少し投稿が空きました。
難産だったのもそうですが、週末に腹イタ→高熱のダブルパンチで倒れていたのが原因です。皆さんも冷たい物や冷房によるお腹の冷やしすぎにはご注意ください(1敗)。
このお話は少し長めです。
追記:7月5日22:02 誤字修正
大槻ライは記憶に一部欠陥がある。
それは彼女がアメリカにいた頃、
理由は多種に及ぶが、特にダイスキな人を多く失ったことが1番大きかったようで。それに耐えられなかった彼女の精神は、
このことを大槻ライ自身は知らない。記憶に穴があること自体は何となく把握しているらしいが、それがどれだけ異端であるのか理解していない。
1度祖父に連れられて日本の精神科医の元に訪れたことがある。その際に担当医者と祖父は彼女の記憶障害に異常があることを把握できたが、これを本人に伝えても逆効果だということも理解していた。その為定期的に病院で検診を受けるということで彼らは手を打った。
それは、数年経った今でも変わらない。事ある毎に一部の記憶が戻ることこそあったが、それでも大部分の記憶は依然戻る様子は見られなかった。
1度その平和が脅かされたことでトラブルこそ起こったが、それ以降は特に何事もなく彼女は日々を謳歌することができた。
それらのことから鑑みるに、彼女は無意識に自分自身に嘘を吐いているとも言える。
▽▽▽▽▽
「…と言う次第でございまして…
「やーやーよろしく。薬膳楠莉なのだ!」
「より多くの異性と同時に付き合う方が効率的。素敵」
「別に効率のために付き合ってんじゃないからね?」
恋太郎くんの紹介を遮って
それはきっと。
「正直ちょっと…
「ああなんか…聞いた事あるわね。女子は本能的に“モテる男子”にときめくとかって…べっ別に私はそんなの何とも思わないけどっ」
「“さらにどれだけ
唐音ちゃん達全員新たに彼女が増えることについて反対するつもりが全く無いからだろう。それはきっと、恋太郎君が毎日1人も手放すことなく愛してきた実績があるからだ。唐音ちゃんの後ろで『みんな…しゅき…』と流れる涙を片腕で止める恋太郎くんがいるけれど、これは誰でもできることでは無いと思う。
本当にすごいよ、恋太郎くん…。
「あんたはどうなのよ?ライ」
「え?反対する訳ないよ。
「
「それよ。恋太郎の紹介が始まる前からその調子……。あんたら、もしかして知り合い?」
唐音ちゃんがビシッ!と楠莉ちゃんの後ろで頭を撫でる私を指で差す。
そういえば、言ってなかったっけ。いや、でも2人には言っていたと思うんだけど……
あぁ…!
「唐音ちゃんと羽香里ちゃんにも名前までは言ってなかったね。この楠莉ちゃんこそ、私のお爺ちゃんを助けてくれた
「えっへんなのだ!」
「嘘でしょ!!?こんな小さい子が!!?」
「てっきり、大人の方だと思っていました…」
「“命の恩人”って?」
「あぁ、ごめんね恋太郎くん。簡単に説明すると…」
私は何も知らない3人に簡単に去年の春休みの交通事故について話す。恋太郎くんは危うく私が
そういえば、私なんであの時車道に出たんだっけ?あとちょっとで思い出せそうなんだけど、なんでか思い出したら
私の説明に3人とも納得してくれたらしい。ちなみに幼児化していることは伝えていない。お爺ちゃんにはああ言ったけれど、この間の羽香里ちゃん達みたいに初対面の人が面を食らった反応をしている所を見るの好きなんだよね。わざわざ口に出したりはしないけど。今度皆を家に招待した時にもう1度見てみたいね。
「…それで?聞かせなさいよ自己紹介の続き」
唐音ちゃんが仕切り直すかのように楠莉ちゃんにそう問いかける。そうだった。途中色々寄り道していたけれど、元々は楠莉ちゃんの自己紹介の時間だったね。
「
「ちょっと大丈夫なのこの子!!?」
とろけた顔でよだれを垂らしながらそう告白する楠莉ちゃんに思わず大声を上げた唐音ちゃん。
