TS魔法少女 響 作:ときんときん
部屋の中にトーストの焼ける香ばしい匂いが広がる。俺はジャムを塗ったパンを口に運びながら、スマホの画面をスクロールしていた。
「昨夜、〇〇区で魔物の発生を確認。出動した魔法少女によって被害は最小限に抑えられました。」
昨晩のニュースを伝えるアナウンサーの落ち着いた声が、スマホのスピーカーから流れる。画面には、夜の街に広がる異空間の映像、そして魔物を討伐する魔法少女の姿。
(またか……。)
俺は特に感情を動かすこともなく、コーヒーをひと口すする。魔物の発生は、もう珍しいものではなかった。ある時を境に、世界各地で突如として確認されるようになった異形の存在。そして、それと同時に現れたのが魔法少女──魔物に唯一対抗できる力を持つ存在だった。
とはいえ、魔法少女は特別な存在であり、一般人の俺にとってはどこか遠い世界の話だった。
「魔物は極めて危険です。発生が確認された際は、決して近づかず、安全な場所に避難してください。」
(いつも思うが、あんなのを相手にするなんて、どれほど大変なんだろうな。)
命がけの戦いをしているのだから当然だ。ニュース映像には華々しく映る彼女たちも、その裏ではどれだけの苦労をしているのか。少しだけ同情しながらも、注意喚起をどこか他人事に聞いていた。
カチャ、と食器を片付け、スマホの画面をスリープする。時計を確認すると、そろそろ出勤の時間だった。俺は軽く伸びをして椅子を立つと、コートを羽織って玄関へ向かう。
(さて、今日もほどほどに働いて、定時で帰るか。)
そんなことを考えながら、俺はいつもと変わらない一日が始まるはずだと思い込んでいた。まさか、その日が自分の人生を大きく変える一日になるとは知らずに。
「あ〜、疲れたな……。」
オレンジ色の夕焼けがビルのガラスに映り、都市の喧騒が少しずつ静まる時間。俺は仕事を終えて、駅から少し離れた古いビルが立ち並ぶ道を歩いていた。普段なら人通りが少なく、静かなはずの場所。しかし、その日はどこか違和感があった。
ふと、肌にひんやりとした感覚が広がった。
「なんか、寒い……?」
夏の蒸し暑さが和らいだわけではない。むしろ肌にまとわりつくような重たい空気が、じわじわと周囲を侵食しているようだった。ふと空を見上げると、夕焼けが消え、いつの間にか厚い雲に覆われていた。
ビルの壁や道路が、うっすらと霧に包まれ始める。まるで現実の輪郭がぼやけ、別の空間に引き込まれていくようだった。そして、街灯やビルのネオンがチカチカと不規則に点滅を繰り返し、今にも消えそうな古い蛍光灯のように明滅する。
「……え?」
突然の出来事に俺は間抜けな声を漏らす。しかし、この状況はニュースやネットで見たことがある。魔物が発生すると、周囲に異空間のような現象が生じる。これとよく似た現象が報告されていた。俺は息を呑み、じわりと冷たい汗が背中を伝うのを感じる。
つまり、俺は魔物の発生に巻き込まれたのだ。
周囲は異常を示しつつも静寂を保っている。しかし、魔物が近くにいることは確実である。この異常な状況と魔物が近くにいると言う事実で、俺の体が恐怖で小さく震える。
朝のアナウンサーの言葉を思い出す。魔物を刺激しないように身を隠すこと。どこかに隠れなければと震える足を動かす。
その時、視線の先、道端に小さく蹲る人影があった。このような開けた場所では魔物にすぐ見つかってしまうだろう。
俺は咄嗟に人影に近づく。ランドセルを抱えて蹲る少女だ。
「おい、君! そこにいたら危ない、隠れるぞ!」
「! うぅ……。」
顔をあげた少女の瞳には涙が溜まっており、俺を見る表情にも怯えが混じっているようにも見えた。少女はひどく震えており、恐怖で萎縮しきっている。
そうだ、俺でさえこの状況は怖くて堪らないのだから、幼い子からすれば俺が感じている以上に怖いはずだ。そんな時に大人が急に話しかけて、余計に怖がらせてしまったんだ。
俺は自身の浅慮を反省し、しゃがんで目線を合わせてからゆっくりと言葉を紡ぐ。
