デート・ア・ライブIF 【エラー】   作:セルヴェイエ

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第二話です


前回は佐藤くんの出番なかったので多めに取りたい…でも鷹禾くんに取られることが多くなりそう。



てか名前ややこしいんだよ





原初の鍵握る者【十五】

 

 

 

 

 

真那は後からやって来たASTの隊員達に話を繕い、仕事を終わらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、申し開きはねーんですか。」

その後、…真那は腕を組みながらその者に向かって落胆の声を出していた。

 

 

『良いじゃないですかー!狂三さんは傷付かなくて、僕達も無事だったんですからー』

 

 

 笑みを崩さずにルンルンと歩く鷹禾を見て、怒る気も失せてため息を漏らした。

 

 

「そもそも、あの化け物が傷付かなかった事を危惧しているのがおかしいんですが…」

 

 

『そうですか?』

 

 精霊、空間震…それらを知っていながらここまであの怪物たちに同情心を向けるのも彼が優しいからなのだろうか。

 

 本当に分からないといった様子で首を傾げられるとこちらもそれ以上の言葉が言えなくなってしまう…

 

 

「もう良いです、端から謝罪なんて求めやがりませんので…」

 

 

 

『あ、そうだ!真那さん!今日四糸乃さんとあったんですよ!』話が終わると、今しがた思い出したかのように目をキラキラさせながら鷹禾が言ってきた。

 

 

「よ、四糸乃…?」

 

 

『〈ハーミット〉っていう精霊さんらしくて…』

 

 

「は…?〈ハーミット〉?」

 

 

 

『はいっ!やっぱり優しそうな〝人〟で─────』

 

 

「どうなってやがるんですか!というか、何時・何処で?!」一呼吸をおいた後に落ち着くと、そのまま鷹禾に問い詰めた。

 

 

 

『えぇと…。今さっき…ここに来る前の大通りで…』

指で路地の出口…大通り側を指してくる。

 

 

 

「……さっき…?」

その言葉を不審に思った真那がポケットから携帯を取り出す、警報がなっていない以上──勿論連絡も来ていない。

 

 

ひとしきり頭痛がしたが、こめかみを抑えてため息を吐く。エレンさんやウェスコットさんにはどうやって伝えようか……。今から胃が痛いものである。

 

 

 

「……まぁ、今はその話は良いです。」

携帯をしまうと、そのまま歩を進めていく。

 

 

鷹禾は真那の表情を見て、…心配そうな顔をしていた。

 

 

 

 

「ほら、鷹禾…行くんじゃねーんですか?」

クスリとした笑みに表情を変えて、鷹禾に手を差し出すと…

 

 

 

『はいっ!』と、屈託の無い笑みで言ってから手を握ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜★〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五年前───■■市近郊、大通りからは離れた人気の少ない道。そこで第二の精霊の捕縛は成功した。

 

 

 

 

 

「……生け捕り、成功しました。」

とある少女が無線機に向かって端的に結果を話す。

 

 

すると、無線機からは返答の代わりに…愉しそうな笑い声が返ってきた。

 

 

「どうかしたのですか?」

なんというか、成功に笑ったのではなくもっと別の意味も込められている気がして質問してしまった。

 

 

「いや、良い拾い物をしてね…。今日は運が良くて笑ってしまったんだ……もしかしたら明日は死んでしまうかもね」

 

本当に上機嫌なのか、珍しく冗談めかしてくる。

 

 

「拾い物…?」

続けて無線機に向かって唇を開く。

 

 

「……手駒は多いほうが良いだろう?」

意味深な言葉の意図を察して頭を押さえた……、また彼は…何かを拾ってきたのか。

 

 

というか、人が仕事をしている間に何をしているのだ。

 

 

「話は後で聞きます……。真那も連れていきますから…」言葉を紡がせ、溜息を我慢する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

イカれた子供。ウェスコットはその子供をそう判断した、自分に勝るとも劣らずとも言えない怪物。

 

 

この齢にして親兄弟から捨てられるなど、面白くて仕方が無い。

 

 

 

「善人───偽善者……悪人。どの枠組みにも属さない人間」

 

 

自分のために起こす善は、俗に言う【偽善】だろう。彼は…自分のために人を助けるらしい。

 

 しかし、だとしても他人の為に身を粉にして働くというのは善人と言える。

 

 

 

 

 が、一番重要なのはここから───

 

 

 

彼は…数ヶ月前までは学舎に通う学童だった。

 

 

 

「くく…っ」

 

思わず笑みが漏れてしまう。ここまで壊れたエピソードは久方ぶりに耳にした。

 

 

 

 

「自殺志願者の自殺を手助けする……なんてね」

 

 

