四冠(半端者)魔導師   作:息抜き

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『食い潰すモノ』

 冬の只中、森の内

 僕は枝を乗り継いでいた

 

 目的という目的はなく

 時折枝をしならせ

 高く飛んでは遠方を見る

 ここ最近の日課である

 

 いや、目的はあるが

 到底叶えられない目的のため

 二の次、三の次としている

 

 注力はしたいが如何せん

 この身体は僕のものであって

 わしのものとするにはどうにも気がひける

 

 早いところ【スケールシフト】を直せる

 設備が欲しいところである

 

 

 

「ん?スノーゼルか」

 

 

 

 木々の隙間で蠢く何かを見やる

 白みがかった弾むそれは

 魄系統に属する魔物『スノーゼル』

 

 魔物とは『魄化した土地』より

 召喚される生物のことである

 

 通常の生物とは異なり

 その身は魔力で構成されている

 

 物質に宿ることでその形を模し

 魔力を取り込み続ける厄介な

 性質を持っている

 

 それが魔物である

 

『スノーゼル』とは雪を模したゼル科であり

 冬の時期に良く見かける

 

 

 

「とは言え、苦戦することもないか」

 

 

 

 僕は木の枝を手折り、ゼルの前に着地する

 僕を認識するや否やスノーゼルは

 飛び上がった

 

 

 

「これでは腕試しにもならんな」

 

 

 

 無知であれば苦戦を強いられるが

 申し訳ないことに爺に手品の類は通用せんよ

 

 スノーゼルは翠系統により

 雪を隆起させると

 無数の触手をけしかけてきた

 

 素直な軌道を取る触手

 先回り、相殺、潰しは一切なし

 単純な戦闘ながら新鮮だ

 

 躱す最中

 木の枝に魔力を通す

 枝に新たな芽が出たのを確認し

 スノーゼル目掛け走り出し

 

 真横にゼルを捉え

 木の枝でゼルをおもっくそ殴り飛ばした

 

《パン》と葉とゼルの衝突音の後

 跳ね転げるゼル

 

 追撃を入れようとするには

 ちと距離がある場所まで転がると

 その間にゼルは雪から

 触手を呼び出した

 

 

 

「【グリーン…】」

 

 

 

 枝で触手を防ぎつつ

 もう一方で魔導を構える

 

 矢継ぎ早に飛来する触手の一瞬の隙を

 不可視の一撃が空諸共穿った

 

 

 

「【…スピア】」

 

 

 

 不可視の一撃はゼルに触れる前に

 その副次効果として《パリパリ》と

 空気を押し退けゼルの核を的確に捉えた

 

 隆起していた雪は静止すると

《ドサドサ》と屋根に積もった雪を

 どかしたときの様に重々しい音と共に

 その場に崩れていった

 

 思った以上に時間が掛かってしまったな

 スノーゼルが小刻みに震え

 地面に落ちた雪玉の如く崩れた

 

 

 

「?」

 

 

 

 身体が妙に軽くなったのを感じた

 しかし、目視での確認では何の変化もなかった

 

 

 

「ふむ【スカウトスコープ】」

 

【スカウトスコープ】

『ゼノス』

 

 レベル2

 緋/4・62

 蒼/7・87

 翠/2・99

 空/9・89

 魄/1・97

 刻/15・??

 

『魔力線 26』

 

「う〜む?」

 

 

 

 見慣れた数値の追記に困惑を受ける

 

 成長の実感が

 分かりやすい形で表記される

 何とも奇怪なことに小首を傾げた

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