……まぁそういう反応になるのは分かるよ。私も初めて聞いた時は似たような物だったから。
「大丈夫。シャブはまだだって言うから」
「むしろ不安になるレベルの大丈夫」
「今度の長期休みにでもアメリカ行かない?流石にシャブは無理だけど、
「こんな小さい子にドラッグ勧めるんじゃないわよ!!」
「ちなみに薬の影響でこの姿だけど、本来は三年の先輩なんだ」
「なのだ」
「薬に人生
「唐音ちゃん大丈夫?そんなに大声出して。喉痛くない?」
「『痛み止めの薬』使うのだ?」
「いらないわよ!!誰のせいだと思ってんの!!」
「今のは『私のことは気にしないでいいから、心配してくれてありがとう』って意味ですから大丈夫ですよ、ライさん楠莉先輩」
「気持ち悪い訳するんじゃないわよ!!」
「『これで』“七連撃”」
「一説によれば、一部のサメは泳ぎ続けないと呼吸できないと聞く。院田唐音もそれと同じく逐一ツッコミを入れないと呼吸できない可能性が高い」
「何か言ったか?」
おぉ、これで8回目。もしかしたらツッコミ連続記録でギネスに載れるかもしれないね唐音ちゃん。まぁ、そう簡単にギネスに載れるとは思わないけれど。
まぁ、冗談はさておいて。
「今日は皆にお近づきの
「え…?」
自己紹介を終えた楠莉ちゃんはそう言うと自身の懐をゴソゴソと漁る。そして目的の薬が見つかったのか取り出しながら告げる。
「
「どういう意味よ!!!!」
「えっいらないのだ…!?そ…それじゃあそれじゃあっ」
まさか怒鳴られるとは予想していなかったのか、戸惑いながらも再度別の薬を探り始める楠莉ちゃん。
「『ひねくれ者じゃなくなる薬』!『少しは女の子らしくなる薬』!」
「だからどう言う意味よ!!!!」
「なんなのよそれ!どこで私のそんな情報リサーチしてきたのよッ!!」
「
自身が気にしている所ばかりを列挙されたからか楠莉ちゃんにそう問い詰める唐音ちゃん。それに対してあっさりと情報源を白状する楠莉ちゃん。
それを受けての唐音ちゃんの動きは早かった。
恋太郎くんを組み伏せた唐音ちゃん。そして、泣きながら背中の上で恋太郎くんの両足を掴むと海老反りになるようにメリメリッと締め上げ始める。
マムがダッドに幾度も仕掛けていたから分かる。この技はたしか『逆エビ固め』だっけ。
「最悪最悪最悪!そんな風に思ってたのねッ!!!!」
「ぐぎゃああああああああああああ」
「このクソ
「あっ違うのだ!!恋太郎は
唐音ちゃんの反応を見て自身の答えが言葉足らずだったことに気付いた楠莉ちゃんが慌てて補足する。
それを聞いた唐音ちゃんの動きはまたしても早かった。
恋太郎くんへの締め上げを解除すると、起き上がった恋太郎くんの胸元へと頭を押しつけて懺悔の言葉を繰り返した。
「ごっごめんね…あんなの嘘だからね…大嫌いなんて…ほんとは全然思ってないからね…い…痛かった…?」
「大丈夫、あんなのちょっと元気一杯のボディタッチって考えればむしろご褒美だから」
「ドMなのだ?」
「恋太郎くんはドMでもあり、ドSでもあるんだよ。これテストに出るから覚えておいてね、楠莉ちゃん」
「そんなテスト、あってたまるかなのだ」
口の端から血を一筋流しながらもぎゅっ♡と唐音ちゃんを抱きしめながら頭を撫でる恋太郎くんを眺めながら私は楠莉ちゃんにそう伝える。これが2人のコミュニケーションだからね。楠莉ちゃんにも慣れて貰わないと。
それから数分後。
唐音ちゃんが落ち着いたタイミングで、今度は羽香里ちゃんに薬を手渡した。
「
「!いただきます!!」
「おお、一切の迷い無く」
「羽香里…もうちょっと…ほら…疑うと言うか…怪しい通販とか…気をつけろよ…?」
グビーー!!と勢いよく薬を飲み干す羽香里ちゃんに私と恋太郎くんがそれぞれ反応する。さて、楠莉ちゃんの薬って時々用途とは違う効果が起こったりするけれど……そもそも『セクシーになる』ってどういう効果なのかな?
