サブタイトル的にお誂え向きのオリ主が不在だけど。
久しぶりに恋太郎視点から動きました。
次の話は羽香里視点で書く予定(変わる可能性あり)
【唐音side】
「
ドキドキドキ
目の前で相対する羽香里の母親の、さっきまでの傲慢な様子からはまったく想像つかない台詞に私は心底動揺した。
あいつ唐突に…娘の彼氏に何を…!!頭どうかしてんじゃないの…!?
そんな事を思っていると、隣にいる恋太郎の様子が変わったのが分かった。
楠莉の薬の効果がようやく切れたのかとちらりと覗き込んでみると、
ドキドキドキ
「ええっと…あの…その…」
「頭どうかしてんのか!!!?」
私はキレた。
羽香里や私達の進退が決まるかもしれないこの大事な場面で、何を2人でふざけているのかと。
「何ドキドキしてんのよあれ
隣の恋太郎にそう怒鳴るも全く反応が見られない。依然赤面して呆けたままだ。
「ありえないわよねッ!!!?」
だから、羽香里の母親にもそう言った。なんで私は今から説き伏せなきゃいけない相手にこんなことを言わなきゃいけないのか、泣きたくなってきた。
「ちちちち違うわッ!!い今のはそう…ただのジョーク!!そう、“お母さんジョークよッッ!!」
……!!??……!!??
オホホホと笑う目の前の女が何を考えているのか、まるで理解できない…
これが金持ちの
だけど、そんな
「とにかく私は絶対に――あなたと
「っ!俺だって絶対に諦めることはできません!!必ず幸せにすると誓ったんです!!」
そう、あいつが突如“お母さんジョーク”を入れたものだからここまで無駄に時間がかかったけれど、事態は1つも好転していない。私と恋太郎は目の前のこいつから当初の目的通りに羽香里を奪還するか、羽香里との恋愛を認めさせないといけないんだから。
「――そう…あくまでも綺麗事を
「……!?」
そう言って指を鳴らす羽香里の母親。すると近くの床が突如割れ、イスがせり上がってきた。母親が座るイスよりも華麗さに欠けるものの、座席の高い部分に何やら機械の顔らしき物が乗っている。
「この特注の『嘘発見器』よ。どんな些細な嘘も確実に暴く
……この間楠莉がライに渡した薬みたいなものね。
「これであなたの誠実さに傷がついたなら、
『ブーン』
…成る程ね。この時私は内心でこの勝負が決まったことに喜んでいた。
「つまり、俺の嘘偽りない羽香里への想いを知ってもらえるわけですね」
だって、“誠実さ”において恋太郎以上の男なんてこの世にいないから。
だけど、恋太郎はそこで止まらず羽香里の母親へ1つ条件を出した。
「ですが、それにはその装置の
「…それもそうね…」
この時、私は油断しきっていた。
だから、あれよこれよと周りから言われた通りに動かされた結果。
「って、なんで私がッ!!?」
チーン。
いつの間にか、嘘吐き発見器に座らされていた。
私の了承を得ないまま座らされたことに大声で抗議するも、
「屋敷の者で試しても、信憑性の証明にはならないでしょう?」
「……ッ」
羽香里の母親の正論によってそれはあっけなく取り下げられた。
「わ、分かったわよ…でも、別に
「それじゃあただ嘘発見器使いたいだけの人じゃないか…」
恋太郎からのツッコミは聞こえない。聞こえないったら聞こえない。
それに、これはあくまで
「それでは院田さん、最初の質問よ。『あなたは
「脳みそに花でも植えてんのか!!!!」
……こんな、バカみたいな質問が繰り出されるまでは。
バッカじゃないの!!?初対面の相手に初手から聞く質問じゃないでしょうが!!
「嘘か本当か一目瞭然の質問じゃなければ意味がないでしょう」
「いやにしてもチョイスだよ」
「いいから早く答えなさい。遊びじゃないのよ」
「―――…ッび…BカップよBカップ…ッ!!C寄りのねッ!!はい!!これでいいんでしょッ!!」
正直まだ言いたいことはあったけれど、立場的に相手が上だということを思い出した私は不本意ながらも質問に答えることにした。
……恋太郎の前だったから、少しだけ
ビー!!ビー!!