 他者の全てを肯定する。例え自殺を志願しているのだとしても、それを否定したりなんてしない。『安楽死の方法でも探しましょうか?』等と笑顔で言う……、可笑しくて、面白い。

 

 

 

 彼をこのまま捨て置くというのは、なかなかにし難い。……才能があるという適当な理由など作れば良いだろう。

 

 

 

 純粋無垢な心でありながら、死を見ても自己が揺らがないほど壊れている。こういう人間ならば、頭を覗けば精霊の反転に使えるかもしれない。

 

 

 

 

DEMインダストリー──その現社長である、アイザック・レイ・ペラム・ウェスコットは至極愉楽そうな顔をする。

 

そして…執務室には彼の低い笑い声しか響かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜★〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

 

 歩いている途中、隣で手を繋いで歩いていた真那が足を止めた。手を繋いでいる以上、真那が立ち止まれば鷹禾も立ち止まることになるので必然的に視線の方向が変わる。

 

 

 

 

『……?』

鷹禾も眉をひそめて真那の視線の先を見つめてみる。その先には…仲睦まじそうに買い物袋を持っているカップルしか見えない。

 

 

嫉妬…?いや、真那さんに、限ってあり得ないし。 それ以外なら────と、鷹禾が考えを巡らせ始める。

 

 

すると、真那の視線に気づいたのか前のカップルの男性も視線をこちらに向けてきた。

 

 

互いに妙な視線を向け合い、見つめ合う。それも束の間、真那が繰り出すトンデモ発言のせいで終了する。

 

 

 

「に」

 

 

 

「に…?」

男性は真那が唇を動かした言葉に訊き返す。

 

 

 

『……ぇ』

真那は鷹禾の手を離すと、答える代わりに駆け出した。

 

 

 

 

「な……」

真那は男性の胸に飛び込むと、そのまま身体に手を回し、感極まったようにぎゅぅ…っと、抱きつく。

 

 

男性の反応からするに、かなり驚いている。ということは知り合いではないのか? 少なくとも鷹禾の乏しい知識には彼は入っていな────? と、またも鷹禾は思考を始めたが、今度は真那の発言によって遮られた。

 

 

 

「兄様……ッ!!」

 

 

 

「は……はぁ…っ!?」

 

その瞬間、真那以外の者たちの声がシンクロした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜■〜〜〜

 

 

 

 

 

 

『……さて、どうしたものか。』

確認したい事をし終えた佐藤は会社の正面玄関から堂々と出ていく。

 

勿論、それに気付く者達は誰一人としていない。

 

 

 

〝道〟の中で唯一俺に攻撃を与えた存在が科学の叡智とも言える場所に行き着いている。

 

本当に厄介だ。味方に───なんては、考えないが、敵となると面倒この上ない。

 

 

憂鬱な気分になるが、悪い事ばかりではない。アイツを利用すればDEM側の人間たちを■■事ができるかもしれない。

 

 

『ははっ…』

 

人気のない路地に進んでいく。

 

 なにも、全てが上手くいかないというのも良いじゃないか。全てが制御できる物語ほどつまらないものはないからな。

 

 

 

が、一番の問題はここから。

 

 

『彼奴等になんて言おう』

 

 

勿論、真実点がいるのなら計画は変更。せめて、狂三との戦闘時に紗和を呼び出すことだけは駄目だ。

 

あの場には仮想では真那が居る……それなら、どうせ真実点も居ると予想したほうがいい。

 

 

 駄目なのだ……DEMに悟られるわけには行かない。二亜の魔王──【神蝕篇帙】を簒奪されるタイミングでDEMを潰しにかかる。あの狡猾な男を殺す為には予想できない事をしなければならない。ならば、その前に紗和の存在が知られるような事だけはしないほうが良い。

 

 

 

と、言うことは…だ。

 

 

『……怒られるよな…』

 

うん、これだけは確実だ。紗和もこの日のために曲がりにも戦闘訓練をしていたし、心の準備をしていた。

 

それを全て壊される。……俺だったらぶち切れるな。

 

 

そう結論をつけたは良いが、正直あの場所に帰りたくない。我ながら幼稚なものである……怒られたくないから戻りたくないなど。

 

 

『もう良いや……俺が怒られるなら最悪どうでもいいし』鬱々としたため息を吐きながら、丸め込んだ足を立たせると、佐藤は顕現させ、開かせた門の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

『うん…?』

着いて見て、…その次に出た言葉はそんな台詞だった。

 

 

 

 俺が来たのはいつも通りの第三領域なのだが、何故か半壊している。

 

 

 

おかしいな、うん、おかしい。

 

 

だってもう、明らかに違うもん。

 

 

 

 アイツラにバレないように空に転移したのが運が良かったのか、その有様を、全貌を見て取れることが出来た。

 