「……?なんだか…汗が…」
そう楠莉ちゃんに聞いてみるよりも、羽香里ちゃんの身体に薬の影響が出るのが先だった。
「ひゃあぁッ!!?服が溶け…ッ!!?」
突如羽香里ちゃんの制服や下着が溶け始め、遂には羽香里ちゃんの衣類の全てが消え去ってしまった。
楠「それは衣服を溶かす汗が出る薬なのだ!セクシーと言えば“すっぽんぽん”なのだ!!」
羽「そんな!!」
ラ「成る程。楠莉ちゃんの“セクシー”の定義はそうなんだね」
凪「たしかに、布面積が著しく少ない衣類の方が異性の注目を集めやすいと聞く」
唐「そんなこと言ってる場合!!?」
静「『はわ!!』『はわわ!!』」
赤面しながら大事な所を隠す羽香里ちゃんにそう説明する楠莉ちゃんに、『羽香里ちゃんスタイル良いよな』って思いながらそう呟く私に続いた凪乃ちゃんとそんな私達にツッコミを入れる唐音ちゃん。
赤面して顔を覆い隠す静ちゃんが反応するのを見て流石にかわいそうだと思い自分の羽織を貸そうとしたけれど、私より恋太郎くんの方が早かった。
恋「
羽「あ…ありがとうございます…!」
ラ「おぉ、恋太郎くん流石。紳士だねぇ」
凪「愛情恋太郎のジャージのおかげで布面積が回復した。しかし、これではセクシーとは言えない」
羽「(はわわわわわ
羽「グッ(グッッッジョブです
楠「ぐッ(?)」
ラ「まぁ、羽香里ちゃんが幸せそうだから良いんじゃないかな?」
凪「聞いた事がある。これが、彼シャツという概念…!」
唐「『本当にそうか?』」
唐「う、羨ましいだなんて思ってないんだからね!!?」
恋・楠「「?」」
紆余曲折あったけれど、もらった張本人の羽香里ちゃんが満足そうに恋太郎くんのジャージをくんかくんかしているから結果オーライかな?
今度は静ちゃんの番だ。
「本の物語が大好きな
「『ありがたきしあわせ』」
楠莉ちゃんの薬を受け取った静ちゃんは、一拍を入れた後両手で大事そうに抱えながらコク…コク…と薬を飲み込んでいく。
すると…なんということでしょう。
恋・ラ「「ほわわわわわわ」」
静ちゃんの頭から、可愛らしいうさぎさんの大きなお耳が生えてきたではありませんか…!!
「かわいさの
「ギネスに載るレベルの可愛さ…!!」
「『もったいなきお言葉…!』」
「愛情恋太郎も大槻ライも、どうして突然膝をついてしまったの?」
「気にしないで大丈夫ですよ、凪乃さん。お2人とも静さんの可愛さにやられただけですから」
「たしかに可愛いわね……」
「唐音さん?」
「べっ、別に可愛いだなんて思ってないんだからね!!?」
後ろの3人が何やら話していたみたいだけれど、耳に入ってこなかった。
危なかった…!目隠しをしていなかったらあまりの可愛さに死んでいたかもしれない…!!
私と恋太郎くんが立ち上がることができたのはそれから数分経ってのことだった。
「――にしてもすごいな。映画の特殊メイクみたいだ…!」さわっ
「すごいよ楠莉ちゃん!!これハ○ウッドに売りつければ大ヒット間違いなしだよ!!」
「本当なのだ!!?わーいわーい!!」
ぞくぞく!!
!!?
