「都市伝説解体センター」解体小説 作:一般通過怪異
相変わらずご都合主義とネタバレだらけの妄想につき、閲覧注意。
高校に入学して初めての夏休み。大量の宿題をぼちぼちと進めながら、漫画にゲーム、時々友達と待ち合わせし、個人的には充実した日々を過ごしていた中。
母さんが手を滑らせて、中身が入ったままのコップを落とし割ってしまった。慌てて駆け寄れば溢した
まるで宇宙空間のような、薄暗いのに
その瞬間に流れ込んだ大量の
ちょうど見舞いに来ていた母さんが大慌てでナースコールをして、あれよあれよと担当医やら看護師たちに囲まれ検査され、現状の説明をされるまで流されるままだったが。
曰く。頭を打った俺は血を流し、救急車で運ばれそのまま緊急手術。幸い頭蓋骨骨折なんかはなかったけど五針も縫って、そのまま入院。
目覚めたのは丸一日過ぎてからということらしい。ただ
それから意識がしっかりしているかなどの確認か。いくつか質問がされた際――主に今が何年何月かや覚えている最近のニュースなどに対し、「この世界」の事実とズレた答えを返してしまい、更なる精密検査が加わった結果、計一週間も入院することになる。
母さんはもちろん、連絡を聞いて飛んできた父さんにも余計に心配をかけて申し訳ないとも思ったけど、“この記憶”について考える時間が得られたので、正直渡りに船だった。
とはいえ母さんの、目覚めたことに心底安心した後、泣きながら何度も「ごめんね、ごめんね」と謝ってくる姿に、あぁ俺が目覚めるまで本当に色々あったんだなと納得したし、同時に「恐らく最悪の事態が発生したであろう向こうの世界の母」を思うと、強い罪悪感が襲ってくる。
ひとまず傷の経過が良好で
まあ抜糸もあるし、頭を打って一時“記憶の混乱”も見られたってことでしばらくは通院することにはなるけど、それでも退院できた祝いだと豪勢な出前を呼んで、久しぶりに和気あいあいとした夕食を過ごすことができた。
食後部屋に戻ろうとするとまだ少し母さんが心配するそぶりを見せたけど、何とかなだめて七日ぶりの自室に。
入院途中で大部屋のほうへ移ったのもあって、ようやく人目を気にせずに済むと解放された気持ちで慣れ親しんだ自分のベッドに倒れ込んだ。もちろん頭の傷に響かないように気を付けながら。
そうして一息ついた後。この数日調べようと思いながら「もしそうだったら」と考えると、中々決断出来ずにいた“確認”をするために、こちらも七日ぶりにタブレットPCの電源を入れる。
――最初は普通に、頭を打ったせいで記憶が混乱してるんだと自分でも思った。だけど
「向こう」の世界では数年前に猛威を振るって日常生活すら変えてしまったパンデミックが、「こちら」ではまだ起きていない。それ以外にも某国の侵略や、国内で起きた大地震など、今より子供だった自分ですら
最初は未来予知もしくは過去への逆行なんじゃないかと疑ったけれど、それでいて自分の年はもちろん、家族や周囲、学校の人間関係などはそのままなのだ。本当に頭を打っておかしくなったのでなければ、この「違う時代を生きた二つの自分の記憶」に辻褄が合わないのだ。
――七年後の世界を生きていた自分は
入院している間何度も思い返し、
「どこのネット小説の主人公だよ……厨二病そのまんまじゃねえか……」
自分で考えついて多大な羞恥心を催す結論だけど、それと同時に思いついてしまった「ある可能性」に
「……たのむぞぉ」
それは
――鈴〇財閥――七〇財閥――〇剣財閥――覇〇財閥――――
――呪〇高専――麻〇良学園――穂〇原学園――総〇高校――
――〇PW財団――S〇P財団――黒〇グループ――都市伝説解体センター――
――空〇町――並〇町――駒〇町――〇崎市――
とりあえず「世界観」から違うわけではないのは確認している。なので覚えている、思い出せる限りの
――――五分後
「ぅわ……………………はっず」
見事に全部空振りである。「転生したここはひょっとしたら
いや、いくつかは検索結果に出なくてヒヤッとはした。ただ調べてみると“元ネタ”になるものが「まだ
