四冠(半端者)魔導師   作:息抜き

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戦果上々

『魄化した土地』を偶然見つけて数日

 

 

 

「これはよう肥え太ったなぁ」

 

 

 

 スノーゼルを狩り続ける内に

 魄化の最奥にやってきた

 そこには見上げる高さのスノーゼルが居た

 

『魄化した土地』には

 主とされる生物がいる

 これを打破することで

 土地の魄化を解除できるが

 早々ひと筋縄では行かない

 

 ひとつは魄化した空間は

 内部が歪曲しており

 外見からは考えられない程に

 広大、もしくは狭小となっている

 

 ふたつ、シンプルに

 主の強さが原因である

 

 

 

「【アクセル】」

 

 

 

 通常個体のスノーゼルとは

 比べものにならんな

 

 僕が居た場所が雪で埋まってしまった

 普通のスノーゼルが雪玉の集合なら

 こやつのは雪崩そのものだ

 

 彼奴が身じろぎひとつ

 魔導を使えば立ち所に

 雪崩擬きが局所的に発生する

 

 捕まれば凍傷、最悪窒息か

 荒れ狂う雪崩に真正面から付き合うのは

 不利だな

 

 気を伺う他ない

 

 しかし今が冬の真っ只中という点

 これだけでスノーゼルは活発に動ける

 おまけに

 

 

 

「【グリーンスピア】」

 

 

 

 雪崩の隙間、僅かに生じた凪の刻に

 不可視の一槍を突き穿つ

 

《パリパリ》と空気を押し退ける音がするも

 手応えはなかった

 

 その証拠と言わんばかりに

 開いた穴は瞬時に戻ると

 雪崩は時化へと戻り

 

 戦場は硬直をみせた

 

 決定打がお互いにない状況

 時間が掛かる程に

 環境が手伝うスノーゼルが有利である

 

 

 

「これはどうしたものか」

 

 

 

 枝を杖に足三本

 空中を足場にしつつ

 再度気を伺う

 

 一発で駄目なら2発

 2発で駄目なら参発

 3で駄目なら四、伍、ロク

 

 そして僕は

 自分の魔力が増えていることに気がついた

 脳裏に浮かんだ魔力線の文字

 

 よもやアレは誠の内容なのか?

 

 

 

「ならば試す他ないな」

 

 

 

 雪崩の流れに枝を当て

 流すと同時に身を捩る

 僅かに生じた波の隙間

 

 幼い身体に感謝を受けつつ

 片手を前に叫んだ

 

 

 

「【レッドクラッシュ】」

 

 

 

 緋系統の中級魔導【レッドクラッシュ】

 ボールが生まれて花開く

 花は空を泳ぎ、やがて枯れる

 

 枯れる最中にその身を爆炎へと費やす

 

 直後

 強い喪失感をその身に受ける

 

 瞬間世界は白い閃光を帯びると

 続く熱波と蒸発音を上げ

 僕は視界を遮ると同時に身を強張らせた

 

 

 

「これはこれは」

 

 

 

 スノーゼルが《パチパチ》とその身を

 蒸発させている

 

 水、氷といえど

 炎にはちと役不足(・・・)

 

 過剰とも言える魔導ながら

 再生力が落ちているのをみるに

 正解とみて間違いないだろう

 

 

 

「僕の勝ちだな」

 

 

 

 露出したスノーゼルの核を

 砕いた

 

 スノーゼルは徐々に解けていくと

 その身のうちから

 白い精霊を吐き出していった

 

 

 

「もう捕まるでないぞ」

 

 

 

 身の傍を回る精霊に声を掛けつつ

 身震いをする

 

 

 

「ちと、体が冷えたか?」

 

 

 

 身体を摩りながら

 魄化の解けていく景色を眺めた

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