四冠(半端者)魔導師   作:息抜き

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詰みです

「ふむ、中々綺麗になったな」

 

 

 

 皆が帰った後の教室に立ち込める

 砂っぽい空気があまり好ましくない

 

 そのため少し時間をとって

 掃除することが

 日々の授業ーその締めくくりとなっている

 

 

 

【スカウトスコープ】

『ゼノス』

 

 レベル5

 緋/12・62

 蒼/12・87

 翠/16・99

 空/09・89

 魄/02・97

 刻/20・??

 

『魔力線 51』

 

「【グリーンボール】」

 

 

 

 木造りの開戸を開け

 翠系統の魔導で換気を促す

 

 魔導も使いよう

 こうして数分とかかる作業を

 時短できるのは素晴らしいことだ

 

 

 

「ゼノス君」

 

「これはどうもクレア先生」

 

「掃除ありがとうございます」

 

「いえいえ」

 

 

 

 …クレア先生が居た

 それもそうだ

 この学校を任されている聖職者だ

 

 居ない方がおかしい

 魔導が使えることはバレたくないが

 いやはやどうするべきか

 

 

 

「ここは風通しが良くて気持ちいいですね」

 

「そうですな、ですが些か寒さが強い気が」

 

「先生は暑がりだから開けててもいいですよ

 私が後で閉めますから」

 

「左様でしたか」

 

 

 

 これは困った【グリーンボール】を

 解除しようにも外では

 あまり風が吹いていないではないか

 

 この状況で魔導を解除しては不自然だろう

 突如止む風なんぞ

 それこそ魔物の仕業だ

 

 

 

「そう言えば最近近場に

 ゼルっていう魔物が出現しているので

 気をつけて下さいね」

 

「左様で、気をつけることにします」

 

「でもゼノス君なら1匹いても

 倒してしまいそうですね」

 

「ははは」

 

 

 

 末恐ろしいな

 何故そう思ったのか不思議でならん

 

 

 

「でもマール君のお父様が

 この街を守ってくれていますので

 早々危ない目に遭わないとは思います」

 

「感謝ですね」

 

「最近でも

 私の家族が助けられたって言ってました」

 

「それは頼もしいですね」

 

 

 

 クレア先生の表情が最近明るいのは

 そういうことだったのか

 窓の外を眺めることが減って

 かわりに手元の何かを眺めて笑っている

 

 なるほど、素晴らしい騎士だ

 

 しかし、下の妹と聞くに

 一緒にいたのはそういうことで

 間違いなさそうだ

 

 

 

「挨拶に行った時はゼノス君

 ぐっすり眠ってたみたいですし」

 

「ですね」

 

「ゼノス君には

 見せたことがありましたっけ?」

 

「いえ、見たことはないですね」

 

 

 

 今近くに来られたら不味いが

 断る口実がない以上

 顔の確認として割り切ろう

 

◆◇◆◇◆

 

「ごめんね、先生とのお話に

 付き合ってもらって」

 

「いえいえ」

 

 

 

 あれから30分話し倒すとは

 恐れ入った。本当に家族が好きなんだな

 

 お陰で魔力がすっからかん一歩手前だ

 クレア先生の背中を見送りつつ

 壁にもたれ掛かる様にヘタレ込む

 

 

 

「ぶっ通しで魔力を出すのは

 自殺行為に等しいな、まだ魔力が出ておる」

 

 

 

 グリーンボールを消してからも

 手のひらから魔力がダダ漏れておる

 

 大魔導による魔力線の損傷はよく聞くが

 初級を使い続け魔力線が

 イカれることもあるようだ

 

 今後気をつけねばならんな

 バレなかったことは良いとして

 ふらつく頭を支えながら振り返る

 

 

 

「貴方は誰?」

 

「ッ!」

 

 

 

 気がつけば誰かが背後に居た

 驚きのあまり後ろ手に窓枠を鷲掴みにし

 尻餅をつかない様に踏ん張る

 

 

 

「…」

 

「泥棒さん?」

 

「いや、ここの掃除していた者だ」

 

 

 

 この者は人との適切な距離を

 とって欲しいものだ

 

 踏ん張るのも辛い

 目の前が《チカチカ》する

 魔力が少ない証拠だな

 

 

 

「大丈夫?」

 

「あぁ、少し休めば問題はない」

 

「魔導を使うと疲れるよね」

 

「あぁ、そうだな」

 

 

 

 …今何と言って

 僕はなんて返した?

 

 

 

「あの時はありがとう」

 

「ん〜」

 

 

 

 何と安直な手にしてやられたことか

 

 貧血に似た感覚から回復すると同時に

 その声の主の顔を確認するべく

 視線を上げていく

 

 黒い髪を後ろに纏め

 エプロン姿、確かクレア先生の話では

 スミス、ジュエラーの見習いをしている

 

 

 

「お初お目にかかります

 工房人のアンナ殿」

 

「お久しぶりです

 名も知らないお方」

 

 

 

 どうやら、確証を持って

 声を掛けてきたらしい

 

 何とも狡猾で強かなことよ

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