――いやいやでも、頭打って
つらつら、と。ベッドに突っ伏して悶えながら、心の中で誰に向けたのか自分でもわからない言い訳を続けるうちに眠ってしまったようで、気付けば翌日の昼近く。
心配で様子を見に来た母さんの呼び声に生返事をしつつ、ある程度冷静さを取り戻した(どちらかと言えば燃え尽き症候群的な)俺の頭に浮かんだのはたった一言。
――もうなるようになれ。
とりあえず命の危機があるような世界じゃなかったんだ。それでいいだろ、うん。
そうして遅くなった朝食ないし早めの昼食を食べに向かう足取りは、気のせいかもしれないけれど少しだけ軽く感じた。
『次のニュースです――先月
頭の傷もきれいに治り、夏休みも明けて迎えた新学期。どこから聞きつけたのか、俺が頭を怪我して救急車で病院にまで運ばれたことが知られていて、友人やクラスメイトに色々と声をかけられた以外に特に変わったことはなく、当然見知らぬ生徒が紛れていたり転入生が現れるなんてイベントの発生もなし。
本当に当たり前の
家族三人で囲む朝食の場に流れてきたそのテレビニュースに、思わず箸を止めてしまう。
『捜査関係者によりますと、如月努さんは被害者である野村健吾さんと面識があり、また事件現場周辺でもたびたび目撃証言があったということで――』
そこに映し出された
『――現在のところ如月努さんは事件への関与を否定しており、警察は引き続き慎重に捜査を進めていくということです』
「あら、この事件の犯人がようやく見つかったの?」
「ん? ああ、これか。確か被害者の背中に“天誅”って書かれた紙が貼り付けられてた事件だったかな」
「そうそう。「上野天誅事件」なんて呼ばれて、全く犯人の手がかりも見つからないって近所のお母さんたちとも「怖いわね」って話してたんだけど、犯人が捕まってよかったわ」
「うーん、まだ事情聴取で逮捕されたわけじゃないけど、まあできるだけ早く解決してくれるとありがたいな」
「ほんとね」
母さんと父さんが何か話しているが、全く耳に入ってこない。それどころか俺の体は、まるで石像になったように身動き一つ出来なくなっていた。
「ちょっと、どうしたの? 顔真っ青じゃない!」
そんな俺に気付いた母さんに声をかけられるけど、それに応える余裕もない。ただよっぽど酷い顔色だったらしく「今日の学校は休みなさい」と言われ、付き添われながら何とか二階の自室まで戻る。
何かあればすぐに呼ぶようにと心配しながら退室する母さんの背中を見送った後、すぐさま机のPCを起動して、いつかのようにひたすらに検索をかけていく。なんならスマホのSNS関連アプリも開き、他の人間の投稿や反応なども同時平行で確認していく。
「上野天誅事件」
「野村健吾」
「如月努」
「如月歩」
そうすれば――出るわ出るわ見覚えのある単語や名前に事件の概要。如月歩に関してはヒットしなかったけど、そういえば俺の知っている通りの
いや、そんなことより!
「ここ「トシカイ」の世界じゃねえか!!」
「都市伝説解体センター」略してトシカイ。
その名の通りオカルトチックないくつもの事件を
独特なビジュアルと
「オカルト事件を解き明かす現代ミステリー」であるため、人知れず社会の裏で蠢く
このままだと
まさかまだ「
「い、いや、まだ
如月歩が起こした復讐劇。兄に冤罪を吹っ掛けた真犯人たちの
原作では描かれてないけど、“あんなこと”があった以上日本の国際的信用とか経済とかに大ダメージがあったはず。そもそも俺や家族のアカウントが
いや、無理じゃね? 如月歩って知識通りなら本物の
その上
「東京から遠くに引っ越す……いやGRの対象がどこまでか分からない。これもう国外
そのあとも
もし記憶を取り戻すのがもっとずっと前で、テンプレよろしく如月兄妹と幼馴染とかだったなら、って今更そんなこと考えてもしかないだろ。
けど
「自殺……してないよな? まだ」
そうだ。今日見たニュースは、“如月努が警察に事情聴取された”ってニュースであって、彼が自殺したっていう報道じゃない。つまりまだ、如月歩の復讐計画は始まっていない!
