なんとかならないかもしれない 作:キケンなロウジン
感想、評価、誤字修正大変ありがとうございます。
いろいろあって帰り道。お通夜モードと化したサッカー部から抜けると信助と名乗る同級生に話しかけられ一緒に帰ることになる。サッカー好きということで一緒にボール弄ったり、
そして、次の日。
時間を置いたら少しはマシになってると思った雷門サッカー部は部員がドンドン抜けて大変な状況になっていた。そりゃあ上から圧力かけられて腐敗した管理サッカーなんて好き好んでやりたい中学生はいまい。なんならボクもやりたくない。今から海外にでも飛びたい気分である。
二軍は実質消滅、キャプテンはメンタル最悪。状況は悪くなっていくばっかりだ。
そしていきなりの入部テストだ。
結果としては先輩たちの五対五は楽しかった思い出で終わる。フィフスセクター相手に点を入れた功績でボクが仕切らせてもらって、信助にはGKを任せる。「ぼくキーパーなんてしたことないよ〜!」なんて言ってるが無視。前衛を増やさなきゃ先輩相手なんて勝てるわけないしお前後々キーパーなるやんけ。経験積め。
そこで、いいことを考えついた。信助の耳にだけ内緒の話をする。そこでも「えーできるかなぁ?」とか言ってくる。いいからやれ。
キックオフ、ボールはこちらからだが神童先輩は容赦なく奪いにきた。新入生に花を持たせるつもり無しである。マンマーク。不利である。ここは、
「古手川くん?パース」
「お?おう!」
他の部員のお手並み拝見である。そして、反応が遅い。減点。天城先輩が既に来てるのに気付いていない。減点。他へのパスが甘い。減点。スリーアウトチェンジである。これサッカーだけど。
「押井、シュートだ!やれ!」
「あぁ!おりやぁ!!」
「……【バーニングキャッチ】!!!」
そしてそのシュートは三国先輩の必殺技で簡単に止められた。三国先輩、前世では噛ませ扱いされていたがリアルに見ると中々城砦に見える。俺が一年で相手が三年だからかも知れない。
三国先輩から神童先輩へボールは移る。わざわざボクの目の前で挑発するようにボールを転がす。
なるほど。
なんか、目の敵にされているようだ。一応周りを見て「よそ見をする暇があるのか!【プレストターン】!」おっと。抜かれてしまった。ボールは綺麗に繋がっていき誰もカットできない。最終的には倉間先輩へと回っていく。
「【サイドワインダー】!!!」
容赦なく噛みつかれて決められた。信助は素人なので止められなかった。なんだかんだボールに食らいついているし体の芯で受け止められている。後のGKの片鱗を見せている。が、その小さい体では力が足りず押し潰されるのみである。
「信助、大丈夫かー?」
「うぅ…なんとか。というか先輩たちめちゃくちゃ強いね。容赦とか一切ないし」
「ボクたちのチームワークがないのも大きい。うーん……信助上がってくれる?」
「……上がる?え!?ゴールを空にするの!?そんなの出来ないよ!」
「どうせ攻められたら決められるし……さっき話したアレやろっか」
「……できるかなぁ」
「できるかなぁじゃなくて、やるんだよ。為せば何事も」
なんとかなるさ、ってね。
マイボールからスタート。こちらは……GKである信助からボールを貰いプレイを開始する。その行動に敵も味方も不機嫌な様子を見せたが、ベンチの久遠監督だけはその判断に納得を見せた。
「行かせないど!!」
「止める!!!」
天城先輩と車田先輩がブロックしてくる。が隙間風が抜けるようにするりするりと抜けていく。その様子に外野から見ていた剣城は忌々しい表情を見せた。
あっという間にゴール前。今まさに三国先輩との睨み合いである。ぶっちゃけ、有利対面なので決めようと思えば決められる。が、それはそれで味気ない。
「……信助!」
「うん!いくよ!」
「なに!?」
ゴール前に来たのはミドルで俺にパスを回したあと一直線でゴール前まで来た信助だ。信助は小柄だ。そんな信助ならオフザボール…隙をついてチャンスを狙う動きがしやすいと読んでいたのだ。そしてその狙いはドンピシャ。ボクはボールを高く打ち上げ次の姿勢に入る。
