今話はほぼ原作通りですが、この長編の中でオリ主の根幹についても触れる予定。私がこの二次創作を書くに当たって、1話の次に書きたかった長編でもあります。気に入って頂けると嬉しいです。
では、本編をどうぞ。
【恋太郎side】
「…
「…………え…っ」
皆で一致団結した結果、俺たちは栄えある勝利を獲得した。勝ったことに歓喜する皆を見ているだけで俺はとても心が洗われた気分になった。
そんな時、羽香里と2人きりになったタイミングで『わがままを聞いて欲しい』と言われて俺は、どんなことでも叶えてあげたいと思っていた。
けれど、
にこやかな表情を浮かべたまま告げられた羽香里のわがままは、想像していたものとは真逆の物だった。
衣装も風景も
……それが普通のはずなのに。
依然として俺に『お別れしてください』を告げた後も1ミリも笑顔の表情を崩さない羽香里を見て、『さっきのは聞き間違いなんじゃないか?』と、行動に移るのが一瞬遅れてしまった。
その一瞬が命取りだった。
「彼女さんはドレス返却のため、女性更衣室までお願いしまーす!」
「っはーい!」
「
「それでは彼氏さんも男性更衣室までお願いします!」
女性の係員に誘導される羽香里に待ったをかけるも、俺自身の肩にも係員の手が置かれた為羽香里に問いかけることができなかった。
けれど……
着替えを終えて皆の所に戻っても、そこに羽香里の姿は無かった。
「あれっ?羽香里は…っ」
「……?彼女さんでしたら急用とかでお帰りに…。写真をお渡ししたらお迎えの車が来て」
「……!?」
楠「急用…?しっこなのだ?」
唐「あんたじゃないのよ」
楠「いや、しっこはするだろ…
ラ「ハッ…!もしかして、唐音ちゃんってサイボーグだった!!?だからあんな規格外のパワーも…!!」
唐「2人とも、そんなに殴られたいみたいね…?」
凪「
静「『あたくし気がかりよ』」
羽香里が既に帰っていると聞いて、いつも丁寧な羽香里が俺たちに一言もなく帰った事実に信じられない気持ちになった。
――事情も分からない今…いたずらに皆を不安がらせるべきじゃないよな……。
「大丈夫…!俺の方から連絡してみるから」
そう凪乃と静ちゃんに伝えて俺は羽香里に電話をかけた。
楠「
凪「出る可能性が99%」
唐「残りの1
ラ「やっぱり、サイボー……」
唐「ふんっ!!」 ブンッ!
ラ「当たらなければどうということはない」 スッ
静「『どこぞの』“
…………
…駄目だ、電話に出ない…。
明日は月曜日、学校だ。別に急がなくても明日には顔を合わせることもできるはず。羽香里も何か家庭の事情で急に戻らざるを得なかっただけかもしれない。
でも、何か嫌な予感がする。このまま何もしないで明日を迎えると、何か
――こうなったら…この間
あっは~ん♥うっふ~ん♥
セクシープロマイド集*1
あれの封筒の裏に確か住所が…
「ごめん、皆!!俺もちょっと寄る所ができたからここで解散でいいかな?」
「えっ?何か言った、恋太郎く……ぐへぇっ!!」
「ライちゃぁん!!?」
「『いや』『当たっとる』『やんけ』」
余所見したライちゃんに唐音のパンチが当たって回復に少し時間がかかったけれど、皆俺の提案に乗ってくれたのでこの場で解散することになった。
皆が帰るのを見送った後花里家へと向かった。
▽▽▽▽▽
「庭に池…、噴水…!?絵に描いたような豪邸だな…」
封筒に記載されていた住所に辿り着くと、そこにあったのは誰が見てもお金持ちだと分かる豪邸だった。
俺の身長を優に超える柵が見渡す限りに建てられていて、どこが入り口なのかすら分からなかった。とりあえずチャイムがどこにあるのかと探していると、窓際にすっと誰かが近づいてきた。
あれは……!
「おーい!羽香里ぃ!おーい!!」
部屋の中にいる羽香里にも聞こえるよう大声を出す。すると羽香里も俺に気付いたようで驚いた顔で俺の方へと顔を向けた。
だけど、俺に気付いた後の反応が明らかに
「……!!?」 バッバッ!
ジェスチャーでしゃがむように伝えてきた羽香里に対して疑問に思っていると、
「誰かいるのか!?」
庭の方から聞き慣れない男の警戒する声が聞こえてきた。俺は慌てて羽香里の指示に従いしゃがむことに。するとすぐに端の方から制服を着こなした男がこっちに走ってきた。
「………気のせいか…」
その制服と言動からして、その男は警備員で間違いなさそうだった。
な…なんだあれ…警備…!?一般家庭に…!!?
普通とは思えない警備態勢に俺自身の目を疑っていると、ポケットのケータイから着信が鳴った。
知らない番号からだ。こんな時に誰からだろうと、電話に出てみると、
「もしもし…」
『私です…
……!
『時間がありません。
まさかの相手に先程まで羽香里がいた窓際に顔を向けると、自身のスマホではなく電話の子機を使う羽香里の姿があった。
スマホはどうしたんだ…?