「如月努の自殺を阻止すれば、
――そこからはもう我武者羅に頑張った。
さすがに学校を休んだのはニュースを見た初日だけだが、授業の内容は頭に入らないし、友達から最近流行りのゲームや雑誌の話題を振られても上の空で、遊びに誘われても全て断った。全ての時間を「上野天誅事件」と「如月努」の情報収集、そして炎上阻止に費やした。
当然家族や周りの人間から心配されていたけど、素直に受け取る余裕はなかった。なにしろこのままではどんな難関大学に進み、一流大企業に就職したとしても、何もかもが水泡に帰すかもしれない以上、
「だめだ……俺一人のコメントやリプじゃ、完全に飲み込まれて誰も聞いちゃくれない……!」
何とか
努力虚しく、ネット上では「上野天誅事件の犯人は如月努だ」という認識が蔓延り、如月努を犯人へと導こうとするかのような偏った情報が逐次投下され、炎上騒ぎは全く収まる気配がない。
あくまで事情聴取されただけでその上証拠不十分で解放もされたのに、「犯罪者はおとなしく捕まっておけ」と非難轟々。
くわえて大学の助教授っていう立場よりもオカルト研究家って肩書だけが独り歩きして、さすがにテレビニュースに出ることはなくなったけど、新聞や週刊誌には大なり小なり記事が乗ってしまうような状態。
甘かった。ほぼ初期に気付けたから、あとはアリバイがあるとか「頭のおかしいオカルト信者」ではなく「
始めは何か所かで投下した、「事件の日に別の場所で目撃されてた」「アリバイがあったらしい」ていう投稿も、「警察がやらかしたのか」「冤罪なのか」って受け入れらていたのに、いつの間にかその辺りの認識が「如月努信者が流したデマ」みたいな扱いでなかったことにされてしまい、今となっては彼を擁護しようとする
それなのにニュース番組などで上野天誅事件の進展情報はまるで報道されなくなり、結果この事件に関する話題はほぼネット上だけで、ひいては如月努とイコールで結ばれた状態で考察という名の無責任な
悪人には何をしてもいいと言わんばかりに如月努を叩き、さらには本人のみならず
部外者である俺ですらこんなに気分が悪くなるのに、如月努は、そして如月歩は直接
そう考えると
だけどそんな思いとは裏腹に、打開策が思いつかない。
この状況が解消されるとすれば、それこそ真犯人たちが捕まったというニュースが流れた時ぐらいなんじゃないか? 何とかしなければいけない。けどその“何とか”の方法が分からない。
最近はただコメントであることないこと投稿するだけでなく、同じように好き勝手なことを言っている動画なんかも複数
「動画……?」
そうだ…………動画なら
元々フォロワーの多い人間か、もしくはよほどインパクトのある画像でも添付しない限り、炎上以外でコメント投稿をバズらせるのはかなり難しい。
ほんの数行、下手をしたら数文字で複数の人間の興味を引き込まなければならず、けどそれでは俺の伝えたい
だけど動画なら、文字だけでなく視覚・聴覚と併せて訴えることでより関心を引くことができるし、現状如月努関連の動画っていうだけである程度の視聴数が稼げている、いい意味でも悪い意味でもブーム状態。
なら完全無名の俺が出したものでも、視聴数は数百、上手くいけば1,000は行けるか? そこから動画そのものじゃなく、
正直この大炎上状態を考えれば、かなり無茶で楽観的な考えなのは分かってる。けど何もしなかったら、何も変えられなかったら、この騒動は如月努の死に、そしてGRに辿り着いてしまう。ならもう、無理でも無茶でもやるしかない!
でもどんな内容なら視聴者の関心を引けるんだ? 最初の頃と同じようにただ「アリバイがあるから無実」って言っても「ソース出せ」って返されて相手にされないだろうし、そもそも今の“こいつら”に聞く耳なんかない。
けど
『あいつらは正しい情報なんか求めてない』
『欲してる情報を流してやれば考え無しに飛びつくんだ!』
そうだ、「正確な情報」なんて
情報源は嘘八百で構わない。重要なのは本当かどうかじゃなく、
ならそう――「如月努が勤める大学の学生から聞いた」。
如月努は親交のあった教授たちが遺された資料を警察から守ろうとするくらいには慕われていた。なら学生からだって好かれていたっておかしくはない。
いっそのことその学生は俺の姉で、好意を寄せているってことにして、だから愚痴とか惚気とかで色々聞かされていた。
アリバイを知ってるのも好きな相手のことだから。その相手が他の女性と食事するってなれば当然気になるだろうし、現状の不当な扱いには激怒するはず。そしてその捌け口に使われて我慢の限界が来た
これなら情報の信憑性と、行動への理解・納得も得られるんじゃないか?