嘘「ウソ!!ウソ!!ウソ!!」
「ッ!!?」
「言ったでしょう?どんな
…ッ!!こんな小さな誇張も暴くって言うの!!?
「~~~~~ッ!!Bカップよッ!!!ただのBカップッ!!!」
『まだちょっとウソ』
ブチッ
「A寄りのBカップよこの腐れマシンがあああ!!!!」
「きっとお高いものだぞ!!!!」
私はキレた(2回目)。
ズガンッ!!と思いっきり左手で嘘発見器を殴りつける。
人が気にしていることを機械風情が暴くんじゃないわよ!!!
ピコーン!!ピコーン!!ピコーン!!
『ホント!!ホント!!ホント!!』
「ふん、私が本気出せばこんなもんよ」
「パンチングマシンじゃねーよ?」
未だムカついたままだけど、ようやく1つ目の質問が終了したことにホッと一息を吐く。決して
けど、質問はこれで終わりじゃなかった。
「じゃあ次の質問。『あなたは
「だから何なのよ質問さっきからッ!!!」
この質問はあくまでこの
「恋人なら普通の質問でしょう。なぜいちいち叫ぶの」
「すみません
「聞いてないわよ」
…ぐっ……
すっっっごく
恋太郎や羽香里を救う為だから、と自分に言い聞かせて私は再度嘘発見器に腰を落とした。
「ああ、もう…ッとっとと終わらせるわよ。はい好き好きっ!」
ビーッ!!ビーッ!!
『ウソ!!ウソ!!』
「ウオオオオオボボボボボボ!!!!」
「
突如奇声を発して、倒れ込んで、吐血する恋太郎に思わず私も大声を出してしまった。
ガクガクガクと震える恋太郎はうつぶせだった姿勢から顔を上へと向ける。その顔は生者とは思えない程血色が悪かった。
「夢だ…これは夢…覚めおボボボボボ…」 ゴプッ
「現実と現世から
いや、恋太郎にツッコミを入れている場合じゃないでしょ!!それよりも明らかに可笑しいことがあったでしょうが!
「デタラメよこんなの!私は恋太郎の事―――」
さっきの答えを“ウソ”扱いされたことに抗議を入れようとした時、脳裏によぎった1つ目の質問のことだった。
『Bカップよッ!!!!
『まだちょっとウソ』
この
「―――ッ!!」
…私は覚悟を決めて、恋太郎への
「…好きよ…ッ
『ウソ!!ウソ!!』
「デュフォッ!!」
「だ…だッ大好きッ!!」
『ウソ!!ウソ!!』
「ウオボボボ!!」
「めちゃくちゃ好きッ!!ありえない程大大大好きッ!!」
『ウソ!!ウソ!!』
「ガハアアアァァァァァ……」
こんなに連続で恋太郎への“好き”を口にするのは初めてだった。きっと、これからも今みたいなに言うことは無いだろうと思う。
けど、現実は非情で。私が恋太郎への“好き”を伝えれば伝えるほど、『ホントじゃないから』、『正確じゃないから』という理由で
そして、恋太郎は誤解によりダメージを受けたことで吐血を繰り返す始末。
終いには、
「川の向こうでばーちゃんが投げキッスしとる………」
恋太郎は今、三途の川を渡りかけているらしい。恋太郎の容態からして、あと1回でも吐血をすればもう、本当に命が危ういかもしれない。
「~~~~~ッ!!!!」
「私は!恋太郎のことが!!世界で一番!!!大大大大、だ~い好き!!!!♥♥♥」
『ホントホントホントホントトトトトト……!!!!』
「
…ゼェ…ッ…ハ…ッ…
つ…疲れた……。なんで、信憑性の確認の為に恋太郎や私へのダメージがこんなにも高くなるのよ……。
「機械
『ホント!!ホント!!』
「大丈夫か…?立てるか
機械へのとてつもない怒りに我を失いかけたけど、死にかけた恋太郎が何も言わないから、それに免じて許してやることにした。
不本意ながら、未だに『好き好き大好き』と連呼したせいで紅潮した顔のまま立ち上がる。恋太郎に顔を見られたくなくて手を取った後はすぐ顔をそらして離れようとしたら…。
「俺も唐音の事が世界で一番、大大大大大好きッッッ!!!!♥♥♥」
……!!!??
