四冠(半端者)魔導師   作:息抜き

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交渉というより世間話

「さて、お待たせしたレイアード嬢

 …その茶葉がお気に召したようで何より」

 

「〜ッ、これは失礼しました」

 

「いやいや、気に入って頂けてなにより

 ここらでは珍しい苦味が売りの葉なのでな」

 

 

 

 さて、ミリィの狙いを探りたいところだが

 

 何処で僕のことを知ったのか

 もしかしたら本当に偶然なのか

 

 このどこか間の抜けた行動の

 ひとつひとつが交渉を有利に進めるための

 言わば演技の可能性やもしれない

 

 

 

「改めて名乗らせて頂きます

 蒼穹の狩人ギルドマスターの

 ミリィ・レイアードと申します」

 

「これは丁寧にありがとうございます

 魔導師のゼノス、以後お見知り置きを」

 

 

 

 ギルドか

 あまり良い噂も聞かなければ

 良い経験もない

 

 どうやって断るか

 しかし

 

 

 

「蒼穹…蒼系統を大空に見立て

 それを使い狩りを担うとは

 これまた大きく出したな」

 

「ッ…え、えぇ素晴らしいでしょ?」

 

 

 

 うむ?この反応を見るに

 そうではなかったのか?

 

 蒼系統は緋系統にはない

 流れを象徴する

 てっきりそうと思ったのだが

 空系統だったか?

 

 それぞれが難しい顔をする

 

 

 

「ゼノ、ミリィはそこまで考えてないと思う

 多分語感だけで決めてる」

 

「アンナさん!」

 

「何!そうだったのか」

 

「…ッ」

 

 

 

 この反応、図星か…

 名付けとはそれそのものが

 価値を生む

 

『参矢晴天会』という

 空系統の集まりがあった

 

 彼・彼女らは主に晴れた日を必要とした時に

 依頼をすることで翌日必ず晴らすと言った

 特殊なギルドだった

 

 この名があってこそ

『晴れの日』を欲する者を呼べたというもの

 

 何とも懐かしいな…

 

 

 

「くくく」

 

「なっ、蒼穹も狩人も

 かっこいいでしょ!」

 

「いや、すまない

 昔のことを思い出していてな」

 

「昔って」

 

「ともかくだ、名は体を表す

 適当でつけたとて、それが意味を成すのは

 その者共の働きと言って良いだろう」

 

「甘やかしちゃって〜」

 

 

 

 若い者の思案を潰すのは

 取り返しがつかなくなる手前でも

 何も問題はない

 

 他のギルドメンバーもレイアード嬢と

 同じ歳なのか気になるところだ

 

 

 

「して、レイアード嬢こんな素人同然の者を

 ギルドに招いても良いのかの?」

 

「え?何で?」

 

「何で、とは」

 

「ゼノはギルド崩壊の可能性に

 気を遣ってくれてるんだよ」

 

「それなら問題ないわ

 何たってギルドマスターなんですから」

 

「ゼノ…この話し大丈夫かな?」

 

「…」

 

 

 

 レイアード嬢を中心とした会なのだろう

 となると年下もしくは同年代で

 固まっている可能性が高い

 

 わしの成長を加味したなら

 共に上り詰め、学ぶことの多い

 やや年上が望ましい

 やはり見送る他あるまい

 

 

 

「ゼノス君、どうかな?」

 

「すまないが

 この話は持ち帰り検討させて欲しい」

 

「本当!ありがとう」

 

「あ、あぁ」

 

「あ、私用事があるんだった

 今日は帰るね」

 

「気をつけて帰るんだぞ?」

 

「うん、お茶ご馳走様」

 

◆◇◆◇◆

 

「んで、どうするの?」

 

「断るつもりではある」

 

「あの様子だと、入ってくれるって

 言ってくれたようなもんだよ?」

 

「その様な端的な者は、いないとは言えんな」

 

「僕は知〜らない」

 

「…」

 

 

 

 意図せずして他人の好意を

 踏み躙ったということか

 

 ゼノスはビビアンに『銀貨』を渡すと

『円環の髪留め』を手に店を出た

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