追憶の魔女(ジークアクス・二次創作)   作:あべ模型製作所

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架空戦記的に一年戦争を振り返ってみる。


一年戦争・概観

 

 

 「一年戦争」、それは今となっては連邦側のみに通じる呼称となってしまった。

 

 スペースノイドには「ジオン独立戦争」として知られる、宇宙世紀0079年のあの戦いは、地球連邦にとり最悪の戦争だった。1月3日の開戦からの一週間で、サイド1・2・4の三つの制宙権が奪われ、多数の市民がジオンによって虐殺された。

 

 アイランド・イフィッシュの落下はオーストラリア大陸の地形を変え、太平洋地域の壊滅を招いた。

 

 1月15日のルウム戦役では史上最大の宇宙艦隊決戦を挑むものの、得られたものはジオンによる第二次ブリティッシュ作戦の阻止のみで、ここでサイド5は壊滅し、連邦艦隊は壊滅してしまった。

 

 

 その後、V作戦とヴィンソン計画という連邦軍再建計画が立てられるが、9月18日の戦闘により、全てが狂ってしまう。そう、シャア・アズナブル少佐率いる特務部隊による、いわゆる「ガンダム強奪事件」である。

 

 V作戦は計画の変更を余儀なくされた。先行して試験が行われていたガンキャノンと、01ガンダムによって得られたわずかな戦闘データを基にMSの量産計画が立てられた。それがRGM-79、いわゆる「軽キャノン」である。

 

 「軽キャノン」はジャブロー工廠・ルナツー工廠で生産が実施され、一年戦争では千機あまりが実戦投入されたとされる。

 

 彼ら……いや、彼女らが最も活躍したのは、第一次ソロモン会戦だった。多数のマゼラン級戦艦とサラミス級巡洋艦からなる第二連合艦隊と、MS部隊が多数所属する第三艦隊はソロモン攻略に多大な貢献をした。

 

 興味深いのはMS部隊のユニカム(エースパイロット)に多数の女性が見受けられることだ。彼女らは軽キャノンを駆り、あの虚しい戦いにおいて多くの戦果を挙げた。

 

 最も有名なパイロットは小生の戦友、あの懐かしき「ホワイトベース」隊のセイラ・マス少尉が上げられるだろう。

 

 彼女はオデッサの地上戦、ソロモン会戦で活躍し、ドズル・ザビ中将自ら駆るビグ・ザム一号機を撃破したことが挙げられる。

 

 惜しむべくは、あの自暴自棄ともいえるコンペイトウ落下作戦で生死不明となったことだ。一説にはシャア大佐の赤いガンダムと交戦したとも伝えられるが、ゼクノヴァと言われる事象が全てを有耶無耶にしてしまった。

 

 その次に有名なのは、シイコ・ワタナベ(結婚後はスガイ)中尉だろう。彼女の軽キャノンは右肩のビーム砲が撤去された機動性向上型だった。いわば、あのガンダムの運用思想に近いものなのかもしれない。

 

 彼女の戦法は極めて特殊なもので、本来は通信用のワイヤーを敵MSに引っ掛け、急旋回をかけることで相手の動揺を引き出し、死角から撃破するものだった。彼女はその戦法を駆使し、ソロモン会戦で百機以上のジオン軍MSを撃墜した。本物のユニカムだった。

 

 彼女は一年戦争を生き残るものの、つい先日、宇宙世紀0085年にサイド6宙域イズマ・コロニー周辺で行われたクランバトルでガンダムと交戦し死亡した。

 

 まだまだ連邦には多くのユニカムが存在しているが、ここでは割愛する。

 

 

 一年戦争末期、ジオン本国進攻作戦を企図していた連邦に対し、ジオンはルナツー攻略作戦というカウンターをぶつけてきた。

 

 ルナツーを進発した第一連合艦隊は地球をスイングバイして反転、ルナツーに向かうものの、マ・クベ率いる艦隊の主力……ビグ・ザム一個戦隊の猛攻により壊滅してしまった。

 

 停戦交渉を優位に進めるべく、残されたコンペイトウの連邦艦隊はグラナダにコンペイトウ自体を落下させるものの、それはあの不可思議な現象……ゼクノヴァによって阻止されてしまった。

 

 全ての戦力を使い果たした連邦は抗戦を断念、宇宙世紀0080年1月3日に停戦成立となった。文字通り一年に亘る戦争は連邦の敗北に終わり、ジオン公国は月軌道・ラグランジュポイントの制宙権を獲た。

 

 地球連邦は宇宙戦力の縮小を迫られ、今やジオンの拠点となったルナツーで多数の連邦艦船が鹵獲された。

 

 現在、連邦に残された宇宙戦力は、静止軌道より内側の低軌道艦隊のみである。

 

 連邦はこの静止軌道より内側を「絶対国防圏」と定め、軌道ステーション「ペンタ」を拠点に活動を続けている。

 

 

 現在のジオン公国はギレン派とキシリア派の内部抗争が熾烈だとも伺う。これが内戦に拡大するのか否か、その鍵を握るのは、あの行方不明となったシャア・アズナブルだとも言われる。

 

 現在の連邦に介入する余力はないとみられるが、政治状況は「一寸先は闇」である。

 

 

 小生もあの戦争で、いささかの働きをした。残念ながら、全ての努力は無駄になってしまったが……。

 

 戦後は従軍者社会復帰プログラムによって大学教育を受けることが出来、こうしてジャーナリズムの世界の片隅に身を置くことができた。

 

 今後も連邦・ジオンの動向を追ってみようと思う。

 

 

──『アナハイム・ジャーナル0085年夏号』

文責:カイ・シデン

 

 

 

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