0人目の嘘吐き彼女   作:モーン21

16 / 60
前回途中で切ったので、今話はその残り。なので少し短め早め投稿です。

これでようやく1巻分終了です。まさか16話も使うことになるとは思いませんでした。1話と裏3話が長すぎたかな。


5話-2 その(じつ)、もっといちゃいちゃ回

「お待たせーっ!続きやろうか!」

 

「お帰り、恋太郎くん」 「おかえりなさい♡」

 

 恋太郎くんがトイレから戻ってきた。

 

 挨拶を返して恋太郎くんの方へ振り返るよりも先にアイマスクを付け直す。恋太郎くんに『ダイッキライ!!』って言わない為なのはそうだけど、恋太郎くんに泣きはらした顔を見られたくなかったのもある。一応軽く手直しは入れたけれど。

 

 私と羽香里ちゃんは戻ってきた恋太郎くんに挨拶を返した。けれど、唐音ちゃんは挨拶をする間もなく、いきなりビッと左手で恋太郎くんを指さしながら告げた。

 

「そんな事より、さっきの罰ゲームのやり直しよっ!」

 

「え!?なんで!?」

 

「ふんっ!あんな“つんつん”くすぐられたうちに入るわけないでしょっ!もう一回(しずか)恋太郎(れんたろう)にこちょこちょよっ!」

 

「――そうですよ…!ね、もう一回こちょこちょ…したいですよねっ静さん?」

 

「……!」

 

 唐音ちゃんの提案にすぐさま羽香里ちゃんが同意する。それに倣って私も横でうんうんと頷くことにした。

 

 たしかに、さっきの静ちゃんの『つんつん』が私たち3人に遠慮した為ならそれは認められない。それはそうなんだけど、静ちゃんの為に動いているのに相変わらず素直じゃない言い方をする唐音ちゃんに少し微笑ましく思う。

 

 静ちゃんをチラッと見る。静ちゃんは未だプルプルと震えていた。が、意を決したのか静ちゃんの機械音声が屋上に響いた。

 

「『私――』『したいです…!』」

 

 が、静ちゃんの口から出た“本音”は想定よりも遥かに強大だった。

 

「“口づけが”『したいですっ!!』」

 

「「「「えっ?」」」」

 

 スマホから顔を上げて頬を赤らめていながらも、恋太郎くんから目を逸らさずにそう言いきった静ちゃん。

 

 さっきまで私たちに遠慮していたとは思えない彼女の本音に私たち3人と恋太郎くんは驚きで少し面を食らった。

 

「――『婚姻まで純潔を守るべしと』“神に定められし宿命”…“と言うのは”」

 

「『実は――』『(いつわ)りであった……!!』」

 

「う…うん。大丈夫だよ、分かってたから………」

 

「なんと、静ちゃんも私と同じ嘘吐き使いだったんだね…!」

 

「嘘吐き使いって何よ。嘘ぐらい誰でも吐くでしょうが」

 

 静ちゃんがしゅん…としながらの告白に恋太郎くんが苦笑しながら受け止めた。思わず呟いた私のコメントには唐音ちゃんが反応してくれた。

 

「“その本心では”…『あなたと口づけを交わしたいと――』」

 

 ……そっか。

 

 静ちゃんの勇気を振り絞っての“本音”の告白。いくら私たちから許されたとは言え、すぐに変われる訳ではない。ただでさえ本音の感情を伝えるのは難しい物だ。

 

 本人曰く“内気”らしい静ちゃんにとっては本当に一世一代の大勝負だったに違いない。

 

 そんな、静ちゃんの思いに恋太郎くんが応えない訳がなかった。

 

「…ありがとう…――すっごく嬉しい……!」

 

「……!」

 

 静ちゃんに負けないぐらい顔を赤くした恋太郎くんが笑いながらそう返した。

 

それを目の当たりにした静ちゃんはプルプルと体を震わせながら視線は右に左にと大忙しだった。そして恥ずかしいのかスマホで顔を覆い隠していたけれど……

 

 

 

 目をつむりながら恋太郎くんへと唇を尖らせた。

 

「――っ!」

 

 なでなでなで。

 

「あ…!ご、ごめんつい…っ!……か……かわいすぎて………!」

 

 静ちゃんのあまりの可愛さにキスではなく頭を撫でた恋太郎くん。

 

 それに対し、

 

 スリスリスリスリ……

 

 頭の上に伸ばされた恋太郎くんの腕を掴んで固定した静ちゃんが自分の頭を動かした。『なでなでを止めないで』と体全体を使っての訴えに恋太郎くんだけじゃなくて、唯見ているだけの私達3人もドキドキさせられた。

 

「――(しずか)ちゃん……」

 

