デート・ア・ライブIF 【エラー】   作:セルヴェイエ

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起源の事象 【二十二】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣界────第五領域。

 

 

 

『あー、終わった終わった。』

パンパンッと手を払い…疲れ果てたように息を吐くのは…。佐藤だった。

 

 

 

現在。佐藤は、第五領域の改築をしているのである。とある支配者が作りたい作りたいと言うものだから…第五領域をRPGにあるような街並みにして、ダンジョンとか作ったりして、モンスターとかも作って…と。とにかく、そういうRPGのシステムを組み込んでいたのだ。

 

 

まぁ、霊力自体は殆ど無限なのだが如何せん佐藤にはイメージも湧かないし、情報も少ししかない。だからこそ…無い頭を絞ってどうにか作れたのだ。

 

 

 

 

それにしても……

 

 

『やり過ぎた』

ポツリと嘆きのような呟きを発する。

 

 

 

 

通常のモンスターの強さを強くし過ぎたし、獣系のモンスターを多くし過ぎてしまった。やはり想像力のないものにこれは辛すぎる。

 

 

 

 

 

 

『あぁもう、どうしよう…………』

思わず後頭部を掻きながらも考える。……自動生成とやらでまばらにモンスターが追加されるまで後二日ぐらいかかる。……まぁ、シスタスの体調が治るまでには終わるだろうし、それが二つとも終わったら狂三とか紗和をご招待する……それでいいか。

 

 

 

 

そう決めると佐藤は歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───この生命の自動生成がどんな意味かも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜◆〜〜〜(数日後)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ちょ、ちょっと待って下さいよ…。これ、どうなってるんですか佐藤さーん!!」

 

 

 

「静かにして下さいまし、奴らに気付かれますわ…」

 

 

「本当に何を作ったんでしょうか…佐藤さんは…」

 

 

「ま…、まぁ…佐藤様の考えはそう簡単に読めるものではありませんから…」

 

 

 

 

現在。響、狂三、紗和、シスタスの四人は佐藤から…システムが稼働してるかを確認してきてと頼まれた結果。とんでもない事に巻き込まれていた。

 

 

 

 

「なんでモンスター同士で戦ってるんですか……あれぇ……」思わず響が涙声でそう言う。

 

 

 

四人は街にすら辿り着けずに平原の中の草むらに隠れていたのだが…そこから見える景色があまりにも…ヤバかったのだ。

 

 

 

まず、前提として

 

 

・ここに造られたモンスターは第五領域の霊力が尽きるまで一定時間経てば復活を果たす。

 

・モンスターは攻撃をされた場合にその者を攻撃対象とし、対象がゲームオーバーとなるか、己の復活権がなくならない限り攻撃対象がリセットされることはない。

 

・攻撃対象は自然物にすら対象となり、仮に〝偶然〟当たったてもしてもそれが攻撃対象となってしまう。

 

・佐藤の霊力はほぼ無限、つまり領域に付属される霊力も例外がない限り消えない。

 

 

 

 

 

 

 

だからこそ……

 

 

 

 

モンスター同士が殺し合って返り血で平原が地獄絵図と化すのが普通だった。

 

 

 

 

「佐藤さんがモンスターは一切喋らないようにしてるって言ってませんでした…?」

思わず紗和が三人に尋ねる。しかし、三人は息を呑んであの光景を見続けることしか出来ていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかるよ?うんうん、わかるわかる」

 

 

 

 

「ン!」

 

 

 

 

「値=最強」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな言葉と言うには程遠い、殆ど意味を持たない言語を喋りながら妖精(響たちからしたら普通に異形の化け物なのだが佐藤が言うにはあれは妖精らしい)たちがRPGに出てくるようなモンスターたちを〝裂いて割って潰して切って〟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「普通…ここう言うのって、(ギャヴァァァァァ)とか(グウォォォォォォ)とかじゃないんですか?!タイプが違うし、怖すぎてここから動けないんですけど…!」

 

ヒソヒソ声で響が狂三に言うと、…「そう…ですわね…」 狂三も冷や汗を垂らしながらも少しは首肯のように頷いた。

 

 

 

 

 

と、その時。

 

 

 

「ハルッ! デスッ! ヨォォォォォォォ!!!!!!!!!」

 

