デート・ア・ライブIF 【エラー】   作:セルヴェイエ

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『はいはい、皆さんどうもこんにちわー


この物語は、……えーっと…なんだっけ。あ、そうそう。この作品の狂三編と、【デート・ア・ライブ】の小説……まぁ、全巻?…うんそうだね。全巻読んでないとよくわかんないー!って人が出てくるかもぉ…。まぁ、この狂三編だけでもわかると思うけど…一部よくわかんないよ!ていうか、多分じゃない…絶対によくわかんない所が出てくるから特に関係ないし、ジャンジャン読んじゃってー! では、どうぞー!』


















矛盾点 【 】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────どこでかけ違えたのだろうか。

 

 

 

『……やっぱり、これしかないよな。』

ぽつりと呟く。

 

 

 

 

世界は酷く無情だ。だからこそ、アイツラを幸せにするために俺は歩み続けるしか無いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、精霊たちを転移させたか。で?君はどうするんだい?」

 

 

 

現在───。〝佐藤〟は危機的状況だった。

 

 

 

本当に最終決戦。彼は始原の精霊が恋焦がれていたとある青年を蘇らせた。

 

 

結果、始原の精霊は闘争の意志をなくしてアイツラに敵意を向けなくなった。

 

 

次いで、佐藤は自分の天使に願い事をもう一つした。

 

 

─────(世界から精霊を消してほしい)

 

 

佐藤の天使は速やかに、その〝意図〟を汲み取り願いを叶えた。霊力を持つ者たちの天使・霊装を消し去り、霊力を全て無くす。肉体を持たない者は肉の器を与えた上で霊力を消し、精霊ではなくした。

 

 

 

でも、精霊ではなくなった彼女らは此処にいれば危険極まりない。だからこそ、【爻盡六王】で〈フラクシナス〉含む全ての関係者や戦艦を安全な場所に飛ばした。

 

 

 

しかし、力を使い過ぎた彼はエレンの光刃を首に突き立てられても抵抗などできなかった。

 

 

 

「アイク。【神蝕篇帙(ベルゼバブ)】はどうなりましたか?」エレンは佐藤に刃を突き立てながらも後方の男に尋ねた。

 

 

「消し去られてしまったようだ。……始原の精霊も、精霊ですらなくなった今。…〈デウス〉を追いかけて…私の身体に精霊術式を埋め込むこともできないね。」チラリと佐藤を一瞥して更に口を開く。

 

 

 

「君はこれを解除できるのかい?」

 

 

『は…ッ…。無理だよ、俺にはそんな力残ってない』

 

 

ウェストコットはそうか、と端的に頷くとエレンに指示を送った。

 

 

『……ぁ…、ぐ…っ…』

その瞬間、佐藤の腹部に光刃が突き立てられ、熱く…とんでもない痛みが佐藤を襲った。

 

 

「彼は嘘を付いてもなさそうだ。────それに、彼をこれ以上生き延びさせても面白くない。」

 

 

そんな冷酷な言葉と共に鷹禾の腹部から光刃が引き抜かれ、今度はもう少し上部に刃が突き立てられた。

 

 

 

 

『……ぎ……ぐぅ…っ』

 

 

───何もできない。

 

 

だって、自分に残った力はもう無い。天使は自らの願いで消し去った。〝覚悟〟は、…使えるほど体力が無い。

 

 

詰み…? でも、でも。ここで俺が死んだらアイツラはどうなる?

 

 

抵抗もできないだろう。精霊が消えた世界では…エレン等は正真正銘最強と言っても過言ではない。

 

 

鷹禾を別場で気絶させられたとは言え…今の俺がエレン・メイザースに勝てる方法─なん、て。

 

 

言っていてから……〝気付いた〟。

 

 

そうだ。まだ残っているじゃないか。

 

 

〝僕〟が一番嫌いで…一番大好きな能力たちが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「………っ!?」

エレンは、目の前で俯く佐藤から突如として発せられた殺意に狼狽を隠せずに思わず仰け反りながら引き下がった。

 

 

 

『あー、…やっぱり外れると…なれないなぁ……。』

そんな軽口めいた言葉と共にパンパンッと佐藤は服を叩いて泥汚れを取った。

 

 

 

「……は…?」

エレンは佐藤の身体を見て…素っ頓狂な声を上げてしまう。何故なら…、先ほどまで与えていた傷の全てが消え去っているからである。

 