 

 

 

俺が作った城壊れてるし、大地滅茶苦茶抉れてるし。

 

 

 

 佐藤が見た大地は、陥没と隆起、欠損が隈なく点在する大地だった。

 

 

 

元凶───いや、その言い方だと違うな。明確には〝元凶たち〟か。取り敢えず叱られる前に叱りに行くか。

 

 

 

 そう結論付けた佐藤は半壊の城に降り立った。

 

 

 

本当にボロボロとなっている廊下を歩いていくと、ソイツは居た。佐藤の存在を認識した瞬間。この世の終わりみたいな顔をしている奴が。

 

 

 

 

「………ユメ…カナ…?」

妙にカタコトな言葉で少女───緋衣響は頬をつねり始めた、

 

 

 

『安心しろ夢だ』

そういいながら思い切りソイツの頭を引っ叩いた。

 

 

「イッタァァッ!!夢じゃないじゃありませんかッ!!」

酷く悶絶した後、非難の声を上げてくる。

 

 

さしてその非難の声を気にもとめずに続ける。

 

 

 

『んで?何でこうなった──ていうか、お前は何して──』と、質問を始めた時、

 

 

 

「ひっ……」

引き攣ったような顔をして響が佐藤の背にしがみついた。

 

プルプルと震えて明らかに何かに怯えている。

 

 

 

 

 

 

コツン──コツン───コツン───

 

 

 

奥の廊下からは、軽い足音が聞こえてくる……ヒールか、それとも革靴か。

 

 

 

思い当たる節が無い佐藤にはそれを悟るだけの情報がない。

 

 

 

「あれ、佐藤…?」

しかし、以外にもそこに居たのはカリンだった。

 

 

────恵琉芭カリン、俺の識る記憶によればまた別の未来では【人形遣い(ドールマスター)】と、呼ばれていた少女。

 

響とは良い意味でも悪い意味でも、切っても切れない関係を持ってた…、そして…あの最期を〝幸せだと思えてしまう可哀想な少女〟。

 

本来なら不幸な事を幸せだと思えてしまうのは、それまでの環境のせいだ。だから俺はコイツを助けられて嬉しいと思っている。

 

 

まぁ、性格も俺の影響で代わりきってしまっていると、自覚はあるのだが……。

 

 

 

 

『えっと、それで?カリンはこんなとこで何してんだ?』

 

 

「さとうー……っ!」

質問には答えない、その代わりに持っていた人形を手から離して佐藤に抱き着いてきた。 

 

もっと細かく言えば足も腕も回して、しがみついてくる。

 

 

 

『あー…えっと、そうだよな。まずは、挨拶からだよな。』納得をした佐藤は取り敢えずカリンの頭を撫でる。

 

 

「ぐへへ……」

撫でられると気持ちよさそうに顔を蕩けさせるカリン……

 

 

うん、これもう警察案件だわ。はたから見たら俺犯罪者だもん。

 

 

 ため息をこぼしかけたが、咳払いを挟んで止めた。

 

 

『それで?何で、ここに…っていうか、何でこんな荒れてんだよ』

 

 

 

「ソイツのせい」

ビっと、カリンは腕を一本離して、いつの間にか遠くにいる響に指を向けた。

 

 

 

「……っ!」

向けられた響はというと、分かりやすく動揺し、ビクッと肩を震わせていた。

 

 

証拠突きつけられた殺人犯かよ…

 

 

その仕草に呆れつつも、細かい情報を聞こうと唇を開く。

 

 

『そ、…じゃあ。響のせいって…どういうことだ?』

 

 

「……言いたくない」

 

 

『は?』

 

足と腕を離し、地に降り立つと……カリンがそっぽを向いて珍しく佐藤の言葉を拒否した。

 

 

『んーと、何で?』

 

「言いたくないから」

 

全くもって理由にすらなっていないのだが……、…? というかカリンの耳…赤くなって────

 

 

 

 

 

 

ゴバァァァンッ!!!──────

 

 

突如、佐藤の耳を劈くような爆音が遠方から響いた。

 

 

『えぇ……』

次は何ぃ……土砂崩れでも起きたのかよ。

 

 

 

「……っ」

 

「うわぁ…」

それを聞いたと、同時に、カリンは面を上げて眉を顰め、響は心底嫌そうな顔をした。

 

 

この音に何か共通認識でもあるのだろうか。しかし、響は何か怯えてるし、カリンも答えそうな雰囲気ではない。

 

 

 

 

「響…行くよ」

 

「わかってますよぉ!もう……」

 

カリンが言うと、響はやけくそ気味に叫んだ。

 

 

 

『だから、説明しろよ。ていうか、紗和と狂三はどこに────て、もう居ないし…』

 