 

そんな叫びと共に平原にいた一体の妖精が叩き潰された。

 

 

 

響はこれを待っていましたと言わんばかりに目を輝かせた。

 

「そうですよぉ!やっぱりモンスターの定番のドラゴンって言ったら妖精なんかに負けちゃ駄目ですよ!いや〜佐藤さんのセンスもありますねぇ…カッコいいっ!」

 

もはや誰かに話しかけるというより独り言をらんらんと言いまくっていた。

 

 

「何でモンスター同士で殺し合ってるんでしょうね。」

 

 

「わたくしに聞かれても困りますわ…」

 

 

 

 

唯一、シスタスだけは……何故か妖精たちの容姿を見て…何かを考えるように…または何かを思い出すように思考を巡らせていた。

 

 

 

 

すると、その直後。…叩き潰された妖精がパキパキと霜がついていくと…氷を生やしどんどん体積が増えていき…まるで〝第二形態〟と言わんばかりの姿となった。

 

 

 

「春=44444444444444」

 

 

「バルゥゥゥゥ!!!!」

 

 

 

そのまま戦闘をするドラゴンと妖精。

 

 

大きくなった妖精は辺り一面を氷漬けにしていって、不自然に背中の鱗だけが抜けているドラゴンはブレスを吐いていた。

 

 

元々血だらけだった地面はその戦いの余波で更に壊れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、…皆さん……ちょっと…良いですか?」

ふと、響が遠い目で文言を発してくる。

 

 

 

「まあ…、何を言いたいかは分かります…。」

 

 

「わたくしも…思っていた事がありましたの…」

 

 

「奇遇ですわね…、わたくしも…ありますわ」

 

 

 

 

 

そして、全員の言葉が…全く同時に木霊する。

 

「「「「 帰りましょうか 」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三領域にて、佐藤は今日は事が終わったからか来ていたカリンと雑談しながら第五領域に送った四人を待っていた。

 

 

 

 

『ん、帰ってきたか。思ったより早かったな』

爻盡六王(サマエル)】の気配を感じ取ると、一度カリンとの雑談を中断し、扉に向けて言葉を放った。

 

 

 

 

 

「佐藤さん……少しよろしいでしょうか?」

 

 

 

『…え…っと?どうした?』

何故だろうか、響からは何とも言えないほどの凄まじい圧が飛んできていた。

 

 

 

 

「取り敢えず、……「「「三人分の攻撃食らって下さい」」」

 

 

 

 

「─────は?」

 

 

結果、城の一部に大穴が空いたことは想像に難くないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『痛いんだか…』

佐藤は赤くなり、ヒリヒリとする頬を押さえてそんな事を三人に言っていた。

 

 

 

「申し訳ございません佐藤様…。何とか説得しようとしたのですけれど…」

 

恐れ多そうにシスタスが声をかけてきながら【四の弾(ダレット)】を撃ってきた。

 

 

 

 

『いや、別に良い…。それよりも…何があったんだよ』

椅子に丸まりながら座り、そっぽを向いている響に訊いてみた。

 

 

 

 

「佐藤さん…何か言う事あるんじゃないんですか…?」

 

 

 

『…? なんだよ、』

 

 

 

続けて響はジトーっとした目で口を開く。

「何なんですか、あそこのモンスターたち。もう、化け物ってよりただの〝異形〟ですよ」

 

 

 

その言葉に佐藤は本当に分からないと言った様子で首を傾げた。

『マジで何の話だよ。』

 

 

 

 

「あなたは……本当に何を作っておりますの?」

 

 

「あれは……はっきり言っておかしい。君の頭の中にある〝妖精〟とやらは…あんな化け物なのかい?」

 

 

「流石のわたくしも……擁護できませんわ…」

 

 

 

狂三は少し苛立ち気味で……紗和はほんの少し引き気味で……シスタスも冷や汗をかいて目を逸らしていた。

 

 

 

『……は?ちょっと、…まてよ、どういうことだ?』

 

 

すると、佐藤の困惑も読み取ったのか紗和や狂三たちも首を傾げながら目を合わせあった。

 

 

 

「………? あの化け物───というか、君が言うには妖精……なのかい?」

 

 

