Purim Morvenー夢と希望と黄金の獅子ー   作:織重

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第八話『銀狼隊”戦闘部”入隊試験』

「おぉーー沢山来てんなぁ!」

 

 右手を眉のところで当て、会場全体を見渡す朝比奈先輩。

 集合場所は銀狼隊本部、会議室の一つだ。そこに既に、案内を受けた志望者たちがごった返している。

 

「ざっとまぁ、六十人ぐらいか?」

 

「思ったよりいますね!? 驚きました……」

 

 予想では、多くて三十人とか、それぐらいかと思っていた。この会議室は外部の人を招いて最大百人を収容できるらしいけれど、それがもう少しでパンパンだ。

 

「銀狼隊は正直、記念参加勢も多いからねん。特に『戦闘部』は花形だし、ニュースにもなるから。ほら、角にいるの新聞部だよ。あっちはネットニュース関係の人」

 

 まりちゃんが指し示すところには、腕に『報道』の腕章を付けた人たちがいた。どうやら試験の内容などはある程度の検閲を受けた後、校内だけではなくSNSなどにも掲載されるらしい。

 

「とはいえ、例年より少ないね」

 

「どうしてですかね?」

 

「『三合会』の件があったからでしょ。実際の戦闘とかを見て怖くなった子も多いだろうし」

 

「あ……そうですよね」

 

 開幕祭の最中、『三合会』という犯罪組織が襲撃してきた事件はまだ記憶に新しい。私はむしろその件がきっかけで入隊する事となったからイメージが違ったが、確かに普通の人なら怖がって当然だろう。

 

「というか今更ですけど、私この場にいて良かったんですか……? 一番新人なんですけど」

 

「いいのいいの。逆に新人だからこそいるべきだと思うし」

 

 志望者たちと隊員は、会議室の中でもポールによって明確に場所が区切られている。私は当然隊員側にいるのだけれど、同じ場所に立っているのは上役の人ばかりだ。

 戦闘部No.3、5の紫陽花先輩と朝比奈先輩。少し遠くにいるのは桜小路班長と瓜生先輩だったり。他にも、話したことない人が沢山いた。

 

(場違いじゃない!?)

 

 私は今回、特に試験官を担当する訳でもないというのに。

 まりちゃんは良いって言ってるし、駄目ならもう怒られてるだろうから、いいんだろうけど……。

 

(でも、せっかく見学させてもらえるならちゃんと見よう! 良い経験に変えるんだ)

 

 そんな事を考えていると、最上先輩が壇上に現れた。

 

「───始まるよ」

 

 朝比奈先輩の言葉からほどなくして、最上先輩は手を叩きパンッ、と音を立てる。

 ちらりと時計を確認。『9:53』であることを確認すれば、先輩は頷いた。

 

()()()()()()()。はーい、みなさん注目!」

 

 身長を容易に超えた翼が、大きく広げられる。

 天井間際まで飛び上がると、最上先輩はマイクのゲインを上げた。

 

「それじゃあ、時間になったので諸々の説明を始めていきたいと思います。まずはみなさん、お集まりいただきありがとう。『戦闘部』の試験にこんなにも多くの新芽に集まってありがたく思っているよ。あ、先言っとくとここ『戦闘部』の試験会場だからな? 『医療部』、『技術部』、『支援部』はまた別の時間だから注意しろよ~?」

 

 入りは軽く、笑いを誘うような形で場の緊張をほぐす。

 

「大丈夫か? 出てくやつはいない? ───それじゃあ早速、試験の概要について説明を始める……と言いたいところだが、その前に一つ発表がある」

 

(発表?)

