デート・ア・ライブIF 【エラー】   作:セルヴェイエ

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東方異形郷───【二十三】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは本来ならば終わる筈の世界。 

 

 

 

 

 

何も残ることはなく、終幕劇(バッドエンド)で終わるのが決まりだった。

 

 

 

 

しかし、たった一人だけ……幻想の世界から…その延長線上に位置する全ての世界を救おうとした人間がいた。

 

 

 

 

その名は…────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどね…」

 

 

 

現在。矛盾点は適当に話を繕い。どうにか…敵対的にはならない程度の信頼を得ることに成功していた。

 

 

 

異形の母────八雲紫はしばらくの間考えた後、スキマから茶を取り出して…飲み始めた。

 

 

「それにしても……〝矛盾点〟ね。随分と〝彼〟に名前が似ているわ」

 

 

 

 

(彼……?)

と、矛盾点が思考に耽っているとき。

 

 

「そうね…、……そんなにあの子の事が知りたいなら…異形郷(ここ)を巡ってみたらどう?」

 

紫がふと、そんな事を言ってきた。

 

 

『……ここは異形郷だろ?たかが人間のことなんぞ覚えてる奴居るのか?』

 

 

そう言うと、紫はクスクスと笑った。

 

「確かに、外から来たなら…そう思うでしょうね。───でも、〝たかが人間〟…っていう呼び方は…少し違う…。……あの子は…掛け替えのない〝家族よ〟」

 

 

感慨深そうに言う紫に……矛盾点は、ほとほと呆れた。

『何で霧雨魔理沙は居ないんだ?……アイツが死ぬって…どんだけ強い奴が出てきたんだよ』

 

 

紫は少し…目を閉じてから…言葉を紡いでくる。

「……それも含めて異形郷(ここ)を回ってみたらわかると思うわ。」

 

 

 

 

『…………』

まるで、答えを先延ばしするかのような行為に苛立ちが募ったが……確かに、答えを自分で見つけるのも良さそうだ。

 

 

 

 

『じゃあ、それから何年経ったんだ?百年ぐらいか?』

次いで軽い気持ちで矛盾点はその事を尋ねてみた。それほどまでに始祖の事を覚えているならば…多くても四桁ほどだとは理解できていたからだ。

 

 

 

 

「億が12個、万が7932個……そして、5270年…それぐらい前の時ね」

 

 

 

 

『は?──………12億7932万5270年前!!??』

 

 

 

矛盾点が思わず立ち上がり、反論しそうになる……。しかし、…一呼吸整えて口を開く。

 

 

 

『………お前ら、そんな前のことなんで覚えてんだよ。……』

 

 

 

矛盾点が絶句しながら問うと、紫は端的に答えた。

 

 

 

 

 

「何時までも…あの子を待っているからよ…」

 

 

紫は遠い目で、面を天井に向けながら…約束を思い出す。

 

きっと…いつか…「霧雨魔理沙の子供です!」と、あの時の言葉が…言われるまで……紫は忘却するわけにはいかない。

 

 

それが、魔理沙の願いでもあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『どうなってんだよ…まじで…』

 

他の異形たちからの話も聞きたかった矛盾点はそこら辺をぶらぶらと歩き回りながら…考え事をしていた。

 

 

 

 

 

 

─────異形郷。矛盾点はその名を知っている。確か、…あちら側の世界にて十年ほど前だったか……パニックホラー系の東方二次創作で有名だったものだ。

 

 

 

───かなりのトラウマシーンがある狂的チルドレンたちによる妖精の殺害シーン。

 

 

───未だ〝未完結〟の物語として……両者の視点からやり辛い作品として認知している。

 

 

───そして、パチュリーとか美鈴とか小悪魔とか結構グロテスクに殺してるのに何故か人気のあるサナエが矛盾点にとっては印象深い。

 

 

 

 

 

しかし、それならそれで…疑問に思うことがある。

 

 

────ここは…、いつの世界線だ?

 

 

 

と、その時。

 

 

「カチカチカチカチ」

矛盾点の思考を遮るように……後方で歩く少女が話しかけて(?)きた。

 

 

 

『……なぁ、紫の奴は案内のためにお前を連れて行かせてくれてんだ?……なぜに喋れないやつ案内に来させてん?一番不向きだろ。』

 

 

「カチカチカチカチカチカチ」

ナニカに苛立ったのかはしらないが…まくし立てるように歯を鳴らしてくる。

 

 

『だからぁ!せめて、何かに書くとかしてくださいよぉ!訳わかんないだよお前!』

 

 

まぁ、これ以上コイツ何かするとさっきの…バb──ゲフンゲフン、紫から何かされそうなので、やめておく。

 

 

 

「カチカチ」

 

 

『…………』

何故だろうか、段々こいつが何言いたいのか分かっていた気がする。

 

 

『で? どこに連れて行ってくれるんだよ。』

 

 

「カチカチカチカチ」

 

 

気だるげにしながらも…矛盾点は霊夢について行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『んーーーー???』

 

 

 

 

 

 

現在。霊夢から〝その場所〟に連れてこられたのだが………。異形郷を知っている矛盾点からしたら意味不明すぎた。

 

 

 

まず、ここはとある〝神社〟の中。

 

 

案外綺麗な内装の和室の中でご丁寧に座布団までしかれて、矛盾点は正座をしてしまっていた。

 

 

 

 

目の前の机を一つ飛ばして、座っているのは………めちゃくちゃ背の高い女───まぁ、うん……アイツだった。

 

 

 

細い体。襤褸々の巫女服。腰まで届く長い髪。

 

 

顔が〝あの二次創作〟の時よりもまだ整っていたり、眼球が普通にあったりと…異形っぽさは消えていたが…確実にアイツだと理解はできていた。

 

 

 

矛盾点は顔から汗をダラダラと流しながら考える。

 

……ちょっと待て、コイツって現実世界に出てくるタイプの奴だったか?──幻術の中で怖がらせてくるタイプの物理干渉が効かない怨霊みたいなやつだろ普通は!

 

 

なんでさらっと居るの? なんで普通にお茶飲んでんの!?

 

 

 

と、……矛盾点が思考にふけっていると…机の上に置かれた紙を……細長い指がトントンと叩いた。

 

 

『……?』

矛盾点が訝しげにしていると、………

 

 

 

 

貴方の名前は?

血の色であるということは無視して、…案外綺麗な文字が紙に浮かび上がってきた。

 

 

 

(え…、こいつ…喋れんの…?)

またも…汗がたれてくるが…矛盾点は手で拭うと口を開いた。

 

 

『俺の名前は矛盾点。あんたは?』

 

 

東風谷早苗

 

 

知らない艇を突き通しのだが……まぁ…合ってたらしい。

 

 

 

何が知りたい?

 

 

『あー……えっと。■■っていう奴を聞き回ってるんだが……覚えてるか?……というか、知ってるか?』

 

 

 

知っている

 

 

 

 

『そう…なのか?……じゃあ…何か知ってたら教えてくれないか?』

 

 

 

 

彼はあまりにも儚かった

 

 

自分を思考に置かず、ただ〝他者の幸福を追求する〟…それだけを考えて行動していた

 

 

彼は母と共に様々な場所を巡っていた。その地に居る多種多様な種族たちも懐柔していった。彼は…優しすぎる…

 

 

邪神である私にすら干渉してきたほどだ

 

 

が、あまりにも優しい子供の終幕は酷いものだった

 

 

母を失い、自らの無力を嘲られ、……必死の思いで仇を討てても…何も返ってこない虚無感を自覚するのみだ

 

 

 

(いや、そんな事は…聞いてないんだけど……)

やはりどこまで行っても…異形なのか。説明の仕方や言い回しは特異的だった。

 

 

 

「カチカチカチカチ………」

しかし、矛盾点がため息を吐くのに対して…早苗の言葉(文章)に…霊夢が悲しそうな顔を作る。

 

 

 

複雑な気持ちになるが、気になることがあり…口を開く。

『何で、…あんたは現実世界に出てきてるんだ?』

 

 

 

 

 

考えが変わっただけ

 

 

 

矛盾点は一瞬…(始祖が関わってないのか?)と、思ったが…。そんな疑問を処理するよりも早くに文字が浮かび上がる。

 

 

 

 

 

しかし 貴方が訊きたいのは〝そういうこと〟ではないだろう

 

 

 

ピンっと…嫌なほど空気が張り詰めるのが…分かった。

 

───恐らく、…俺は今…〝試されている〟──…俺はあくまでもアイツのことを知りたがっている外来人。…歓迎されるわけもないし、どちらかというと信用度はMinusだろう。……だとすれば───

 

 

 

(ここで、言葉を誤ったら…祟られるな…)

 

なんとなく、矛盾点はそんな直感をしていた。

 

 

 