 頭の上に伸ばした腕を斜め、横へと徐々に動かして遂には頬に手を当てた恋太郎くん。

 

 それから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…あれ…?(しずか)ちゃん…?」

 

「大丈夫!?聞こえてるっ!?」

 

 

 

ドキドキドキドキ

 

 

 

 あぁ……もうダメだ。

 

 恋太郎くんと静ちゃん。2人の純粋(ピュア)でありながらもあふれ出す淫靡(いんび)な空気に当てられてしまった。

 

 静ちゃんはキスをした後遺症かポヤ~~としているように見えたけど、そんなこともうどうでもよかった。

 

唐音(からね)さ~ん?(しずか)さんにあ~んなハッキリ本音を言わせたんですから、唐音さんもちゃ~んと本音を言わなきゃ駄目ですよね~~?」

 

「はっ!?なっなっ何がよっ!!べっ別に私は本音なんて何も…!!」

 

「あらそうですか。私はちゃ~んと言いますよ~~?……って」

 

 恋太郎くんへと近づく途中、羽香里ちゃんが唐音ちゃんに何やら話しているのが聞こえてきたけど、右から左へと流れて言ってしまった。

 

 そんなことよりも、今はこの抑えきれない情熱(パトス)をどうにかしないと……

 

恋太郎(れんたろう)くん……お願い……。キス……させて…?」

 

「……!うん…っ!」

 

「あぁ~っ!!抜け駆け~!!」

 

「――っ!!!!」

 

 後ろから2人の声が聞こえた気がしたけれど、そんなことよりも目の前にいる恋太郎くんが私の両肩に手を置いたことにより恋太郎くんの体温を直に感じたことで、さらに歯止めが利かなくなった。

 

 徐々に恋太郎くんの方から近づいて来てくれているのが分かる。

4人でのファーストキスが特殊すぎたのもあったけれど、基本毎回私たちのキスは恋太郎くん()からしてくれる。特に私達3人や恋太郎くんが言い出した訳ではなかったけれど、それが私達の中で暗黙の了解になっていた。

 

 でも、今の私にはそれを待つ時間すら焦れったかった。

 

 

 

 パシッ

 

 恋太郎くんの両頬へと手を添える。そして……

 

 チュッ

 

 恋太郎くんからではなく、私の方から初めてキスをした。

 

「ラ…ライ…ちゃん……?」

 

 突然唇を奪われる形になった恋太郎くんが震えながら私に尋ねてくる。その頃にはようやく体の内側から燃え上がる私の情熱(パトス)もようやく落ち着くことができた。

 

「……ゴメンね。こんな、はしたないキス……。幻滅した?」

 

「幻滅なんて絶対しない!!どんなライちゃんもライちゃんなんだ!!それがライちゃんだって言うならどんなライちゃんだって俺は受け止めてみせる!!!」

 

「ふふっ。……ありがとう、ダイスキ

 

「――ッ!!ライちゃん!!」

 

 最後に恋太郎くんに耳打ちしたら恋太郎くんが何やら慌てていたけれど、私はそそくさとその場から離れて後の2人に譲ることにした。

 

 ……恋太郎くんならそう言ってくれるだろうと思って半ば暴走したけれど、実際にそう言われると嬉しい以外の言葉が思い浮かばないや……。

 

 

 

 

 

 その後は……

 

「…あの………大丈夫ですか……?」

 

「え…?」

 

「私のかわいさは……――(しずか)さんや他の皆さんに……負けていませんか………?」

 

「そんなことあるわけないだろっ!(しずか)ちゃんも…!ライちゃんも…!唐音(からね)も…!そして羽香里(はかり)もっ!ちゃんと世界でいっっっちばんかわいいよっ!!」

 

…ふふ…っ、そう言ってくれると思って…言いました♥」

 

「――は…羽香里ぃ~…!」 「うふふ…!」

 

 何か、不安に思う事があったらしい羽香里ちゃんが感情を吐露しながら質問し、恋太郎くんが即座にそれを否定した。最後ぺろっ♡と笑った羽香里ちゃんの顔からきちんと不安が無くなった後に2人は………

 

 

 

 

 

「ふっふんっ!あんたがど~~してもって言うなら私もしてあげない事もないわよっ!べっ…別に私は興味ないけどねっ!!」

 

「しっかりキスポジにスタンバっといて…」

 

 ツンデレしながらもソワソワしている唐音ちゃんを相手に恋太郎くんが唐音ちゃんの耳元で、

 

唐音(からね)はかわいいなぁ…」

 

 内容までは分からなかったけれど、その後唐音ちゃんが照れに照れて『ばかばかばかばかぁ!!』と骨が折れたような音を鳴らすぐらい恋太郎くんを殴り続けたことで、大体恋太郎くんが大体何を言ったのかは分かった。