疑問がどんどん出てくるけれど、一旦それは置いてまずあの時からずっと聞こうと思っていたことを切り出すことにした。
「――あんな唐突な『お別れ』理由も聞かずに受け入れられるわけないだろ…!俺は真剣に愛してるんだ…!!」
『理由なんて…っ…ただ、もう気持ちが冷めただけです。だから
「嘘つくな――顔見ればそんな事くらい分かる」
『……ッ』
「話してくれるまで絶対に帰らないぞ」
俺の返答を最後に羽香里が数秒黙り込んだ。そんな嘘、ライちゃんで慣れた俺が見破れない訳がない。まぁ、ライちゃんで慣れていなくても大好きな
いったいどれぐらいかかっただろうか。窓越しに視線を合わせながらも、遂に唇を強く噛んだ羽香里が覚悟を決めたかのように話し始めた。
『………お母様に………知られてしまったんです…………私達の……――
……!!
俺が…皆と
『…私は…
羽香里は悔しそうだ。羽香里自身出来る限りの手は尽くしたんだろうということは、羽香里の声の調子や表情からして分かった。
けれど、現実は非情だった。
『スマホは取り上げられ…転校の手続きもされ明日には引っ越し…――行き先は私も知りません…ッ』
……!!?
「そんな…ッ…無茶苦茶な……!!」
『――
そう俺に告げる羽香里の声は、とても悲しそうだった。
『お金と言う名の暴力でどんな無茶も理不尽もあの人の臨むがままに…ッ!もしも奇跡的にまた会えたとしても、きっと何度でも引き離される…!』
過去にも似たようなことがあったんだろうか。羽香里の声にはそれまでにはなかった積み重ねの重さがあった。
『もう…私達が一緒に過ごせる日は二度と来ないんです。二度と…――絶対にもう二度と…!!』
「でッ!でも――」
『…本当の理由は話しました…。…これで帰って――』
突如、羽香里の声がそこで止まった。
「
シャッ!と勢いよく羽香里が居た窓にカーテンが閉じられる。慌てて電話で呼びかけるも、電話先から聞こえてきた声は羽香里のものではなかった。
『二度と羽香里の前に現れない事ね。たかが高校生の害虫一匹、いつだって駆除できるのよ』
「あっあの
この状況とあの台詞からして、この声は羽香里のお母さんなのだろう。そう断定した俺は慌ててその声の持ち主にすがりついた。
…が、
ブツッ
……ッ!!
向こうの要件が済んだからだろう、電話は無慈悲に切られた。再度こちらからかけ直した所であちらが受け取らない以上、もう二度とさっきまでみたいに電話が繋がることはないだろう。
だけど、ここまで来て諦めてたまるか…!!
ガシャン!!
柵にしがみついた俺は中にいる羽香里のお母さんに伝わってくれと出せる限りの声量で叫び続けた。
「――は、羽香里のお母さん…ッ!あの!話をさせてください!どうか…!!どうか話を!!お願いします!どうか話を!!……」
「おいお前!屋敷の周りで何を騒いでいる!」
が、そんな俺の希望は虚しく、成果が出る前に先程の警備員に後ろから掴まれることで止められてしまった。
掴まれた所で俺に止まるつもりはなかった。けれど、俺の意志は関係無いとばかりに
「い、いえ!ただ
「……!お前、お嬢様の
「…ッ大切な事情なんです!!どうか――」
「関係ない。従わなければ通報するだけだ。そんな
……そんな
俺がどんなに羽香里を愛していようとも、どれだけ大切に想っていても。警察や第三者には
もがくのを止めた俺に気をよくしたのか、警備員は続けて言った。
「――
…………
俺はその言葉に反論することが出来なかった。
▽▽▽▽▽
羽香里の家から離れた俺は、行く当てもなくさまよい歩く。
頭の中ではついさっき言われた言葉たちがエンドレスで流れ続けている。
『きっと何度でも引き離される…!』
『もう…私達が一緒に過ごせる日は二度と来ないんです』
『二度と…――絶対にもう二度と…!!』
羽香里。いったい
『二度と羽香里の前に現れない事ね。たかが高校生の害虫一匹、いつだって駆除できるのよ』
羽香里のお母さん。羽香里の言う通りの人物なのであれば、俺がどう足掻いた所で敵わないだろう。その言動からして、自分自身が俺よりも優れているという余裕と傲慢さを持っているのは明らかだ。
『――
……花園家の警備員。不審者である俺にそう言うだけで何もしなかったのは彼なりの
大切な彼女と、その母親。さらに第三者から俺に告げられた言葉に対して俺は、
明らかに、無力だった。
「ぐうゥあああアァッ!!!!」
ガッ!!
すぐそこにあった
力もない…!!知恵もない…!!金も権力もないッ!!!
ただの
何が「愛してる」だ!!!
何が「幸せにする」だッッ!!!!
「てめぇができる事なんて…ッ何もねえじゃねぇか………ッッ!!!」
この時の俺の頭には、何も出来ない無力感しかなかった。
だから、その声が聞こえてきたのは
「恋太郎くん!!?そんな所で何をしているの!!?」
ライちゃんが両手に短剣らしき物を携えながら門から出て来た時には思わず目を疑った。
それで、慌ててライちゃんが出て来た門の表札を見たことでようやく事態を理解した。
そうか、ここは
「…そういえば、あの
「はい、
「……そうね、私も異論は無いわ。でも……」
「羽々里様?」
「
「かしこまりました」
「……………」
※ライ「さぁて次回の『0人目の嘘吐き彼女』は、『恋太郎、大槻家に招待される』の1本です」
※ライ「次回もまた見てくださいね!ジャンケン、ポン!!ウフフフフ!」
※(なお
羽々里さんの台詞を1字表記する際何て書く
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羽々里さんの『々』
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羽々里さんは皆の『ママ』より『マ』
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羽々里さんは羽香里の『お母様』より『母』
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ヤツ(♀)より『ヤ』
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羽香里を『香』で羽々里さんを『羽』表記
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その他