俺が前々に与えていた【爻盡六王】の権能でも使ったのか、そこにカリンと響の姿は無かった。

 

 

 

『誰かマトモな奴居ないのかよ…』

毒づくように呟いたが、その言葉は虚しく響くだけ。

 

 

 

はあと、深い溜息を吐いたが仕事は山積み…さっさと終わらそう。

 

 

「佐藤様…」

 

 

『【爻盡───……あ?』

 

能力を発動させようとした瞬間、そのような声が聞こえて中断してしまう。

 

 

『シスタス?』

 

 

佐藤がその名を呼ぶと、シスタス──その名を持った少女はニコリと笑みを浮かべて霊装の裾を持ち上げながら足を引き下げ一礼した。

 

 

「えぇ、えぇ……お久しぶりですわ。佐藤様」

 

 

『様付けは辞めろと───あぁ、もう、この際なんでも良いよ。お前なら話は早い……なんで此処こんなに荒れてんだ?』

 

 

「あら…?響さんにお聞きになってなさいませんの?」口元に手を当ててまぁと驚いた表情を作るシスタス。

 

 

『響のせいとは聞いたんだが、マジで意味がわからない』

 

 

「そうですわね、では、わたくしが説明させてもらいますわ。発端はそう────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜(数時間前)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話の始まりは響のなんてことの無い発言だった。

 

 

「佐藤さんって、どういう人がタイプなんでしょうねー」

一手間で家事をしながら、個人に話しかける訳でもなくその部屋にいる不特定多数の少女たちに問うた。

 

 

 

ピクッ……

 

 

少女たち…、二人の少女が耳をピクリと動かした気がする。

 

 

静止───その少女たちは一斉に止まった。

 

 

 

 

 

そんな発言で始まってしまった。

 

 

ただ一人の男を巡る喧嘩(デート)が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

『は?』

事の顛末を聞いた佐藤は素っ頓狂な声を上げた。

 

 

何がどうなってそうなった。

 

 

 

 

「実際、話したことが事実ですし…」シスタスも困ったように眉を顰める。

 

 

 

 

『……何で俺の好みを響が皆に尋ねたら喧嘩が起きるんだよ』

 

 

 

「あぁ、そこは略称しましたけど、きちんと物事があるにはあったと言えなくもない……んですわよ?」

 

妙に濁らせてシスタスが答えてくる……

 

 

『はぁ…?だから、そんな痴話喧嘩でこんななるか?』

 

 

 

「ま、…まぁ…あの方たちは…仲睦まじいとは…言えませんし…ねぇ?」ぎこちなく笑みを作って答える。

 

 

 

言えない。佐藤様の好みで言い争って、たったそれだけで…紗和さんとカリンさん……そして、止めに入った狂三さん。それらが第三領域をこんな風にしたなど…。

 

一応響さんも参加していたが、即刻逃げ出していたので……争っては居ないだろう。────あの人は本当に佐藤様を愛しているのだろうか。

 

 

 

 

 

記憶を知る私だから分かるのだ、佐藤様は酷く鈍感だ……それはもう、彼方の世界の殿方──いや、あれよりも鈍感だ。

 

 

だからこそ、自分を巡って大喧嘩が起こったなど考えない。思考に産まれない。

 

 

わたくしも佐藤様を愛する者の一人ではあるが、このような純粋な取り合いに参加できるほど、綺麗ではない。だからこそ、今は達観を決めきったのだが…………。

 

 

 

 

『………なんで、ハラカとかは止めないんだよ…』

 

頭を掻きむしったが、……そりゃそうだ。

 

紗和・狂三・カリン……どれらも、支配者に相応しい力を持つ者たち…、カリンに至っては弱体化はある程度されているが、擬似的に天使を作り出すという所業を見せているし…。

 

 

そんな中で止めに入る準精霊などたかが知れている。それに、紗和たちもそれを気遣ったからこそ、準精霊が住んでいない第三領域で最初にドンパチを始めたのだろう。

 

 

 

 

『はぁ……』

妙に気遣いだけできる奴らである。頭痛の種が最近は多い…。

 

 

 

 

「止めに行くのですか?」

佐藤が踵を返し、歩き出すとシスタスが目を丸くして尋ねてきた。

 

 

 

『当たり前だ……。ったく、なんでこんな事に体力を使わないといけないんだよ…』

 

 

佐藤は【爻盡六王】を起動すると、ソイツらの場所を探知した…。第五領域────、俺が手ずから手を加えた領域。

 

 

ほんと、面倒事だけは増やすのが上手い奴らだ。

 

 

『……』

毒づきながら、表情はほんの少しの笑みに包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜■〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

『で…?』

全てが終わった後、修繕を終えた中で椅子に座った佐藤は足を組んで正座してそこに鎮座する者たちを見つめていた。

 

 

────一人は気まずげに目を逸らし

 

────一人は何故か佐藤の顔をじっと見て

 

────一人は正座が痛いのか眉をひそめ

 

────一人はこうなっている理由を理解していなかった。

 

 

 

 

「えっと…今回は…そのぉ…」

唯一、罪悪感を感じてそうな少女…緋衣響が唇を開いてくる。まぁ、まだ目は合わせてくれないのだが。

 

 

 

「…─、…─…」

 

──? 何か言葉が聞こえたが、気のせいか?