「すぐに魔法少女が来てくれる。それまで、隠れるんだ。」
「……う、うん。」
不安にさせないようにできるだけ笑顔を作って少女に話しかけると、少女は小さく返事を返す。
「路地裏に隠れるぞ。歩けるか?」
「……はい。大丈夫、です。」
少女は震える足を押さえつけるようにゆっくりと立ち上がる。そうだ、こんな状況で大人の俺までビビっていてどうする。
「よし、いくぞ。」
俺は震える少女の肩を軽く押さえながら路地裏へと移動する。幸い魔物に遭遇することもなく路地裏にあったビルの裏口にまで移動することができた。裏口の扉は開かなかった。
一息ついた俺たちだったが、問題はすぐに訪れた。
ズシン……ズシン……
「ヒッ……!」
地響きのような振動が、ゆっくりと近づいてきた。少女が小さく声を上げる。俺も震えを抑えつつ、そっと路地裏の入口を覗く。
──そこには、魔物がいた。
暗がりの中、異様な輪郭が蠢いていた。岩のようにゴツゴツとした四足の巨体。その表面には無数の赤い光──いや、目が、こちらを探るように動いていた。
不運なことに、路地裏は一方通行になっており、袋小路となっていた。このまま待っていれば、二人とも見つかってしまう。
少女は口元に両手を当てて震えていた。恐怖で呼吸が乱れながらも、それを必死で押さえていた。
魔物への恐怖と、これから俺がしようとすることを考えると、震えが止まらない。俺は震える手で着ていたスーツを脱いで、少女に差し出す。
「……これで、出来るだけ身を隠して。絶対に、動いちゃダメだ。」
「ぇ……?」
震えずに言葉を紡ぐことができたのは奇跡に等しかった。俺はシャツの袖を捲り、裏口のすぐ近くにあるゴミ箱に目を向ける。あれで魔物を撹乱できないだろうか。
横目に見える少女は俺が何をしようとしているのかに気づいたのか、スーツをギュッと掴みながら口をパクパクと動かしていた。恐怖で声が出ないようだが、その表情は俺を止めているように見えた。
俺は少女に目線を合わせるようにしゃがんだ。
「大、丈夫。」
今度は声が震えてしまった。俺は自分の情けなさから自嘲の笑みが溢れるが、少女はとうとう涙を流してしまった。こんな小さな子を泣かせてしまったことがどうにも不甲斐ない。その泣き顔を見ていられなくなり、俺は少女が持っているスーツで少女の頭を覆い隠した。
意を決して裏口から飛び出しすぐそばにあるゴミ箱を両手で掴んで、そのまま路地裏の入り口に向けて走り出す。入り口のすぐそばには魔物がいた。
魔物の無数の赤い目が、一斉に俺に向く。
ガアアアァァァ……!!
「うあああああぁぁぁぁあ!!!」
俺は持っていたゴミ箱の中身を撒き散らすようにして魔物にぶつけて、そのまま魔物の横にある隙間に走り出す。ゴミ箱の中身がうまく魔物に覆い被さるようにぶつけることができ、撹乱になったと思われた。
──その瞬間、左足に鋭い痛みが走る。
「ぐっ、ああぁあああ!!」
痛みに足がもつれて前方に勢いよく倒れてしまう。左足のふくらはぎから血が流れ出し、魔物の前爪には俺のものであろう血が引っかかっていた。
「う、ぐうぅぅうう……。」
ズン…ズン…
後ろからは魔物が近づく音がしている。俺は地面を掴むようにして必死に前に進むが、魔物から距離を離すことなど到底できない。歩いてくる魔物の足音が、段々と大きくなっている。
どうにか起きあがろうと片膝をついた俺に、瞬間、衝撃が走る。
勢いよく前に押し出され、固い何かに強くぶつかる。全身が焼けるように痛くて、でも声を出すこともできずに悶えるような声を漏らすことしかできなかった。
地面に倒れると、地面の無機質な冷たさが俺の身体にも伝わっていく。
(し、ぬのか……。)
その異常なまでの寒さが恐怖を感じさせる。この寒さに身を任せて意識を落とせば、2度と戻ってこれないと確信した。しかし、寒さと共に強烈な眠気が俺を襲う。
(いや……だ……。)
視界がぼやけて、意識が遠のいていく。
『僕と契約するんだ!!』
どこかで、声がした。
──誰の声だ?