 

 

『……ふふ…っ。〝見間違い〟じゃないんですか?』

 

 

 

「何を───」

エレンが紡ごうとした言葉は最後まで出せなかった。それは……佐藤を起点にして、まるで…ドライアイスから出てくる煙のように…〝霧が噴出してきた〟。

 

 

『…改変は…霧を出すのが…限界か…。』

 

 

そんな声が、〝後方から〟聞こえてきた。

 

 

「……?!」

顔を驚愕に変えながらも、腕を十字に固めて佐藤からの攻撃を防御するエレン。

 

 

しかし、佐藤を追い打ちをかけるようにその文言を並べる。

 

 

『長嶺 星屑 欠片の永劫 粒たり光……

 

【己壊虚我輪廻無間獄】─【絶望過負荷世界(マイナスリアルディスパイア)】』

 

 

 

ピキリ…、とそんな、陶器が割れるような音とともにエレンの真隣の空間が割れた。

 

 

 

 

 

『そうさ、分かってるよ。僕は正攻法なんかで貴方たちに勝てるわけない。だから……、搦手を使わせてもらいますよ』

 

 

 

「ぎ…っ…、がぁッ!?」

空間から吐出してきた手に腕をつかまれた瞬間。エレンの脳髄にとんでもない痛みが走る。

 

 

眼球が飛び出そうになり、脳みそをかき乱されるような、抉り出されるような痛みである。

 

 

「き…っ、さまぁぁ…ッ!」

痛みに顔を歪めながらもエレンは、光刃を振りかざして佐藤に肉薄する。

 

 

 

『無駄』

しかし、その男の手が光刃───いや、随意領域に接触した瞬間。またも陶器が割れるような音とともに〝壊れた〟。

 

 

 

 

そして……随意領域すら壊れたエレンがそのまま男に滅多打ちにされるのは…想像に難くなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『やっと……終わった……。』

エレンという壁がなくなり、ウェストコットも無力化させることに成功した佐藤は…ポツリと…そんな言葉を呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

─────あと、何が残ってる…?

 

 

 

─────あと、何をすれば良い?

 

 

 

 

 

 

『もう………〝疲れた〟』

 

 

 

終わったんだ。……あとは…今から発動する俺の死後の能力で全てが事足りる。

 

 

 

 死者は蘇る。俺との思い出を持つ人間の記憶、俺の情報が残っている情報・写真が全て消える。

 

 

 

 

 

 

もう、良いじゃないか。みんな…ハッピーエンドだ。ウェストコットの人格を平和なものを変えた今、この先の未来にはハッピーエンドしか待っていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい…!佐藤…ッ!」

と、その時。…佐藤はそんな呼び声が鼓膜を震わした。ハッとしたが…いつもの調子で振り返り、口を開く。

 

 

『どうした?』 

 

 

「どうした…って…、お前…。」

振り向くとやはりそこには【主人公】の五河士道が居た。

 

 

 

 

『アイツラはどうした』

 

 

「……あ、…俺以外の奴らは皆寝ちまってる。安全だと思ったから来たんだけど…良かった。〝お前も無事だったみたいだな〟」

 

 

『………………そう………………だな。』

 

 

「…佐藤?」

 

 

『あぁ、いや。何でもない』

 

 

 

「じゃあ、ウェストコットはどこに居るんだ?」

 

 

『別場で気絶させてる。』

 

 

「じゃあ、【封解主】でチカラを封印しに行くよ。」

そう言うと士道は鍵の天使、【封解主】を顕現させた。

 

 

『ああ、行って来い。…(〝お前は…ずっとそのまま…あの人たちを…幸せにしてくれ〟)』

軽く笑うとそのまま士道の背を押してやった。

 

 

「佐藤! 色々と本当にありがとうな!事が終わったら〝あとで〟沢山お礼するからな!」姿が見えなくなる直後に士道は大きな声で佐藤にそう言うとそのまま見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

『あとで……か。』

一人になった佐藤はポツリと呟く。

 

 

 

分かってるさ。もう…後なんてない…。きっと、あれが士道との最後の会話だろう。

 

だから、〝背中を押してやったんだ〟。

 

 

 

 

『痛い……』

 

胸がズキズキと痛む。張り裂けそうで何かがぐちゃぐちゃと暴れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『チッ……もう、死にかけかよ。』