 

 疑問に思って隣のまりちゃんを見るけれど、笑い返された。見てれば分かるって事だろうか。

 

「それじゃあ紫陽花、頼むぜ」

 

「はい、了解です」

 

 村雲先輩は一歩前に出ると、予備のマイクに電源を入れる。

 

「あーあー……どうも、『戦闘部』の村雲紫陽花です。私から皆さんにお伝えしたいのは三つ。

一つ目は、新入生のみなさんは例外なく、未来ある新芽であるという事です。……しかしそんな中、既に花を咲かせ始めている芽もあります。その人は入学して一週間の段階で偶然にもきっかけを手に入れ、見事に繋ぎ、実らせました」

 

(へぇ、そんな人いるんだ……)

 

「それでは」

 

 紫陽花先輩がこちらを向く。

 

「鈴代獅乃さん、前へどうぞ」

 

「…………………………はいっ!!??」

 

 凄い声がでた。

 めっちゃでっかい声が出てしまった。

 

 だって、え、え、私!? 

 どういう事!?

 

「いひひ……いひひははっ……!」

 

 固まる私が面白いのか、朝比奈先輩は腹を抱えて笑っていた。

 思わずまりちゃんの方を見るが、笑顔でサムズアップが返ってきた。

 

 意味が分からないが、とりあえず言われたとおりに前へ出て来る。

 すると、さっきよりも一年生の人たちの顔が大きく映った。ここあちゃんやクラスメイトたち、そのほか話したことある人たちの驚いた顔がよく見える。

 

「えーっと……ど、どういう事ですか……?」

 

「全体の場で挨拶していなかっただろう? その理由は、この場でお披露目するためだったんだ」

 

「何のために……!?」

 

 今まで挨拶しなかった理由は分かったが、この場でする意味は分からない。

 しかし疑問には答えてくれず、紫陽花先輩は再びマイクを握る。

 

「──彼女は例の『三合会』事件をきっかけとして、銀狼隊へとコンタクトを取り、入隊試験とは別、推薦という形でいち早く入隊を果たしました。……疑問に思う皆さんへ明言しておきますが、これは不正ではありません」

 

(不正……そっか、そういう風にも見えるんだ)

 

 私は紫陽花先輩の言葉で、遅れながら気づいた。志願者の人たちが小声で話してる事に。

 その懐疑的な視線は私に注がれている。

 

(コネとか、そういう風にも見えるのかな)

 

 今まで意識していなかったけれど、そう見えても仕方がない話だ。

 銀狼隊の入隊方法は本来、試験を受ける事。

 師匠から推薦を受けるまでは私もそれだけだと思っていた。

 

「入隊への正攻法は試験を受ける事ですが、『素質あり』と隊員へアピールできれば、その限りではないという事です。銀狼隊は学園組織の一つですが、教育機関ではなく、むしろ会社に近しいと捉えてください」

 

 教育機関は年一の試験や推薦など、国の定めた規則に従って人を募集する。

 しかし、会社などは引き抜き、中途採用など、人を集める手段に限りがない。銀狼隊は後者であるという事だろう。

 

(……?)

 

 注がれる視線にもどかしさを感じていると、先輩たちがアイコンタクトをしている事に気づいた。

 なんだろう、まだ何かあるのかな。

 

「お伝えしたいことの二つ目は、戦場には()()()()()()()があるという事です。話題に出すのは二度目ですが、『三合会』事件はまだ記憶に新しいですね? あの時のように、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。──これは脅しではなく、事実です」

 

 紫陽花先輩が、()()()()()

 そして大きく首を戻すと、再び私を指した。

 

「鈴代さんは、襲撃事件において犯罪者相手に善戦し、その功績を買われて入隊を果たしました。これは彼女が、絶望の中でも諦めず抗った結果です。だから皆さんにも、可能性を考え続けてほしい」

 

 スッと、紫陽花先輩の目が細められる。

 

「どんな可能性だって、この世界にはあるのです」

 

 後ろから人影が大きくなった。

 

「そう。例えば───試験は既に始まっているとかね」

 

「──は」

 

 誰のものとも分からぬ呟き。

 グンと、地面を踏みしめる音が響く。

 

「──『無限斬撃無双大勝利(アルティメットソード)』」

 

「──『理想塗れの虚代獣(ブラキウム・アナイナレーション)』」

 

 右から風が吹き始め、左から漆黒が滲む。

 朝比奈先輩と桜小路班長がそれぞれ、構えを取っていた。

 

(……ッ!?)

