四冠(半端者)魔導師   作:息抜き

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『ソウルハーベスター』

「ん〜妙だな」

 

 

 

 後ろ手にゾンビを下しつつ

 やや物思いに耽る

 

 ゾンビから放出された魔力が

 一向に霧散せず

 空中に一塊となっているのが見える

 

 よもやよもやと考える内に

 刻一刻と膨れ上がる魄系統の魔力に

 冷や汗が流れ頬を伝う

 

 予想はしていた

 しかし確証のないことに

 気は割いてられない

 

 しかし

 教会という魔導における大切な

『イメージ』の中でこれ程形のある

 模倣すべきものが近くにある状況において

 奴が現れないわけがない

 

 

 

「それはそれで良い」

 

 

 

 二の次、三の次と心を鎮める

 魄化を事前に防げるだけで儲け物

 それ以上を望むのは…

 

 膨れ上がる魔力を前に

 頬を伝った汗が

 地面へと落ちた

 

 

 

「ッ!!?」

 

 

 

 全身に走る危険信号

 

 枝を握る手に力が入る

 心拍と体温の上昇

 魔力が湧き上がり

 身体が身震いを起こした

 

 恐怖からではない

 自分の運の良さにだ

 

 

 

「よもやよもや」

 

 

 

 80年越しと言ったところか

 正に僥倖、叶わぬと思っていた

 この瞬間が2度も訪れることになろうとは

 

 

 

「ソウルハーベスター!!」

 

 

 

 魔力の塊の中現れようとする骨に向かって

 飛び上がり様に枝をぶち当てる

 

《ギシャー》と頭蓋骨が

 こちらに向かって吼えた

 

 許せ

 年甲斐もなく"はしゃぎ"たくもなる

 

 我が利き肩を抉り腐りおった魔物に

 対峙することができたのだから

 

 この瞬間に限り【スケールシフト】の

 失敗に関して感謝せねばなるまい

 

 浮かぶ骸骨

 血で固まった外套

 うすら笑いの髑髏

 

 しからばそのうすら笑い

 この手で灰塵に帰してやろう

 

 

 

「【レッドボール】」

 

 

 

 骨だけの腕が虚空へと手を伸ばし

 何かを掴むと同時に

 錫杖が姿を現した

 

 続け様に

 ソウルハーベスターは

 錫杖を振り上げてみせた

 

 やはりやって来たか

 魄系統特有の『魔力循環』の起こりだ

 

 

 

「【レッドボール】【レッドバレット】」

 

 

 

 周囲から緋系統を

 撃ち込む

 

 ソウルハーベスターが錫杖を回し

 次々に撃ち込まれる魔導を吸収した

 

 ソウルハーベスターは

 魔力をその身に纏う故に

 生半可な攻撃では弾かれるか無効化される

 

 そして錫杖である

 奴の魔導の発動体にして

 主力武装

 

 魄系統の特性を利用した防御式『魔力機構』

 ソウルハーベスターとは

 魔導師の命ともいえる魔力を

 循環により巻き上げられる為についた異名

 

 この身もかつて

 魔力機構の餌食となった

 

 

 

「【レッドウェーブ】」

 

 

 

 錫杖を振り上げ触媒なしに

 召喚する出鱈目っぷりを披露する

 

 召喚されたゾンビは揃いも揃って

 五体満足ときた

 

 それに対抗すべく

 ゾンビ諸共緋系統の波に攫い

 壁と熱波で焼き焦がす

 

 ソウルハーベスターは錫杖を

 構えることでこれを回避してくれやがった

 

 そう、錫杖が存在する限り

 場上は奴の独壇場

 

 そして魔力機構の破り方は

 対象の有する貯蔵量を超えた

 一撃を加えること

 

 

 

「【スカウトスコープ】」

 

【スカウトスコープ】

『ソウルハーベスター』

 

 レベル66

 魄/60

 

『魔力線 95235』

 

「今の実力では不可能だな」

 

 

 

 魔力線による魔力流用がそもそも高い故

 それを上回る量を

 捻出しなければならない『既存』の方法では

 初心者の身で勝つことは万が一にでも不可能

 

 

 

「【レッドボール】【レッドバレット】」

 

 

 

 撃ち込むもやはり悉くを喰らわれる

 

 魔力を放ち続ける内

 ソウルハーベスターが錫杖を構えた

 

 魔力を充填し始め

 魄系統の大魔導を準備し始めた

 この時を待っていた

 

 

 

「【アクセル】」

 

 

 

 錫杖が魔力を受け発光する

 

 魄系統の魔導を行使しようと前に掲げた

 その時を待っていた

 

 アクセルにより加速をつけつつ

 錫杖に捨て身をする

 

 

 

「【レッドクラッシュ】」

 

 

 

 ボールを叩きつける

 

 錫杖に込められた緋と魄の魔力は

 やがて生まれて開く花へと流れ行き

 花は錫杖を埋め尽くすと同時に

 やがて枯れ

 

 枯れる最中

 大空へと白亜の火柱を

 無数に届かせてみせた

 

◆◇◆◇◆

 

 焼け焦げた礼拝堂の中を歩き行く

 ゾンビ諸共吹き飛んだ

 何もかもを足蹴にしながら

 

 やがて"まっぱ"となった

 骸骨の前で立ち止まる

 

 

 

「【スカウトスコープ】」

 

【スカウトスコープ】

『ソウルハーベスター』

 

 レベル66

 魄/60

 

『魔力線 75↓』

 

「ははは、愉快愉快!!」

 

 

 

 砕け散った錫杖と共に下顎を失った

 ソウルハーベスターは虫の息だった

 

 自慢の魔力線がまさか決め手となるとは

 広いことが仇となったな

 

 ものの見事に決まってしまった

 レッドクラッシュオーバーブルーム

 

 ソウルハーベスターが

 魔力機構から魄系統の行使へ移る際

 足りない魔力を自前で補填する

 

 循環の発生する

 その瞬間にレッドクラッシュの

 魔導を魔力を貯め始めた式に

 割り込ませるとどうなるか?

 

 結果の通り

 自らの魔力が仇となり

 諸共レッドクラッシュの薪となる

 

 環境の魔力も無駄食いを始め

 魔力線を強く圧迫し

 

 そして、魔力線が焼き切れ

『炎症』を起こしこの様だ

 

 

 

「足らぬのは思慮ではなく実戦だったな

 青二才…【レッドボール】」

 

 

 

 目の前でのたうち回る骸骨を踏みつけ

 頭蓋にボールを押し当てすり潰していく

《ギシャー》と鳴くものの

 

 生憎と魔物の言葉は知らぬのでな

 

《ペキ》という何とも呆気ない音と共に

 骸骨の身体が砕けていく

 

 

 

「くくく、当時身につけておった

 魔導だけで倒してみせたぞ?」

 

 

 

 歪みの消えていく教会の中

 ひとり高笑いをした

 

◇◆◇◆◇

 

【スカウトスコープ】

『ゼノス』

 

 レベル8

 緋/12・62

 蒼/12・87

 翠/16・99

 空/09・89

 魄/05・97

 

『魔力線 101/255』

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