「ボールを打ち上げた?…【ファイアトルネード】か!」
「いや、違う!」
「あのクルクル頭がチビの踏み台になって……」
「
そう今からやるのはボールと一緒に信助を打ち上げること。信助の今の能力でも叩きつけるだけならそこそこのシュートになる。背を丸めて踏み台になりやすいようにジャンプし信助がその上に乗る。信助はボールを追い越すほど高く飛び全体重を乗せて力を込めた。そう、これは。
「「【イナズマ落とし】!!!」」
「な、に!?【バーニングキャッチ】……
ぐわぁああ!!!!!」
少し格好が違うが再現成功である。二人の強力必殺技の威力は三国先輩でも止めることは出来なかった。イーブンに持ち越しである。
「やったね信助!」
「サイコーだよ天馬!まさかボクがシュートを決められるなんて!!」
ナイスプレイと言い合って試合に向き直る。まだ、試合は終了していない。
「どうしてそんなに楽しそうにプレイが出来るんだ?」
「神童先輩?」
「おまえは……この管理されたサッカー何を、何をしようとしている。今のサッカーでは本当の勝利など手に入らないというのに」
「神童!何を熱くなっているんだ!」
「……先輩の思いは知りません。けど別のこと考えてちゃボクにボール取られますよ?」
「な!?しまった!」
せっかく先輩たちのボールだったのに神童先輩が突っかかってきてくれたので楽にボールを取ることができた。気分はルンルンである。
そうだ。この機会にアレを払拭しよう。ボクの弱点である
必殺技なんて必要ない。ただのドリブルで先輩たちを抜きながら考える。今のボクは正直言ってかなりやる方だと思う。これまで一人でやってきたし……稲妻KFCに通ってたわけでもないので。だから現状がどれくらい通じるのかわからなかったが……うーんこれ今でも原作の聖堂山ともやり合えるんじゃないか?でもまぁ慢心はいけない。現状を打破する力を手に入れるため。
ボクは、松風天馬の力を手に入れる。
あれやこれやと必殺技を試して浮気することはできる。が、天馬の風を使う技はボクは上手く使えない。自作の必殺技【ブリーズフロー】と【ゲイルブラスト】はそれを上手く使っているに過ぎない。無理に真似すると風が極端に強かったり弱かったり、明後日の方向に吹いたりするのだ。必殺技の失敗例だけでいうともしかしたら三桁はあるかも知れない。ボクのヤケになって作った技【やぶれかぶれバレット】なんて使う日すら来ないだろう。
それもさっさとここで終わらせる。凄い勢いで走り抜きボールにその力を全て乗せ勢いで風を切る。その名も、
「マッハウィンド!!!って、あぁ!!!」
失敗だ。風が、逸れた。力がうまく入らなかった。
角を狙う上手なだけのシュートが雷門のゴールに刺さる。が、入るわけもなく三国先輩はシュートをセーブする。
「そこまで!この入部試験はここで終了とする!!!」
監督の一声で試合は終わる。終わってしまった。
入部したのはボクと信助の二人だけ。人員不足なのだから全員取ればいいのにと思わなくもなかったが久遠監督にも理由があるのだろう。
とにかくモヤモヤする。目標は達成できたのに物足りないような感じがすごい。横で騒ぐ信助と思いを共有できない現状が恨めしかった。
あぁそれでもこれだけは言っておかなきゃ。
「……なんだ?」
入部試験を影から見ていた剣城にボクは近づく。警戒した様子だ。それはそっか、でも言いたいことだけとにかく言う。
「……剣城サッカー部入らない?おまえとやってる時が一番楽しかった」
「……あぁ」
「今、ボクに追いつけるのおまえしかいないし。待ってる」
「…………好きにしろ」
そう捨て台詞を吐いて二人はグラウンドから去っていく。明日、入部した天馬と信助はサッカー部の陰鬱な空気に飲まれることになるのはまた別の話。
松風天馬:憑依
高いサッカーIQとマネ、インスピレーションを武器にしたサッカーが得意。自分の強みを理解した上で松風天馬のプレイを手に入れないと原作は厳しいと思い四苦八苦している。現段階でもコツさえ教えて貰えば化身アームドまで行ける。ソウルは無理。