 

トボトボと…アイツから少しでも離れようと歩いた時。前方から足音とともにそんな声が聞こえた。

 

 

 

 

まるで佐藤を模したような真っ黒い外套に真っ白い仮面。そんな姿をした青年は仮面を外しながら口を開いてきた。

 

 

 

『お前、本当に死ぬぞ。……何か他の事を考えろよ。』

妙に苛立ちげに青年────矛盾点が言葉を吐いてくる。

 

 

 

しかし、佐藤はどこまでも冷淡に言葉を返す。

『どうだって良い……、もう……別に…、死のうが……どうでもいい…』

 

 

 

『………お前。…何でこんな意味不明な事してんだよ』

 

 

『意味不明って……制限のこと…? でも、これしか摂理(システム)を出さない方法はなかったから。』

 

 

 

『死んでも……本当に良いのかよ…』

 

 

『……僕が死んでも誰も何とも思わないよ。…、まぁ…少しは悲しい顔を作りそうな人たちは記憶を消すから…。』

 

 

 

『ちげぇよ…。お前は……〝これで終わり〟でも良いのかって…聞いてんだよ』

 

 

 

『………? もちろん』

 

 

『………じゃあ、何で……〝泣いてるんだ?〟』

 

 

そこで、矛盾点にそんな意外なところを指摘されて目を丸くした。試しに自分の瞼を擦ってみると…確かに…涙を流していた。

 

 

『あ…、れ…?おかしい…な…。何で…だろ…』

ポロポロと…佐藤の頬を伝う雫にただ……困惑しながらも…その雫が止むことはなかった。

 

 

 

『本当にこれで終わりで良いのか?こんな上っ面だけの〝ハッピーエンド〟がお前の求めていたものなのか?』

 

 

 

 

『良いんだよ』

 

 

 

『……っ』

佐藤が微笑みながら言った本心に矛盾点は歯噛みした。

 

 

 

 

『……もう……大丈夫。』

矛盾点に言われてやっと気付いた。

 

 

確かに自分は…心の奥底で虚しさを感じていた。

 

 

結局こんな事をした所で誰も悲しんでくれない、誰も自分の事を慈しんでくれない、誰も褒めてくれない、誰も評価してくれない。

 

 

 

 

 

 

 

『これで……良かったん〝ですよ〟……』

目の前の景色が涙で覆われていく。唇をかみしめて必至で決壊してしまうのを堪える。

 

 

 

 

 

 

 

 

十香さんはもうデットエンドにはならない。きっと僕の居なくなった後の世界でも精霊の皆や士道さんたちと幸せになってくれるはずだ。

 

 

 

四糸乃さんはもう弱くなんかない。よしのんに頼りきりの日常は終わりを告げた。きっとこれからは…強い人間としての道を再び歩めるはずだ。

 

 

 

狂三さんは悪夢をもう見ない。きっと…自分が死んだ後の世界では紗和さんや…〝あの狂三さん〟とも会える……それを見れないのはちょっと惜しいけれど。

 

 

琴里さんは親友を喪う事はない。これからも士道さんたちや元精霊の皆や〈フラクシナス〉の人たちと面白可笑しく生きて欲しいな。

 

 

 

夕弦さんや耶倶矢さんは出生の事を知った後でも変わらずに…本当に仲良く支え合って生きていけるだろう。

 

 

 

美九さんは…どうだろう。……海外進出できるのかな。いや、きっとできるだろう…。あの人の歌は声は人を幸せにするモノだ……。男性への恐怖症が多少はなくなることを願いたいな…。

 

 

 

天香さん…結局…あなたは…救えませんでした…。ほんっと、馬鹿みたいですよね…貴方を…笑顔にする幸せにすると言っておきながらこの始末……。でも、死後の能力で世界に顕現できるようにはしておきますから……そしたら士道さんが…天香さんを幸せにしてくれるだろう。最後の最後で人任せ……ほんと…ゴミクズだな…。

 

 

 

 

七罪さんは……自分を肯定することができている。士道さんや四糸乃さん…それと元精霊のみんなと一緒にいれば…きっと自分が凄い事をしているってわかるはず…。

 

 

 

折紙さんはもう過去の苦しみに囚われることもない。…折紙さんは澪さんとも仲良くできるかな。精霊の居なくなった世界ではどういう生き方をするんだろう…。

 