もちろん、信者を殺さなければ安全という情報もあるが…いかんせん…コイツは明らかに別物と考えた方が良い、だとしたら…信者を別に殺していようがいまいが…祟られる可能性は…普通にある。

 

 

 

(やっべー 俺、始祖と違って…祟られたら…終わるんだがぁ…)

 

 

 

 

冷や汗を垂らして………考える。…そして、数秒後に矛盾点は口を開く。

 

 

 

「〝面倒くさい〟」

 

 

そう、端的に答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

ほんの少しだけ、目の前に座る早苗のオーラ…が、悍ましくなったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

(あ、やっべー。これもしかして、意図汲み取られない?…俺死んだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……訊きたい事を訊くといい、私が知っている事なら全て答える

 

 

 

 

 

 

「……はぁぁぁ〜………」

深い安堵の息を吐いてから…佐藤はもう一度深呼吸すると、口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……何で、…嘘をついたの?〝早苗〟」

 

 

 

 

話は全て終わり、矛盾点と霊夢が去った後。スキマからひょっこりと顔を出した紫はそんな質問をした。

 

 

 

「……………………」

 

 

特段、早苗は応えない。

 

 

 

「■■と喋ったこと……あるでしょ?それに、…貴方が現実世界に出てきたのは…彼の影響じゃない。」

 

 

 

うるさい

 

 

 

 

紫は……口を窄めて黙り込み、大仰に肩を竦めると…そのままスキマを閉じた。

 

 

 

 

 

 

────そう、東風谷早苗は確かに嘘をついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初は、あの霧雨魔理沙の子供と識り、少し興味が湧いた

 

 

 だから、呪い殺す気はないが……■■を幻術世界に捕らえた

 

 

 あの、霧雨魔理沙の子供ならば…どんな風に破るのか…それを待っていた。

 

 

 でも、違った。

 

 

 あの子は全く破る気も出ていく気もなく

 

 

 それどころか幻覚の存在たちと仲良くしたいと言い出していた

 

 

 結果、私が出ていく羽目になっても…特段怖がりも敵意も出すことなく

 

 

 どうやったら身長を伸ばせるかなどと能天気なことを言ってきた

 

 

 そして、どれほど痛みや恐怖に耐性があるのか…試してみようと硝酸をぶっかけたり、本気で祟ってみたりもした

 

 

 けれど、効かなかった。

 

 

 そこで私は…初めて祟りの弱点を理解した

 

 

 私の祟りは…其の者が犯してきた罪と其の者がどれだけ罰を恐怖をしているか

 

 

 それによって変化するということを

 

 

 だからこそなのかは知らないが

 

 

 あの子には全く効かなかった

 

 

 罪も無ければ恐怖心も無い

 

 

 そんな子供に祟りは効かなかった

 

 

 いつしか

 

 

 幻覚の中でも■■は常に話しかけてくるようになり

 

 

 精神時間で5年ほどの時が経った後

 

 

自分も軽い返答くらいならするようになってしまっていた

 

 

 その時、言われたのだ

 

 

 

 

 

『何で早苗さんは……〝信者さんが死んじゃってから動くんですか?〟……死んじゃう前に助けるのはダメなんですか?』

 

 

 

 

 

 ……意外以外の何物でもなかった

 

 

 きっと、霧雨魔理沙もこんな風に押し切られて…甘くなったのだろうとわかった

 

 

 その後、今度は幻覚ではなく…現実世界に出てくることになり

 

 

 言葉を交わすことはなくとも会話をするようになった

 

 

 彼のことを良く思う信者たちも多数居て

 

 

 自分も

 

 

 信者と彼が交流しているのを見ると〝嬉しくなった〟

 

 

 これは彼から負を肩代わりされたことも関係しているのだろう

 

 

 私はもう〝早苗〟ではなくなった

 

 

 それは全ての異形に共通する

 

 

 彼と関わった異形たちは数分前とは思考も行動も変わる

 

 

 しかしそれは、〝洗脳〟などではない

 

 

 あくまでも必要過多の負をとられるだけ

 

 

 だから

 

 

 〝信仰は儚き異形のために〟

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あ…れ?」

 

 

ふと、■■は目を覚ました。

 

 

しかし、何故か記憶が混濁している。確か……僕は……

 

 

「お母さん…?」

不安げにキョロキョロと辺りを見渡しながら呼び掛けるが……静寂に響くのみで……逆に自分の孤独感を際立たせるのみだった。

 

 

 

しかし、何故だろうか…。■■はほんの少しだけこの空間が好きだった。

 

 

この空間の名称なんて知らない、唯一わかるのは…寺子屋に似ているような木造建築ということだけ。

 

 

でも、見たこともなければ触ったこともない材質の壁で…■■からしたらわくわくする事ばかりだった。

 

 

 

夜はお母さんからいつも外に出されなかったからか、暗い道というものは……未知が大好きな子供は喜びの対象だった。

 

 

 

 

び、びびびぃぃぃ

 

 

 

「……?」

突如、壁上から…変な音が聞こえた。

 

 

 

 

「……誰か居るの?」

問いかけるも返事はない。

 

 

 

「誰も居ないの?」

 

 

 

ギギギギギシシシシィィィィ

 

 

扉と風窓からは軋んだ音が返事のように響く。

 

 

 

 

「………………」

まぁ、■■からしたら…誰か居るなら居るで話すが、居ないなら居ないでどうだって良かった。

 

 

 

ぺたぺたと廊下を歩き続ける。

 

 

しかし、自分の呼吸しか聞こえてこないというのは…辛いものなのだと■■は分かった。

 

 

聞きたいことがあっても、隣に人がいない。話しかけたくても手を繋いでくれる人はない。温もりが欲しくても返事をしてくれる人は居ない。

 

 

孤独というのは……得てから初めて、無くなった時に苦しくなるのだと理解した。

 

 

「……お母さん……」

と、■■が呟いたとき。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴパァァァン─────ッ

 

 

 

 

 

 

 

 

窓の外で〝何か〟が落ちた。──ぐしゃぐしゃぐしゃ

 

 

 

 

肉が潰れる……〝昔聞き馴染んだ音が聞こえてくる〟

 

 

 

ぴちゃぴちゃ…と、その時の衝撃で吹き飛んできた液体が頬に付着した…。

 

 

 

「…………」

息が止まる。心臓の鼓動さえも停止した気がする。

 

 

 

震える手で……自分の頬に……触れる……。 生暖かくて………妙に粘っこくて………もう……二度と触れたくなんてない………そう決意していたものが…指先に付いていた。

 

 

 

 

「……………ァ…………あぁ……ッ…」

勝手に喉は絞られた、……〝あの時の〟情景が脳内を掠める。

 

 

 

 

 

痛い─────痛い─────痛い─────。

 

 

 

 

暖かさを知ったから、人の温もりを知ったから、冷たい拳で殴られ続けるのが人生じゃないと知ったから、血を流し続けるのが人生じゃないと知ってしまったから。

 

 

 

 

 

■■は歯を…カタカタと鳴らして……目の瞳孔は収縮を繰り返し、呼吸は荒かった。

 

 

 

そう……それは明らかに……〝恐怖していた〟。

 

 

 

───でも、知っている。

 

 

〝これ〟に、敵意はない…殺意もない、悪意もない、だから。怖がる必要も拒絶する必要も否定する必要もない。

 

 

 

■■は袖で頬についた血をゴシゴシと拭い、パチンパチンと頬を叩くと。まずは口を開いた。

 

 

 

「あの、大丈夫ですか!?」

先ほど、……恐らくだが上から落ちてきた人に向かって。

 

 

 

でも、窓の外を見ても…誰も居ない、それどころか…ガラスに付着していた返り血も存在していなかった。

 

 

 

「あれ……」

思わず目を丸くしながら首を傾げて、戸を閉めた。

 

 

 

 

カタカタカタカタカタカタカタ───

 

 

 

「……?」

不意に…後方の扉から…音が聞こえた。不思議そうにしながら、振り向くと──────────

 

 

 

 

「………………」

………まずは、目を見開いた。──でも、それを、見ても…特に怖いとか…恐ろしいとか…そういう感情はもう出てこなかった。

 

 

 

〝すごく身長が高くて、腕も足も長くて、やはり髪も長い女性〟

 

 

ご尊顔は…生憎だが見れなかった。

 

 

 

しかし、■■が一番最初に思った感情は驚きでも何でもなかった…

 

 

「…………どうやったらそんなに大きくなれるんですか!?」

 

 

 正直、この空間の事をその人に聞くよりも………一番重要なことだと思った。

 

 

 この世界の人たちはみんな大きい、そして大きい人は皆すごく強い。

 