 

 

 

「さとうー…痛い…」

 

「何故わたしくも怒られているんですの?」

 

 

コイツラは怒られている自覚無しなの?

 

 

 

 

『……いや、別にもう怒っては無いけどさ……。』

佐藤が言うと、…響が顔を明るくさせた。───お前は毎回不憫なやつだな…と、少しだけ憐れみの目を向けてしまう佐藤。

 

 

『事の顛末はシスタスに聞いたんだけど…。よく分かんないし、お前らの口から教えてくれよ』

 

そこで佐藤がすごーくマトモなことを言うと、…四人は顔を見合わせた後、言葉無しでコミュニュケーションを取ったかのように頷き合い……、そして…息を揃えて言う。

 

 

「それは…ちょっと、出来ないっていうか…」

「お答えできません」

「いや」

「…」

 

 

何故後半につれて文字数少なくなるんだよ…。

 

 

 

 

「ところで、佐藤さん」

 

『はい?』

突如として紗和の口から放たれた…妙に冷たい言葉に固くなってしまう。

 

「私たちは、とある事で争いを始めました」

 

『はぁ』

 

「その事情を知って尚、…貴方はそれが何かを分からないですか」

 

『まぁ、そうっすね…』

 

 

 

 

 

「「「「はぁぁぁ…」」」」

佐藤がその質問に身を固くしながら答えをるのを見て、四人は全く同時にため息を吐いた。

 

 

 

『は…?』

 

 

「あーあ、何かここまで熱くなってた私達が馬鹿みたいですね」

 

 

「そうですね」

 

「同意…する」

 

「これは響さんに同感ですわね」

 

 

 

やれやれと、響が頭を振って紡いだ言葉に残りの三人は全行程の姿勢を見せた。

 

 

 

 

『えぇ…マジで何なの…』

何で質問に答えてくれない奴らに一方的に落胆の目で見られないといけないの…。

 

理不尽な事象に叩き込まれつつも、兎も角仲は戻った少女たちを見て安どの息を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜■〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

全ての後始末が終わり、城は綺麗に元通り、地形もある程度は修正できた。

 

カリンにはきつく言った後に第十領域に戻らせた。戻る事をかなり渋っていたが、ある約束をしたら嬉しそうに戻ってくれた。

 

 

 

 

そして、現在。

正方形の机を取り囲むように設置された4つの席の内の一つに腰を掛けている佐藤は対面に座る少女にそんな事を尋ねた。

 

 

『…一番気になるんだけど、何でお前は紗和たちを止めなかったのぉ?』

 

 

 

 

 

「……紗和さんを足止めしただけ褒めてくれます?」

未だ毅然とした態度で言い返してくる少女に佐藤は目を細めた。

 

 

 

『……あのなぁ…おまえn───』

 

 

 

「もう別に良いですよ」

「その話はさっき終わりましたよね?」

 

佐藤の言葉を堰き止めるように残りの二人の少女たちが口を開いた。

 

 

対面に座る少女───時崎狂三のしてやったり顔を見て、今すぐ表出ろや状態になりかけたが、佐藤の大きな自制心がそれを辞めさせる。

 

 

 

『チッ……』

正直に言えば二回ぐらいは目の前の少女の〝天使〟をぶち壊してやりたかったのだが、こめかみを指で叩いて必死に自制をした。

 

数回…深呼吸を繰り返し、やっと心を落ち着けた佐藤は本題に入る。

 

 

 

『計画を変更する。紗和、狂三……お前は二亜の反転まで現実世界に出てくるな』その本題を単刀直入に話した。

 

 

 

「は…?」

紗和、狂三、響の言葉が一斉に木霊する。

 

 

 

『……聞き間違いでもなんでもない。紗和と狂三の存在がバレるわけにいかなくなった』

 

 

「………」

いつもとは微妙に違う物腰に怪訝そうになりながらも、三人は落ち着いて話を聞く姿勢をとる。

 

 

心の中でありがたいと思いつつも話を続ける。

 

 

 

『とある少年がDEM側に居ることが分かった。しかもソイツは俺を単騎で殺せる力を持ってる……相手にアルテミシアとエレンがいる以上、予想できない攻撃をしないといけなくなった。だから、二亜の反転まで出てくるな』