楠莉ちゃんの方に顔を向けていたから少し反応が遅れたけれど、恋太郎くんがうさ耳に触れた途端静ちゃんがすごい顔をしているのが
「えっ!?あっごめん!感覚あるの…!?」
「“未知なる世界への扉”『
「実際の所どうなの?制作者の楠莉ちゃん」
「感覚があるのは楠莉で実証済みなのだ。でも、自分で触ってみてもあんな風にはならなかったから不思議なのだ」
「よく分かっていないのを
「まぁまぁ。自分で触るのと相手に触られるのでは感覚も違ってくるでしょうから」
「…………?」
静ちゃんの反応にそれぞれ驚く私たち。静ちゃんの反応と表情からして、
「気持ちよかったなら、もっと触ろうか!」
「!?」
だから、恋太郎くんがこう告げた時には鬼かと思ったよね。
「こしょこしょ~~♥」
「『あ…アニキィ~!こいつが夢にまで見た――』『
その結果が、これだ。
恋太郎くんの膝枕を堪能しながら、敏感なウサギ耳を恋太郎くんにさわさわされる至れり尽くせりの極楽浄土に静ちゃんは……とろけにとろけた。
当然、それに至るまでの経過を余すこと無く目に残した私は。
我が生涯に一片の悔い無し
「「ライ(さん)!!?」」
いつぞやの恋太郎くんみたいに、天使の格好をした大きな私を背後に携えスヤァ…と目をつむった。
【あへ~~…】
「かわいい…」
「かわいい…ほら、ライさんも静さんのお耳触りませんか?」
「い…いや、私は……『可愛いものに触れてしまうと嬉しすぎて死んでしまう病』が……」
「また適当な嘘を……ほら!さっさと触りなさい!!」
「!!?………いい……」
【あへ~~…】
私と羽香里ちゃんと唐音ちゃんの3人で静ちゃんのウサギ耳を堪能していると、
「効率重視の
「作業効率が上がる。悪くない」
「もう飲んでらこの効率少女は」
楠莉ちゃんの説明を聞き終えるよりも先に凪乃ちゃんは薬に手を出していた。恋太郎くんが突っ込んでいるけれど、特に慌てることなく髪を手の形に変形している所を見る限り暴走の危険性はなさそうだ。これは楠莉ちゃんの薬がすごいのか、凪乃ちゃんのセンスが良いのか判断がつかないけれど。
……後で私も飲ませて貰おうかな?
「…!
「!(いいにおいした…!)」
「………」
私がそんなことを考えていると、凪乃ちゃんが恋太郎くんの顔から自身の長い銀髪を操って埃を払った。効率を追い求める凪乃ちゃんらしいと言えばらしいけど、突然凪乃ちゃんの髪が近づいてきたことに何やらドキドキする恋太郎くん。
そんな恋太郎くんを意味深に眺めていた凪乃ちゃんは、
しゅる…グィッ
2組の髪束をそれぞれ恋太郎くんの腰や首に巻き付け、自身の元へと手繰り寄せると
「え?な、凪乃…?」
ちゅっ
「…わーお」
自身は1歩も動かぬまま、恋太郎くんとのキスすることに成功した。
……いや、本当にすごいな凪乃ちゃん。色んな意味で。
「気に入った」 「俺も気に入った」
「それならもっとあげるのだ!この薬は一本で薬10分効果があり――」
2人が気に入った所で、楠莉ちゃんが途中で終わった薬の説明に戻った。
「通算2本目以降は飲むほどハゲるリスクが高まるので注意なのだ!」
「毛根を
「女子にとって致命的なリスク」
思わず恋太郎くんのツッコミに続いてしまった。ツッコミは
「ハゲれば手入れの手間が省けて効率的」
凪乃ちゃん!!?
いたよ、ここにひとりっ!!?