『このままでは死んでしまう! 早く契約を!!』
誰の声かもわからない。契約がどんなことかも知らない。しかし、俺は藁にもすがる思いで答えた。
「……た、すけ……て……。」
掠れた声で答えた瞬間、身体が熱に包まれた。
何かが俺に流れ込む。骨の髄まで染み渡るような、不思議な感覚。それと同時に体の寒さが抜けていくのを感じた。しかし、意識は未だに朦朧としたままだ。
そのまま俺は意識を落とす。身体に広がる熱に身を任せるように眠る。そこに恐怖はなかった。
まぶたの裏がぼんやりと明るい。
意識の底からゆっくりと浮かび上がるような感覚。身体の感覚は薄く、頭の奥が重たい。それでも、次第に意識がはっきりしていくにつれ、自分がどこか柔らかいものの上に横たわっていることに気づいた。
天井を見上げると見慣れた丸い蛍光灯があり、視界の端に映る家具も俺のアパートの部屋そのものだ。
(俺、いつのまに帰ったのか……?)
違和感を感じた瞬間、全身にぞわりとした不安が広がる。
(そうだ……たしか、魔物にやられて……。)
状況を整理しようとしたとき、不意に違和感を覚えた。
腕が細い。
喉に違和感がある。思うように声が出ない。
視界の端で、白い髪が揺れている。
そして──身体が、軽すぎる。
(……は?)
恐る恐る毛布をめくると、ダボダボなシャツとズボンを着ている自分の身体が目に入った。その形は、見慣れたはずのものと違っていた。
手を動かしてみる。指が細い。手首が華奢。
喉を鳴らすように声を出してみる。
「……っ」
聞こえたのは、柔らかく、透き通った少女の声だった。
心臓が跳ね上がる。
(な、なんだこれ……!?)
混乱に飲み込まれかけたそのとき、ベッドの横から声がした。
「よかった! 目が覚めたんだね!」
驚いて視線を向けると、そこには──宙に浮かぶ、小さな生き物がいた。俺はギョッとしてその生き物を見つめる。
目の前にいたのは、まるで絵本の中から飛び出してきたような存在だった。
体長は30センチほど。白い体毛に全身を覆われており、淡い水色の瞳が印象的な小動物のような見た目であった。ベッドのすぐそばにあるテーブルに短い足を伸ばして座る様はとても愛らしい。
その背中に佇む光の軌跡が残光を残すようにして揺らめく様は翼がはためいているかのようで神秘的であった。
可愛らしい容姿と神秘的な翼。これらが合わさった存在には思い当たるものがあった。
「妖精……?」
「その通り。僕は君と契約した妖精で、名前はルミナ。よろしくね!」
「あ、あぁ。えっと、契約って……?」
頭の中にぼんやりとした記憶が蘇る。
あの時、確かに声がした。「僕と契約するんだ!!」 そう叫ばれ、朦朧とした意識のなか俺はそれに応じた。
「そう、契約だ。君は魔物に襲われ、瀕死だった。そこで僕は君に契約を持ちかけたんだ。」
ルミナは優しく語る。
「えっと、それは、契約したから生き残れたってことか?」
「そうなるね。君の体は修復不可能なほどの重傷だったんだ。契約が間に合って本当に良かったよ。」
そう言うルミナは安堵と慈愛の表情でこちらを見つめる。つまり、目の前の妖精は命の恩人ということになるのだろうか。
気になることが多いが、俺はこうして話していて1番に感じていた違和感があった。
「なんか、俺の声、というか身体とか髪とか、色々おかしくないか……?」
「……先ほど言った通り、君の体はボロボロで、修復が難しかったんだよ。だから、契約で別の身体に置き換えたんだ。」
別の身体に……置き換えた?
