得物:木刀……木刀!? 作:ぼっくとん
国の滅びは、呆気ないものだった。
涼州、益州、荊州、豫州、兗州、冀州。この六州からの司隷同時進行。
予め、幽州の公孫瓚とは不戦の契りを交わしており、横槍は無い。
官軍は、脆かった。そもそも、数が殆ど居なかった。
結局、瞬く間に洛陽にまで攻め寄せられ、逃げる間もなく宮殿の門は破られ、この日をもって漢という国は物理的な消滅と相成った。
その日の夜。洛陽の街全てを巻き込んだ、大宴会が催される事になる。
「派手だな」
城壁の上に腰掛けて、智也は眼下の街を見下ろした。
最初こそ、戸惑った雰囲気のあった街の人々であったが、酒が出回り料理の香りが街を包めば後はなし崩しの体で事は進んでいく。
その喧騒が、智也にとっては全てが終わった事を告げるブザーに思えた。
「居た」
「ん?」
不意に、顔を上げれば
「隣、良いか?」
「好きに座れよ」
その言葉に従い、北郷一刀は智也の隣に腰を下ろした。
「なあ、塚原」
「ん?」
「お前って……やっぱり、日本の出身だよな?学ランだし」
「おう」
「…………三国志って、知ってるか?」
「名前だけな。生憎と、本を読むのは好きじゃないんだ」
「そっか……」
「俺はよ、北郷。自分のやった事に後悔はねぇぞ」
「…………」
答えない北郷を無視して、智也は空を見上げる。
「何でここに居るのか、どうやってここに来たのか。サッパリ分からねぇ。だから、やりたい事をやれる範囲でやるだけやった。結果が今、ここにある」
「やりたい事、か……でも、塚原。お前も気付いてるだろ?このまま、この国が進んだらどうなるか」
「十中八九、滅ぶだろうな。
これまたアッサリと、彼は言い切る。
塚原智也は、この世界にやって来て一度として性行為に及んでいない。
潔癖であったから?否、彼はこの世界に
塚原一党は、彼の世代で終わる。名を借りて、後継者を名乗る者も現れるかもしれないが智也の様な武力も、カリスマも、運の良さも、容姿であろうとも何一つ受け継がれる事は無いのだ。
これは、彼が賊となり本格的に規模が大きくなり始めた辺りに決めた事だった。
そして彼なりのケジメでもある。
その他にも、彼は彼に関する記録の一切を取っていない。それこそ、後世に残せばそれだけで多くの研究が出来るであろう記録も。
「それで、良いのか?」
「勿論」
「何一つ、塚原の軌跡は消えたとしても?」
「寧ろ、消えるべきだろ。一つの歴史を潰したデッカイ台風みたいなもんだからよ」
あまりにも無責任。あまりにも身勝手。しかしその一方で、彼を糾弾できる者は居ない。
何故なら、彼は責任のある王でも、軍権を握る将軍でも、政を操る官吏でもない。
ただの、賊なのだから。
これは、数ある外史の
それは、