 

 

端的に、話し続けていく。紗和たちは…特段驚きを見せない──というか、最近の佐藤の無理難題に付き合っている者たちはこの程度の事態は想定済みなのである。

 

 

 

「二亜さんの反転前にエレンかアルテミシアを殺害するというのは駄目でして?」

 

ふと、あごに手を当てた狂三が疑問を投げかけてきた。

 

 

『駄目に決まってる…。もし、エレンかアルテミシアが死んでウェスコットが二亜の反転を計画にしなかったらそれこそ本末転倒だ』佐藤からしたら当たり前と言えることを並べる。

 

 

 

すると、響が何か思いついたかのように口を開く。

「あの、そもそも佐藤さんの力使えば今からで─────も、」

 

 

 

『………辞めろ

響の言おうとしている言葉を佐藤は殺意で止めさせる。それだけは禁句だ、禁忌だ。俺が一番分かってることだ。

 

 

 

「ご…っ、ごめん…なさい…」

顔を蒼白させて響はプルプルと震える。

 

 

 

『……悪い、響。』

先ほどカリンに追い掛けられている時にも見せなかった、本気の怯えを見せる響の頭を撫でる。

 

 

 

───正直、今のは大人気なかった。

 

 

 

場に和みが戻った後、

「むぅ……外出禁止は良いですけど、そもそも佐藤さんに勝てる人ってどんな人なんです?」何故か不貞腐れたような表情で頬杖をつく紗和が佐藤に質問してくる。

 

 

『……簡単に言えば、弱者かな〜…?』

あっけらかんとその事実を伝える。

 

 

 

「弱いんですか? じゃあなんで───」

 

 

『…ネタバラシは後でな。教え過ぎる物語ってのはつまらないだろ?』紗和の口から紡がれる質問を遮りながら佐藤は答えた。

 

 

 

 

「あの、佐藤さん…わたくしからも一つ宜しいでしょうか?」

 

 

『ん?どうした?』

 

 

「……久しぶりにわたくしと模擬戦をしてくれませんか?」

本当に唐突にそんなことを言ってくる。

 

 

『………それ、質問か?』

思わず笑みを浮かばせながら一応ツッコんでおく。

 

 

『ま、別に良いよ。俺もそろそろ〝教えてやりたかったしな〟』

 

 

「貴方の強さは重々理解しているのですけれど…」

 

 

呆れ気味に発せられた狂三の言葉にケラケラと笑いながらも佐藤は立ち上がり、…狂三に戦意を向ける。

 

 

「んん…?」

佐藤の隣の席に居た響は目をパチパチとさせて紗和に視線を飛ばす、今から始まる事象に思考が追いついていないらしい。

 

 

 

『どうせなら、ここでやろうぜ?本来なら第五領域でやりたいけど、ハラカとか来たら面倒だしな…』

 

 

「きひひっ…、良いですわねぇ…やはり佐藤さんから向けられる戦意ほど緊張が迸るものはありませんわァ…」

 

口を三日月のように歪めた狂三も嬉しそうに言ってくる。同者とも此処でやるのには賛成らしい。

 

 

 

 

 

紗和は両者の戦闘狂さに辟易しつつも、机を取り囲むように能力を発動させる。

「響さん、一つ忠告しておきますね。〝私から離れたらヤバいですよ〟」

 

 

「へ…?」

 

 

 

それと同刻だった。

 

 

怪物たちの戦いが始まるのは……

 

 

 

 

 

 

「おいでなさい…【刻々帝(ザフキエル)】」

 

 

 

『…一応手加減してやるよ、【獄炎六王(ミカエル)】』

 

 

 

 

 

─────七の弾(ザイン)

 

 

─────災炎(クラーデ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぴゃぁぁぁぁ!?!?!?」

 

 

「ふん…ふーん…♪」

響の可愛らしい悲鳴が響いたが、紗和は特に気に留めずにティータイムを楽しむ。隣では轟音が鳴っているが、この中はある程度防音が聞いているため煩わしくない。

 

 

「いやいやいや! 紗和さん!? 何呑気にティータイム楽しんでるんですか! 止めましょうよ!」響が手を慌ただしく動かしながら言葉を投げかけてくる。

 

 

「この中に居るなら大丈夫ですから……、それにこういうの近くで見るの楽しくありません?」

 

 

「何いってんだアンタ…」

ニッコリと紗和が微笑みかけながら言うと、…響がドン引きした様子で返してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城から飛び出た二人は庭───というには広大過ぎる土地で、戦いを繰り広げていた。

 

 

 

 

「きひひひ! 【獄炎六王】だけとは、随分手加減されていますの……ねぇッ!」

 

 

 

