鬼滅の毒使い   作:科学大好き人間

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城崎視点です。下呂君が死んだと思っているので少し鬱っぽいかもしれません。最後は明るくなるんでお許しを・・・


13話 毒使い、消息不明になる

刀鍛冶の里に三体も同時に上弦の鬼が襲来した。私は非戦闘員の人達の避難誘導に参加していた。そして長い夜が明けた。

 

里は壊滅状態だが、奇跡的に死亡者は少なかった。

 

理由は大きく分けて二つ。

 

一つは二人の柱が戦ってくれたこと。時透君と甘露寺さん、それと柱じゃないけど竈門君たちの奮戦によるものだった。

 

上弦の肆は頸を斬っても分裂する厄介な鬼だったらしいが、本体は小っちゃくて、最期は竈門君が嗅覚で追跡して頸を刎ねたようだった。

 

そしてもう一つの理由。それは下呂君の奮戦によるものだった。彼は上弦の肆に吹き飛ばされた後、小鉄君の案内で上弦の伍と遭遇して、早々にたった一人で倒してくれたらしい。

 

そのおかげもあって、かなり早い段階で、里中を徘徊していた魚の化け物が一斉に姿を消したとのことだ。

 

流石下呂君。婚活ではまだまだ頼りないところあるけど、戦闘に関して言えば超一流の使い手だもんね。だからいつもみたいにすぐ帰って来てくれると私は思っていた。

 

でも現実は違った。近くを飛んでいた鎹烏の報告によれば、突如何もない空間から上弦の壱が現れたそうだ。

 

下呂君はみるみる里から離れた山岳地帯へと逃げて行って、上弦の壱を私たちから引き離してくれたらしい。自分が一番危ないはずなのに、皆を守るためなら迷わずそういうこと出来ちゃうのが彼の魅力だと思う。

 

でも結局、朝日が昇る頃には彼は帰らぬ人になってしまった。上弦の壱も下呂君が命一杯時間稼ぎをしてくれたのか、里に戻ってくることはなかった。

 

でもどうしてだろう。彼は本当に頑張り屋で、使い手とは思えないくらい凄く普通にいい奴なのに。なんで彼が死ななきゃいけなかったんだろう。

 

きっと鬼殺隊の殆どの人は喜んでいるのだろうね。一晩で上弦の鬼を二体も倒せて。

 

でも私は喜べなかった。下呂君にはちゃんと結婚して幸せになって欲しかった。そのために、今まで必死に頑張ってきたのに。

 

あの日、初めて下呂君と会った日、彼は私の命を助けてくれた。弟のオクト*1の莫大な治療費だって肩代わりしてくれて。私を縛るものはもう何もないって、彼は私を解放してくれたんだ。

 

一生かかっても返せない恩をこの私に売りつけておいて、先に死んじゃうなんて、そんなの・・・そんなのってないよ・・・

 

 

 

「大丈夫ですか? 城崎さん?」

 

 

 

私たちは丁度里を出るところだった。私も竈門君も荷車に乗せられていたため、彼に声を掛けられてしまう。

 

私はいつもの笑顔を作って彼になんでもないと伝えるが・・・

 

 

 

「俺・・・鼻がいいんです。だから匂いで相手の気持ちとかわかるんです。だから・・・」

 

 

 

彼に私の取り繕いは一切通用しなかったらしい。まいったな。人を騙すの結構自信あったのに。彼だけは結婚詐欺を仕掛けてもきっと騙せそうもないな。

 

 

 

「アハッ、そうらしいね。君に隠しごとしても無駄かぁ・・・」

 

「やっぱり・・・下呂さんのことですよね・・・その・・・」

 

「・・・そうだね。まるで心にぽっかり穴が空いたみたいだよ。」

 

 

 

瓦礫だらけの里の出口を出発する直前、二人してそう呟く。

 

やがて私たちは目隠しをしてそのまま里をあとにした。荷車で運ばれる間、彼も私も一切口を開くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか・・・下呂さんが・・・」

 

 

蝶屋敷に戻って、屋敷の長である胡蝶さんに改めて伝える。彼女も悲しそうな顔をしていた。しかし、すぐに胡蝶さんは私の心配をしだす。

 

 

「城崎さんも今暫く休んでください。貴方にはきっと・・・心の静養が必要ですから・・・」

 

「・・・ん・・・じゃあ暫くそうさせてもらうね?」

 

 

私は間借りしている部屋に戻り、普段着である洋服に着替えてぼふっとベッドの上にダイブする。

 

 

「あ~・・・なんか全然やる気でないや・・・これから先どうしよう・・・」

 

 

私は今後の自分の身の振り方を考える。下呂君はもういない。きっと強い鬼から情報を聞き出すのなんてもう無理だ。

 

つまりよっぽどのラッキーなことがない限り、私はこの時代に取り残されたままになるのだろう。

 

う~ん。どうしよう。鬼殺隊で働く? いや、もっと安全で確実にお金稼ぐ方法あるでしょ。生きてくだけなら別の仕事探した方がずっといいはず。

 

でもなぁ。なんかそれすらもめんどくさくなっちゃったな。生きていくことすらめんどい。そもそも私、もうそんなに長く生きられないし。*2

 

やっぱり下呂君の婚活が私にとっての生きがいだったんだろうなぁ。

 