……お母さんも形が変わったら…大きくなるし、鈴仙さんも…大きいし、……霊夢さんは…まだ普通だけど……唯一小さいと思っていた妖精さんたちですら………チルノさんや…大妖精さん……果ては…ブラックさんやホワイトさんに関しては…大きいどころの騒ぎじゃなかった……しかし、この人は少し違う───大きいではなく、高いのだ……、種族が違えば大きさの差異はある程度わかる……でも、あの人は完全に人間で…あの身長だ…、きっと…何か答えがあるはず。

 

 

だから、強くなって皆を守れるような人間になりたい■■は反射的にそれを聞いてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

■■が質問をしてから、かなり間が立つが……その人は返答してくれない、…考えてくれているのだろうか……だとしたら■■は急かすことなく待つことにしよう。

 

 

 

そう…待とうとしたとき。

 

 

 

──────消えた。

 

 

 

 

瞬きをした瞬間に、その人はもう居なくなってしまっていたのだ。

 

 

 

だが、どうしても……■■は質問の答えが欲しかった。

 

 

 

目を爛々と輝かせて、■■は……先程の人を探そうと廊下を歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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異形郷───その近郊からは外れた。

 

 

ひとけのない道外れの林の中、そこに…一軒…家が建っていた。

 

 

内装は異形郷の中ではマトモ───いや、綺麗すぎる部類に入り、白やベージュを基調としていて…色数も少なく、ごく普通の家具で構成された内装は……普通の家といっても良かった。

 

 

 

『なぁ……〝霊夢〟……そろそろ俺も行っていいだろ?別の世界に行きたいんだよ…』

 

 

 

呆れた声音で台所から顔を出すのは、異形郷とは明らかに似合わない人間で……東洋人の黒髪を整髪料でウニやハリネズミのようにツンツンとさせた…パットしない顔の青年だった。…一つだけ特異なところがあるとすれば…右腕が義手で隻腕だという点だろうか。

 

 

 

 

「駄目だ」

 

それをきっぱりと、否定する少女───博麗霊夢。

 

 

 

またも異形郷とは似合わない、朱と白を基調とした巫女服を着用している少女は、……これまた似合わぬ〝十字架〟を首から紐で吊るして下げていた。しかし、それ以外は特に普通であり…髪を結ぶ赤白のリボンも…彼女の正常さを表していた。

 

 

 

 

『はぁ……』

明らかに疲弊したため息を吐くのに対して、霊夢は不思議そうに声を掛ける。

 

 

 

「何故、そんなにもこの世界から出ていきたいんだ?」

 

 

『アンタ実はバカだろ……』

思わず隻腕の青年は半目で言ってしまう。

 

 

 

「もう一度質問しようか。何故、この世界から出ていきたいんだ? この異形郷は素晴らしい……我が主のご帰投を待ち続けるには…最適の場所だろう?」

 

 

 

それを聞いて、青年は……再度大きくため息を吐いた。

 

 

 

『……こんな化け物だらけの世界を素晴らしいとかいうの辞めて?嘘かホントか分かんないから』

 

 

 

その答えを聞くと、何故か霊夢はやれやれと頭を振った。

 

「愚か……あまりにも哀れだ。この世界のいと素晴らしきことが…理解できないとは…」

 

 

『じゃあ、逆に訊くが。この世界のどこらへんが素晴らしいんだよ』

 

 

 

 

 

「………………………」

 

 

 

 

 

 

『おーい?霊夢さーん?聞こえてますー?どうせ、皆から無視されてるし、良いところなんて一つもないんだろー?』

 

 

 

 

 

「ふむ、どうやら……我が主の事を会話に出している輩がいる。私はもう行くよ…」

 

スクっと…ソファから立ち上がると……足早に…しかし、急いている様子は醸し出さずに歩きだす。

 

 

『艇の良い言い訳言わないで?おいちょ…っ、……今日は紫さんの所行くから夕方前には戻ってこいよー!』

 

 

そんな母親じみたセリフを聞きながら…博麗霊夢は玄関を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『次は何処行くんだよ……』

 

 

現在。東風谷早苗から話を聞き、モリヤ神社から出てきた矛盾点と霊夢は……会話も交わさずに歩いていたのだが。

 

 

 

あまりにも、霊夢の行き先が予測できないため…一応矛盾点は口を開いていた。

 

 

 

 

「カチカチカチカチ」

 

 

 

その返答に矛盾点はもう呆れも生み出すこともなく、デスヨネー…といった感情しかなかった。

 

 

 

『なぁ、霊夢。』

 

 

「カチカチ?」

まだ、…疑問符を浮かべてくるのがわかる程度に首を傾げてくる。

 

 

歩きながらでも矛盾点は言葉を紡いだ。

 

 

 

『まだ、お前からは聞いてなかったが…■■って、…どんな奴だった?』

 

 

「…………………」

 

質問をしたら普通に歯鳴らしで返答されるのかと思ったら…何故か黙りこくられた。

 

 

 

すると、何故かプンスカと怒りながら…霊夢は歩調を速めていった。

 

 

 

『は…、はぁ…?』

理不尽すぎるだろ…と思いつつも…矛盾点も歩調を速めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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空もドームのようなもので覆われ、陽の光すら入らない街───〝変異の街〟…ヴァリアントタウン。

 

 

 

 

 

そこに、矛盾点と霊夢は踏み入れていた。

 

 

 

ふと、視線を左右に振る。

 

 

………辺りでは……意外と(?)活気付いており、これも始祖が負を肩代わりしまくったからなのだろうか…。いや、だったら…この世界観そのものを変えろよ。…と、そんなどうだっていいことを考えながら霊夢に付いていく。

 

 

 

 

 

【営業してます】

 

 

 

『……?』

そんな看板を通り過ぎ、階段を上がっていく。

 

 

 

 

そして、カランコロンと…鳴る扉を開けると…。広い露台の中で経営している飲食店……のような場所に出た。

 

 

 

(ああ、ミスティアの酒場……だったか?)

心の中で思案しながら、辺りを見渡す。

 

 

 

 

………異形………異形……、異形……。

 

 

何処を見ても、やはり異形しか居ない。早苗や霊夢、紫で慣れてしまったが……今思えば異形っていうのはしゃべれないし、理性は皆無に等しい化け物だもんな。妖精とかの異形は……特にヤバいし。

 

 

 

と、そこで。

 

 

「貴方が…矛盾点さんですか?」

 

背後から少女に声を掛けられた。

 

 

まぁ、誰かは直感でわかる。……無言で軽く振り向くと…やはり当たっていた。

 

 

 

全身…噛まれたかのような〝古〟傷、目には白い布を巻いて目隠しをして、4本の腕を持っている少女。────魂魄妖夢だった。

 

 

 

『……紫から聞いたのか?』

 

 

 

端的に聞くと、妖夢もえぇと頷いてきた。

 

 

 

「立ち話もなんですし、お食事でもしながら話しませんか?■■君のことを聞きたいんですよね?」

 

 

 

(………)

────ここの飯…美味いのか…?……そんな言葉は抑えて矛盾点は霊夢と共に妖夢の指した席に座った。

 

 

 

 

「カチカチカチカチ」

隣に座る霊夢が何か言うと、妖夢はわかっています…と微笑みながら…店員に「いつものを」と、常連のように頼んでいた。

 

 

 

そうして、食事が運ばれてくる間。

 

「さて、……何が…聞きたいんですか?答えられる範囲なら全て答えますよ」

 

 

『……じゃあ、■■ってどんな奴だったかを教えてくれるか?』

 

 

その質問に、ふむ…と妖夢は暫し考えるような動作をとった後、唇を開いてくる。

 

 

「とても良い子…。そして、魔理沙さんや私にもそうですが……どんな異形にも怖がらない…偏見を持たない……そんな子供だった印象がありますね」

 

 

 

『なるほど……。じゃあ、■■が生きていた時に話していたこととかあるか?』

 

 

 

「…………うーん…。そう…ですね……それならば〝風見幽香〟さんの元に行ってはどうでしょう。…あの人は■■君とかなり一緒に居ましたし、魔理沙さんや……霊夢ちゃんを抜けば紫さんと同じくらい■■君の事を知っていると思いますよ」

 

 

『そう…か。』

なんだろう。会話がすぐに終わってしまいそうで…気まずくなる……………が、矛盾点は訊きたい事を思い出して口を開いた。

 

 

 

 

『そう言えばなんだが……、お前らは幻想郷を何回壊してるんだ?』

 

 

多くて3回、少なくて、1回ほどだと矛盾点は思っていた。しかし─────

 

 

 

 

「幻想郷…?───〝いいえ?〟 一回もありませんよ。それに、私たちも…もう…外来の者たちと争う気なんてありませんし、…勝てませんから。」

 

 

 

『……………』

思わす目を見開く情報だ…。……やはり、今までの情報を統合すると…本当にここは…〝異形の廃園〟で合っているのか…?

