ざぁざぁと雨が降る中、その雨の音にも負けないぐらいに賑やかな野球部の部室。
机の上にはバトスピのカードが広げられ、それを囲むように9人の男女が騒いでいる。
「しかし、このカードの保存状態の良さは一種の狂気を感じるぜ……」
「そうだね、スリーブまで全部同じだし、ダンボールの底には乾燥剤も敷き詰められていたしね…」
カードをチェックしながら会話する恭介と理樹。
手に持っているカードはしっかりとスリーブに収められており、傷や痛みは無かった。
「そういえば恭介、ネクサスとブレイブの説明してなかったね、あとバースト」
「フラッシュタイミングの説明もな。よし、やってしまうか」
皆、注目!と恭介が声を上げる。
机の上のカードに集中していたリトルバスターズ一同はそろって恭介に視線を集め。
「カードを見ていて気が付いたと思うが、まだ説明していないものがあるので説明していく。まずはこれだ」
そう言うとカードの束から一枚のカードを取り出し全員が見えるように机の中心に置いた。
「えーと、《光灯る三叉灯台》?」
小毬がくりん、と首をかしげる。
「そう、こういったカードは"ネクサス"と呼ばれる。攻撃や防御に使うことはできないがその効果でバトルや戦術をサポートしてくれるカードだ」
その説明の後に理樹が続ける。
「ネクサスを場に出すことを配置、と呼ぶよ。他のカードと同じくコストを支払って、維持コストも用意しないといけない。でもネクサスはLv1の維持コストが0の場合が多いのが特徴かな」
その説明を聞いていた来々谷はカードを見ながら言う。
「ふむ、絵柄などを見るに戦う舞台を設定するようなものかな」
その言葉に恭介は。
「お、いいイメージだな。そんな認識でオーケーだ」
と返す。
「そしてもう一種類のカードがこれ、"ブレイブ"だよ」
ネクサスの説明が一区切りついたのを見計らって理樹が一枚のカードをみんなに見せた。
「ブレイブ…《砲竜バル・ガンナー》?」
疑問符を出したのはクド。
その疑問に答えるように理樹は続けた。
「ブレイブは条件の合うスピリットと合体することができるんだ。合体したスピリットを"合体(ブレイブ)スピリット"と言ってブレイブが持つコスト・合体時BP・シンボル・属性を引き継ぐんだ」
「スピリットとしても機能する点も踏まえて非常に強力なカードだ。出た当初はそれ以前のデッキが太刀打ちできないほどの強力さだったからな」
どこか懐かしむように言う恭介。
それを理樹はあはは、と乾いた笑いを浮かべながら見つつ説明を続けた。
「ともあれ、ブレイブは強力なカードの一種だから、デッキを組む際に見てみるといいかもね」
そう言いながら理樹は《砲竜バル・ガンナー》を束の中に戻す。
「次は"バースト"と"フラッシュタイミング"だ!」
再びテンションが上がってきたらしい恭介の叫びが部室にこだました。
そして一枚のカードを見せる。
「バーストってのはこの《グラウンドブレイク》のようにバースト効果が書かれているカードを、プレイシートのバースト置き場に裏向きにセットすることで使用可能だ。セットできるのはターンに一回のみ。セットしてから1ターン経過すると張替えも可能だ」
こうやるんだ。と実際にプレイシートのバースト置き場にセットしてみせる。
「その後、バーストの発動条件…《グラウンドブレイク》の場合"相手の『このスピリット/ブレイヴの召喚時』発揮後"だな。それを満たしたときにセットしてあるカードを表向きにして発動する。強力なものも多いが駆け引きの一つとして採用するのも悪くないカードだ」
バースト発動!と恭介が伏せていた《グラウンドブレイク》を表向きにした。実演して見せていたらしい。
「そして最後はフラッシュタイミングだね。ちょっと状況を交えながら説明しょうか」
そんな傍らで理樹がプレイシートに何枚かカードを置いて行く。