「契約の内容は『魔法少女になる』というもの。つまり、今の君は魔法少女なんだよ!」
……何を言っているんだ、こいつは。
いや待て。じゃあ、声が異様に高いのも、体の線が妙に細いのも、この長い髪も……。
まさかと思い、俺は嫌な予感を確かめるように自身の股に恐る恐る手を当てる。
そこには、何も無かった。
「……ない!?」
俺は思わず声を上げてしまう。
「うんうん。本当に助かって良かった……!」
そんな俺を差し置いて、妖精は一人感慨に耽っている。
「おかしいだろ!! なんだこれ、俺どうなってんの!?」
「ふふふ、向こうに鏡があるよ。立てるかい?」
妖精、ルミナは俺に対して微笑ましいものを見るようにして、室内の鏡を指差す。
俺はベッドのシーツを押しのけて鏡の前に立つ。
鏡には美少女が映っていた。
肌は雪のように透き通り、まるで光を纏った陶器のようだった。そして、その髪は銀糸を編んだかのような純白。光を浴びるたびに、細く揺れる髪の一筋一筋が淡く煌めき、夢幻のような美しさを帯びている。
髪を指でそっと触れると、絹のようになめらかな感触がした。瞳は薄い水色で、まるで氷が陽光を受けて溶けかける瞬間のように淡く輝いている。長いまつげがその色素の薄い瞳を際立たせ、不思議な透明感を生んでいた。
「……嘘だろ。」
俺は呆然としながらも鏡に手を当てる。すると向こうに映る美少女も重なるように手を合わせてきた。
「嘘じゃないとも。君は五体満足で生きているんだ! 奇跡みたいだろう?」
「それは確かにすごいけど! そこじゃねえよ!! 俺、なんで女になってんだ!?」
「だから、身体を置き換えるしかなかったって言っただろう。」
「はぁ……?」
身体を置き換える。ルミナが何度言っている言葉だが、その意味が理解できない。
「じゃあ、俺の元の身体は……?」
「身体の置き換えは契約によって行われている。そして基本的に、契約は一度きりなんだ。」
「……えっと、つまり……?」
「元には戻れないね。」
妖精はサラッと言う。
元には戻れないだと? つまり一生女のまま?
「お前何してんの!? まじで何してんの!?」
「いへへへへ!! ひっはんはいへよ!!(痛てててて!! 引っ張んないでよ!!)」
俺はルミナのほおを引っ張る。
「これしか方法がなかったんだ!! あのまま死んじゃってもよかったのかい!?」
「うっ、それを言われると……。」
そうだ、俺の姿を変えたのは確かに目の前の妖精の仕業だが、それは同時に俺の命を救ったわけでもあるのだ。生死の話をされると流石に強く出れない。
「それに三十路に近い冴えない男から、こんなにも可愛い女の子になれたんだ。少しは喜んでもいいんじゃないの?」
「おい、失礼すぎるだろ!? 少しは悪びれろよ!!」
「いっ、いはいいはい!! なっはっはものはしはははいはろ!?(いっ、痛い痛い!! なっちゃったものは仕方ないだろ!?)」
契約以外に俺が助かる方法がなかったのは理解した。だがコイツの態度がとことん気に食わない。命の恩人に八つ当たりをしているようなものだが、それでも俺は悪く無いはずだ。
「そ、それに! 僕は、君の勇姿に惹かれてやってきたんだ!!」
「俺の、勇姿ぃ?」
なんだ、俺の勇姿って。
「僕は全部見ていたよ! 女の子を守るために自ら囮になった君の姿!」
「あぁ、あれは、別になぁ……。」
「恐怖に怯える女の子に優しく微笑む君を見て、魔法少女に相応しいと確信したんだ!!」
「魔法少女に相応しいって、だから俺、男なんだって……。」
「そんなの関係ないさ! 君のその窮地での勇敢さは、魔法少女の理想そのものなんだ!」
「勇敢ってそんな、ふへへ……。」
魔法少女の理想というのはよくわからんが……。
──褒められて悪い気はしないな!