 

 

二亜さんは…きっと二次元以外にも目を向けてくれる。偶にあの人が年長だと分からなくなるくらいに飄々と巫山戯たりしてるけど…本当に仲間のことが大事なのは伝わってくる。漫画は…もっと続いてくれるかな…。

 

 

 

六喰さんは、家族と仲直りできるかな…。普通の少女になった後は士道さんへの強烈な独占欲はマシになるだろうか。でも……考える必要なんて…ないか…。

 

 

 

ニベルコルは……真実点が一体の存在としてこの世に再定義させた。確か……「ベル」さん…だっけ…。真実点に惚れ込んでるし…もう悪さもしないだろう…。

 

 

 

ウェストコットはあの男を、ウェストコットたらしめる部分は書き換えておいた……。誰かの絶望ではなく、身近な者の希望に…な。

 

 

エレンもウェストコットが様変わりしたことを知ったらもう士道たちを狙うことはないだろう。それに…アイツからは随意領域の展開の仕方を忘れさせてる。仮に狙おうとしても無駄だ。

 

 

 

澪さん……。やっと…あの人を救えた…。もう、あんなエンドが幸せと思える事はない。…真士さんと一緒に…もちろん、士道さんや真那さんや元精霊のみなさんとも……トゥルーなんかじゃなく、ハッピーの…終わり方を迎えて欲しい。

 

 

 

真那さんは死んだ人たちの蘇生と同じように身体の改造も消える。…澪さんや…士道さん……もちろん、真士さんや…元精霊のみなさんとも…百寿を迎えるぐらい長生きして欲しいな…。

 

 

 

 

 

士道さんは良い人だ、この世界でもう一度あの人の事を見てみて分かった。紗和や響、夕映(ゆえ)(ツァン)やカリン、シスタス…それに支配者(ドミニオン)たちもきっと僕の行動が都合よく士道に置き換わった後の世界でも上手くいくはずだ。それに…もう僕なんか居なくても士道さん一人でみんなを幸せにできる。

 

 

 

 

 

 

 

────大丈夫なんだ。それ…、なのに……

 

 

 

 

『何で……涙が止まらないんだろ…』

拭っても拭っても……口は勝手に絞り、目から落ちる雫の量は多くなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……』

それを見ていた矛盾点は複雑そうに顔をゆがめていた。

 

結局、コイツはただの子供だったのだ。すこしだけ善の心を持っていた子供。

 

 

善の心を持ってしまったばかりに、その強大な力をどこに向けたら良いか分からなくなっていった。どんなに善のためにやろうとしても、…結局は石を投げられる。

 

 

だから、自分の事も捨てて、絶対に誰からも否定をされないほどのハッピーエンドを作り上げるために…自分を諦めたんだ。

 

 

 

 

 

『何で…。わざわざ…こんな事をした?』

 

そうだ、コイツは決定的な所が〝矛盾〟している。

 

 

別に良いじゃないか、一部の人間の苦しみを見ようとも…それは至って普通のことだ。それよりも…大切な人たちが幸せに笑顔になることのほうが絶対にいい筈だ…。そんな事…分かりきっている。

 

 

 

 

そんな、矛盾点の質問の意図が読み取れているのか…顔がぐしゃぐしゃになりながらも必死な笑顔を作り返してくる。

 

 

「………僕たち…異常は…誰からも…求められてなんか…いません…。そこにいるだけで…主役たちの人格や台詞が勝手に変わっていき、肉付けされていき、展開も変わってしまう…。そう言う…忌み嫌われる者たちなんです…。だから………だから………一度だけでよかった……〝認められたかったんです〟………お前は凄いって…頑張ったって……。」

 

 

 

「ッ………」

矛盾点は…初めて…〝始祖〟としてではなく、一人の人間としての本音を聞き…唇を噛み締めた。

 

 

 

「お前…バカか?…」

 

 

「ぇ…?」

 

 

矛盾点は本来なら掛けるはずのなかった言葉を紡いでいく。

 

 

「お前の本当の望みは違うだろうが。認められたかったから?褒められたかったから?……確かにそれもあるだろうなぁ?でも、違うだろ……お前は……お前は─────」

 

 

「うるさい!!!!」

そうして、矛盾点が紡ごうとした言葉を佐藤は耳を塞ぎながら叫びで掻き消してきた。

 

 

