こんな拙作ですが、どうかよろしくお願いします。
卒業式の日に、校庭にある古い大きな樹の下で女の子からの告白で結ばれた恋人同士は幸せになれる。
「
そんな都市伝説を知って、私もこういうシチュエーションで告白されてみたいなと思った。なんなら言った。目の前にいる私の
『愛城くんって好きな告白のシチュエーションってある?ちなみに私は【卒業式の桜の木の下】』
『そ…そうなんだね!!俺もそのシチュ好きだよ!』
『愛城くんも?ベタだけど良いよね。ちなみにこれまでで何回トライしたの?』
『中々切り込んでくるね大槻さん!!?』
『1回じゃねーの?中学まだ卒業できてねーんだから』
『……2回』
『未来から来たのかおめーは』 『卒園式カウントしたの…?』
『でもすっごい偶然。実は私もなんだ』
『本当!?大槻さんも!!?』 『………本当は?』
『ウ・ソ♪』
『ウソかい!!』 『……恋太郎も懲りないな、まったく…』
先日にしたこの会話を覚えてくれていたのか、卒業式当日の今朝下駄箱に手紙が入っている所を見た時は内心コロ○ビアポーズを決めちゃった。式の間もこの事しか頭の中になくって手と足が同時に出ちゃったりして周りに笑われちゃった。『お爺ちゃんからそうするように教えられたの』ってウソついても誰も騙されてくれなかった。
って!今はそんな事はどうでもいいんだった!!
「
頭の中で流れるこれまでの回想。初めて会ったのは3年生のクラス替えの時。教室で話しかけられてから交流を重ねてきた。恋心を自覚したのは大分後だったけれど、この1年間は愛城くんのおかげで毎日がとても楽しかった思い出でいっぱいだった。
「私も…気さくで明るくで誠実で、誰にでも優しい愛城くんのことが…」
さぁ、後は私が答えるだけ。決まり切った定型句を返そうとした私は…
「ダイ…」
私の返しを受けて頭を下げていた愛城くんの顔が軽く上がる。その顔を確認した途端、ぞくり…と嫌な予感が首筋を伝う。
「ダイッキライ!!!!!」
…………え?
なんで……どうして……私はあんな事を愛城くんに……。
あの後の記憶はおぼろげだった。
気付けば学校を出ていた。慌てて学校に戻って愛城くんを探してみたけれどどこにもいない。特に一緒に帰る約束をした友達や両親もいないから良かったけれど。それよりも、OKと答えるつもりだったのになんで正反対のことを言ってしまったのか。それと、あの時覚えた悪寒。
大好きな愛城くんに告白される前までたしかにあった高揚感がジェットコースターみたいに一気にどん底まで落ち込んだ。そして次に感じたのはそれまでとは正反対の生理的な嫌悪反応。愛城クンを見ているだけで鳥肌が立ったしイライラが収まらない。視界から得られる情報のあまりの落下の高低差に自分で自分が信じられなかった。
頭ではすぐに愛城くんにお詫びに行くべきだと分かっているけれど、あの時感じた嫌悪感の正体が分からない今愛城くんの下に向かうのが唯々怖かった。
「あれ…ココは…?」
気付けば近所で縁結びで有名な神社の境内に辿り着いていた。ここに来るつもりなんて全く無かったのにどうしてだろうと不思議だったけど、藁にもすがる気持ちで私は神様に頼ることにした。
「恋の神様…今日私は大好きな愛城くんに告白されました。でも、嬉しかったはずなのに気付けばNOと返していました。私はこれからどうしたら良いですか…?」
「…その愛城くんとやらは…愛城恋太郎か?」
「…えっ?」
どこからか聞こえてきた声に驚いて周りをキョロキョロする。どこにも人らしい姿は見当たらない。疑問に重いながら唯一の死角になっている賽銭近くを覗いてみると。
お爺ちゃんのお顔が賽銭箱の柵に引っかかっていた。
「お、お爺ちゃん!どうしたんですか、そんな所で。散歩中に入っちゃったんですか?いくらなんでもボケすぎですよ?」
「だぁれがボケ老人じゃ!!わしゃこの神社の神じゃ!!」
「あぁ……なるほど…。ごめんなさいお爺ちゃん神様。お家はどこか分かりますか?送っていきますよ?」
「認知症相手の対応をするでないわ!!わしの家はここじゃ!!」
「……あぁ、神主さんのご家族なんですね。今外しますからもう少しだけ待ってて下さいね」
「神主どころか神じゃし、嵌まっとる訳でもないわ!!見とれぃ!!」
そう言うとお爺ちゃん神様の身体は賽銭箱を擦り抜けた。
「わぁ、すごいですお爺ちゃん神様。隠し芸ですか?」
「お前は早よわしを神だと認めんかい!!?恋太郎はなんだかんだこの段階でわしを神と認めたというのに…」
「…!!愛城くんを知ってるんですか?」
お爺ちゃん神様が聞き捨てられないことを言った。そういえば、最初も愛城くんの名前を言っていたっけ?
「あぁ。つい先程までここに来ておってな。『彼女が出来ますように』と泣きながら祈願しておったわ」
「……そうだったんですね」
……そっか。泣いてたんだ愛城くん……。
そうだよね。好きな人に気持ちを伝えることがどんなに勇気がいることか。罰ゲームでクラスメイトに強要されたかつての私も緊張したのに、本当に好きな人に告白することがどれだけ大変なのかなんて、今日まで愛城くんに自分から告白できなかった私はイヤでも知ってる。
やっぱり、今すぐにでも愛城くんに謝りに行かないと。そして、今度は自分の方から愛城くんに告白を……
「…
「え…?」
お爺ちゃん神様に思考が読まれていたことよりも、何で神様に私の告白を止められるのか意味が分からなかった。
不思議そうにした私を見かねたのか、お爺ちゃん神様は私に説明してくれた。
恋愛において“運命の人”は実在し、人がこの世に生まれた時に定められる“最高の恋愛パートナー同士”だということ。
運命の人同士が出会うと全身にビビーンと衝撃が走ってたちまちお互いのことが好きで好きでたまらなくなる、俗に言う“一目惚れ”らしい。
そして…この時、女は“その場ですぐに”男は“時間をおいて徐々に”相手を好きになるみたい。
それでその運命の人なんだけど。
なんと、愛城くんにはこの運命の人がなんと100人もいるとのこと!!