『お前にはこの程度で十分なんだよ…っ!』

身を交わして、狂三の弾丸を避ける。 そもそも、俺の動体視力だと弾丸なんて当たるほうが難しい。

 

 

 

【刻々帝】───気を付ければ良いのは、七の弾と二の弾……それぐらいだ。

 

例え自身を強化しようが、俺が放つ炎を警戒して近づいてすら来ない。手加減するとは言ったが、相性の良い能力で戦わないとは言ってないからな…。

 

 

 

 八の弾すら使えない狂三は正直言って弱いと言ってもいい。霊力と時間は俺が与えているからほぼ無尽蔵とは言え、…数の暴力こそが時崎狂三の真骨頂と言っても過ご────それは過言か。

 

ともかく、分身体に気を付けなくても良いなら狂三は大して強敵じゃない。

 

 

 

 

 

『ほらほら、どおしたぁ!? さっきまでの威せ……、ん?』炎を振り翳して気付かなかった。

 

いつの間にか狂三の姿が消えている───どこに、なんて…決まってるか。

 

 

 

佐藤の足元から伸びる影が蠢いた。そして、手が伸びてくる。

 

 

『だろうな…ッ!』

そんなの一択しか無い、影に潜っているしか考えられないだろう。

 

 

すぐさま飛び上がり、足元に向かって火球と表現するには大きすぎる火の玉を放った。

 

 

 

『………?』

違和感…と、思って良いのか? 少し、…手応えがない。もちろん、死なない程度には手加減したつもりではあるが……。

 

 

『……ッ』

見誤った。佐藤の足に転がっていたのは、〝焼け焦げた腕〟……つまりアイツは─────

 

 

目を剥いて空を見上げる。

 

そこに、奴は居た。太陽を遮り佐藤に影を作る隻腕の少女が……

 

 

 

「わたくしの計算勝ちですわ」

痛みを感じさせない顔でニヤリと、狂三は笑みを作った。そして、残った片腕で弾丸を撃ち込まれる……勿論、それがただの弾丸なはずも無く…佐藤の時間は停止する────

 

 

 

『ま、だろうな…』

 

訳もなく、佐藤は手を振り上げた。

 

 

 

 

「はぃぃぃっ…!?」

珍しく、狼狽を見せる狂三───。そして、佐藤の振り上げられた手からは焔が放出され…見事命中を期した。

 

 

「……ったた──」

そのまま地面に落ちた狂三は痛そうに腰を押さえた。

 

 

 

『ほら、立てるか?』

腰を屈めた佐藤はニヤニヤとした笑みを浮かべて、尻餅をつく狂三に手を差し出した。 

 

 

「か、感謝しますわ…」

少々、複雑ながらも狂三は右手で佐藤の手を掴み、立ち上がった。

 

 

『じゃあ、傷治しておくぞ…』

狂三の肩に触れ、能力を発動する。

 

 

すると、段々狂三の腕が形成されていく……狂三の【四の弾(ダレット)】とも、紗和の【水瓶の弾(ドゥリ)】とも違う治り方。治したというより直したと形容したほうが良いかもしれない。

 

 

『ん、治ったな』

 

 

「えぇ…感謝いたしますわ…」

 

 

『それにしても、狂三も思い切った事するなー。殆ど予想外だったぞ、腕引き千切るなんて…』

 

 

「とにかく七の弾(ザイン)を当てることのみを考えておりましたので……。まぁ、当たった所で───という話でしたが」

 

ちらりと佐藤を一瞥して、深い溜息を吐いた。

 

 

 

『……ま、…俺の能力は最強だからな。時間停止なんて効かないし…』

 

 

「……ほんっとうに…、貴方の力は何なんですの?」鬱々とした気分を晴らすように狂三がそんな事を尋ねてきた。

 

 

 

『……そうだなー…ヒントのヒントぐらいならやるよ。 ………強いて言うなら、〝全ての終着点〟かな…?』

 

答えからは本当に遠いと思えるほどのヒントを狂三■■■■に出した。

 

 

「終着点…?よく、わかりませんわね…」

困惑しながら狂三が首を傾げてくる。

 

 

 

『いつかは、教えてやるよ。………いつか…はな』

佐藤がひらひらと手を振らせながら飄々と言った言葉には言語化出来ない重さがあり、狂三は言いたかった言葉も飲み込んで結局言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……ねぇ、響さん…。ちょっとお話しても宜しいでしょうか?」爆音と轟音を聞いて縮こまる響に向かって、ふと…紗和がそんな事を言ってきた。

 

 

「ほぇ…?なんですぅ…?」

唐突に尋ねられた事に響は舌足らずに答えてしまう。

 

 

 

「…カリンさんともしたんですけど、一つ…〝協定〟を結びませんか?」

 