「い、いいのか…っ!?」
「だって――
「当然だ!!!!」
「俺はたとえ凪乃がハゲようが太ろうが宇宙人に体を乗っ取られようが愛せる自信がある!!!!」
「最後のは私じゃない」
すごいな、凪乃ちゃん。たとえ髪が無くなっても恋太郎くんに愛されるはずという自信があるなんて。私じゃ到底マネできないや。その信頼に応えられる恋太郎くんもすごいけど。
けど、2人の問答はここでは終わらなかった。
「――けど…俺は凪乃のこの綺麗な髪も……好きだよ…」
「…………」
「この薬は私には不要」
「えぇ~~?面白い薬なのにぃ~」
まさか、このデンジャラスなお薬でこんなラブロマンスな1シーンが見られるだなんて思いもしなかった。静ちゃんの可愛さの誘惑に耐えきった甲斐はあったと言える。
「流石にデメリットが大きすぎたね。私も試飲手伝うからさ、一緒にがんばろう?」
「ライ……!ありがとうなのだ!!」
2人もだけど、良い物を見させてくれた楠莉ちゃんにはお礼を兼ねてそう伝える。けど、何故か恋太郎くんや他の皆からほぼ本気で止められてしまってこの話は無かったことになってしまった。楠莉ちゃんには申し訳ないから今度何か欲しいものをプレゼントすることにしようっと。
「そして最後に嘘吐きなライには…『嘘が吐けなくなる薬』をあげるのだ!!」
「私のアイデンティティ崩壊の危機」
てっきり羽香里ちゃん達への自己紹介の為だからと既に知り合いである私は除外されているものだと思っていたけれど。楠莉ちゃんはそう思っていなかったみたいだ。
「この薬は『不老不死の薬』ともう1つの薬以外の、これまでのどの薬よりも長い時間をかけてようやく完成した楠莉1押しの薬なのだ!!」
「くっ!!そこまで言われると弱い…」
かれこれ1年来の付き合いなんだ。楠莉ちゃんが『不老不死の薬』を作る理由なんて当然聞いている。その薬の次に時間を掛けた薬なんだ。楠莉ちゃんの気持ちがこもっているのは否定できな…
「楠莉の薬とライの嘘、どっちの方が強いのか競争したいってずっとずっと思ってたのだ!!」
ラ「
唐「ノーベル賞レベルの薬をそんな理由で作るんじゃないわよ」
…まぁ、理由はともあれ。楠莉ちゃんがこの薬のために多大なる時間を費やしたというのも事実。そんな楠莉ちゃんのことを考えれば、この薬を飲むことぐらい何の支障も無い……
……はずなのに。
……なんでだろうか。
生死に関するレベルでは断じてない。そんな薬を楠莉ちゃんが私に飲ませる訳がないから。だったら何なんだろうか、この不安は…?
「…ライちゃん?無理そうなら断わってもいいんだよ?」
「そうよ。私も薬飲んでないんだから。あんたが気にする必要なんて…」
一向に楠莉ちゃんから薬を受け取ろうとしない私を心配して、恋太郎くんと唐音ちゃんがそう私に声をかけてくる。楠莉ちゃん以外の残り3人も何も言わないけれど心配そうに私を見てきているのがわか……いや、凪乃ちゃんのは分かんないや。なにあの無表情。あれはあれで怖いんだけど。
……こんな風に心配されたまま終わるなんて、
「楠莉ちゃん」 「ライ?」
パシッ
「…ライちゃん?」
楠莉ちゃんから薬を受け取ったことに、恋太郎くんが反応する。
「何勘違いしているの、みんな…?私はただ……」
「楠莉ちゃんの薬に勝った後で、どんな
そう言い終わったのと同時に、先程の羽香里ちゃんみたいに腰に手を当てて勢いよく薬を飲み干した。
そして……
ドクン!!
