四冠(半端者)魔導師 作:息抜き
向こうからの接触から数日
これと言った進展はなく
寒さ過ぎ去った日取りにて
「ふむ」
教会を見つけた
ランブルクラッシュ跡地とは
街を挟んで真反対の位置
森の中で蔦にまみれ
石煉瓦が所々ひび割れており
かなりの間、人の手が入っていない
と見受けられる
「となるともしや」
教会に
併設されている墓地を通り過ぎた時
見た目に反し歩かされたのを感じた
ボケた木の扉を前までつくと
ゆっくりと扉を開き、その隙間から中を覗く
「やっぱりか…」
《ボロボロ》の広々とした
礼拝堂が目に入ってきた
蝋燭が短いながら残っていたり
聖本が開きっぱなしで置いてあるのが
なんともなしに確認できた
地面に敷かれた赤い絨毯は
『跋扈している』モノどものあれやそれやで
今は茶色に近い色をしている
今となっては空しきかな
ステンドグラスで形作られた
神の面持ちは心なしか悲しげに見える
「運が良いと言っていいのやら」
しらみ潰しに探索した甲斐があって
魄化した土地に遭遇できた
レベル10とやや低めな所を見るに
魄化してそれ程、経っていないと見える
さて
口尾の装飾品に魔力を流し
いざ実践と行こうかな
◇◆◇◆◇
魄系統の魔物『ゾンビ』
ゼル系との違いは
やや高まった俊敏性と
その高い対物理性だろう
人類の死体が動き出した様な見た目をしている
全体的に腐敗を思わせる見た目をし
嫌悪感はアンデッドの中でも随一と言える
しかし、模倣しているだけで
特定の人物が死して
動いているわけではないのが救いだ
◇◆◇◆◇
「3匹か」
中に入るや否やこちらに気がついた
ゾンビが近寄って来た
ゼル系とは異なり
個体差が激しいアンデッド
それがゾンビ系だ
五体満足の個体は珍しい方で
大抵は骨が見えていたり
半身がなかったりする
頭部がないものもいる
しかし、総じて緋や魄系統を除く
殆どの魔導、物理に対して耐性を有する
それ故に魄系統における『召喚』では
前衛・盾として重宝されるのだとか
「【ホワイトボール】」
僕は枝でゾンビの攻撃を否しつつ
隙だらけの心臓部に手のひらを添える
魄系統の初級【ホワイトボール】
ゾンビの心臓部は真っ黒に変色し
ヒビが入り、カケラの集合体になると
空気に溶ける様にして消滅していった
心臓部がなくなった残りにも
同様に真っ黒に変色していくと
ヒビが入り砕けて消えていった
「上々」
1体目のゾンビが両腕を振り上げた
口尾の装飾品に魔力を充填しつつ
枝でゾンビの振り下ろしを地面に
否した
続く2体目の攻撃
飛び込みを準備し始めたところで
枝を足代わりに
ゾンビに足かけ地面に寝かせる
しゃがみ込みつつ
無防備な背中に手を乗せる
「【ホワイトボール】」
1体目を撃破しつつ
飛び込んで来た2体目に
枝を振り当て背後に弾き飛ばす
「【レッドバレット】」
心臓部に目掛けて数発打ち込む
1、2発に全身を振るわせ反応を示したが
3発目が命中した後には反応がなくなり
4発目と同時に崩れ始めた
「聞いていた以上にタフだな」
口尾の装飾品に魔力を充填しつつ
先の戦闘で気がついたゾンビに
魔導の狙いを定めた