 

 

 

 

 

 

 

そんな矛盾点の思考を理解しているのか、それともしていないのか…それは不明だがゆっくりとした口調で妖夢が言葉を告げてくる。

「まぁ、続きは食事の後にしましょう。……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『なぜだ……なぜ地味に美味かったんだ…。見た目はあれなのに……』

 

先程のグロテスクな、外面とは裏腹に食事は案外喉を通った。

 

 

まぁ、矛盾点も普通ではないため…これが本当に美味しいかは不明だが。

 

 

 

と、トコトコと先導するように歩き続けている霊夢の背に視線を送る。

 

 

 

(ここが【異形の廃園】だとすれば……霊夢って仮面取れるよな…。)

 

 

そう、俺もよく事実は知らないが……どうやらこの世界の異形霊夢はただの少女らしい。

 

 

あの世界線だと…〝終幕劇〟で終わった為、よく分からないが。コイツは本当に……、不思議だ……と、またも矛盾点はどうだって良いことを考えていた。

 

 

 

『…………あ、そうだ。』

 

 

「………?」

 

不意に、思いついた考えを……声に出してしまった矛盾点に、訝しげな視線を霊夢は向けてきた。

 

 

『いや、これから行くのって……あのフラワーマスター幽香の所だろ?だったら………空飛んでいったほうがいいかなぁって…。』

 

 

「…………」

すると、霊夢は関係ないと言わんばかりに首を振って森の出口を指さしてきた。

 

 

『………は?』

 

 

「カチカチ」

 

 

『もしかして……お前は行かない系?』

 

 

「カチカチカチ」

肯定のように軽く頷いてくる。

 

 

『……………が、頑張りまーす…』

 

 

幽香の機嫌……とれるかなぁ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そうして、ぷかぷかと浮かびながら慎重にその花畑を進んでいた。

 

 

「………あら、……貴方が…お母さんが言っていた…〝矛盾点〟…とかいう…男…かしら?」

 

 

すると、花畑の中心の…草(?)の塊から上半身を生やす……少し癖のある若草色の髪と宝石のような輝きを湛える紅の瞳が特徴的な女性───風見幽香がチラリと……鋭い視線をあてがいながら尋ねてきた。

 

 

 

『……ああ、そうだ。』

矛盾点はほんの少し身を強張らせながら言うと、幽香は微笑みで返してきた。

 

 

 

「別に取って食ったりしないから安心して、……■■の事を聞きに来たんでしょ?」

 

 

 

話を通してくれている紫に心の中でナイスを送りながらも矛盾点は口を開く。

 

 

 

『……お前は知ってるのか?』

 

 

そう問うと、幽香は……遠い目で何かを思い出すようにしながら…頷いてくる。

 

 

「ええ……覚えてるわ…。……それで?どこから話したらいいのかしら?」

 

 

『……端的にで大丈夫だ。要約でもして話してくれ』

 

 

 

これまた、幽香は顎に手を添えて悩むような動作をとり………数十秒後、口を開いてくる。

 

 

 

「最初は……そうね。魔理沙が幻想郷に行ってから始めて帰ってきた時に〝あの子〟を連れていたのよ────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜■〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日はいつも通り、花たちの世話をしていた。──何故かは分からないが…最近は花の育ちも良く、すくすく伸びていくので幽香も笑うことが増えていた。

 

 

 

 

そんな普通通りの日だった。彼女が帰ってきたのは。

 

 

 

「よう、〝幽香〟。帰ってきたぞ──」

 

 

聞き馴染んだ声なのに……その声の主とは思えぬほどの語彙の高さに驚きながら振り返ると……やはり予想どおり、そこにいたのは───霧雨魔理沙だった。

 

 

 

しかし、ボロボロで黒いモノトーンが入っていた魔女服は〝色〟が付いており、……白と黒を基調とした存外綺麗な魔女服となっていた。

 

 

 

口の拝めない顔は同じ。不自然にうごく魔女帽も同じ。しかし、……何故だろう…良いことでもあったのだろうか…彼女は幸せそうに見えた。

 

 

しかし、そんな疑問は今は置いておいて……幽香も口を開く。

 

 

「あら、結構早かったわね…。てっきり後数十年はいると思ってたわ」

 

 

そうして、……魔理沙の背後…に一人の男の子が居るのに気付いた。

 

「……人間?…まさか、あの世界から拾ってきたの?」

 

思わず目を見開いて尋ねると、…魔理沙はカラカラと笑ったまま続けてくる。

 

 

「コイツは──■■。俺の息子だ。」

 

 

 

最初は何かの冗談かと思った…。しかし、その男の子が魔理沙に向ける視線……魔理沙が男の子に向ける態度、…それら全てが…まるで…〝親子〟のように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜■〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話を一通り聞くと、矛盾点は興味ありげに口を開いた。

 

『……そもそも、……何で、…霧雨魔理沙は幻想郷に行ったんだ?』

 

 

「それは、お母さんからの頼み…。と、聞いてるわね。……確か、…〝調査〟の為に…不死身である魔理沙が条件に合致して…幻想郷に行ってたわ。」

 

 

『調査?』

思わず尋ねると、幽香は続けて唇を開く。

 

 

「後で詳しい事は話すけれど…。とにかく、幻想郷という世界に居るはずの…〝異常〟を探すために魔理沙は行っていたはずよ。……まぁ、…その異常が…■■なのだったけれど…。」

 

 

(なるほど…?)

と、心の中で仮納得すると…。次いで生まれた疑問を口にする。

 

 

『……何か、この異形郷はおかしくないか?』

 

 

「おかしい?」

矛盾点が言った言葉に逆に幽香は首を傾げてくる。

 

 

『ああ、……なんて言ったら良いんだろうな。…明らかに齟齬館があるんだよ。……』

 

 

何か、違和感がある……重大なところを見落としているような……。

 

 

 

 

この幽香からは特に…〝何か〟を感じる。…早苗の時にもそうだったが……………。

 

 

 

と、そこまで考えて矛盾点はハッとして顔を上げた。

 

 

 

幽香が怪訝そうに眉をひそめてくるが、矛盾点はぶつぶつと一人で思案する。

 

 

 

─────そうだ……なんで忘れていた。

 

 

コイツラからは…〝決意の香り〟がするんだ。……何者…そんなの…一人に決まっている。

 

 

 

まさか……始祖の…〝決意〟は─────

 

 

 

「ちょっとー?聞いてる?」

と、そんな思考を打ち消すような幽香の声が耳元から聞こえ、…思案を止めた。

 

 

『ああ、スマン。それで、さっきの話の続きだが……お前は……いや、お前たちはどうしてそこまで■■を慮る?──どう考えても【優しくされたから】…だなんて理由でこんなにもならないだろ……逆にそのせいで怒るやつも居そうだし…』

 

 

……幽香はその質問に講釈を垂れることなく……答えた。

 

 

「私たちは彼にとんでもない、恩があるから…。それと……これは私的にだけど……………彼がこの世界には勿体ないぐらい良い子だったからよ」

 

 

 

矛盾点は訝しんでいると、幽香はくすっと笑ってきた。

 

 

「あなた、…あんまり理解できてないようだけど……お母さんから…幻葬狂と〝あのクソ女〟の事は聞いた?」

 

 

(? クソ女…?)

なぜだろうか…、幽香は幻葬狂の単語よりも…その言葉に殺意と憎しみを込めているような気がした。

 

 

『幻葬狂って……あれだろ?…なんか…、変な奴ら。』

 

 

「……………」

漠然とし過ぎている…、または語彙力のなさ過ぎる矛盾点に呆れたのか幽香は額を抱えてため息を吐いた。

 

 

『…ってか、そうじゃん。アイツラが攻めてきたときに紫とか魔理沙も…その時に殺されたんじゃなかったのか?』

 

その問いを幽香にぶつけると、……幽香はそれが答えかのように指をさしてきた。

「……そう。…それは、お母さんも言ってたわ。 本来ならば私たちは全員死ぬ運命だったってね。 でも、彼が……幻想郷の延命線に位置する〝全ての世界〟から負を肩代わりして…取り去ったのよ。だから、それに属する私たちの運命は少し変わり助かったし………その事実を知っている者たちは彼に多少は感謝している…」

 

 

 

 

『…………』

その説明を聞くと、…思わず汗を垂らして…しまう。

 

 

────コイツラも分かっているが……能力とか異能だと勘違いしてんだな……。それよりも、…やっぱりアイツの〝決意〟は【負の肩代わり】…。

 

 

………アイツの〝決意〟強すぎるだろ…。

 

感情、事象、現実、運命────〝負〟と形容できるものならば…すべてを肩代わりできる能力……。

 

 

しかも、俺たちエラーは…目的意識がある限り死ぬことはなく……付加価値では精神面の自立さは最強レベルとなる。──だとすれば……エラーと、とんでもなく噛み合った〝決意〟だ。