『いや、俺は自動生成で作ったから見た目は知らんぞ。そんなにモンスターな容姿なのか?』

 

 

佐藤が問うと三人は身震いした後、ブンブンと首を振ってきた。

 

「モンスターとか、化け物とか、そういうものじゃないですよ……。何ていうか、…見た目もそうですけど……、普通に怖いんですよ!」

 

 

「容姿も確かに破綻しておりますが…、恐ろしいと感じたのは…その行動ですの。 一体のモンスターに対して多体で襲い掛かり、身体をぐちゃぐちゃにしておりましたわ……」

 

 

「そう…だね。…しかも、モンスターは勝手に復活する、数の暴力で攻められるんだ…。もし、私たちがあのモンスターに狙われたらと思うと……怖気が勝つかもしれないな」

 

 

 

 

すると、…その言葉を聞いていた佐藤は不思議そうに首を傾げた。

 

『は?……復活の設定はめんどくさいから、自動生成で作ったモンスターには掛けてないぞ?』

 

 

 

「え…? いやでも、復活してましたよ!爪とかで頭が跳ね飛ばされても…、身体を燃やされたりしても…数秒後には無傷でしたよ!」

 

 

『はぁ?そもそも、復活のスピードは分単位だぞ?そんなものの数秒で復活出来るわけ無いだろ』

 

 

 

 

 

ここまでの問答で何か互いにすれ違いがあると理解したのか……佐藤はため息を吐きながら後頭部をかいた。

 

 

 

「さとう、…ちょっと……良い?」

 

 

『んぁ?何だよ。』

 

 

先程からずっと放置してしまっていたカリンが突如声を上げた。

 

 

 

 

「さとう…、自動…生成は…はじ…めて?」

 

 

 

『そうだが』

 

 

 

「このりんかいの自動生成っ…ていうの…はね…、〝頭の中の無意識領域にあるモノ〟を材料として、それをぐげんかするような形で生成するの。」

 

 

『………つまり?』

少し無言になって聞いていた、佐藤が恐る恐るのように尋ねる

 

 

 

「さっきから…そこの女たちが言ってることがほんとうなら…。さとうは、【見た目が化け物に近くて】、【たくさん復活して】、【敵対者を惨殺に殺す】、……それを無意識的に妖精に対しておもってたんじゃないかな…。」

 

 

 

 

『んなわけねぇだろ!』

佐藤は長々と言われた言葉にいきり立つように反論する。

 

 

 

 

『誰がそんな化け物想像するかっ!…いや…でも…、それで合ってるのかぁ……。』

 

なだれ落ちるように佐藤は膝から落ちた。

 

 

 

と、そこで。

 

「あっ、でも!佐藤さん!」

響が何かを思い出すかのように口を開いた。

 

 

「佐藤さんが作ってた〝ドラゴン〟! あれ凄かったですよ!妖精たちを叩き潰してました!いや〜…やっぱり、モンスターって言ったらドラゴンですよねぇ…カッコよかったですよ!」

 

佐藤を慰めようと響は言ったのだろう…、しかし…。

 

 

 

『俺…作ったの既存の動物を強くしたような獣系だけだから…ドラゴンなんて居ないんだけど』

 

 

 

「………へ?」

 

 

 

すると、カリンは言葉を付け足すようにもう一度唇を開く。

 

 

 

「つまりさとうは、妖精に対して【ドラゴンみたいな見た目】、もあるんだね」

 

 

 

『巫山戯んなぁぁ!!』

佐藤は会話に耐えきれなくなると、自分で確かめようと部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜★〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デンカちゃーん、この世界の端から端まで見てみたけど…やっぱりデンカちゃんの言う通りすごく狭い世界だったよぉぉ」

 

 

「ありがとうございますハンニャ。」

 

森の中心部の開けた中。そこに集まっていた〝妖精〟たちは突如としてこの空間に飛ばされた事に困惑しながらも情報集めをしていた。

 

 

「ねーねー、デンカちゃーん。私も狩りに行って良い?」

 

「あ、それさんせーい。ちょうど暇になってきたんだよねー」

 

 

 

「駄目です。」

その中心にいる…妙に髪の毛をピコピコとさせている妖精に、他の…妖精たちが言うが…きっぱりと否定を入れた。

 

