四冠(半端者)魔導師   作:息抜き

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『冬の忘形見』

【スカウトスコープ】

『ゼノス』

 

 レベル4

 緋/8・62

 蒼/9・87

 翠/10・99

 空/9・89

 魄/1・97

 刻/20・??

 

『魔力線 41』

 

「レベルとは何だ?」

 

 

 

 近頃街の周りに頻繁に姿を現す

 スノーゼルを下しつつ

 日々を過ごす

 

 相も変わらずのんびりとした時間に

 木の枝に寄り掛かり

 何ともなしに使った【スカウトスコープ】

 

 そこで目にした

 記述を眺めつつ疑問を口した

 

 誰が答えてくれるわけもないが

 数字が上がるとそれに応じて

 他の数値も上がるのが分かったことを除き

 不可思議なことこの上ない

 

 分かったところで何だという話なのだが

 場合によってはいいことだ

 目に見える成長とは活力になる

 保証されることは安心につながる

 

 しかし、そればかりに固執することは

 あってはならない

 

 較の儀でのこと

 数値からは分からない状況とは

 無数に存在している

 

 成長が確固たる物だったとして

 そればかりにうつつを抜かせば

 手痛いしっぺ返しを受けることになる

 

 例えば

 戦士がこれを使えたとしたなら

 筋力が数値として出る

 

 そこには成長が感じられるだろう

 

 しかしそればかりに固執したなら

 ついた肉ではなく数値を愛することになる

 

 されば肉を愛せなくなり

 数値を上げることに熱が入る

 

 結果として実を持たない

 醜い肉塊と成り果てるだろう

 

 一種の指標とするならばいざ知らず

 それを目的にすることは関心できない

 

 やはり

 実感を持たなければやってられない

 

 戦士がいずれ

 振い続けた剣の重みを忘れるように

 盾の形に拘りを持つように

 甲冑の内に冷の瞬間を見出すように

 

 成長がもたらす日々の潤いは

 何ものにも変え難い経験となる

 

 

 

「誰かに説いたいものだ…」

 

 

 

 あぁ、また前のことを思い出している

 どうにもレベルというものは

 わしに帰れと言っているようにも

 思えてくる

 

◇◆◇◆◇

 

「おや?」

 

 

 

 ある日

 魄化の解除が終わり

 物思いに耽っていると

 何やら落とし物を目にした

 

 屈み拾い上げると

『氷のブレスレット』だった

 

 半透明の結晶が幾重にも連なりを見せ

 一際大きな雪の結晶がひとつ

 あしらわれた物

 

 思いがけないこの拾い物は

『魄系統の触媒』として用いることのできる

 代物だ

 

 中々運が良いのではなかろうか?

 

 

 

「確か身代わりだったかな?」

 

 

 

『氷のブレスレット』に魄系統の魔力を注ぐ

 

 近くの雪が隆起すると

 何とも不恰好な人形が姿を現した

 

 

 

「ふむ、違ったか」

 

 

 

 本で読んだ時には瓜二つの氷像が

 姿を現すと聞いていたのだが

 どうやら嘘だったみたいだ

 

 

 

「しかし、捨て置くのも勿体無い

 美しい故、土産にするのも悪くないのでは

 なかろうか?」

 

 

 

 魔導に関しては微妙だったが

 外見は申し分ないほど美しいため

 ポケットに忍ばせその場を離れた

 

 魄化した土地で

 生計を立てる者がいるとは聞いていたが

 なるほど、無理ではないことが分かった

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