飲んだ私も制作者である楠莉ちゃんですら予期していなかった事態が、今まさに私の身体の中で起ころうとしていた。
▽▽▽▽▽
【恋太郎side】
ライちゃんが『嘘が吐けなくなる薬』を飲んでどれくらい経っただろうか。
数秒だけだったようにも、数分もかかったようにも思えた時間が経った後それまで微塵も動かなかったライちゃんが微かに動いたのがわかった。
「ライちゃん…!」
慌ててライちゃんの下へと駆け寄る。薬を飲んだ後の反応が唐音を除いた皆とは明らかに違うのが目に見えて明らかだったからだ。ライちゃんは目隠しをしているから実際どうかは分からないけれど、感覚的にライちゃんと目と目が合ったのがわかった。
「…恋太郎くん?どうしたのそんな慌てて」
「『どうしたの』って…ライちゃん薬を飲んでからずっと微動だにしていなかったんだよ?覚えてない?」
「……あぁ。ごめんちょっとボーッとしちゃったみたい。心配かけてゴメンね?」
「いや、ライちゃんは何も悪くないんだから謝る必要は……」
そうライちゃんと会話を交わしている内に、羽香里たちも俺達の下まで来た。
楠「ちょっと予期せぬ事が起きた訳だけども、何も問題が無いなら大丈夫なのだ!」
唐「本当に大丈夫なんでしょうね?」
羽「唐音さんの心配する気持ちは分かりますが、ここは
静「『ハラハラしたぜ』」
凪「大槻ライが問題無いのであれば、早く実験に移るのが効率的」
楠「凪乃の言う通りなのだ!ライ!何か適当に嘘を吐いてなのだ!」
ラ「…………」
楠莉先輩に問われて1度顔を空へと向けたライちゃん。そして、顔を戻すと同時にライちゃんが
「……私は“男”だ……」
…………
いつものライちゃんの声と比べると声のトーンがかなり低く落ち着いている。声だけを聞くと大人の男性と勘違いしそうになるぐらいだった。
この場にいる全員が分かる明らかな“嘘”。数秒経っても何も起こらないことを全員が確認し終わると楠莉先輩がぐお~っ!と悔しそうに唸りながら自らの敗北を認めた。
「負けたのだ~!!『嘘が吐けなくなる薬』は時間内に嘘を吐いたら身体の拒絶反応により吐血するはずなのに~!!」
「やっぱり危ない薬じゃないの!!」
「大丈夫ですかライさん!念の為口の中を見せて頂いても…」
「ありがとう羽香里ちゃん。でも大丈夫。
「『嘘じゃねーみてーだな』」
「大槻ライの嘘は薬よりも強靱。覚えた」
「くっそー!またリベンジしてやるのだ!!」
▽▽▽▽▽
この時の俺は、ライちゃんのことをよく
唐「うんまぁ、とにかく。薬っていうのも悪くないかもね」
楠「そうなのだ!薬は最高なのだ!!」
唐「べ、別に興味ないけど…。『胸が大きくなる薬』って、飲んだらどうなってたのよ」
楠「ん?これが使用後の想像図なのだ」
唐「ん?」
ゴイーン!!
ラ「あらら、ムッキムキ」
唐「胸筋じゃねーか!!よかったわ飲まなくて」
楠莉ちゃんの薬を飲んだライちゃんは一見何の問題も無いように見えた。
でも、それじゃダメなんだ。ライちゃんは嘘吐きなんだから。彼氏である俺はそれら全てに気付かなければならないのに。
楠「こんな感じで色々作っているけど、楠莉が憧れてる研究チームに応募用のが今一番気合いを入れてる薬なのだ!」
凪「研究チーム?」
楠「楠莉の夢なのだ!そのチームで研究をして、もっともっとすごい薬を作りたいのだ!」
静「『なんという素晴らしい憧憬』」
恋「おぉ…」
ラ「……応援してるよ、楠莉ちゃん」
もし、気付けていたら。
ライちゃんに
※気になってネットで『1話中のギネス連続ツッコミ記録』と検索しても、録な結果が出て来ませんでした。なんで1件もないんだ…ッ80億人もいて…ッ。
※特殊フォントに挑戦していると、原作がいかに多種のフォントを多用しているかが分かりました。お試しに多くの特殊フォントを使っていますけれど、もし読み辛い等があればぜひコメント欄でご指摘ください。
※まだ11話には続きがありますけれど、ここまでで大分文字数かかってるのでカットします。
羽々里さんの台詞を1字表記する際何て書く
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羽々里さんの『々』
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羽々里さんは皆の『ママ』より『マ』
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羽々里さんは羽香里の『お母様』より『母』
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ヤツ(♀)より『ヤ』
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羽香里を『香』で羽々里さんを『羽』表記
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その他