 

 

「えぇー!なんでよぉ。」

 

「アンタは散々さっきまでやってきたでしょ、せめて行くならワタシ」

 

 

 

とかなんとか、やんやんと聞こえたが無視をした。

 

大妖精さんの居ない今。どうやって私たちで切り抜けましょうか…、チルノさんは…リリーホワイトさんと戦闘中ですし…」

 

 

 

「そもそも、ここってどこなのぉぉ?わけわかんなくないぃぃ?」

 

 

 

そう、ハンニャの言う通りである。…一応死んでしまっても〝一回休み(復活)〟が出来ることは分かっているが…。不安要素がありすぎるのだ…。

 

 

 

 

 

 

「ン?」

 

「わかるわかる」

 

 

 

 

 

「……貴方たちは行かないのですか?」

 

 

 

活力の妖精、未来視の妖精、斧の妖精、……いつもは好戦的に戦地に突っ込んでいくのだが……まるで休憩するかのように…彼女らはここに居た。

 

 

 

 

「無駄ですわ、あの子たちに会話なんてむりですもの。できるのは…精々……〝あの子〟だけ…」

 

 

 

「それは、分かっていますが…。」

呆れながらそう言ってくるダンデにデンカもため息を吐きながら返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わか…、るよ?」

 

 

ピキンッ。

 

未来視の妖精がそう言うと共にデンカの髪がピンッと跳ねた。

 

 

「この、……反応……まさか…ッ」

バッと顔を空に向ける。……そこに…人が居た。

 

 

 

 

 

 

間違えるはずがない……そもそも、この電波反応を追加してといったのは…〝あの子〟だ。

 

 

 

「う…そ…」

雷達妖精───デンカは、そんな狼狽の声を漏らすことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜■〜〜〜【数分前】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よいしょっと、……』

 

 

 

 

第五領域に付いた佐藤は、一先ずこの領域に施錠をした。紗和たちが言うにはかなり危険な奴ららしい、他の準精霊たちが誤ってここに来た時に襲われないようにするために施錠をしたのだ。

 

 

 

 

 

 

『それにしても……来てみると確かにエグいな。』

思わず苦笑しながらそこの情景を見渡す。

 

 

 

 

どこに目をやっても死体と血が存在している。……

 

 

 

『……っと?』

佐藤は森方面に視線を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『反応が幾つかあるな。……まぁ、グロテスクなのはあんまり見たくないけど……腹を割るか。』

 

そう意を決すると…佐藤はそこに向かって飛んでいった。

 

 

 

 

 

数分飛んだ後、開けた場所が見えたきて…佐藤はため息を吐く。

 

『さぁて? どんな光景なの……、か……な………。─────は???』

 

 

 

言葉の途中でとんでもないものを視認し、佐藤は空にて固まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……う…、そだ。」

 

でも…それを認識した瞬間。点と点が繋がったような気がした。

 

 

 

 

同士討ちをしていたこと、見た目が怖いと言われていたこと、殺し方が惨殺と言われていたこと、〝妖精じゃない〟と言われたこと。

 

 

 

 

でも、そんな深い思案をするほど佐■の脳は大人ではなかった。

 

 

 

「………ッ」

■藤は空を蹴ると、そのまま一人の妖精の身体に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

その妖精に抱き着くような要領で体当たりし、満面の笑みで口を開いた。

 

 

「久しぶりです!〝デンカさん〟!!」

 

 

その妖精も大層驚いていたが、ふっと口を緩ませると■■の頭を撫でてきながら唇を開いた。 

 

 

「えぇ、……久しぶり…なんでしょうね…。■■」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜■〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、数分……少し会話した後。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり……そういうことだったんですね…。」

デンカと少しの間…会話をした■■はうーんと唸っていた。

 

斧妖精から花冠を被せられたり、活力妖精に肩車されかけたりしていたが…特に■■は気にしていなかった。

 

 

 

 

 

「デンカさんたちの記憶は……、僕があの世界から居なくなった直後ぐらいなんですね…。それに…あの世界での記憶も曖昧で…僕と接していた記憶しかない、と…。」

 

ちょこんと正座で座る■■とは裏腹に妖精たちは笑いながら答える。

 