 

 

 

────それにしても、…… 

 

『なぁ、幽香。』

矛盾点が声をかけると…なぁに?と、幽香は目を細めてくる。──まるで、次の質問などお見通しのように。

 

 

『お前がさっき言った…〝クソ女〟って…誰のことだ?』

 

 

 

「………」

それを聞くと、幽香は大きく息をついた。

 

 

「……正直、……異形郷のみなは…あの時を思い出したくないと思うわ…。……アイツの手で…沢山の異形が死んだんだから…。」

 

 

『……?』

眉を歪めるが、…話を遮ることはなく矛盾点は耳を傾け続ける。

 

 

と、続けて幽香が話をしようとしたとき。

 

「─────その続きなら私がするわ」

そんな言葉ともに……どこからともなくスキマから…紫が顔を出してきた。

 

 

『……なんだよ急に。』

矛盾点が苛立たしげに言うも、紫は微笑むのみで……明らかに何かを企んでいるような顔だった。

 

 

「いーえー?単純に幽香よりも、私が話したほうが良いと思っただけよー?」

 

ニコニコと言ってきやがる………矛盾点は殆ど何かあると確信していた。

 

 

『…………』

 

 

「と、言うことで…。矛盾点も快く私の話を聞きたいと言ってるし。良いわよね?幽香。」

 

 

「まぁ…別に大丈夫だけど…。」

 

 

(誰も快く言ってねぇよ…、)

やはり異形郷の奴らは全員めんどくせぇ……と、思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在。太陽の花畑からも離れ、再び…矛盾点は…その部屋に足を踏み入れていた。

 

 

 

流石に、あの黒い虫みたいに動く椅子に座るのは気持ち悪すぎたので壁に寄りかかって話を聞いているのだが…。

 

 

 

 

「はい、というわけで、皆そろったかしら?」

 

 

 

 

「カチカチカチカチ」

 

 

 

『……みんなっつっても…。三人しか居ないだろうが。』

 

 

紫が爛々とした口調で、声を上げると。それに対して矛盾点が突っ込む。

 

 

 

 

「まぁ、まぁ、細かい事は気にしないの。」

そういいながら…再度…カップに注がれたお茶(?)を飲む紫。

 

 

 

『それで?続きを話してくれるんだろ?……』堪らず話を催促すると、…紫は…大仰に肩をすくめて返してきた。

 

 

「はぁ…。……あんまり気持ちの良い話じゃないけど。……流石に、…幽香の口から言わせるわけには行かないものね。」

 

独り言をぶつぶつと紫は呟くと、次いで話を始めた。

 

 

「……■■がやってきてから…3ヶ月ほどかしらね。…〝四月二十七日〟…の七時五十二分…。その女は……いいえ、女たちはこの世界に来たわ……」

 

 

 

 

「名前を───そいつは、『ボクは【クラウン】。世界を観測する摂理…さ』……そう名乗った。」

 

 

 

「……更にクラウンと名乗る女は………とある…少女たちをこの世界に介入させてきた。」

 

 

 

矛盾点が強い反応をせず静かに聞いていると……。…紫は淡々と言葉を紡いできた。

 

 

 

 

 

「……妖怪の廃山や濁霧の湖を襲った少女は……左手に手甲鉤を付け、兎の耳がついたような…外套を羽織り……目が隠れるほどにフードを被っていた」

 

 

「街を襲った少女は……所々が凍った戦鎌を持ち、虫食いに遭ったかのようにボロボロとなっている和装を着ていた…」

 

 

 

「永遠亭を襲い…妹紅、輝夜、鈴仙、永琳、てゐを殺した少女は………女仙人のような格好に……T字の釘を持っていた」

 

 

 

「地底を襲った少女は、……穢れた翠色の魔女服を着た…少女だった」

 

 

 

「紅魔館を襲い。レミリア、フラン、咲夜、美鈴、パチュリー、十三騎士団たちを…殺したのは……禍々しいほどに無骨でうねった骨を首から腰にかけて着ているかのような少女だった」

 

 

 

「冥界を襲ったのは……自分の、首や手首に枷を付けて…鎖鎌と薙刀を持った少女だった。」

 

 

 

 

「魔理沙と霊夢と…私を襲ったのは…緑と赤を基調とした道化師のようなピエロのような格好をした女…だったわ………。」

 

 

「そして───その結果、特殊な異界に住む異形とモリヤ教の信者、モリヤ神社に関する異形を除き全ての異形が〝殺されたわ〟」

 

 

 

 

『────は?』

 

 説明を……というか、その時の出来事を聞いて…その直後に出てきた感想はそれだけだった。

 

 

 

 まるで、紫は…そんな反応をされるとわかっていたかのようにため息を吐いていた。

 

 

 

 

─────おかしい。

 

 

 

『負けるはずないだろ…。』

そんな言葉は自然と出てきた。

 

 

 

 

『この世界の異形の強さを全部知ってるわけじゃないが、そんな簡単に負けるわけないだろ!』

 

 

確かに、霧雨魔理沙はまだ分かる。

 

アイツは確か、異形の廃園では…特段…強い能力も持っていなかったはずだ。

 

しかし、紅魔館と永遠亭は訳が分からない。

 

 

魔王───レミリア・スカーレットも、異形妹紅と異形輝夜も……全てチート級の強さで…俺ですら相手にするのは面倒くさくなる相手だ。

 

 

何故、…早苗が何も手を出されていないのに……レミリアや輝夜は手を出されている?…それも、訳が分からない。

 

 

 

すると、矛盾点の疑問を理解しているのか…紫が答えてくる。

「……あの女は…最初から…狙ってなかったのよ。」

 

 

 

『……?』

 

 

 

「……アイツは…ただ、■■を苦しめるためだけにこの世界にやってきて…全員を殺し回ったのよ。───私や…霊夢に関しては…魔理沙と■■の目の前で死んだわ…」

 

 

 

『…………じゃあ、何でモリヤ神社の巫女と信者たちや…異界の奴らは何も手助けしてこなかったんだ?』

 

異形の廃園では紫が殺された瞬間に早苗がそいつを祟るシーンがあった筈だ。だったら…何故。と、矛盾点が疑問に思っていると………紫は苦虫を噛み潰したような顔で答えてきた。

 

 

 

「……………精神系の能力は…最初っから奴ら…に効かなかった…。それに…冥界以外の異界は……あの女の手で〝閉ざされた〟…だから、…そもそも……手助けなんて出来ないし…前者の方は…手助けにもならなかったのよ。」

 

 

 

 

『…………でも、だとしても…。たった七人に…殆どの異形が……』

未だに煮え切らない態度を取る……矛盾点だったが…すぐに…思い出した。

 

 

 

そう、異形の殆どは一度…■■の手によって過多の負を肩代わりされている。

 

 

そして、…少なからずこの世界の異形どもは…負を糧にしている場合が…多い。

 

 

だったら……

 

 

『弱体化…してるって…ことか?』

 

 

 

「………そうよ。…その上で…奴らは私たちの全てを知っていて……それに…完全なる不意打ちだった。──結局は…私たち全員平和ボケしてたのよ…。あーあ、これなら幻想郷の一個でも壊しとけばよかったわ…」

 

冗談なのか本気なのか分からない言葉をうわ言のようにぼやく紫。

 

 

 

 

「……と、まぁ…。結果、私たちは殺されたけれど……■■が異形郷全ての負をもう一度肩代わりして…、肩代わりしてきた負の全てを【クラウン】に押し付けることで………一人の犠牲で勝つことができたわ…。」

 

 

 

それが…魔理沙なのだろう…。しかし、それならそれで気になることがある。

 

 

『何で、…お前らは蘇ってんのに…魔理沙は亡くなったんだ?……』

 

 

 

「………【大嘘憑き】……【大現実憑き】…をあの女は使ってきたのよ…」

 

 

ポツリと…まるで、それが答えかのように…紫は言ってきた。………もう、これ以上…この話は思い出したくも…話したくないようにも…見えた。

 

 

 

だから、矛盾点は脳内で完結させる。

 

 

 

 

確か、【大嘘憑き(オールフィクション)】って……『めだかボックス』の「球磨川禊(くまがわみそぎ)」が使ってたやつだよな…。

 

 

そんで、【大現実憑き(オールリアリティ)】は…、別の『東方異形郷』の「霧雨魔理沙」が使ってたパク──オリジナル能力だ…。

 

 

 

 

効果はそれぞれ、【全てを無かったことにする能力】と、【全てを在ることにする能力】。

 

 

そこから…導き出される…魔理沙が…どうにもならなかった理由は…。

 

 

 

 

 

 

 

───────(【クラウン】が…魔理沙の不死性を〝無かったこと〟にして…。死を〝在ること〟にした…?)