「フラッシュタイミングはアタックステップの中に入っているシークエンスの一つだよ。アタック宣言の後、ブロック宣言の後に一回ずつ設けられている。このタイミングで防御側のプレイヤーから手札のマジックを使用することができるんだ」
そう言うと理樹はプレイシートに置かれた《ライト・ブレイドラ》を横向きにして。
「例えば、今《ライト・ブレイドラ》でアタック宣言をしたとする。その次に挟まるのがフラッシュタイミングだよ。ここで防御側、相手プレイヤーからマジックを使用する権利が生まれる。そのあと交互に使用を宣言して、連続で使用しないことを宣言するまで続くんだ」
そう言いながら、今度は場に《ネクサスコラプス》のカードを置く。
「使用できるのはマジックの"フラッシュ効果"のみ。ほら、カードにフラッシュって言葉があるでしょ?その言葉のあとに続くテキスト効果しかこのタイミングでは使えないから注意だよ」
難しいだろうけど、覚えると楽しいよ。と最後に付け加えて理樹は説明を終えた。
「ちなみにメインステップでマジックの使用を宣言するときはメインもフラッシュも両方使える。ただしバースト効果はセットしないと使えないから注意が必要だ」
そして恭介がさらに付け加えるように説明をした。
「これであらかたの説明は終わったよ。細かい部分はその都度聞いてくれれば答えるからね。さぁ、お気に入りカードを探す作業に戻ろう!」
理樹のその言葉に活気づく一同。
そしてカードを見ること数十分が経つと、各々にこれにしょう、これが気に入った等の声が上がり始めた。
「皆決まってきたのかな。謙吾とかも新しいカード入れるの?」
周囲を見回していた理樹が謙吾や真人達経験者組に聞いた。
「ああ、惹かれる効果をもつカードが見つかったのでな」
と謙吾。
「俺様にふさわしい筋肉が見つかったぜ…」
こちらは真人。
「小毬ちゃんと一緒に見てたらぴったりのカードを見つけた」
そして鈴。
「恭介は?」
理樹は恭介のほうを振り向いた。
「俺か?俺は汎用性のあるカードを見直してた。今のデッキから変えるのはほんの数枚だろう」
そういう理樹は?と恭介に聞かれ、理樹は答える。
「僕は結構変えるかな。でもキースピリットは変えないつもり」
そうか、と恭介は答え、そして時計を見た。
そろそろ夕飯の時間というところまで差し掛かっていた。
「よし、今日はもういい時間なので解散しよう。明日はデッキ構築のノウハウについてさらりと説明しながらデッキを作ることにする。もちろん娯楽室のパソコンを使って調べるのもよしだ」
そう言いながら、恭介は未経験者組に小さな箱を一つずつ渡していく。
「これがデッキケースだ。始めてバトスピをやる記念としてプレゼントしよう」
各々にありがとうと感謝の言葉を告げる未経験者組一同。
それに満足した恭介は手をパン、と叩きシメの一言を告げた。
「では、解散。また明日な!」
こうして、リトルバスターズの日常に、バトルスピリッツという新しい風が舞い込んだ。
そう、これはカードゲームを中心に平和な日常を綴った、奇跡の後の青春の物語――。
ということで1話終了。
ここで各個人のキースピリットを晒そうかと思いましたがやめました。
そのほうがワクワク感ありそうですし。
次の話はデッキ作成のノウハウを軽く説明する回になります。
ええ、バトルはまだまだ先なのじゃよ…なんかごめんなさい。
ここまでクドく説明してるSSここぐらいなんじゃね?ってかんじで説明回でした。
あと一話続くんだけどね!
そんなSSですがご愛好の程をよろしくお願いいたします。
ではまた次回で。
そして最後に謝罪を。
以前のパートでカード名やコストを間違えていたのでこっそり修正してあります。
微々たる間違いなのですがここで謝罪の言葉を。
すみませんでした!間違えないように気をつけます!