「……。(この子、ちょっとチョロいのかもな……。)」
「どうした?」
「いや、なんでもないよ!」
ルミナの誤魔化すような返事に違和感を覚えつつ、俺はさらに質問をする。
「俺、外で気絶してたはずよな。お前がここまで運んでくれたんだろうけど、よく俺の家がわかったな。」
「あぁ、それはポッケに入ってた財布から免許証を取り出して住所を確認したのさ。」
「妖精って免許証とか知ってんのな……。」
「それよりもだ。僕と一緒に魔法少女として活動してくれないか! 君なら最高の魔法少女になれるよ!」
「え、うーん。それはなぁ……。」
「もちろんすぐにとは言わないさ。色々と準備も必要だし、返事はそれからでもいいからね。」
「はぁ……。」
ガラガラと横引きの扉を開けて風呂場から出て、上気した体をタオルで包む。
(……よかった。流石に興奮しなかった……。)
風呂に入るには当然裸になる必要がある。自分の体にいちいち興奮していたらただの変態じゃないか。
洗面台の前に立ちドライヤーの電源をつけて髪を乾かす。
(……全然乾かん……。髪、長すぎるだろ……。)
今の俺の髪は背中に流れるほどに伸びている。ドライヤーの風で流れる髪がサラサラと揺れていて綺麗だ。
髪が乾いてきて、ふと鏡を見てみれば、そこにいるのはやはり白髪の美少女である。未だに信じられなくて、手をひらひらと動かすと、鏡の向こうの美少女も同じように手を動かした。
本当に、少女になってしまったんだ。
じっと鏡を見れば、鏡の向こうの美少女も見つめ返してくる。
……こうして見ると、マジで美少女だなぁ。
俺はふいに、この美少女に可愛いポーズを取らせたいという衝動に駆られてしまう。
辺りを見渡すが、ベッドやテーブルなどが置いている清潔な部屋が映るだけで、当然人の気配はない。
意を決して、俺は鏡の前でポーズを取る。
ゆっくりと手を頬の横に添え、小さく拳を握る。肘を曲げて肩をすくめて、唇の端を少しだけ持ち上げる。
鏡に映るあどけなさと妖艶さを併せ持つ美少女の仕草に、俺はじっと見入ってしまう。
鏡に映る美少女の背後に、白い毛玉が見えた。
「うんうん、君も本当は可愛くなれて嬉しいんだろ?」
「!! ぎ、ぎゃああああああああああああ!!??」
誰もいないはずの部屋に、急にルミナが現れた。というか、今のを、見られた!?
「おぉお前!! は、入ってくんなよぉ!?」
「入るも何も、姿を消していただけで君のすぐそばにずっといたさ。僕たち妖精は、契約者のすぐそばにいるよ。」
「変態じゃねえか!!」
声を荒げる俺など意にも介さずに、妖精は続ける。
「それよりぃ〜。随分可愛い仕草だったじゃないか?」
「お前……。」
「大丈夫だよ、このことは誰にも言わないさ。ただ、君の本心がわかって嬉しいだけなん……。」
「……忘れろ。」
「……へ?」
「……忘れろ。それができないなら、お前を殺す!!! お前を殺して、俺も死ぬ!!!」
「うぇ、ま、待ってくれ! 少し落ち着いて……うぼあああぁあああ!!!」
その後のことはあまり記憶にない。ただ、羞恥の感情に任せてルミナを引っ張り尽くしたことだけは覚えている。