 

「ソーソー、記憶もめっさ曖昧でねぇぇ」

 

 

「あたしに関しては自分の能力も覚えてませんの」

 

 

「ていうか、■■も大きくなったねー」

 

 

「わたしもそれ思ったー 前の倍ぐらいになってるー 」

 

 

 

 

 

■■は妖精たちからの言葉に思わず苦笑で返す。

「あれからかなり経ちましたから…」

 

 

 

 

ふと…、やっと…考えをまとめたデンカが口を開く。

 

 

「■■、貴方の説明を纏めると…私たちは何らかの理由でこの世界と繋がり、…そして貴方の記憶から構築された…ということですか?」

 

 

 

 

「はい、多分そうだと思います。……記憶とかが僕と接していた時しかないのは……僕の記憶をメインで作ったから、そして…自分の能力が使えなかったり、覚えてないのは……創造の限界と、僕がその能力について既知ではなかったから…。だと思います。」

 

 

 

■■が言うと、デンカはふむ…と、悩みこんだ。

 

 

他の妖精たちはちんぷんかんぷんなのか、■■と久しぶりに遊びたいーとか言ったり、■■の服袖を掴んで構ってちゃんみたいになっていた。

 

 

 

 

「元の世界に帰る方法はありますか?」

 

 

 

「えーっと、たぶん…ですけど。解除したらすぐに戻ると思いますよ。」

 

 

 

「そう…ですか」

と、案外あっけなく解決しそうな雰囲気にデンカは安堵の息を漏らした。

 

 

 

 

「………って、そうじゃん!デンカちゃん!リリーホワイトとチルノさんの喧嘩止めないと!」

 

と、そこでエリート妖精の一人、怨怨が口を開いた。

 

 

 

「え…、また…チルノさんとホワイトさん…喧嘩してるんですか?」

 

 

「話はとにかくあとー!さっそときてー!」

 

 

「は、はぁ…」

 

 

■■が困惑しながらついていこうとした時。

 

 

「ンッ!」

 

と、そんな声とともに活力の妖精に呼び止められる。

 

 

 

「え?」

思わず立ち止まると、……何故か身体を持ち上げられた。

 

 

 

 

「えー…と?」

 

悪い予感がしながらも■■は活力の妖精に視線を送る。

 

しかし、そのまま活力の妖精は振り被るような動作を取ると、思い切り■■を投げ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

(教え方もっとないのかなぁー…)

投げ飛ばされた■■はというと、…遠い目でそう思いながら綺麗な放物線を描いて空を舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バルデスヨォォォォォ!!!」

 

 

 

「シィィィィィィィィィィィィィィィネェェェェェェェェェェ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

刺々しい鱗と氷槍が音を鳴らして大地を壊し続け。

 

 

 

 

激しくぶつかり合い、戦い合う二〝人〟。

 

 

 

本当なら、彼女たちを止められる者は居ない。暴力的に強制的に止めることができるのは…確かに居るだろう、しかし……対話で止められるのは居ないと断言していい。

 

 

 

 

〝彼以外は〟

 

 

 

 

 

 

「リリーさーん!チルノさーん!久しぶりです!」

 

 

 

 

その声が聞こえた瞬間、戦いの最中でありながら、両者は動きを止めた。

 

 

 

 

「………ハルゥ……」

 

 

「値=???」

 

 

妖精たちは互いに見合うと、…そのまま戦意も消えてその者を見つめた。

 

 

 

多少姿は違えど、彼の事を〝彼だと〟断言できるほど…雰囲気が全く同じだった。

 

 

 

 

 

 

 

その後。再会の喜びを表しているのかは定かではないが、春予告妖精から甘噛みされ、氷妖精の冷たい身体で引っ付かれた。

 

 

 

因みに、結構痛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、と。これで全員揃いましたか?」

 

 

場所は再び、開けた森の中。

 

 

リリーホワイトとチルノの喧嘩を止めた■■は、そのままリリーに乗せてもらって他の妖精たちを呼んできていたのだ。

 

 

 

まぁ、■■と再会できたことが嬉しいのか…リリーブラックやリリーホワイトはもちろん、チルノや他の妖精。

 

 