 

 

 

 

それならば、不死身でなくなった…魔理沙の死の事実は確定されるし……まだ、決意しか使えない始祖ならば何もできないだろう。

 

 

 

 

 

そして、ここまで聞いてきた物語をまとめると。

 

 

 

 

この世界は【異形の廃園】。

 

 

本来ならば、幻葬狂の…存在たちによって、紫と魔理沙などの異形は死に。

 

 

その後の〝ナニカ〟によって終幕劇を迎える筈だった。

 

 

しかし、幻想郷に〝巡ってきた〟…始祖の【負の肩代わり】という決意によって…その延命線に位置する…すべての負が肩代わりされ……結果……この世界も運命が変わり、紫と魔理沙などの異形が生き残るというイレギュラーが起こった。

 

 

その後、…紫からの調査依頼で魔理沙は幻想郷に向かう。

 

 

その幻想郷で何があったのかは不明だが……その後は始祖を息子として迎えた魔理沙が異形郷へと帰還する。

 

 

 

そして、様々な異形たちとも信頼を築きあった…後。…何故か始祖に恨みでも持っているのか…世界のシステムである【クラウン】が…仲間(?)部下(?)を引き連れて現れる。

 

 

 

弱体化をしていた為か、モリヤ関連の異形・冥界以外の異界の異形を除いて全ての異形が死に絶える。

 

 

しかし、始祖がありとあらゆる負を肩代わりし…全てを【クラウン】に押し付けることで…何とか…撃退(?)した。

 

 

が、【クラウン】の…【大嘘憑き】と【大現実憑き】によって…死が確定してしまっていた魔理沙は…無念にも…死んだ。

 

 

 

(俺ならば…復活させられる……と、思ったが…。やっぱり…既に魂は消えてるか…。)

 

 

 

そう、俺の【堕天噩譚(ルシファー)】ならば…霧雨魔理沙を復活させることも可能だ…。しかし、魂がなければ…記憶も人格もリセットされた粗暴な霧雨魔理沙が顕現するだけだ。それは…やらないほうが良いし…出来ることを言わなくてもよいだろう…。

 

 

 

 

「これで…その時の話は終わっても良いかしら?──できれば…■■の話は…楽しい話をしたいのよ…。」

 

 

矛盾点の顔から…結論が出たと推測したのか。紫が疲れたような顔で言ってきた。

 

 

 

 

『ああ、もう大丈夫だ。…悪いな…嫌な思い出を振り返らせちまっ─────』

 

 

 

一旦難しいことを考えるのを辞めた矛盾点が言葉を言い終える前に……ソイツは現れた。

 

 

 

 

「…なんということだ。…まさか、本当に〝我が主〟を話題にしている者たちが居るとは……。」

 

矛盾点が壁だと思っていた扉を開き、…物が乱雑に置かれた部屋からは…一人の〝巫女〟が現れた。

 

 

異形郷には珍しく、きちんと…一般的な人型で、…紅白を基調とした髪留めと、巫女服を着ているのは…問題ない。

 

 

しかし、ソイツは…首から紐で吊り下げられた十字架を付けており……。明らかに……矛盾点が見覚えのあるいで立ちをしていた。

 

 

 

確かに顔に傷のようなものはない、背後に大剣のような鈍器を持っているわけでもない。

 

 

 

しかし、ソイツは────

 

 

 

幻葬狂の…〝博麗霊夢〟…其の人だった。

 

 

 

 

 

「あら、…彼の作業が終わって…来るまではその中で待機しておいてと言ったはずだけど?」

 

紫が…不愉快そうな目で…博麗霊夢を見ながら…口を開いた。

 

 

 

「うぐ……っ…。そ、それは…本当に申し訳ない…。しかし…っ…!我が主の事を話題に出しているのなら……話は別だろう!」

 

 

 

「全く同じよ。さっさと…入ってなさい」

 

 

「……いや…そういう訳には────

 

 

 

 

 

と、博麗霊夢が一歩踏み出そうとした瞬間。

 

 

 

 

博麗霊夢の右頬をとんでもない速さで射出された針が掠めた。

 

 

 

────正直、俺の動体視力でも見えてギリギリだった。

 

 

 

「カチカチカチ」

 

 

 

「あ…っ…、はーい……。し、失礼しまーす……」

霊夢の凄みに威圧されたのか…すぐに恐縮した博麗霊夢は扉を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、バタン──と、扉は重々しく閉められる。なんでだろう……何か……アイツが少しだけ不憫に見えた…。

 

 

 

『おい、聞きたいことが増えたぞ。なんでアイツいるんだよ!』

 

 

親指で先程の扉を指しながら…矛盾点は紫を問い詰めた。

 

 

 

「………よし…っ!今度は私の話になったな!今度ばかりは出てきても────

 

 

 

 

「カチカチ」

 

 

 

「………お、お騒がせしましたー………」

 

 

もう一度意気揚々と博麗霊夢は出てきたが、…パピュンッ──という妙にコミカルだと感じてしまう音で射出された針が今度は左頬を掠め……今度はもっと恐縮して閉めていった。

 

 

 

 

『……んで、どういうこった?』

 

 

 

 

「……はぁ……。霊夢、一旦牽制は良いわ。……〝博麗〟、出て来ても今は…良いわよ」

 

今度は説明が面倒くさくなったのか…紫はパチンッと指を鳴らすと…扉の奥にいるであろう博麗霊夢を呼び付けた。

 

 

 

 

 

ギィィッ…と、扉がゆっくりと開いた。…物置部屋から拾ってきたのだろうか……防御には心持たなそうなボロボロの看板を盾のようにしながら…ひょっこりと博麗霊夢は顔を出した。

 

 

 

『……アンタ、幻葬狂の博麗霊夢だよな。』

 

そんな阿呆らしさに特に突っ込みを入れず、矛盾点は単刀直入に尋ねた。

 

 

すると、…針の脅威がなくなったことを悟ったのか…看板を床に放り投げると、胸を手を当てて…胸を張って答えてくる。

「君は私の〝本来なるべきだった世界の名〟を知っているようだね。 そう、私の名前は博麗霊夢───、そして…私の世界を救ってくれた■■様にいつか仕える〝下僕だ!〟」

 

 

「はぁ……」

 

「…………」

 

 

 

『………』

紫の呆れたため息と、霊夢の冷たい眼が伺える。いくつか問い詰めたいことがあるが…一先ずは最初の質問を述べる。

 

 

 

『お前、幻葬狂の人間なんだろ?何で、…ここに居る…というか、〝なるべきだった世界〟ってどういう意味だ?』

 

 

 

「おぉー!久しぶりに…〝彼〟以外と…会話が出来た……。いつもは住民たちに絶対無視されるからな…。」

 

他人事にできないようなことをぼやくと、そのまま強がりのようにガハハとわらう博麗霊夢。

 

 

 

「それで、…質問の答えだが…。 先ほどの話で我が主の能力は分かっているだろう?───幻想の延命に位置する世界には…『幻葬狂』も位置している……。もうわかっただろう?」

 

 

 

『……つまり? ここを攻めてきた幻葬狂とは、全く別で、…■■によって負を肩代わりされた結果……優曇華のよる狂化催眠が行われず、…狂うこともなくなった…というわけか。………』

 

 

その答えをつらつやと述べると、博麗霊夢はうんうんと…誇らしげに腕を組みながら頷いた。

 

 

「そう、…私だからこそ…我が主の偉業を認知できたが…。如何せん、他の者たちには…どうやら全く理解できていないらしくてな。 博麗の巫女としての仕事など全て捨ててここに辿り着いたんだ…。 まぁ、この世界にやってきた〝私たち〟の行いには…面目次第もない……」

 

そう言うと、今度は申し訳なさそうな目で…霊夢と紫を見た。

 

まぁ、すぐに足元に針を投げつけられて……下手くそな口を笛を吹きながら矛盾点に視線を戻してきたのだが。

 

 

 

『………』

 

まぁ、幻葬狂の博麗霊夢は…平行世界などを認知しているようだし…世界の物語性を知っているせいで……始祖の行動を認知できた……って…ことでいいのか?