「良いんですよ!!!僕はただのバカで良いんです!愚かにも【観測者】に肯定をされたかった愚者で良いんですよ!!!!」

 

 

 

 

矛盾点は初めて、こんな始祖を見た。どんな状況でも余裕でどんなに追い詰めても笑みを崩さなかった、……そんな男がただの問答でここまで崩壊するなんて。

 

 

でも、コイツが望みを知らないフリのまま…、綺麗に、清らかに死ぬだなんて俺は認めない…コイツには…俺や他の世界の住人を幸せにした分。コイツには苦労に満ちて幸せになってもらわないといけない。

 

 

 

だからこそ、今度こそ……紡ぐ。その核心を。

 

「お前は…【観測者】どもに肯定されたかったわけじゃない。…………主人公に、主役に……感謝されたかったんだろ? 自分の善行は誰だって覚えていない、そりゃそうだ…お前は全員の記憶を消していっているのだから……。誰にも自分を覚えてほしくないと思ってもいるが、心の奥底では……「ありがとう」って言って欲しかったんだろ。」

 

 

 

 

「……そ…っ…れ…、は……」

初めて始祖は顔を歪めた。もう、涙でぐしゃぐしゃになった顔は見ていられないほど泣きじゃくっていた。

 

 

 

 

「もう一度聞いてやる。お前は…本当にこれで終わりで良いのか?誰もお前の苦しみを知らない…偽物のハッピーエンドで良いのか?」

 

 

 

 

「ぼ…くは………」

始祖は…まるで何かに耐えるかのように唇を噛んでいた。

 

 

 

矛盾点は少し無言になった後口を開く。

「………そんなもので…良いのか?…それは…ハッピーなんかじゃねぇよ……ただの、〝バットエンド〟だ。」

 

 

 

その瞬間、始祖は何かが切れたかのように口を開き始めた。

 

「嫌…ですよ…。」

 

 

 

一度壊れた防波堤のように始祖は続けて唇を開いていく。

「もっと、あの人たちと…一緒に居たいですよ…!あの人たちと…話したいですよ…! もっと…もっと……見ていたいんです…っ…」

 

 

「十香さんも四糸乃さんもよしのんも狂三さんも琴里さんも耶倶矢さんも夕弦さんも美九さんも天香さんも七罪さんも折紙さんも二亜さんも六喰さんも真那さんも…澪さんも…真士さんも……、士道さんも…。」

 

 

 

 

 

観念したかのように吐き出した言葉だが、始祖はそれを否定する。

 

 

「でも……駄目なんです…っ…。居ちゃ駄目なんです!僕という異常が物語に居続けると…いずれ…壊れるん…ですよ…。」

 

 

 

 

『壊…れる?』

 

 

 

「ええそうですよ! 僕のお姉ちゃんたちはそれで死んだんですよ!僕が、…僕が……殺したんですよ!……僕は……もう……嫌なんです……僕が物語の世界に居続けて…世界が壊れるぐらいなら…さっさと死んで別の世界に────」

 

 

 

『次なんてお前にねぇだろ』

 

 

その矛盾点の言葉に、始祖は肩をビクリと震わせた。その内心を知ってか知らずか、矛盾点は言葉を続ける。

 

 

 

異常(エラー)が消滅する…たった一つの方法は。自己目的の消失だ。───何か成したい、何かを叶えたい、ああしたいこうしたい。…そんな欲望の消失…。それだけで異常は消えてなくなる。でも、普通のヤツは欲望が消えることはない……叶えば叶うほどその欲求は強くなっていく……けれど、お前や真実点は…自分に無頓着すぎる…、それこそ…他者の願いを一つ叶えたら消えちまうようにな。』

 

 

 

 

『それを…知ってるなら…何で……わざわざ……終わりて良いのか…とか…聞いてきたんですか……』

それを聞き終わったあと、啜り声も聞こえてくる中で佐藤はポツリと項垂れながらつぶやく。

 

 

 

 

すると、次の瞬間。始祖は面を上げて…涙の跡を付けながらもにっぱりと笑った。…それは痛々しくもあり、本当に幸せそうにも見えた。

 

 

 

 

「もう……良いんです。…確かに…僕は…はたから見れば〝不幸〟なのだと思いますよ…。でも、こんな体質だったからこそ…分かったんです。……お母さんや…お姉ちゃんに出会えた……。だから、きっと……きっと……幸せなんですよ…。」