言ってしまえばデンカ以外の妖精たちは■■に引っ付きに行っていた。

 

 

まぁ、■■側も否がることなく……というか、■■側からもくっつきに言っていたのだが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ〜…!チルノさんは…慧音先生にその言葉とかって…教えてもらったんですか?!」

 

 

「………ソ、ゥ゙」

 

 

「わぁ!凄いです!」

 

 

 

 

 

そんな会話と光景をみて、…デンカはため息を吐いた。

 

 

「……■■との昔話は結構ですが、長話は────いえ、何でもないです…」

 

 

流石に、…あんなにも楽しそうな妖精たちを見て…〝帰らないといけないこと〟を…言うなどと…水を差す真似はしたくない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で……ホワイトさんもブラックさんも、背中の鱗…取っちゃったんですか?」

 

 

「ヴァ……ル」

 

 

「えぇ………、また…僕を背中に乗せてくれるためだったんですか? 嬉しいですけど…痛くないですか…?」

 

 

「ハルゥ!」

 

 

「あはは…っ…、そうですか……良かったです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな他愛もなく、…はたからすればどうだっていい会話は…簡単に時間を浪費させていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから…甘く見積もって五時間ほど時が経った後。

 

 

 

 

 

 

 

「それでは……私たちはもう行きます。」

デンカは……名残惜しそうにしながらも…その言葉を言った。

 

 

 

 

「そう……ですよね……いつまでも…居るわけには…いきませんしね…」

 

悲しそうな顔をする、■■の頭にポンッと手が置かれた。

 

 

「わかるわかる」

 

 

「………はい、……ありがとう…ございます…」

そのまま撫でられる。正直、くすぐったかったし…嬉しかった…。

 

 

 

「値!」

すると、その言葉と共に氷妖精から何かを渡された。

 

 

 

「え…っと…これ…は…。」

 

 

「八卦炉です…。」

補足をするかのように、デンカが口を開いてくる。

 

 

 

「あの人から…どんなに魔法を教えられても…使えなかったんです。…それがあれば…大概のことはできますよ」

 

 

その説明に■■は苦笑してしまう。そう言えば、そうだった。……お母さんから魔法の才能のなさには…ほとほと呆れられていた。

 

 

「でも、何で……チルノさんがこれを?」

 

 

「恐らくですが、………身体の状態は…あちら側と受け継がれるんでしょう。…リリーさん方の背中がそれの証明です。……だから、身体の中にそれを埋め込んでいたチルノさんは八卦炉を持っていたんでしょうね。」

 

 

 

「不思議だよねー 自分の身体とかすっごく変わってるんだもん」

 

 

「わたしもそれ思ったぁぁ」

 

 

「デンカさんは……あまり変わっておりませんが…」

 

 

「うるさいですよダンデ」

 

 

 

 

そんな会話に■■は…あははっと…ニッコリ笑ってしまった。

 

 

 

 

「じゃあ、皆さん……きょうは、…楽しかったです…」

 

 

 

「ン!」

 

「わかるよ、うんうん、わかるわかる」

 

「アリ…、ガト」

 

「バルゥゥ!!」

 

「ヴァァァル!」

 

「名残惜しいですけど……はい。楽しかったですよ、…〝霊夢〟さんにも…この話はしておきます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■は全員との別れの挨拶をして、……創造状態を消した。

 

 

 

 

 

 

そして、先ほどまでのざわめきも喧騒もすべて消え去った中で…佐藤は所作なさげに……〝それ〟を握りしめていた。

 

 

 

 

『………楽しかった……すっごく…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カチカチカチカチ……」

 

 

 

 

「あら、どうしたの?…霊夢。」

木炭を燃やし、暖をとっていた彼女たちの…内、編み物をしている女性は…針の手入れをする少女に語りかけた。

 

 

 

「カチカチカチカチカチカチ」

まるで少女は出かけてくると言わんばかりに立ち上がるとその部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

彼女──〝八雲紫〟は…額縁に飾られた男の子と娘を見て…ため息を吐いた。

 

 

 

「……少しでも…あの子の寂しさを消せると良いのだけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カチカチカチカチ」

いつも通り、歯を鳴らして森をブラブラと散歩していた時。……

 

 

 

