一方その頃……銀時はと言うと怪しい書庫のような場所へと着いていた。
「いててっ……ここどこだ?」
煤だらけで立ち上がった銀時は周りを見渡す。辺りは薄暗く周りには沢山の本棚がある。どうやらここには銀時以外誰も居ないようだ。銀時はチラッと自分の出てきた暖炉に目を向けるもすでに道は閉ざされていた。軽く舌打ちすると神楽を探そうと歩きだそうとした。
しかし、その時ちょうど上でガタンと物音が聞こえた。
「……神楽か?」
銀時は眉を寄せると音を立てないよう気を付けて上の階へと向かった。
こちらは少しさかのぼって先にノクターン横丁に着いていた神楽である。
「うぅ……鼻がムズムズするネ……ここが、ダイアゴン横丁アルか?」
神楽はキョロキョロと辺りを見渡した。明かりはロウソクのせいか薄暗くちょっと不気味な部屋だった。
「おやおや、可愛いお嬢ちゃん……迷子かい?ヒヒヒッ」
神楽がキョロキョロと辺りを見渡しているとこの部屋の主だろうか、杖を付いたお婆さんが怪しい笑い方をしながら話しかけてきた。
神楽は目をパチクリさせてブンブンと首を振った。
「ち、違うヨ。この私が迷子なんてないアル!!すぐに銀ちゃん来るネ」
「ほぉ、じゃあ……その銀ちゃんとやらが来るまでワタシとお話ししてようじゃないか」
お婆さんは神楽に向かってニヤリと笑った。神楽は暫く自分の出てきた暖炉とお婆さんを交互に見つめるとコクンッと頷きお婆さんに近付いた。
銀時はゆっくりと階段を上がって行った。階段を半分上がったくらいだろうか?なにやら話し声が聞こえることに気づいた。銀時は一旦足を止めて聞き耳を立てる。
「……かい?……そ……い」
「そ……ア……銀ちゃん……助け……ネ」
銀時はある単語が聞こえて来た途端階段を駆け上がった。そして階段の上にあるドアをバタンと勢いよく開けた。
「神楽ァァア!!」
「あっ、銀ちゃん!!遅いヨ」
銀時の登場に神楽は頬を膨らまして怒ったように言った。
銀時は神楽の様子にキョトンとしじっと見つめた。
確かに先ほど助け……という単語が聞こえたはずなのに、いざ入って見ると危険な状態所か和気あいあいとお婆さんと話している神楽が居たのだ。
「あ~……神楽……お前何して……いや、何話してたんだ?」
銀時は微かに眉を寄せて神楽に聞いた。すると神楽は不思議そうにしながら口を開いた。
「何って……お婆ちゃんに万事屋の説明ネ。銀ちゃんやメガネと一緒に人助けしてるネって話してたヨ」
神楽がきっぱり言うと銀時は冷や汗をダラダラと流し出した。
(やべぇ、やべぇよ。銀さんめちゃくちゃ勘違いしちまったァァア!!笑ってない?誰も笑ってないよな……)
銀時は目を泳がせ神楽を確認した。
神楽は気付いてないらしく不思議そうにしている。次にお婆さんを見た、お婆さんはニヤニヤと笑っている。
(……オイオイオイ、あのババア気付いてる?気付いてるんじゃねぇ?……いやいやいや、気付いてるよォォォオ!!)
お婆さんに気付かれていると気付いた銀時はだんだんと顔を赤くしていった。身体が小さくなったせいかいつものポーカーフェイスが崩れたようだ。
「あれ?銀ちゃん……どうしたアルか?顔赤いネ」
「は?ちょ……何言ってんの?え?赤いって何言ってんの?」
神楽の言葉に銀時は誤魔化そうと早口で言う。するとお婆さんがニヤニヤ笑いながら口を開いた。
「ヒヒヒッ……お嬢ちゃん、ほっといてあげなよ。勘違い坊ちゃんのことは」
「ちょ……笑ってんじゃねぇ!!クソババ……ッ」
お婆さんの笑いに銀時は眉を寄せ文句を言おうとするも途中で黙った。何故なら婆さんが杖を振った瞬間銀時にギリギリ当たらないよう部屋の物が飛んできたからだ。
「坊や?口には気をつけなきゃいけないよ」
銀時は顔を青ざめ、神楽は凄いっとキラキラと瞳を輝かせた。
銀時は落ち着くと婆さんをチラチラと見ては神楽を呼んだ。
「か、神楽!!帰るぞ。とりあえず、婆さん世話になったな」
銀時はそう言うと神楽を連れて外に出ようとした。
「ちょいと、待ちな!!」
銀時がドアに手をかけると婆さんから声をかけられる。銀時と神楽は不思議に思い婆さんの方を向いた。
「坊や……あんたこれから大変なことが起こるって出てるよ」
「あ?いきなりなんだよ」
銀時が眉を寄せると神楽が自分のことのように胸を張って自信満々に言った。
「銀ちゃん!!婆ちゃんは凄腕の占い師ネ」
「は?占い師だァ?」
神楽の言葉に銀時は目をパチクリして婆さんをじっと見つめた。
「坊や……これから起こることは本当に大変だ。一つでも選択を間違えたら……坊やや他の子が死ぬかもしれない。それでもこのまま進むのかい?」
婆さんは真剣な表情で銀時を見つめた。しかし、銀時は二ヤッと笑みを浮かべる。
「俺は死なねぇよ、婆さん。それに誰も死なせねぇ!!例え間違いを選択しようとねじ曲げて正解にするからな」
「もちろん私だってねじ曲げ手伝うネ」
婆さんは銀時と神楽の言葉に目を見開いた。そして肩をプルプル震わす。
「ヒッヒヒヒッ、面白い坊やに嬢ちゃんじゃないかい。気に入ったよ」
婆さんは笑いながら杖を振った。すると銀時と神楽の目を前に2つの箱が浮かんできた。
「何アルか、これ?」
銀時は眉を寄せた。そして神楽が聞いた。
すると婆さんはにっこりと笑う。
「持って行きな。きっと何かの役に立つよ」
「婆ちゃん、ありがとうアル」
「ありがたくもらっていくわ」
神楽と銀時は婆さんから箱を受け取ると礼を言いドアを開けた。
「ダイアゴン横丁へはこの道を出て最初の角を右に回ってまっすぐだよ」
婆さんが言うと銀時は軽く手をあげて、神楽はブンブンと手を振った。
婆さんは二人が出て行ったのを見届けるとふぅっと息をつく。
「坊や……それに嬢ちゃん……死ぬんじゃないよ」
婆さんはボソッと二人の出て行ったドアに向かって呟いた。