 

 

そうして、自死の選択。それを…始祖は〝理解〟した瞬間。足先と手先が光の粒子となって消え始めた。

 

 

 

 

『諦めて…良いのかよ…、まだ…あるかもしれないだろ…。確かに…エラーは自己目的が消えれば死ぬ……。でもそれは、新たな目的がある限り生きれるってことなんだぞ!?』

 

 

 

矛盾点がそう言うと、始祖はクスリと微笑んだ。

『昔から変わってないね…。感情と言葉の…矛盾…。』

 

 

 

『茶化すなよ……、俺は……まだ、…お前に生きてもらわなくちゃいけないんだよ……今までのことを……謝罪したいんだよ…』

 

 

矛盾点がいうと始祖は残念そうに肩をすくめた。

 

 

 

『……いつも…想像してたんだ……全てが終わった後に、自分がどんな死に方をするのかを………。でも、でも、たった一人にでも…自分の死を見られるだけ…僕は…普通のモブよりも幸運だよね…。』

 

 

 

「……そう……だ…な…」

 

 

 

『ねぇ…、矛盾点…。僕ってさ……上手くできてたかな…。みんな…幸せにできたかな……』

 

 

 

「……できて…るさ…」

 

 

 

『……僕って……カッコ…よかった…?…それ、とも…最、高に…カッコ、…わる…い…?…』

 

 

「最高に……カッコ…わりぃよ…」

 

 

 

『そ…っ…かぁ……。……ね…ぇ……む…じゅ、ん…て……ん。ぼく……〝しゅやく…みたい…?〟』

 

 

「……あ…あ…、…俺が……確信を持って…言ってやる…。お前は…少なくとも…この世界では…紛れもない主役だったよ…」

 

 

 

 

その言葉を聞くと…始祖は…目に涙をためながらも…嬉しそうにはにかむ…。

 

 

「………よ…か……ぁ……た─────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「………くそだな…〝お前ら〟」

一人、矛盾点は誰も居ない電信柱のてっぺんで毒づいた。

 

 

 

 

 

 

「本当にクソ野郎どもだよ。何か楽しいのか?こんな結果が面白いのか?哀れな子どもがバッドエンドに成るのを見て笑ってるのか?それとも…、意味の分からない話ばかりで〝意味わかんねー〟って批判してんのか?」

 

 

 

────本当に腹が立つ。結局、始祖は二つ目の目的【物語は極限までつまらなくして観測者の観る気を失せさせる】という事よりも…、このクソッタレの世界を諦めることにしたらしい。でも、それよりも……その事を理解できていないアイツラに腹が立つのだ。

 

 

 

 

 

 

無性に腹が立つ。……何か…ないのか? この一手を全て捲れる手段が…。

 

 

 

 

 

『【堕天噩譚(ルシファー)】』

 

───思考を凝縮させ、その万能の力を振るう。

 

 

 

『………まて…、コイツ…。』

 

 

そこで矛盾点は〝そいつ〟を見つけた……さと──始祖がなり得るかもしれないモノを消したはずなのに…特異(バク)となっている少女を。

 

 

 

しかも、ソイツは……

 

 

 

『はは…っ、なんだよ……やっぱり…あるんじゃねぇか…。』

 

矛盾点は〝正装〟に着替えると隣界への歩みを踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は────〝矛盾点〟。

 

 

全ての矛盾を嫌い、始祖に家族を焼き払われ、呪いを独学で知ったエラー。

 

 

始祖を理解するために思考も行動も模倣し、姿まで模倣している異常。

 

 

 

昔までは彼を殺そうとする復讐者。今は……彼に幸せをもう一度教えてやる人間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






『どうでした?観測者のみなさん。もちろん?これは?わたしめ【矛盾点】の回想なのでルートとしては存在なんてしません。



ああー、ごめんこの口調無理。



はい、とういうことでクソッタレの産業廃棄物ども。絶対に全てひっくりかえしてやるからな………始祖の【極限まで物語をつまらなくする】も達成してやる、その上でこの物語の悲劇を全て無くしてやる。……始祖に出来なかったことを俺がやってやる。楽しみにしておけよ?いや、違うな……〝もう二度と観んじゃねぇよクソども〟…。』






あっ、そうだー!因みにだけど異常には【基準点】って奴もいるからーよろしくねー!





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