 

 私は反射的に身構えてしまう。

 二人の事を信頼しているからそれ以上には至らないけれど、行動の意味は理解できない。

 

(一体、なんでっ)

 

「──解除!!」

 

「おうよ」「了解」

 

「ッ……!」

 

 腕が大きく振られて、凛とした紫陽花先輩の声が響いた。

 会議室に満ちていた二つの力が霧散していく。その瞬間、会議室中に満ちていた緊張が一気に緩和して、次いで混乱が波のように広がった。

 

「一次試験、終了。今の出来事に反応できた方を、通過者とします」

 

 紫陽花先輩が時計を指さす。

 時刻は、『10:01』を示していた。

 

 試験の開始時刻は、『10:00』。

 ──そこに嘘はない。

 

 混乱が耐えない志望者たちを尻目に、先輩はにっこりと笑みを浮かべた。

 

「言ったでしょう? 戦場には、あらゆる可能性があると。よーいどんは存在しません。入隊試験は、これから共に戦う仲間を選別するための試験です。──残念ですが、咄嗟の出来事に対応できない方は、その素養が育っていません」

 

 先輩は掌を志望者たちへ向ける。

 

「ですが、中にはきちんと反応を見せた方々もいましたね。先ほども言いましたが、その方たちだけが一次試験の通過者です。反応できていたと偽る事はないようお願いします。誰かが反応出来ていて誰が出来ていなかったかは、既にこちらの隊員が確認していますので」

 

 示され、桜小路班長の赤い瞳が輝く。

 確かに動体視力に優れた班長なら、一人一人の識別ぐらいは簡単だろう。

 

「な、納得できません!」

 

「おや……」

 

 志望者の一人が、異議を申し立てた。

 どうやらそれが皮切りだったらしく、話し声が次々と聞こえてくる。

 

「いくらなんでもこれは……」「開始の合図すらないなんて!」「理不尽にもほどがある」

 

 一回誰かが言い出せば、便乗するのが人間というもの。会議室はしばし、喧騒で包まれた。

 紫陽花先輩は困ったように表情を歪める。けれど首を振って自分を律すると、声を張るために息を吸った。

 

「みなさ──」

 

 その瞬間、会議室の扉が勢いよく開けられる。

 入り口に立っていたのは、フードで顔を隠した男性だ。

 

「みんなの気持ちは理解できるよ。だから──」

 

 彼は前へ進み、志願者たちを見渡すと、フードを取っ払った。

 

「──文句は、俺が聞くよ」

 

「っ、二階堂エデン!?」

 

 現れたのは、いつも通りの笑みを浮かべた師匠だった。

 身に纏う外套は、異能による衣装だ。

 

 最上先輩は師匠を睨みつける。

 

「おいエデン。お前、任務はどうしたよ」

 

「終わらせた。毎回思うけれど、国は俺のことを過小評価しているね」

 

「へいへい、流石は『最強』様で」

 

「大事な志願者たちの試験だ。(部長)がいない訳にはいかないだろう。むしろこのタイミングで仕事を押し付けてきた国には文句を言いたいぐらいだよ」

 

 師匠は小さく膝を曲げると、そのまま一足飛びで会議室を縦断した。目にもとまらぬ速度で最上先輩の傍までやってくると、改めて新入生たちへ向き直る。

 

「それで、一次試験への異議だよね。突然の事で驚いたと思う。けれど実際に反応できた人もいるし、これはこれで合理的な試験なんだ。でも気持ちはわかるよ。……だから一つ提案」

 

 その瞬間、私たちが感じたのは、死の気配だ。

 