 

何だか、煮え切らないが…。異常たちが起こす事象なんて…意味が明確に説明できなければ…始祖ですら〝そういうこと〟としか、表現できないのだし…深く考えるだけ無駄か…と、納得しようとしたが……もう一つ疑問が浮かんだ。

 

 

 

 

『じゃあ、お前どうやって此処にきたんだよ。』

 

マッドシップもない、そもそも世界の座標も分からない。ならどうやってコイツ来た。

 

 

 

「ああ、それは────」

と、博麗霊夢が言おうとした時。

 

 

 

 

ガチャリ──と、先ほどの壁みたいな扉が再び開いたと思うと…

 

 

『紫さん。荷物全部運び終わりましたけど、これで大丈夫っすか?』

 

 

 ガラクタを入れた箱を持ったツンツン頭の隻腕の青年が入ってきた。

 

 

 

『…………………』

 

 

 

明らかに、もう明白に……矛盾点はその顔に見覚えがあった。

 

 

 

『……』

ソイツもコチラの顔を見て動きを止めた。まぁ、なんでここにいるんだ…って二人ともなるわな。

 

 

「ありがとう───と、言いたい所だけど…。もしかして、知り合い?」

二人の顔つきを察してか、紫がそんな事を言ってくる。

 

 

 

『……あー…まぁ、…そんな所ですね…』

隻腕の青年は苦笑しながら…矛盾点と目を合わせてくる。

 

 

 

『………何万年ぶりだ?こんな所で会えると思ってなかったぞ…〝基準点〟』

 

 

 

その名を紡ぐと……隻腕の青年───基準点は軽く笑いながら拳を突き出してきた。

 

 

矛盾点はその合図に、…基準点と同じく軽く笑うと…コツンッと…拳を当てつけた。

 

 

 

すると、コホンと咳払いをした博麗霊夢が口を開いてきた。

 

 

「さて……矛盾点よ、先ほどの話に戻るが……何故…私がここに辿り着けたのか…その答えが…彼だ」

 

 

 

『…? 何か、話ししてたのか?』

話を混乱させないためか、お互いに何故…ここに居るのかは尋ね合わずに話題に沿って基準点が問うてくる。

 

 

『ああ、ちょっとな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、基準点にも話を通し、基準点が納得を示してくる…。

 

 

 

『ていうか、お前が幻葬狂からここに転移させてやったんだな』

 

 

 

『ん?ああ。偶々巡った場所で……何か変な宗教活動してる奴が居ると思ったら……何故か〝主人公の香り〟がしたから…話を聞いてやったんだよ。…そしたら、我が主とかいう訳わからん奴の話をベラベラとさせられて……とにかく…別の世界に行きたいとか言ってたから……残穢を辿ってこの世界に行き着いたんだよ。……まぁ、後から聞いたから今は分かるけど…俺もコイツもかなり嫌厭されていてな…。…コイツの主とやらが帰ってくるまで居てほしいとか言われたんだよ。────ほんとに…、家事もやらないわ…わがまま言うわ、…世界は化け物だらけだわで……良いことあったの紫さんが居たことだけだわ…ほんとに……。』

 

 

矛盾点が…苦笑で返すと、…何故かいきり立つようにズカズカと博麗霊夢は基準点に詰め寄り、指を基準点の胸にズシズシと当てる。

 

「あのなぁ!良いことが一つもなかったというのは聞き捨てならないぞ! 君には我が主の雑用係として雇ってやると言っているだろう!」

 

 

『……それ、俺になんのメリットもないんすけど。』

 

 

『いや、そうとも限らないぞ。』

 

 

『……は?』

 

矛盾点が片目を閉じながら、…基準点を一瞥し言うと、……意味が分からないといった様子で目を丸くされた。

 

 

 

『……お前、かなり…ツイてるな。』

 

 

『は?だから、何が。…』

 

 

『ソイツが我が主我が主って…言ってるの。〝始祖〟の事だぞ』

 

 

 

矛盾点がほんの少し強調した単語に紫も霊夢も博麗霊夢も首を軽くかしげた。

 

しかし、基準点は……持っていたガラクタ入りの箱を落としかけてしまうほどに…驚いていた…。

 

 

 

 

『…いや、流石に…冗談だろ?』

 

 

『いんや、ほんとだ。──しかも、ここは…アイツが異常となって、間もない頃に巡ってきた世界だ。』

 

 

「……???」

博麗霊夢は自分の主の事なのに、全く知らない話で目をぐるぐるとさせていた。

 

 

しかし、すぐに基準点の服を腕でぎゅっと掴むと…前後に大きく揺さぶる。

 

 

「〝当麻(とうま)〟!どういう事だ!…何故貴様が…我が主の知らない面を知っている!」

 

 

『わーったって!教えてやっから揺らすな!』

 

 

 

基準点──が、面倒くさそうに叫ぶと……ゼェ…ハァ…と、肩で息をする博麗霊夢が深呼吸をして…口を開いた。

 

 

 

『始祖ってのは、…お前が我が主って言ってる奴の別称だ。…名前がちょっとややこしいから…俺たちは…この名で呼んでる。』

 

 

「【我が主って言ってる奴】…だなんて、適当な名で呼ぶな!」

 

基準点は律儀に教えたのに。博麗霊夢は…何故か怒り、そのまま基準点にタックルをする。

 

 

『いっつー!お前な! デフォで力強えんだから…タックルなんて……。しかも…腰にしないでくださる!?』

 

 

「……ふん。私の下僕に過ぎん分際で…我がぬ───コホンッ…〝始祖様〟に適当な呼称をするからだ。」何故か【始祖】という単語を強調し、誇らしげに…胸を張りながら…悪びれることもなくそっぽを向く博麗霊夢。

 

 

 

 

『はぁ……、俺が苦労して辿り着いたのに、お前は…運でここに来れたのかよ』

 

先ほどの一連の流れを華麗にスルーし、矛盾点は基準点に対して毒づいた。

 

 

 

『いてて……。…ああ、そうだな。でも、お前が来るまで……この世界でよく話になる■■が始祖の事だなんて分からなかったぞ…』

 

 

 

「……ふーん…。なるほどね、…■■はこの世界を去った後にも…何かやってたのね。」

 

 

「カチカチカチカチ」

 

 

矛盾点と基準点の台詞から、何を汲み取ったのかは知らないが…大雑把には何かを理解したのか、紫と霊夢が感慨深い声を上げてくる(尚、一方は声と表現していいのかは不明だが)。

 

 

 

 

……と、…今は紫も霊夢も…ついでにだが博麗霊夢も居るし。今度はコチラの話でもしてやるか。

 

 

そう意を決め、………矛盾点は動く気持ち悪い椅子に腰掛けた。

 

 

『…さて、と。…今まで聞いてきた礼だな。……今度はコチラが話そう。───お前も丁度いるんだし、適当な椅子〝作って〟座れ』

 

 

『……えぇ…。俺もか?』

 

 

 

 

「………!!」

博麗霊夢は全員に視線を送り、みなが座っていることを理解する。……… 

 

 

「…はぁ。話が長くなりそうだし……特別に座ってどうぞ」

 

憂鬱そうな顔で紫がそう言うと、博麗霊夢はぱぁっと顔を明るくさせて…ソファにちょこんと座った。

 

 

椅子に座れた─────よりも、紫から話しかけられた…事実の方に喜んでいる気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、一つ目の…質問良いかしら。」

 

 

『ん、何だ?』

 

 

 

 

「……今更こんな場を設けてきたってことは…貴方が…最初に説明してきた過去は…妄言…ということかしら?」

 

 

 

『ああ。そうだ。』

なんの逡巡もなく、矛盾点は答えた。

 

 

 

「………ふっ…。ま、良いわ。じゃあ、二つ目の質問…貴方たちは…一体何者?」

 

 

漠然とし過ぎた質問に…矛盾点はため息を吐きながらも…盗聴防止のために指を鳴らした。

 

 

 

『……一から説明するのは…かなりだるい。だから、要約して話す。……俺たちは……まぁ、お気付きかもしれないが…普通の登場人物じゃない。…本来ならば絶対に出てこない…脇役だ。』

 

 

「じゃあ、…何故、…その脇役は…ここにいるのかしら?」

 

 

『〝呪い〟…あれを知った…もしくは、教えられたせいだ』

 

 

次の質問など分かっているため、矛盾点は続けて唇を開く。

 

 

『……俺たちが言う…〝呪い〟っていうのは………なんていうんだろうな。──この世界が…観測されていること……そして……■■されていること…を指す言葉だ。』

 

 

 

「…? 今、なんて言ったの?」

 

 

 

『ああ、悪い。前者はまだ良いが……後者をお前らが聞いたら……異常に成るから駄目だ』

 

 

 

「次の質問。貴方たちには……世界を渡る力はある?」

 

 

 

『…ある。というか、異常に成る前だろうと…脇役ならば誰だって世界自体は渡れる。ただ、記憶も人格も全く別物になっているだけだ。』

 

 

 

「…なるほどね…。…じゃあ、次の質問。異常とやらには……何か特異な力はある?」

 

 

『それも…イエスだな。俺たちには大きく分けて……〝決意〟と〝覚悟〟という分類をもつ二つの能力を持てるかもしれない権利がある。───直接的な破壊能力や攻撃能力を持たない…〝決意〟、物理的な干渉・操作などの軽微なものや世界そのものを壊せるような万能な力の…そもそも主人公格でなければ…回避という概念を起こすことができない〝覚悟〟…この二つがある』

 

 

 

 