 

「きょ、協定…?」

 

 

「はい…、そうですね…。───…、─……─…─……。なんて、どうでしょう?」

 

 

「え…」

正直に言って響からは得しか無い提言をされて固まってしまう。…しかし…あの、計算高い紗和なら、こんな温情まみれた協定を結んで来ない……。と、響の中の響ちゃんが言ってくるのだ。

 

 

 

だが、どんなにマイナスがあったとしても…このプラスには敵わない。だから、…響はコホンと咳払いをして口を開く。

「は、はい…わかりました…」

 

 

 

「そうですか…良かったです。」

響が了承を示すと、紗和は天使のような可愛さでニッコリと微笑んだ。………響から見ると、悪魔のようにも見えないような…見えるような。

 

 

 

 

 

 

────そして、協定は結ばれた……絶対の約束事が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜■〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、佐藤はもう一つだけ言いたいことを紗和たちに伝えて彼方の世界に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い…室内。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…今日も…耐えられましたわ…」

誰も居ない何処かの部屋の中。少女は壁に背を預けながら擦り落ち、頭を手で押さえた。

 

 

 

歪んだ顔立ちは葛藤にまみれ、唇からは血が出てしまうのではないかと思えるほどに噛み締めていた。

 

 

 

 

「あぁ……」

 あの人のことを愛している。しかし、距離を近づけ過ぎれば…私は溢れ出してしまう。

 

 

 

 私は贋造の贋造……偽物を真似た偽物。私は◆◆◆に純粋な愛を向けるなんて許されない。……けど、愛さないなんて…とても耐えられない。だから…深愛を敬愛に変えて自らをシスタスと名乗った。◆◆◆の記憶の片隅に存在していた…恐らく並行世界とも言える私の名前。

 

 

それを自分に付けることで必死に自己を保った。そうしなければ〝わたくし〟は〝わたし〟で無くなっていた。

 

 

 

「本当に…〝やりずらいわね…〟」

その言葉を呟いた瞬間。ハッとして口元を手で覆った。

 

 

「わたくしは…わたくし……。名はシスタス…分身体の成れの果て…ですわ…。そう…わたくしは…シスタス…。」自分に言い聞かせるように、自己暗示のように言葉を繰り返す。

 

 

 

─────そうしなければ壊れてしまうから。

 

 

─────気持ちが爆発してしまうから。

 

 

─────あの人に迷惑を掛けてしまうから。

 

 

 

 

ようやく気持ちを落ち着けられたシスタスはふうと息を吐いた。

 

 

 

佐藤に【一〇の弾(ユッド)】を撃ったことで生まれたイレギュラー。 とある世界の少女が願った奇跡が形は違えど叶った状態。

 

 

「……どうしましょうか、ねぇ…」

彼の支えになりたい一心で、自らを部下のような立場にした。もちろん、少し距離を置きたいという理由もあるのだが……。

 

 

正直に言ってしまえば、今すぐにでも知った記憶を佐藤に打ち明けたい。言いたいことがたくさんある、言えなかった事がいっぱいある……でも、私には時崎狂三としての記憶もある。

 

 

二重人格とは形容できない……琴里さんと似たようなもの、これが一番しっくり来る。

 

 

「言いたい…」

手で顔を覆いながらぼやくように一言漏らす。

 

 

 私はこっちの思いのほうが強いのかもしれない……。言いたくて教えたくて堪らない……でも、やはり駄目なのだ。

 

 姿も違えば声も違くて…終いには記憶も贋造の贋造でしかない。

 

だから、それならばせめて…彼を支えるためにこのようなポジションに立候補した。

 

 

 

 

 

「切り替えましょう……。それに彼にはもうお似合いの方々がいるんですから」

 

 

そうして、シスタスは深呼吸をして立ち上がると胸に燻る痛みから目を逸らすようにあるき出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───この記憶を持っている、そして…その記憶を継承したのが時間操作の権能を持つ〝時崎狂三〟だった。

 

 

 

一の弾(アレフ)

二の弾(ベート)

三の弾(ギメル)

四の弾(ダレット)

五の弾(ヘー)

六の弾(ヴァヴ)

七の弾(ザイン)

八の弾(ヘット)

九の弾(テット)

一〇の弾(ユッド)

十一の弾(ユッド・アレフ)

十二の弾(ユッド・ベート)

 

 

 

 

 

 

この中にある一つの弾が後の大事件に繋がり、奇跡を起こすことはまだ誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











というわけでひっさしぶりです。


内容がぜんぜん進んでいないような……気のせいか。


狂三回は意外と短くなるような…気がする?

まぁ、私にも〝分かりません〟けど…面白い展開にはなると思うので次回も楽しみにしてて下さい。



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