四冠(半端者)魔導師   作:息抜き

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企みと『較の儀』

 才能というのは恐ろしい

 周囲の者が適性を知るや否や

 目覚ましい伸びを見せ始めた

 

 

 

「【レッドボール】」

 

「【レッドボール】」

 

 

 

 詠唱速度はほぼ互角

 込める魔導も悪くない

 わしの一撃が相殺された

 

 理解が早いのか

 わしが心血を注いでたどり着いた

 頂きに片手を掛ける知識量を見せてくれた

 

 だが

 

 

 

「【レッドウェーブ】」

 

「なっ【レッド…】」

 

 

 

 だから青二才なのだよ

 お行儀よく魔導を込めていては埒があかない

 第二第三の充填しておくのは当たり前だ

 

 わしを中心に発生した緋色の閃光は

 瞬く間に広がりを見せ『青二才』を捉えると

 広がりに合わせて持ち上げ、吹き飛ばした

 

 土煙と共に吹き飛ばされた先で

 壁に叩きつけられ場外となった青二才は

 気絶した様だった

 

 魔導師の戦い方も知らない阿呆めが

 才能を実力と見誤ったようだ

 

【ブレイズ】となってからの1年は

 決して挑まれることのなかった

(かく)の儀』階位を持っている者に挑み

 その席を賭けて競うこと

 

 ここ3年で目が合えば挑まれる程度には

 頻繁に受けていた

 

 放棄することも可能だが

 折角なので全部受けている

 

 いやはや、若い衆というのは

 血気盛んでいかんな

 

 わしはマントを翻し、舞台を降りていく

 拍手はない、歓声もない

 代わりに負けた者への中傷、嘲笑だけが

 場を満たしていた

 

 ここ最近で

 質が悪くなったと言わざるを得なかった

 

◆◇◆◇◆

 

「なるほどな」

 

 

 

 協会長殿が止めようとしたわけだ

 会場を後にした先

 道を進むわしの目にそれが入った

 

 魂が抜けた様に項垂れている皆

 その理由が嫌でもわかった

 

 無理もない、無駄を許さぬ魔導の探究

 その生涯を賭した物が『非効率的』だと

 否定されたとあれば

 自分に使うのを躊躇わせるのも納得だわい

 

 わしより若い衆が

 項垂れているのは見ていられん

 

 

 

「こんな結末は認めてはならんな」

 

 

 

 しかし、わしの得意としている緋の魔導

 その才能が最も低いとなれば

 差は徐々に縮まっていくのは自明の理

 

 今研究している魔導が完成するまでは

 この席を退くわけにはいかない

 

 

 

「レリック、エクリプスは

 もう目指すには歳を食い過ぎたな」

 

 

 

 他の席に挑むことも考えたものの

 付け焼き刃で叶うほど較の儀は容易くない

 

 先程のは稀有な例だ

 本来は時間と強みを活かして如何に捲るか

 それが大切になる

 

 

 

「実戦となれば

 そんなことは言ってられんのだがな」

 

 

 

 いつぞやの古傷を"さすり"ながら

 わしは自分の研究室へと向かった

 

 今研究している魔導が完成すれば

 魔導の世界は

 より一層の躍進を遂げることになるだろう

 

 才能がないからなんだ?諦めるのか?

 今までの努力が水泡に帰すのか?

 それで悔いなく死ねるのか?

 

 冗談じゃない、ならば示さねば導を

 半端者でありながら頂きに立ったものとして

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