もちろんこれだけじゃ足りない。ここからさらにもう一歩、
『如月努が無実なら事件の真犯人もいるはずで、そいつらが捕まらず捜査の進展状況すら知らされないのは
――みんな「陰謀論」は大好きだろう?
「――って、一週間かけて作ったはいいけど、ほんとにコレで行けるのか……? やばい、直前で不安になってきた……」
あれからとりあえず手持ちのスマホで動画を撮ってみたけど「これじゃあダメだ」と自分でも分かる出来のものだったので、まずは台本やらアングルやらを考えるべきと、ネットや電子書籍で「初心者動画講座」的なものから情報を詰め込み。
さすがに顔出しするのはマズいと気付いて
結局もうこれ以上は無理というか時間を掛けられないという段階で、初心者ならこの程度だろっていうギリギリ妥協レベルの動画を一本撮ったはいいものの、あとはそれをアップロードするだけっていうところで指が止まってしまっていた。
正直怖い。相変わらず如月努への誹謗中傷は止まらず、最近では彼の自宅に直接出向いたなんて投稿もあるくらいで、いつ自殺してしまうか気が気じゃない。
ソレを自分の稚拙な動画で止められるのかっていう疑問と、かと言ってダメだった結果訪れる
加えて首尾よく現状の流れを変えて如月努を救うことができたとしても、その場合自分は警察へのヘイトを差し向けた第一人者ってことになり、隠ぺいを謀った自業自得とは言えメンツを潰された警察に逆恨みされるかもしれない。
なによりこの一連の大炎上に飛び込み、もしかすれば俺がその
――怖い――怖い――ああ嫌になる、なんで俺がこんなに悩まないと――胃がムカムカする――でも何もしなれけば原作に、GRに――そうだ、GRを止めるためにやってきたんだろ――今日までずっと見てきた、“あの二人”がどれだけ苦しめられてきたか――ソレは、コレは――
「えぇい、ままよ……!!」
あぁ、
なんてグルグルと思考が
思わずモニターに顔を寄せてしまったけど、その視聴者はコメントも評価も何もつけずに去っていたらしい。知らず握りしめていた拳を緩める。
けれどそれからぽつ、ぽつと視聴回数が増えていき、始めて高評価がつけられた瞬間には思わずガッツポーズをしてしまった。
もちろんこんなに早く視聴数が伸びたり評価が入れられたのは、俺の動画の出来ではなく今トレンドの「上野天誅事件」と「如月努」に関する動画だからっていうのは分かってる。
だけど、さっきまでの不安は消えないけれど、同時に今は期待も感じられた――本当に
…………っ、やべ、寝てた……
完全に寝落ちしてた。気付けばとっくに朝で、突っ伏した体勢で長時間いたから、体中がバキバキしてる……いや、それより動画はどうなってる!?
