序章は主人公鈴代獅が学園に入学し、ひと悶着があるまでをお送りしましたが、第一章は前回のラストどおり中核である銀狼隊と関わっていく章になります。
かなり『プリム・モーヴェン』なりの銀狼隊・月明世界観、そして性癖や性癖を煮込んだ濃い章となっていますので、ぜひともお楽しみください。
プロローグ『稟議』
獣は感情を手放さない。
誰に否定されようと。
どんなにぼろぼろになろうとも。
焦がれてしまったんだ。
生涯全てを賭けたっていいって思ったんだ。
この荒野に道標はない。
それでも、少年少女は歩き出す。
───夢と希望の獣に、どうか月と銀色の祝福を。
■
「では、最後の議案だ」
荘厳で近未来的な作りをした、銀色の円卓。
彼らが座っていたそれは、『銀狼隊』の会議室と呼ばれるところだった。
「議案3───『鈴代獅乃の銀狼隊入隊について』」
この場に座っているのは、銀狼隊の中でも一定以上の地位を持つ十数名だ。即ちこの場での決定は銀狼隊での決定を意味する。
「ま、いんじゃね?」
手を広げ、ついでに翼を広げて緩く言い放ったのは、銀狼隊『幹部』最上優だった。
「見たところすげえ真っすぐな子だ。『異能』も強力。入隊後の経過は見るにしても、入隊試験免除ぐらいはいいと思うぜ」
「それは一人の少女を
「
視線とバトンを放られて、エデンは伏せていた瞳を上げる。
「俺はそう思っているよ。きっとあの子はこれから先、銀狼隊を背負ってくれると思う」
「それはつまり、『幹部』クラスであると?」
「いいや……どっちかっていうと、『部長』かな」
動揺が走る会議室の中で、エデンは笑う。
戦闘部部長である彼が推薦する少女が、『部長』の器である。その言葉が意味するところは、一つしかない。
「……二階堂エデン当人が言うのなら、それもありえるだろう」
「私はいいと思う。結局は成果を上げなければいけないし」
「前途ある一年生は歓迎すべきだ」
口々に銀狼隊の面々がそう言うと、議長は頷いた。
「では、決議を取ります。賛成の者は挙手を」
次々と手が上がり、大半の者がその意見に賛成を示した。当然、エデンや優も。
しかし、その中で一人。
一人だけ、手を上げず静観を貫いている者がいた。
「───」
視線が自然と彼に集まる。
その人物はそれを待っていたかのように立ち上がった。
「待たれよ。……我は反対だ」
小柄で、軍服を羽織った少年。桜小路唯月は、堂々と異を唱えた。
「不安定要素が大きい。それに
「なら、どうするというんだい? 唯月」
「我が見定める」
会議室の面々を見渡して、唯月は眼帯を外す。
「───それは我にしか出来ぬ事だ。この中で最も弱者であった、我にしか」
誰もが知っていた。彼が努力してきたことを。
誰もが知っていた。彼が弱き者の気持ちを理解していることを。
誰もが知っていた。彼が、誰かのために動く人間だという事を。
進行役は頷いて、決定を下す。
拒む者はいない。
それは即ち、銀狼隊での決定である。
「ならば頼みましたよ。次期幹部候補───桜小路唯月」
応えるように、右腕から獣が唸りを上げて。
彼の瞳は強く輝いていた。
「全ては、