 理由は明確。

 師匠から発せられた、無言の圧が、降り注いでいる。

 

 彼はいつも通り、変わらぬ笑顔のまま、告げた。

 

 

「──俺に挑むといい。一撃でも与えられたら、問答無用で入隊させてあげるよ」

 

 

 答える者はいない。

 答えられる訳がない。

 

 彼はこの世界、数十億人の頂点。

 生態系というピラミッドの玉座に座る男なのだから。

 

「誰もいないかな。……いないみたいだね」

 

 次第に、圧が霧散していく。

 本能が鳴らしていたアラートが、鳴りを静める。

 

(ッ、は……っ!)

 

 私も含め、誰もが止まっていた呼吸を再開した。

 

「それじゃあ、一次試験に受からなかった人はご退出願おうか! 大丈夫、試験は年四回行われるし、自分で特訓とかしにくいって人は、定期的に隊員による指導とかも行ってるからさ。──みんなの活躍を心から期待しているよ」

 

 彼の圧を受けてもなお、言葉に逆らえる人間はいなかった。

 

 ■

 

(ぎ、銀狼隊の入隊試験やばすぎるんですけど!??) 

 

 一連のやり取りを見て、私は思わず心の中で突っ込んでしまう。

 先輩たちの入念な準備具合から、生半可な物ではないとは思っていた。でもまさか合図すらなく、一瞬で一次試験が終了するだなんて、想像していなかったのだ。

 

「そう驚くな。鈴代は反応できていただろう」

 

「それは……そうですけど、正直心臓バクバクです」

 

 異能を解除した班長が隣へやって来て、慰めてくれる。

 確かに私は反応、というか構えを取る事が出来たけれど、それでも驚くなというのは無理がある。

 

 そうしていると、不合格者の退出が始まった。

 当然だがかなりの人たちが不合格となったようで、会議室の半数以上がぞろぞろと移動を始める。何人か動かず残ろうとした人もいたが、先輩たちに指摘されて諦めていた。

 

(あっ、ここあちゃんたち、ちゃんと残ってる……! それにネルムちゃんとかも!)

 

 だから反対に、しっかり残った人たちが目立つ。その中には友達もいて、うっすらと大丈夫だろうな、と思ってはいたけれど、実際に確認できて一安心だ。

 

「やあ、鈴代さん」

 

「師匠!」

 

「色々とびっくりした?」

 

「そりゃもう……師匠も今日は任務と聞いていたのにいるから驚きましたよ」

 

 試験に関すること以外は、事前に私も聞いていた。だからこそ私は事情を知っているつもりになっていて、突然起きた一次試験に余計驚いたのだ。

 すると、師匠は小声になった。

 

「実を言うとね、この一次試験は紫陽花が考えたんだ」

 

「……え”っ」

 

 この無茶苦茶な試験を、紫陽花先輩が!? 

 温厚で銀狼隊屈指の良心だと思っていた先輩の事実に、私は思わず見つめてしまう。

 

「ん?」

 

 しかし、先輩は微笑んで手を振って来るばかりだ。

 

「……一番驚きです」

 

「アイツはアイツで、しっかり『銀狼隊』だからね」

 

 そうして話していると、いつの間にか退出が完了したようだ。

 最終的に残った人数は三十二人だった。

 

 まだまだ残っているように思えるけれど、元が六十人以上だと考えると、この一瞬で半分に減った事になる。

 裏を返せば、今残っている人たちは咄嗟の事に対応できた、言い換えれば素養を持つ人たちだ。

 

「んじゃ、残った人たちに二次試験の説明を……──どうした?」

 

「一つ、よろしいか」

 

 最上先輩が言葉を止めたのは、新入生の挙手だった。

 

 腰ほどまで伸びた金髪。理性的な碧眼は射抜くように先輩を見つめ、凛々しい顔立ちは高校生離れしている。

 口元に浮かぶのは堂々たる笑み。それは彼の全身から立ち上る自信を象徴していた。華奢な肉体は折れそうなほどに綺麗で、しかし立ち姿は服の下にある恵まれた肉体を表している。左手の杖は獲物だろうか、地面を突くこと無く握られていた。