「――――は」
たった一晩の間に、軽く数百を超えていた。
高評価やコメントも合わせれば百近い。そのコメント内容もかなり好意的というか、期待通りの如月努に同情的で、常識外れの炎上具合には何か裏があるんじゃないかっていうのをかなり本気に受け入れてくれているものが多かった。
投稿して半日も経たず。それでこの数はかなり幸先がいいんじゃないか? もちろん低評価や否定的・懐疑的コメントもあるけど、逆に言えばそうやって反応を返してくれる程度には関心を持たれているということ。
このままのペースなら、本当にバズり動画いけるんじゃないか? ただ問題なのは、そうして
つまりその警察に
そもそも彼女が本格的にハッキングで暴れまわるのは
そんな一抹の不安と、確かな手応えを感じながら、投稿した動画が少しでも多くの人に視てもらえることを祈りながら過ごし数日――いっそ逆に恐怖を覚えるくらいにとんでもないバズリ具合で、ネット上は大盛り上がりだった。
厳密にいえば、動画自体がバズったわけじゃない。完全無名の初心者の動画にしては
そこからどう情報を拡散するか考えていた矢先の“恐れていた事態”、恐らくは警察による
消された直後に、時事ニュースなんかを投稿してる人たちが俺の動画の切り抜きやそれを使ったまとめ動画なんかを作ってくれたり、結構なフォロワー数を抱えるインフルエンサーが「如月努の無罪を訴える動画が削除されたこと」に言及してくれたりしたのも追い風になった。
あれだけ「頭のおかしいオカルト人間」として如月努について騒いでいた
何はともあれ、そうなって欲しいと願いつつも内心無理なんじゃないかと思っていた世論の逆転が達成され。
警察は本当に隠ぺいを働こうとしていたのか、上野天誅事件の真犯人は誰なのか。
警察のみならず事件の続報を一切発しないメディア、警察庁ひいては時の内閣にも、真実と責任を問う声が日ごとに増していき、沈黙を保ち続けた行政もついに重い腰を上げることになる。
原作知識だと副総監という高い地位にいる人間の指示で事件の捜査は中断・打ち切りになっていたけど、多分この「逆転炎上」によって突き上げられた“より立場が上の人間”から調査の再開を命じられたんだと思う。
結果的に上野天誅事件、野村健吾を殺害した真犯人である
それを見た母さんと父さんは「息子を守るためとはいえ、警察の重役が殺人の隠ぺいをしてその責任を他の人間に擦り付けようとするなんてとんでもない」と憤慨していたし、ネットやSNS上ではある意味これまで以上の大
内閣支持率の低下、警察へのデモ行為。その他経済的にも影響のある活動やトラブルが複数発生。ここ数年では間違いなく最悪の汚職事件として、連日連夜の大騒動。
きっと多くの人がこれからの日本の未来に不安を抱いただろうけど、あの二人……
年も変わり、なおも警察や行政への糾弾が続いているというニュースをスマホで流し読みしつつ、如月努の現在を調べてみるが、そこに「自殺」の二文字はどこにも見当たらない。
というか、彼に関するニュースや書き込みなどはもうほとんど過去のものだけで、少なくとも都合のいい悪役として扱っていたネット上では関心が薄れているのが明白だった。
「確か如月努が自殺したのは「三か月後」だったよな? ……事件後か容疑者に上げられてかは忘れたけど、どっちみちもう過ぎてるよな……? これは、もう確定でいいのか? いいんじゃないのか!?」
どれだけ探しても、如月努やその家族への誹謗中傷は影も形もない。
むしろ悪辣な
これならもう、如月努が自殺する可能性は0と考えていいはず。つまり原作も、如月歩の復讐計画も始まらない――――よしっ!
「GR回避! 都市伝説解体センター完! もとい解・体!」
解放感と達成感に思わず声を上げながら拳も突き上げる。当然母さんに何事かと怒られたけど、そんなこと気にならないくらいにここ数か月で最高の気分だった。
ピ――ン ポ――ン
ある休日の昼下がり。我が家のインターホンが鳴った。
いつもなら母さんが応対するけど、
「宅配か? でも何も頼んでないし……めんど。母さんか父さんか知らないけど、なんか注文してたんなら置き配でいいじゃん」
まあ通販とかではなく普通に誰か尋ねてきたのかもしれないし、面倒だけど出ないわけにもいかないか。
愚痴りつつ自室から出て、階段を下り、玄関の鍵を開け、扉を開く――――そこにいたのは一人の少女だった。
ボブカットで、女子にしては高めの身長。顔立ちは一瞬見惚れるほど可愛い。
ただその顔に見覚えはないはずなのに、同時にどこかで
「……………………え?」
思わず、声が漏れた。身体が、まるで金縛りにあったように動かない。
そんな俺を見て、「ふっ」と少女が微笑み、そして――
「こんにちは。
あくまで主人公くんの認識が「自分は転生者である」というだけで、きちんと
またこの世界だとY〇u T〇beではなくBoo Tubeなので、一発で気付けそうなのに気付かなかったのは「前世」でもBoo Tubeだったからで、それだけ“近い世界”だから交信したとか多分そんな理由(そこまで整合性考えるのめんど…ゲフンゲフン)。
この後少なくとも敵意はないということで、なんだかんだ家に上げて、なんだかんだお茶を出して、なんだかんだ
「あれ? 俺完全に囲われてる?」
「いやでも彼女が興味を持つような
「家族を救ってくれた恩人」として好感度は元々高く、