折角なので最終章は読者の方の要望を反映したいと思います。
アンケート出させてもらうので、希望があれば回答してみてください。
その内容を踏まえた上で、最終章の構成を決めさせてもらいます。
「大将!! 海鮮盛り合わせおかわり!!」
「へい! 嬢ちゃん良く食べるねぇ! 焦らず食いな!」
「ん~! 美味しい~! 幸せ~!」
俺は吸引力の衰えないただ一つの城崎を横目にお茶を啜る。すると、城崎とは反対隣の席から声を掛けられる。
「下呂さん。折角だから貴方も食べたらどうです? ここのお刺身はどれも本当に美味しいですよ?」
「胡蝶。済まない。城崎の分奢らせちまって。ただ相当な金額になるぞ。大丈夫か?」
「構いませんよ。お金なんていくらでも余ってますから。遠慮せず食べてください。」
「そう・・・か。それは助かる。俺も現代に戻ればピー億円くらいなら一括払い可能なんだが、こっちでは持ち合わせがなくてな・・・」
「そ、そんな大金どうやって稼いだんですか!? 国家予算に匹敵するのでは!?」
「まあ、俺の日当は正規のルート通すと一億は超えるからな。加えて相手が使い手だった場合は前払いで50億以上は振り込まれることも多いし、気が付いたら金貯まってることが多い。それでだな。」
「裏家業ってそんなに儲かるんですね・・・お館様の資産を余裕で超えるのでは・・・」
「まあ、大正時代と現代じゃ物価が違い過ぎるからな。一概には比べられねぇが・・・」
俺の回答に胡蝶がドン引きしてしまう。無限の給料がある柱であっても下呂家の稼ぎには流石に面食らってしまったらしい。まあ腐っても五大名家の一角だからな。
「それよりも胡蝶。もうキズは大丈夫なのか? 痛みとか・・・」
「ええ、あれくらいの傷なら常中を使えていれば一週間もかかりませんよ。もう殆ど痛みもありません。」
「マジか・・・」
一週間前に童磨に肩口を思いっきり切断されていた胡蝶だったが、どうやら既に完治しているらしい。
俺が治療した時に見た限りだと肩の動脈と鎖骨は思いっきり切断されていたはずなんだが・・・
宇随の時も思ったが、柱の治癒力は凄まじいな。呼吸使いの人外さを俺は改めて自覚した。だが・・・
「でも、神経の方は流石にどうしようもありませんでした。あれ以来左手が上がりません。柱はもう引退ですね。最終決戦目前なのに役立たずになってしまい何だか申し訳ないです。」
そう胡蝶は微笑を浮かべて寂しそうに呟く。俺は思わず口を挟む。
「そんなことねぇよ。実戦闘ができなくたって、鬼殺隊医療機関の責任者を務める胡蝶は間違いなく鬼殺隊に必要不可欠な要だ。
それに対無惨用の薬の開発だって、胡蝶の見解がなかったらあそこまでのものはできなかった。鬼殺隊で一番貢献してるのは間違いなくアンタだ。誇っていいと思う。」
俺はそこまで言い切ると、今度は逆サイドの城崎から何やら視線を感じる。
「なんだよ・・・」
「いやね、下呂君が順調に成長しているようで私嬉しくてさ~。」
「は? 俺はただ思った通りのことを言ったまでだ。それが何だって言うんだよ。」
俺はバツが悪くなりお茶を一気に煽る。その様子を城崎はニマニマ眺めていた。
一方で胡蝶は気恥ずかしそうに髪の先をいじっていた。
気まずい沈黙が長らく続くが、先に口を開いたのは胡蝶だった。
「その・・・ありがとうございます、下呂さん。今の言葉でなんだか自信が持てた気がします。私、これからも頑張りますね。」
「ぬ、そうか。」
俺の淡白な反応に城崎がジト目で物言いたそうにしている。気まずい。俺がその視線に耐えきれなくなったタイミングで再度胡蝶が話を再開する。
「私、本当に下呂さんには感謝してるんですよ? だって、下呂さんのおかげで私は姉さんの仇を討つことができたんです。私一人じゃきっと無理でした。
