四冠(半端者)魔導師   作:息抜き

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VSマール その1

 些か寒さが強いな

 授業が終わった後

 

 折を見て校舎を出る

 

 その足で家、街とは反対に向かって歩くと

 蕾を蓄えた木々の集まる平地についた

 

 さて、彼の真意は

 どう言ったものなのだろう

 

 僕の何が気に食わないのか

 どうすればいいのか

 

 生憎皆目見当がつかない

 

 

 

「おぉ、来たか」

 

 

 

 身体をほぐしつつ

 マールが来るのを待っていると

 そう長い時間待たされることなく

 件の長男がやって来た

 

 

 

「お前こそ」

 

 

 

 恰幅の良い身体に短く整えられた頭

 同年代の身体と比較して背の高さ

 家系由来のものだろう

 

 着ている服の素材から

 僅かばかりの魔力が漏れ出ていることから

 真っ当な家系なのだろう

 

 将来は良い騎士になるやもしれない

 

 

 

「して、何故僕に」

 

「オラッ!!」

 

「うぉ!?」

 

 

 

 近づくや否やマールは殴りかかって来た

 前言撤回だ、こいつ

 騎士道のキの字を早々に捨てやがった

 

 

 

「何を」

 

「うるせぇ!」

 

「【プロテクト】【クイックレコーダー】」

 

 

 

 瞬時にプロテクトを使う

 これで僕もマールも怪我は軽く済むだろう

 

 拳の一撃を否しつつ

 軽く小突き返す

 

 

 

「生意気とは何だ?」

 

「はぁ?」

 

「教室で言っていたではないか」

 

「ッ!うるせぇ」

 

 

 

 続け様に振り回される拳

 背の高さにより間合いが不利と見た

 

 ふむ、これでは話にならんな

 感情に振り回されるが如く

 放たれ続ける拳

 

 しかし、マールの身のこなしは

 やはり騎士の家系とあり

 粗さがありつつも参考になるな

 

 今は肩も動く、少し習うとしよう

 

 拳の動きを目で追いつつ

 大きく避け続ける

 

 

 

「ッ!ッ!」

 

「息が上がっておるな」

 

「うる、せぇ!」

 

 

 

 姿勢が乱れて来ている

 やはり子供であることには変わりない

 体力の底は早々とやって来た

 

 

 

「そろそろ、話し合いを」

 

「ッ〜!ッ〜!」

 

「ふむ」

 

「…!」

 

 

 

 振り絞られた拳が放たれる

 空気にも押し負けてしまいそうな

《フラフラ》とした一撃を前に

 

 放たれた拳を交わすことなく、防ぐことなく

 僕は頬に受けた

 

 拳の皮膚は子供の柔らかいものではなく

 やや弾力と硬さを帯びた

 戦線の厚みを持っていた

 

 しかし

 プロテクトがあるとは言え

 威力がないに等しい拳は

 ほっぺの弾力でいとも容易く止まった

 

 目を見開き

 目の前で膝から崩れるマールは

 肩を震わせ嗚咽を漏らし始めた

 

 子供の感情は忙しのないものだな

 怒っていたのに次の瞬間には

 絶望、そして悲しみ

 

 これで少しは話ができると願いたい

 

 

 

「何なんだよ」

 

「それはどういうことだ?」

 

「何なんだよ!」

 

「意図が読めん!」

 

「しらねぇよ、バーカ」

 

「…」

 

「何だ?何で静かにしてんだよ」

 

「…」

 

「何か言ってみろ!」

 

「言葉足らずの傲慢チキめ!」

 

「え?」

 

「粗さが目立つぞ見習いめ!」

 

「いや…その」

 

「力で叶わぬなら口でと思ったか!」

 

「うわ〜ん」

 

「待たんか!この騎士の恥晒しめ!」

 

 

 

 …何だというのだ?

 小説はやはり小説か

 口論の末友達になんてものは夢物語か

 

 話し合いもできなかったではないか

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