「霊夢さん、少しよろしいですか?」

 

 

 

一人の妖精に話しかけられた。確か──デンカとか言ったか。

 

 

 

「カチカチカチ」

どうでもいいと言わんばかりにそう吐き捨てると、そっぽを向いて無視をする。

 

 

 

「いえ、■■の事で…面白いことがあるんですよ」

 

 

 

「………!?」

目の色を変えて霊夢はデンカに飛びついた。

 

 

「わ、わかりましたから……話しますから…っ」

 

 

霊夢は一旦落ち着きを取り戻すと。メモを取り出した。

 

 

 

デンカは…ああ、と苦笑する。

 

「あなたは喋れませんしね、その方が良いですね」

 

 

 

「じゃあ、どこから…話しましょうか───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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隣界───第五領域。

 

 

 

佐藤は先ほどまでの会話を思い出し、はにかんでいた。

 

 

 

しかし、笑っている暇でもない。佐藤は考える。

 

 

 

何故、あの人達が現れたか……それは、自分が再現したで分かる。

 

 

しかし、なぜ……あちら側と同期されているのか。という問題だ。

 

 

─────少し寒気がする。

 

 

 

佐藤は考えすぎだと自嘲するが、…それでも…杞憂だとしても不安は消しておきたい。

 

 

 

そう決意すると、佐藤は能力を使い……まだ繋がっている接続を通じて…デンカたちの記憶をぼやかした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢との会話が終わった、後……デンカは頭痛がして頭を抑えた。

 

 

 

 

 

 

「………?」

 

何か、あったような…なんだったか…。

 

 

「カチカチ?」

今しがた目の前にいる…少女から訝しげな目を向けられる。

 

 

「ああ、いえ。なんでもありません…。……それではもういきますね」

 

 

胸の中にある〝何か〟を感じつつもデンカは足早に森に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カチカチ」

話が終わった途端に、雰囲気が変わったデンカに不思議そうにしながらも霊夢はメモ帳とにらめっこをした。

 

 

 

そして、嬉しそうに飛び跳ねると…そのまま…母親──八雲紫元に走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カチカチカチカチ!」

大手を振ってそこの扉を開けると、そのメモ帳を…目を丸くする紫に見せつけた。

 

 

 

「えぇと…これは?」

 

 

「カチカチ!」

まずは見て!と言わんばかりにグイグイと押し付ける。

 

 

「……■■の…事…かしら?」

 

ぶんぶんと頭を振って頷く。

 

 

 

「そう……なの……」

紫は…まるで…懐かしそうに額縁を見つめた。

 

 

 

「……良かったじゃない…、あなたが繋いだ命は…まだ残ってるみたいよ…〝魔理沙〟」

 

 

その言葉に霊夢も嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねていた。

 

 

 

紫は……過去のことを思い出す…。

 

 

 

そう、思い出そうとしていた時──────

 

 

 

 

 

 

『……はは…っ、ここが〝異形郷〟?とんだのほほんマンガだな。』

 

 

そんな、声が視界の片隅からして紫は目を細めた。

 

 

 

「あら、こんな所にお客様かしら。……悪いけれど…今は…外来の侵入者には死んでもらうようになってるのよ。……大切な私の子供が殺されてるんだから…」

 

 

 

『……安心しろよ。誰も戦いに来たわけじゃねぇんだか……らッ!?!?』

 

霊夢が投げた針に驚いたのか変な声を上げる青年。

 

 

 

『おま…っ、バカじゃねぇの!?こんな物騒なもん投げてくんなよ!』

 

 

 

「カチカチカチカチカチカチ!!!」

目に見えて、青年に殺意を向けていることが分かる。───きっと、大切な人を過去の外来者に…二人も殺されたから憎んでいるんだろう。

 

 

 

 

『分かった分かった!俺は…あの男のことで来たんだ!わかるだろ!?……えーっと、今は…言えないんだっけか、………■■の事だよ!■■!』

 

 

 

 

霊夢はそれを聞いて、針を投げる手を止めた。

 

 

 

「………貴方の名前は?」

紫は敵意を消さずに問う。

 

 

 

 

『………俺は…───〝矛盾点〟…。あの負の連鎖に縛られ続ける男を助けようとしているものだ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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