四冠(半端者)魔導師   作:息抜き

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魔導師ゼノスの到達点

 多くの魔導師は階位、つまりは頂点を目指す

 それは努力の結果であり、誉れである

 

 わしが万雷の喝采の元歩いているこの道は

 その【階位】を修めるに至る

 努力の賜物、付与される最後の段階を意味する

 

 道を進んだ先で膝をつき首を垂れるのは

 立っていても見上げる程大きく

 壁と見紛う高さの演説台の上に鎮座している

 

『魔導協会』魔導師が所属する機関

 そのお偉い様方への敬意である

 

 

 

「魔導師ゼノスよ、汝の緋系統魔導に対する

 素晴らしき研鑽に敬意と称賛を評し

 ここに【ブレイズ】の称号を授ける」

 

「はっ、謹んでお受け致します」

 

「この名に恥じぬよう精進せよ」

 

 

 

 頂点、とは言ってもこれもまた

『通過点』に過ぎず

 ここから更に上を目指すことは当たり前である

 

 が、今は浮かれても罰は当たらないだろう

 何せ【ブレイズ】

 魔導のひとつ、その頂きに到達したのだから

 

 

 

「あれがブレイズ」

 

「やっぱオーラが違うな」

 

「あの人の魔導は丁寧なんだよな」

 

 

 

【称号】を授かり、跪いていた姿勢を崩し

 マントを翻すー道行く人々は

 わしに対して奇異な目を向けてくる

 それもそうだろう

 

 若き頃から緋の魔導の修練に励み

 老年になった今

 漸くこの称号に至ったのだ

 

 これは自分で言うのもなんだが偉大なことだ

 それと言うのも先代のブレイズが没してから

 長らくその席は空席であった

 

 数多の魔導師がその席を目指して尚

 精進を続け、残ったのはわし1人

 目指して到達できるものはそう多くないのだ

 

 しかし、その道のりは削りに削った難路だった

 酒、女、金ーありとあらゆる誘惑を捨て

 人生の大半、寝る間も惜しんで捧げに捧げた

 

 それは、まさに感無量

 

 未だ鳴り止まぬ拍手を浴びる中

 演説台の前から降壇する

 

 花道を行くわしの背中はさぞ頼もしかろう

 努力の先に報われる

 これ程満足のいく結果はないだろう

 

 

 

「さて、早く帰って魔導書を書き上げねば」

 

「ブレイズ!ブレイズ!!」

 

「はは」

 

 

 

 同衆の羨望と声援は心地いい

 これに応えねば、先陣を切るものとして

 示しがつかないやも知れない

 

 花道を歩き続け、渡り終えた先でわしは振り返った

 先程まで見上げる程高かった演説台は

 視界に収まるほどに小さくなっていた

 

 広がる席、立ち上がった同衆に

 魔導協会の皆に向けて、叫ぶ

 

 

 

「わしは更なる高みを目指す!

 ブレイズ、その先へと歴代の名に恥じぬ

 ブレイズオブブレイズとして名を刻もう!」

 

 

 

 再燃、拍手と喝采の渦を背中に会場を後にする

 去り際に放ったわしの言葉は

 新聞の一面となり、世界中へと広がることになり

 未だ魔導に触れたことのない者を

 奮い立たせることになったのだとか

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