 

「いいぞ」

 

「感謝します。では──」

 

 見事な仕草で礼を一つ。

 そして上げた右手をゆっくりと振り下ろす。

 

 掌から、衝撃波が放たれた。

 

「よっと」

 

 戦慄の走る会議室を尻目に、朝比奈先輩は木刀に風を纏わせる。横薙ぎに一閃を振るえば、衝撃波とぶつかり合い、会議室を揺らした。

 ひときわ大きな風が薙ぐ。完璧に相殺してみせた朝比奈先輩はゆっくりと木刀を鞘に仕舞った。

 

「軽い……いや、わざとか」

 

 空気が、重い。

 目を細めた朝比奈先輩は、コーンに足を乗せながら男子生徒へ、へらへらと問いかける。

 

「突然攻撃を仕掛けるだなんてどういうつもりだ? オレが対処しなければ怪我人が出ていたかもしれねえぞ」

 

 指摘された生徒は、それでも自信満々な笑みを浮かべると、胸に手を当て、軽く頭を下げた。

 

「大変失礼しました。突然の凶行をお許しお願いたい。ですが、確かめねば、と思ったのです」

 

「何をだ」

 

「先ほどの一次試験では、『あらゆる可能性』について言及していました。それを考慮する事が銀狼隊に必要なのだとも。ですから思ったのです。──果たして現役隊員のみなさんは、同じように反応が出来るのかと」

 

 彼は笑みを深めた。

 

「結果は、わざわざ確認するまでもありませんでしたが」

 

 実際に対処したのは朝比奈先輩だけれど、私を含めた、隊員の全員が反応を見せていた。特に紫陽花先輩なんかは、傘の持ち方を変えて、朝比奈先輩が対処できなかった時の備えをしていた。

 

 すると、最上先輩は自分を指した。

 

「おいおい、俺は反応できてなかったぜ? この通りふわふわ浮いてただけだ」

 

「目で追っておられましたでしょう。恐らく、他の隊員が対処すると信じ切っているからこその判断。それもまた戦場では重要であると思います。お見事です」

 

「へぇ……」

 

 お眼鏡に叶ったのか、最上先輩は感嘆の声を漏らした。

 

「面白いな、お前」

 

「ありがとうございます」

 

「ま、文句は言えねえわな。最初に仕掛けたのはこっち側だ。だが今回限りにしてくれよ?」

 

「それはもちろんです。心臓に悪いですからね」

 

 微笑み、彼は冗談交じりに返した。

 

(……つまりこの人は、志願者なのに私たちを測っていたという事? 現役の隊員が、『銀狼隊』に相応しいか、見定めていたの?)

 

 それはなんとも、不遜という言葉が似合う行動ではないだろうか。

 というかおっかなすぎる。入ろうとしている組織の人間に攻撃を仕掛けるだなんて、命知らずもいいところだ。けれど試験の総監督である最上先輩が認めているのなら、それに口を挟む理由はない。

 

 すると、彼は振り返り、自分と同じ志願者たちを見回した。

 

「同級生たちよ、申し訳ない。場をかき乱すような行為で無礼を働いた。どうか許してほしい」

 

 彼は恭しく頭を下げた。

 志願者たちは文句の一つでも言いたいところだったかもしれないけれど、先手を打たれた以上、強く追及は出来ない。

 

 ただその仕草の一つ一つが流麗で、圧倒されてしまう。

 行動の特異性、纏う圧倒的な雰囲気。 

 

 誰もが悟った。

 

「──私の名は天霧(あまぎり)リオン。この後の試験、敵同士であろうとも全力で競い合おう」

 

 今回の、銀狼隊"戦闘部"入隊試験。

 台風の目は、この天霧リオンだ。

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