 

 多分『照れてる顔がすっっっごくかわいいっ!』とかそんな所だろう。

 

「……俺はしたいよ。唐音とキスど~~してもしたい」

 

「………ん…………ふぅん……」

 

唐音(からね)は?」

 

「………………………………したぃ」

 

 ……素直に『したい』と言えない唐音ちゃんに対してこんなムーブを決める恋太郎くんは、やっぱりドSだなと思いました。

 

 

 

 

 

 そして、全員がキスを終えた頃には……

 

 

 

 ポヤ―――――――

 

 私達4人とも、恋太郎くんのキスによる多幸感で顔を赤らめながらぼんやりとしていた。

 

「――どうしたんですか…?恋太郎(れんたろう)君」

 

「ん……?…うん…………」

 

 途端、恋太郎くんが天を仰いだ状態で動かなくなったことに気付いた羽香里ちゃんが恋太郎くんに尋ねる。

 恋太郎くんも私達と同じくぼんやりとしていたのか反応が少し鈍かったけれど、質問にはしっかりと答えてくれた。

 

 

 

「……こんなに幸せで…………いいのかなって……」

 

「…四人とも――本当にありがとう……!」

 

 

 

 ……ダイスキな恋太郎くんが私達のキスでこんなに喜んでくれた上に感謝までしてくれるなんて……。

 彼女としてそれ以上に嬉しいことなんて、無いよね。

 

「「「「――そんなの……」」」」

 

 この時、私達4人の思いは重なった。

 

「「「「私達のセリフ――」」」」

 

「だよ」 「よっ!」 「です!」 「“であった”」

 

 

 

「語尾の大渋滞だ」

 

 

 

 

 

《オマケ》

 

唐「ごめん」

 

ラ「……ビックリした。私、唐音ちゃんに謝られるようなことされたかな?」

 

唐「ほら、私が静を問い詰めた時、あんたが静の前に立ちはだかってきて…私あんたに大声出したでしょ」

 

ラ「あぁ…。あれは唐音ちゃん悪くないよ。空気読めずに首を突っ込んだ私が悪いんだから」

 

唐「でも、あの時のあんたスゴい傷ついた顔していたから……」

 

ラ「……そっか。実を言うとね、あの時唐音ちゃんと夫婦喧嘩中のマムが重なって。それでちょっと面食らっちゃったっていうか……」

 

唐「…そう…」

 

ラ「でも、あれのおかげで静ちゃんも本音を出してくれたんだし。唐音ちゃんが私に申し訳無く思う必要なんてないんだよ?私も気にしてないし」

 

唐「……そっか」

 

ラ「でもまぁ、無自覚に大声出しちゃう所は少し気をつけた方が良いかもね。羽香里ちゃんも言ってたけど」

 

唐「ウッ……善処するわ」

 

ラ「じゃあ早く戻ろう?恋太郎くん達待たせちゃってるし」

 

「…ありがと…」

 

ラ「ん、何か言った?唐音ちゃん」

 

「はぁっ!!?べ…別にありがとうなんて言ってないんだからね!!ほら、さっさと行くわよっ!!」

 

ラ「……ふふっ。はーい」

 




※一応、原作では4人目の彼女が原作7話で“初めて”女子側から恋太郎へキスをしかけましたが、また私は調子に乗ってオリ主に“初めて”を奪わせてしまいました。pfpfしかり、家族に複数恋愛暴露しかり、今回のキスしかり。オリ主は卑しか女ばい。

羽「見てください静さん、卑しか女ですよ!!」

静「“は…”“羽香里さん”…」

唐「何(しずか)にさせてんのよ、あんたは」

 でもまぁ、白状すれば9話で羽香里、静、唐音(唐音から動いたかは漫画では微妙に分からないけれど)から恋太郎にキスを仕掛けていますが、その時オリ主がキスする展開にまで持ち込めないと思うので今回は先んじてその分のキスをしてもらった次第でした。

 それと、4人目の彼女のキスが“初めて”を奪ったぐらいじゃ全然色あせないぐらいの強者ムーブすぎる。なんなの、あの握手の為に伸ばされた手→掴んだのと同時にグッと恋太郎を引き寄せ→キスって。効率的にも程があんでしょうが!好きっ!!

 

羽々里さんの台詞を1字表記する際何て書く

  • 羽々里さんの『々』
  • 羽々里さんは皆の『ママ』より『マ』
  • 羽々里さんは羽香里の『お母様』より『母』
  • ヤツ(♀)より『ヤ』
  • 羽香里を『香』で羽々里さんを『羽』表記
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。