もう選び放題!!好き放題!!
「愛城くんってもしかしてどこかの王族なんですか?スゴい…この現代日本でハーレムだなんて。流石は愛城くん…」
「い…いやぁ…これには山より高く海より深い訳が……」
お爺ちゃん神様は何故か動揺している。訊いてみようかとも思ったけれど、それよりも気になる事を訊かせてもらおう。
「それで!私の運命の人って誰なんですか?愛城くんですよね?」
この時、妙にテンションが高かったのは愛城くんの運命の人のあまりの多さに驚いた事の他にも私が現実逃避をしていたからだと思う。
違和感はあった。告白された時に覚えた嫌悪感と神様から聞いた『一目惚れ』の条件。
神様も私のその状態は分かっていたんだろう。だから、少し躊躇しながらも私に伝えてきた。
「お主の運命の人なんじゃが…残念ながら……」
「愛城恋太郎ではないのじゃ」
「お主が恋太郎から告白された時に覚えた嫌悪感は、お主が恋太郎の運命の人ではないからじゃ。友達としてはつきあえるが恋人としてはつきあえない、異性の兄弟間にある抵抗感みたいなものじゃ。本来なら
「お主が
「4月から高校生なのじゃろう?悪い事は言わんから恋太郎のことは忘れて新しい恋を探すと良い。これは、縁結びの神様としてのわしからの助言じゃ」
▽▽▽▽▽
『アイツ、最近なんか調子乗ってない?』
『この間隣のクラスのサッカー部のエースと一緒に帰る所見たわ。……あのガリ勉のどこが良いのかしら』
『あのしゃべり方もイライラする…!もう普通にしゃべれるクセにぶりっ子が…!』
『帰国子女だからってチヤホヤされて…。ムカつく…!』
『そういえば聞いた?あのウワサ……』
そんな陰口を初めて聞いたのはいつだっただろうか。
色々あって、生まれ故郷のアメリカから日本に移住したのがこちらの中学校入学前。手続きがゴタゴタしていたのもあって、気付けば入学式の日になっていた。
アメリカでは私が両親ともに日本人で地味な茶髪だったこととダッドとマムから『門限を守りなさい』と躾けられていたから友達も少ししかいなかった。だから、アメリカから来たという自己紹介であんなに周りに人が集まってくるのは予想していなかった。
『ゴ…ゴメ…ナサイ…。ワタシ、ニホンゴ…』
『わぁ~!!本当に帰国子女なんだ!!すごぉい!!』
『片言の日本語ってテレビでよく聞いてたつもりだけど、リアルでこんな可愛い子から聞くと全然違う!!良いね!!』
こんな未熟な日本語の何が琴線に触れたのか分からなかったけれど、たちまち私はクラスの人気者になった。放課後に色んな所を連れ回してくれたり色んな物を食べたり、あの頃は本当に楽しかった。アメリカにいる時とは違って、夜ご飯の時に今日あったことをお爺ちゃんに報告できるのが嬉しかった。
でも、日本での暮らしが長引くにつれて私の日本語能力は順調に成長していった。だから、いつの間にか片言でない日本語もしゃべれるようになった。
でも、お爺ちゃんはともかく入学式初日にあれだけ絶賛された話し方を止めるのも少し抵抗があった。だからクラスで一番親しい子に相談してみたんだけど『可愛いから大丈夫大丈夫!』と言われたのもあって、学校では特に直さなかった。
そう私が相談した子は、
『私あの子に言ったんだよね、【片言の日本語は止めない?】って。でもあの子【こっちの方が男子受け良いから】って全然聞いてくれなくって…』
息をするかのように嘘を吐いて私の悪評を広めていた。
私は何も信じられなくなった。
▽▽▽▽▽
家に帰りご飯を済ませベッドに横たわる。両手で抱えるスマホの画面は随分前に交換した愛城くんとのトーク画面が映っている。連絡は昨日から途絶えたままだった。
神様と会い話ができたことよりも、そこで聞いた内容が到底受け入れられなかった。
愛城くんには運命の人が100人もいるのに、その100人の内に私はいないこと。
あの時覚えた嫌悪感は克服できる代物ではないということ。これから愛城くんと
頭では今日のことを謝らなければいけないということは分かっている。
だけど、今のままもう一度会ってしまったら、大好きな愛城くんに【ダイッキライ!!】と言ってしまうんじゃないか。あの神様から100人の運命との出会いを確約された愛城くんが1度振られた私に対して既に興味を失っているんじゃないか。
そもそも、【ダイッキライ!!】と言った張本人の私が愛城くんに一体なんと謝るというのか。
自分のことも愛城くんのことも信じられない私はずっと変わることが無いトーク画面をじっと見つめることしかできなかった。両目からこぼれるモノが止まる頃にはもう朝日は昇っていた。
※オリ主≒浅川さん(原作1話で告白されていた女子)。その為外見はほぼ同じだし、CVも同じく天野聡美さん。
※原作の第1話が終わるまではシリアス調ですが、それ以降は原作の通りコメディ調で行く予定です。
※GW中に原作第1話の内容を全て上げたい所存()
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