそうにそのまま口を閉じた。

授業中に私語をしたからと言って減点にしても良かったのだが……分かったのだ。そんなことをしてもあの悪魔二匹にはかないそうにないことを……

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法薬学の授業が終わるとグリフィンドール生から歓声が沸き起こった。

あのあともスネイプはハリーに対して嫌がらせをしようとするも、銀時と沖田のドSコンビにズタボロにされて出来なかったのだ。

 

ちなみに授業が終わるとスネイプは素早く教室から出ていった。

 

 

「あの、ギントキ、オキタありがとう」

 

ハリーは立ち上がると二人に礼を言った。

しかし、二人は別に何もやってないといった感じで礼を受け取らなかった。

 

 

 

 

 

さて、授業が終わると銀時たちは城を出て校庭を横切って歩いていた。

禁じられた森の端にある小屋、ハグリッドの住処に向かっているのだ。

小屋に着くとハリーがドアをノックした。

 

ノックをすると、中から戸をガリガリと引っ掻く音と、唸るようなほえ声が何回か聞こえた。

 

「退がれ。ファング、退がれ」

 

ハグリッドの声が聞こえる。どうやら戸の近くにいる何かを退がらせているようだ。

しばらくすると戸が少し開いて、隙間からハグリッドの顔が現れた。

 

「待て、待て、退がれ。ファング」

 

ハグリッドは巨大な黒い犬の首輪を押さえて、銀時たちを招き入れた。

ちなみに動物好きな神楽と桂は犬を見るとキラキラと瞳を輝かせた。

 

中に入るとハグリッドはファングを離し椅子に座るように促す。

ファングはハグリッドから離されるとロンへと飛びついて顔をなめ始めた。どうやらめちゃくちゃ懐いてるようだ。

 

神楽と桂はその様子を見て羨ましそうにしている。

 

「えっと、ハグリッド紹介するよ。ロンだよ」

 

この中で唯一ハグリッドと初対面なロンをハリーは紹介した。

ハグリッドはロックケーキを人数分切って皿に乗せる。新八は雑用根性が身についているのか、ティーポットに熱いお湯を注いでお茶の準備をしている。

 

「ウィーズリー家の子かい?」

 

ロンのそばかすと赤髪を見ながらハグリッドは言った。

 

「いやはや、お前さんの双子の兄貴たちを森から追っ払うのに、俺の人生の半分を費やしてるようなもんだ」

 

ハグリッドがため息をつくとロンは苦笑いを浮かべる。

すると、銀時が歯が折れる並みに固いロックケーキと格闘しているのを見ていた沖田が口を開いた。

 

「人生の半分……ってことはそんなにその森は楽しいんですかィ?」

 

「楽しい?馬鹿を言ったら駄目だ。あの森はとても危険なんだ」

 

ハグリッドの言葉に沖田は面白そうにニンマリと笑った。

この時、ハグリッドの残り半分の人生は沖田を森から追っ払うことに費やされることが決定した。

 

そこからハリーたちは色々と話した。ロックケーキとの格闘を終えた銀時はその話を聞きながらふと、ティーポットの下に紙切れが挟まってるのを見つけた。

 

(なんだ?)

 

銀時は手を伸ばして紙切れを取った。その紙切れはどうやら新聞の切り抜きのようだった。

 

(ふぅーん、グリンゴッツって所で泥棒ねぇ)

 

銀時が切り抜きを読んでいると、土方が懐からマヨネーズを出してロックケーキにかけながら聞いてきた。

 

「万事屋、さっきから何見てんだ?」

 

「あ?なんかグリンゴッツって所に泥棒が入ったって記事」

 

銀時が言うとハリーがピクッと反応をした。そして、銀時の横からその記事を読んでハグリッドをじっと見つめた。

 

「ハグリッド!!グリンゴッツに侵入があったのは僕の誕生日だ!!僕たちがあそこにいる間に起きたのかもしれないよ!!」

 

ハリーが言うとハグリッドは目をそらした。そんなハグリッドの様子に怪しいなと思い、銀時たちはじっとハグリッドを見つめる。

ハグリッドはその視線に耐えきれないのか慌てながら銀時たちにロックケーキをすすめた。

 

(怪しい、絶対に怪しい)

 

ハグリッドを見ていた銀時たちは心の中でそう思っていた。

 

 

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