下呂君と会ってから、毎日が楽しかったし。彼の魅力を磨いていくのに凄くやりがいを感じてて、それで・・・

 

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

もうあれこれ考えることすらめんどい。私はそのまま眠ることにした。

 

途中、部屋のドアをノックする音が聞こえたけど、反応することすら億劫になってしまった。

 

きっと晩御飯ができたんだろう。お腹すいてるはずなんだけど、昨夜から食欲を感じない。食事すらだるい。

 

暫くして誰かが部屋のテーブルにおにぎりとお茶を置いてくれた。私はお礼だけ伝えるも、布団の中から出ることすらしなかった。

 

流石に喉は乾くし、催すことだってあるから、必要最低限の日常生活は続けた。

 

でもなぁ。それ以上ホントにやる気出ないんだよねぇ。

 

蝶屋敷の小っちゃい女の子たちが時々部屋に入ってくるけど、それも適当に相手するだけでそれ以上の会話なんてしなかった。

 

あ~・・・これって廃人って奴なんじゃ・・・なんかただ生きてるだけって気がする。

 

そんな感じの生活を恐らくだけど一週間ぐらい続けた気がする。

 

蝶屋敷の面々は心配して声を掛けてくれるけど、私は機械的に愛想笑いだけ作って適当にあしらうだけで終わる。

 

う~ん。流石にずっと居候してる訳にもいかないよねぇ。蝶屋敷の仕事だけでも手伝った方がいいよねこれ。

 

そう思って胡蝶さんに仕事の手伝いを提案した。しかし、

 

 

『ならまずはきちんとみんなでご飯を食べるところから始めてください。お仕事は私が良いと言うまでしてはいけません。』

 

 

そんなことを言われてしまう。マジか。それなんか嫌だな。凄く嫌だった。みんながいるところで食事とか、正直言ってできる気がしない。

 

下手すると吐いちゃうかも。うん。無理だ。やめておこう。そう思い、私は元の自堕落な生活に戻ってしまう。

 

お風呂にはちゃんと入ってるけど、髪とか伸ばしっぱなしだし、どんどんぼさぼさになってしまう。

 

お肌のケアとかも一切してないから、肌ツヤなんてもうなくなっちゃったなぁ。

 

今の私を見たら、下呂君は何て言うだろうね。多分相当怒られる気がする。いつもの彼と私の立場が逆転しそう。まあそれはそれで面白いけど。

 

そんなくだらないことを考えながら、私は眠りにつく。こんな日々をあと何日続けるんだろうと思いながら、私はずっと微睡んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「城崎さん!! 起きてください!! 下呂さんからお手紙が届きましたよ!!!!」

 

「っ!!!!」

 

 

私は竈門君の声で目が覚め、その言葉の内容を理解して一瞬で飛び起きる。

 

 

「どういうこと!!??」

 

 

私は竈門君にそう問いかける。彼は嬉しそうに私を見つめる。

 

 

「はい・・・! 生きてたんです・・・!! 下呂さんは生きてます・・・!!

 今は珠世さんという俺の知り合いの人の診療所にいるみたいで、数日のうちにこの蝶屋敷に戻ってくるそうなんです!!!」

 

 

私は彼が差し出す手紙を受け取りその内容を読んだ。間違いない。下呂君の字だ。しかも怪文書かっていうくらい文字数がある。多分一万文字超えてる。間違いなくこの手紙は下呂君が書いたんだ。

 

手紙には上弦の壱に襲われた後のことが事細かに書かれていた。

 

珠世さんという鬼の医者に窮地を救われ、治療を受けたこと。

 

珠世さんから鬼の首領を殺す毒の共同研究を提案されたこと。そしてそれには下呂君の血が必要なこと。

 

加えて産屋敷当主からもつい先日協力の提案をされ、蝶屋敷の胡蝶さんも交えて秘密裏に薬の共同開発をすることになったこと。

 

そして最後に、私の身を案じていたこと、産屋敷当主の鎹烏が来るまで連絡ができず申し訳なかったなど、彼の謝罪の文面が並んでいた。

 

私は手紙を読み終わって思わず握りしめる。

 

 

「アハッ! ・・・ったく。電報でも電話でも何でもいいじゃん。連絡するの遅すぎ。下呂君ってば本当に抜けてるとこあるよね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば私はそう言葉を漏らしていた。竈門君に指摘されるまで気が付かなかったが、私の両目には零れ落ちそうなほど涙がにじみ出ていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
オクト:城崎の弟。城崎は弟の手術費用を稼ぐために結婚詐欺師をしていた。兄弟ともに明るく美形でよく求婚される。

*2
城崎は原作で「私には時間が残されいないからね」と胸中で独白している。理由はまだ明らかになっていないが、恐らく胸の傷と何か関係があると思われる。もしかしたら、弟の手術のドナーになり、臓器の摘出をしたのかも。真相は今後の連載で明らかになるはず。筆者は気になりすぎて夜しか眠れない。




下呂君と城崎の関係は原作読んでて頭が混乱しがちですが、相棒のような関係だと筆者は解釈しています。でも原作ファンの方的には「城崎は女だった!」からの城崎エンドがやっぱり多数派なんですかね? 気持ちはとても良くわかりますが(笑)
ただ、マリッジトキシンの一番の魅力は結局のところ下呂君のカッコよさと人間味によるものだと思います。鬼滅と同じくらいは連載続いてほしいものです(切望)
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