勇者スイープ、聖剣を拾う   作:匿名

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勇者スイープと旅立ち

 

魔王軍と勇者達が争うこの時代、勇者達は勇者ギルドという組織に属していた。彼らは勇者ギルドの一員として、仲間や情報を集め闘いに挑むのだ。

 

そんな冒険者ギルドに今日も悩める冒険者がやってきた。

 

「腕のいい聖職者を呼びなさい!」

 

勢いよく扉を開けたのは魔女帽子にウマの耳が生えたような不思議な帽子を被った少女。勇者スイープであった。

その声色は厳しく、焦っている様子が見てとれた。

 

「何があったんだ?」

 

入り口の近くの席に座っていた勇者が心配そうに問いかける。

 

「呪われた武器に取り憑かれたのよ!」

 

そう言って手に持っていた立派な剣を勇者スイープは地面に叩きつけた。

 

「おいおい、何やってるんだ。剣が傷んじまうだろ」

 

人のいい勇者がそう言ってしゃがんだ瞬間だった。剣がひとりでに浮かび上がり、勇者スイープの手に戻って行った。

 

様子を伺っていた勇者達は驚き言葉を失った。

 

「こりゃあ…すげえなぁ。ほんとに呪いか?どっちかって言うと奇跡のような気もするが…」

 

「そんなわけないじゃない! これは呪いよ!」

 

有志スイープは勇者達の言葉が信じられなかった。こんな捨てられない剣を呪いと言わずなんというのか。

 

「確かに呪いではあるのでしょう。しかし、同時にそれは祝福でもあるのでしょうね。」

 

勇者スイープの周りにできていた人垣が、二つに割れ、一人の勇者が現れた。

 

「ギルマス。知ってるんですか?」

 

「ええ。」

 

その勇者は勇者スイープでも知っていた。初代魔王を討伐したパーティーの一員にして、勇者の中の勇者と称させるオールラウンダー。

その名はアグネスデジタル。魔王討伐後は最前線からは退き、今は勇者ギルドのギルドマスターとして、自由気ままな勇者達をまとめ上げていた。

 

「その輝き、選ばれし者から離れようとしない姿勢。間違いなく、それは予言者マチカネフクキタルが予言した聖剣ですね。」

 

「聖剣…」

 

「あれが…」

 

ざわめきが広がっていく中、勇者スイープはポカンとするばかりだ。何せこれまで魔法使いになることだけを追い求めてきたのだ。聖剣など興味がない。そのため、聖剣の話も存在も全く知らなかった。

 

「予言の内容は、聖なる剣を携し勇者が魔王に挑み世界を救う。といったものです」

 

勇者スイープの惚けた様子に気が付いたのか、アグネスデジタルはそう言った。

内容は確かに伝説のようなものだったが、勇者スイープはやはりあまり心揺さぶられなかった。

 

「さて、勇者スイープトウショウさん。というわけで、あなたにクエストを発行します。」

 

そんな心を知ってか知らずか、アグネスデジタルはそんなことを言い出す。周りも伝説の始まりが見えると感じてか、静かでありながらどこか熱気がある様子で見守っている。勇者スイープはこの流れは良くないと直感的に感じた。

 

「やだやだー!」

 

いつものようにそう叫んだ瞬間、あたりがざわめきだす。ただ、アグネスデジタルだけは落ち着いていた。

 

「残念ながら、魔王討伐は勇者の義務です。なのでこのクエストは拒否できません」

 

「はぁっ⁈」

 

「もちろん。私たちもできる限りのサポートをしますから安心してください」

 

「そういう問題じゃないっ!」

 

「そうですねえ…」

 

勇者スイープの叫びを無視し、アグネスデジタルはあたりを見渡すと、一人のウマ娘を指差した。

 

「サポート役をヒシミラクルさんにお願いしましょうか」

 

「ぶっ⁈」

 

指を指された芦毛の勇者は口に含んでいたシュワシュワな飲み物を吹き出していた。

 

「ミラクル違いですよね?」

 

「"ヒシ"ミラクルさんです。」

 

「えーと、私みたいな普通の勇者にはちょっと荷が重すぎるかなーって思うんですけど…」

 

困ったような反応にも、アグネスデジタルは気にした様子はない。

 

「ヒシミラクルさん、最近ここの食事たくさんしてますよね。つけが幾らになっているかご存知…」

 

「わかりました!誠心誠意取り組ませていただきます!」

 

そういって、ヒシミラクルと呼ばれた勇者は席を飛ぶように立ち上がった。

 

「ちょっと⁈ 勝手に決めないでよ!」

 

どんどんとのぞんでもいないことが決まっていく事態に、勇者スイープが叫んだが、効果がある様子はない。近づいてきてきた、ヒシミラクルが手を掴んできた。

 

「なによ!」

 

「さあ行きますよ!魔王とかよく知らないけど、ちゃっちゃと追わせましょう!」

 

「待ちなさいよぉー!」

 

ヒシミラクルに引っ張られて、勇者スイープは勇者ギルドから飛び出した。

 

 

 

「これ、なくても大丈夫でしたね」

 

そういうと、アグネスデジタルはカウンター上に置いていた空き缶を手に取る。

 

「あんなので大丈夫なの?」

 

一人の勇者が、声をかけてきた。アグネスデジタルは空き缶を片付けながら答える。

 

「大丈夫ですよ。彼女はああ見えて、強いんですよね。私も負かされることもあります。それに彼女以上に記憶に残る勇者はそういないですから。あの役目には最適だと思いますよ。だから心配は無用です。」

 

「そう。ならいいわ。貴方の勇者への評価は信頼できるから。」

 

「ギルマスになっちゃいましたからね。」

 

「もともとでしょうに。まあ、わたしはもう行くわ。聖剣の勇者が現れたことを伝えないと」

 

「ええ、お願いします。アヤベさん」

 

アヤベと呼ばれた勇者は、軽く手を振るだけで去っていった。

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