毒濡れの躰で童磨を殺すつもりでしたが、おかげでこうして今も生きて蝶屋敷のみんなと一緒に過ごすことが出来ています。なので改めてお礼を言わせてください・・・本当に・・・ありがとうございます・・・!」
「お、おう・・・そいつは良かった。」
「ムフフ~」
俺と胡蝶とのやり取りをずっとニマニマ見てる城崎に若干イラついたが、俺はそのまま無言で茶を飲み続けた。
その後三人でとりとめもない会話をした後、俺たちは席を立った。
「五日・・・以内に・・・無惨が・・・くる・・・私を・・・囮にして・・・無惨の頸を・・・取ってくれ・・・」
「御意・・・お館様の望みとあらば・・・」
薬の研究も概ね完成し、ひと段落したある日のこと。急遽鬼殺隊の当主に呼び出され、全身包帯で巻かれたその人の傍で俺は正座していた。
俺の真正面には悲鳴嶼行冥と名乗る男がいた。なんでも鬼殺隊では最古参の柱で、当主から最も信頼されている人なんだとか。しかし、向かい合っているだけで肌で実感する。この人は間違いなく鬼殺隊で最強の使い手だと。
仮に俺が今この場で、変性血統を使って襲い掛かったとしても、秒で返り討ちに遭うのが容易に想像できた。
俺はそんな悲鳴嶼にある提案を持ち掛けた。
「なあ、無惨がこの屋敷に来るのが確定してるのなら、俺にやらせてくれないか?」
「下呂、何か考えが?」
盲目の眼で俺を見据え、悲鳴嶼は俺に聞き返す。
「ああ、とっておきの策だ。恐らくだが、容易に無惨を殺すことができると思う。ただその前に・・・」
「なんだ? 懸念することがあるのなら聞こう。」
俺は意を決して自身の目的を打ち明ける。
「奴と対話させてくれ。殺す前に聞きたいことがある。」
「・・・正気か?」
「ああ・・・」
しばし沈黙が続く。やがて産屋敷さんが震える声で言葉を紡ぐ。
「ヒカル・・・恐らくだけど・・・無惨は・・・」
「わかってる。十中八九奴は俺達のタイムスリップとは関係ない。珠世さんにも言われたよ。
『もし配下の鬼で時代を遡れる鬼がいるのなら、奴は平安時代に戻って青い彼岸花を手に入れているはず』だって。
全くその通りだ。疑う余地なんてない。でも俺は・・・」
俺は拳を握りしめる。そう。正直ダメもとで確認をしたいだけなんだ。そのためだけに確実に奴を葬る方法を俺は放棄しようとしている。
そんな自分の浅はかな考えにヘドが出る。奴を取り逃がせば、これからも多くの人達が奴の毒牙にかかって不幸の底に叩き落されることがわかっているはずなのに。
それでも俺は、一縷の望みを捨てきれないでいた。
「俺は・・・是が非でも現代に帰りたい・・・! あっちでどうしても再会しなきゃならねぇ奴らが待ってるんだ・・・!!
俺は家の方針でずっと心を閉ざして生きて来た。そんな俺でも今では自分をさらけ出してでも接したいと思ってる奴らが出来たんだ・・・!! だから・・・」
ふいに床に臥せる男からかすれるような笑い声が聞こえ、俺は言葉を中断した。
あっけにとられる俺に産屋敷さんは語り掛ける。
「君が納得できる形で構わないよ・・・その代わり・・・必ず無惨を・・・葬ってくれ・・・頼む・・・」
「・・・っ! ああ! 約束する! 俺は必ず・・・鬼の首領をこの手で葬るっ!! 絶対に!!!」
「ふふっ・・・頼もしいね・・・行冥・・・彼の力になってくれ・・・」
「御意・・・お館様の望みとあらば・・・」
そうして俺はその後悲鳴嶼と無惨を嵌める策を話し合う。日が傾き始めた頃、俺たちはその部屋を退出した。
「・・・何とも醜悪な姿だな? 産屋敷。」
ついに産屋敷邸へ鬼舞辻無惨が姿を現した。鬼を滅する毒使いとしての戦いが、まさに終わりを迎えようとしていた。
続く
次回の更新は未定です。アンケート結果を基に完結のさせ方を決めさせてもらいます。
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