「………最後の質問。貴方は……いいえ、貴方たちは…あの子の〝何?〟」

 

 

 

 

 

『……それは言っただろ。──元復讐、そして今は…綺麗に死にやがったアイツに…辛く楽しい生を享受させるために動いてるだけの異常だ。』

 

 

 

「じゃあ、貴方は?一応、あの子と面識あるんでしょう?」

 

 

『え?あ、俺は。───恩人に…救われて…それで、何ていうんだろうな……〝対等になりたい〟…って言うのが願望ですかね…。』

 

 

紫の質問が終わり、息を吐いたのもつかの間。今度は博麗霊夢が口を開いてきた。

 

 

「質問だ。……■■様は……いったいどのような…御尊顔をしている…。」

 

 

珍しく(?)真剣そうに言ってきたのに…。とんでもなくバカバカしいことをソイツは尋ねてきた。

 

 

『……あー…。びっくりするほど普通。と言うか寧ろマイナ───』

 

 

「は?」「ガヂガヂ」「……あ?」

 

 

 

『えーっとね、うん。すっごくかっこいいよ!びっくりしちゃう。うん。』

 

 

 

流石に…紫と霊夢もプラスでブチギレたような声を上げられると…矛盾点もお世辞を使ってしまうものである。

───

 

というか、霊夢に関してはあれは歯鳴らしの音ですらないだろ…骨噛み砕いてる音だろ……。

 

 

 

「では、次の質問だ。■■様は…一体どのような力を使う?」

 

 

 

『……能力か…。…分かってるのは…五つ…いや、今日聞いたのも含めて6つだけだけど良いか?』

 

 

「六つもあるのか? では疾く聞かせてくれ」

 

 

 

 

『えぇー…っと。まず一つ目。

 

 

 

・【爻盡六王(サマエル)】:主に空間と時間操作の能力。応用がかなり効くし、アレがある限り通常の物理法則じゃアイツに勝てない。

 

 

・【凍哀六王(サキエル)】:氷塊をかなり自由な形で生成して冷気の生成・操作ができる。アイツはこの能力が一番使いやすいって言ってたな。

 

 

・【獄炎六王(ミカエル)】:シンプルに炎を作り出せる。扱いが難しい上にやり過ぎると自分の服も焦げるから使ってるとこは殆ど見たことないな。やろうと思えば、周囲数キロを焼け野原にして、超高圧爆発も起こせるらしい……やられたことないが。

 

 

・【暴颱六王(ラファエル)】:主に大気と天候の操作能力。………地味だし、殆ど【爻盡六王(サマエル)】の劣化みたいな能力だから特に強くない。

 

 

・【䨓怒六王(ラミエル)】:雷の生成操作…。【暴颱六王(ラファエル)】と組み合わせると、結構化ける。…雷雨にしながら帯電と雷速で動いてくるんだ。……一回あの状態に■■と戦ったことあるが…めちゃくちゃ面倒くさかった。

 

 

・【負の肩代わり】:さっきお前らが言ってた能力だな。恐らくは負の肩代わりに上限はないし、やろうと思えば…敵意も殺意も戦意も消せるから……究極の無戦主義者みたいな能力だ。まぁ、肩代わりしてきた負を押し付けることもできるみたいだし…中々にエグい能力でもあるが。

 

 

 

 

・【無盧無奥(■■■■)】───一応アイツと同じ、異常(エラー)でもなす術なく…何も理解できずに殺された能力だ。何を操作しているのかも不明。……でも、……普通の世界でやろうとすると…世界そのものが消滅する。そのせいで…もし、その世界が大事なら使わずに手加減しないといけない。

 

 

 

 

 

 

 んま、これくらいだな。……これで満足か?』

 

 

 

 

 

「何と…、我が主は…そんなにも……うぅ………あぁ」

 

 

 

『なんで泣いてんだよお前……』

 

能力説明しただけで号泣されたのは長い人生観でも初めてだぞ…。

 

 

 

「質問は終わりだ……、感謝する……」

 

 

 

『……はぁ。』

 

 

一段落ついたことに、矛盾点は安堵の息を漏らした。

 

 

そう言えば────

 

 

『お前、一個も質問答えなかったよな。』

 

 

『仕方ないだろ。…そこまで始祖に詳しくねぇんだよ。』

 

 

 

と、基準点と会話を交わした瞬間。いつの間にか…博麗霊夢がすぐ隣にまで歩いてきており……話しかけてきた。

 

 

「矛盾点…。■■様が居るという世界に…向かうことは可能か?」

 

 

 

『………行けないことは…ないが────』

 

 

矛盾点が言い切る前に、博麗霊夢は顔をぱぁっと明るくして…腕を掴むと上下にぶんぶんと振ってきた。

 

 

 

「ならば、早く!…あの方の御尊顔を見るだけでも良いから!」

 

 

 

『…………』

正直、…コイツを連れて行きたくないのだが…。そうしないと…ガキみたいに喚き始めるだろうし…、仕方ないか。

 

 

 

 

 

そう思い、【堕天噩譚(ルシファー)】を顕現させる。………──────しかし、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『─────は?』

 

 

 

 

 

 

「…?どうした?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗霊夢からのシンプルな疑問に……矛盾点は答える。

 

 

 

 

 

 

 

『開かない…。……あの世界に…施錠がされている!』

 

 

 

 

 

矛盾点が思わず叫んだ言葉に…、博麗霊夢以外は…何かを思案した。

 

 

 

 

「な、何だ…施錠というものは…」

 

 

 

『…簡単に言ったら…あの世界が…鎖国国家みたいになってんだよ。…クソ…ッ……俺の【堕天噩譚(ルシファー)】じゃ、流石に破れん……』

 

 

 

 

『……始祖が施錠するってことは……バレたか?』

 

基準点の不安げな質問に、矛盾点は首を振る。

 

 

 

 

『ありえない。…もし、バレたなら…あっちから逆探知で能力が、送り込まれてくるはずだ。それをしてこないってことは…、あっち側で…何かが起きたのかもしれない…』

 

 

 

『…? そう言えば、今の始祖が居るのは…何の世界なんだよ。』

 

 

『確か、〝デート・ア・ライブ〟…とかいう─────』

 

 

 

 

そこまで言ってから…、気付いた。

 

 

 

 

そうだ。俺は…あの世界に二回…干渉してしまっている。一度目はシスタスの回帰の手助け、二度目は…この世界と…死ぬ寸言の始祖の中で残穢を辿って…繋げた…異形郷のリンク。

 

 

 

 

俺は…二回も干渉した……つまり、未来はこの時点でかなり変わってしまうということで……。未来が変わったということは、…【クラウン】が現れるということ…。

 

 

 

やっぱり…、俺が一周目のあの世界の裏側で見たのは…【クラウン】とかいうシステムだったのだ。

 

 

 

でも、あの【クラウン】には…始祖への執念も何もなく、…簡単に俺が倒せる程度の摂理で…、まるで…自分の目的を忘れていたような……。

 

 

 

 

 

──────まて…。

 

 

 

──────まて。

 

 

 

──────まさか。

 

 

 

 

あの時のクラウンは……記憶喪失のような状態になっていたのか…?だとすれば、辻褄が合う……。■■にこの世界で負を与えられすぎた奴は…記憶を失い…数億年の間…役目を忘れて…システムとしては完全に仕事を放棄している状態にあった。

 

 

 

でも、……もし、俺が関わりすぎたせいで……クラウンが起きてしまっていたら?

 

 

 

 

始祖がわざわざ、奴を目覚めさせぬように自制をしたいた世界で…不躾にも俺が干渉し、未来が変わってしまっていたら…?

 

 

 

そして、クラウンは……弱体化しているとは言えたった7人で異形郷を半壊させるほどの者たちがついている。

 

 

 

始祖に……、失う者が…守る者がある始祖に……勝てるのか?

 

 

 

そして…、仮定の仮定で…もし…ナニカあったのだとして…それで…鎖国状態になったのだとしたら?

 

 

 

 

 

 

『──────マズイ』

喉から絞りでたのは……焦りが凝縮されたような声だった。

 

 

 

 

俺が…唯一…奴らの救いを見出せそうなのは…シスタスだけだ。………もう、…俺たちは…手を出せそうにない。

 

 

 

 

シスタス…お前だけが唯一の…頼みの綱だ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どう…、したんだよ。矛盾点…』

 

基準点が訝しげに矛盾点に問いかける。

 

 

『……悪い…。今から…話す。……けれど、俺も、仮定の仮定でしかない…だから。半分冗談で聞いてくれ…』

 

 

 

そんな…冷や汗をタラタラと…垂らす…矛盾点の容貌に…事態のとんでもなさが…この場の四人に伝わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 












『特段ドラマもない物語に悲劇があったとしても、悲しむ人なんて誰も居ないし、登場人物に共感する奴なんていないよ』









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