『ホント!!ホント!!』
「何やってるのあなた!!!?」
「今そう言う時じゃないんだけど!!!」
「すみません。身の内から溢れ出る愛の衝動が抑えきれなくて…」
私と入れ替わりで嘘発見器に座り込んだのか、バカ正直に判定する機械と私同様に驚く羽香里の母親。それに対して私は……。
カァ…ッと熱くなる頬の熱を何とか抑えるのに必死で、何も返すことができなかった。
「ともかく…これで嘘発見器の信頼性は確認できたわね」
「はい」
私の熱がある程度落ち着いた頃合いで、羽香里の母親が恋太郎にそう言う。
どうやら、ここからが本番らしい。
…正直、恋太郎のことは1ミリも心配していないけれど。いったい嘘発見器がどんな反応を見せるのかちょっと気になった。
「――それでは始めましょう。あなたの
「この命にかえても幸せにする!!!」
「俺の幸せより
「羽香里のためなら死ねる……!!!」
「俺は羽香里の事が…世界で一番…大大大大大好きッッッ!!!!♥♥♥」
『ホント!!ホント!!ぜ~んぶホント!!!!!』
「ぐぎゃあああああああああああ!!!!」
……うん、知ってた。
▽▽▽▽▽
「ぐ…ッぐふぅウゥ…ッ!!…嘘よ…こんな誠実さのお化けみたいな六股男が存在するわけない…ッ!!」
「信じてもらえましたか、俺の
この勝負に自信があったんだろう羽香里の母親は、恋太郎のまさかの誠実さにより真正面から対処されたことが未だに信じられないのか、床に両手をついて嘆いている。
何故か申し訳無くなってきた。私も“六股男”しか知らなかい状態で恋太郎みたいなヤツが実際に出てくるなんて思わないだろうから。
そんな風にどこか羽香里の母親に同情していると、スッと立ち上がったと思ったら私達と嘘発見器を見据えてこう宣った。
「う…嘘発見器なんて
『ガーン!!』
まさかのトカゲの尻尾切りだった。
見捨てられた私の隣にあった嘘発見器が仰向けに倒れ込む。
もちろん私も黙っていない。さっきまでの怒りも込めて羽香里の母親へと叫ぶ。
「ふざけんなてめー!傷つけられた私の自尊心とここまでの文字数*1を返せ!!」
バタン!!
「大変です奥様ッ!!」
が、そんな部屋の空気も1人のメイドが慌てて部屋に入ったことにより急変した。
「
………ハ?
一瞬、思考が止まった。
あのバカ…!何考えて……
慌てて周りを確認する。恋太郎も羽香里の母親も、ましてや周りを囲んでいた警備員達も。この部屋にいる人たち全員が1人のメイドが持ってきた衝撃的な報告に動揺しているのが分かった。
……どうして私の反応が周りの誰よりも早かったのかは分からない。でも…
……今しか、ない……!!
勢いよく床を蹴り込んで走り出す。その目標は……、
「全員動くんじゃないわよ!!!でないと、この細い首ぶち折るからねッ!!!」
羽香里の母親だ。
こいつの命を脅かせば、こいつの部下や従者である警備員やメイドの動きが鈍るのは必至…!今までは周りを囲まれていたから出来なかった策だけど、全員が隙を見せた今でしかできない唯一のタイミングだった。
「
「なんであんたが一番ビビってんのよッ!!!」
屋敷の関係者を差し置いて1番動揺している恋太郎にそうツッコミを入れた後、私は恋太郎に指示を出す。
……これで
「今の隙に早くあのバカ迎えに行って…っ
「―――!!…でも…ッそれじゃ唐音は…!!」
囮作戦。
今は羽香里の母親の命を脅すことで一時的に周りの動きを抑えられているけれどそれもずっとは持たない。せいぜい、1時間でも持てばいいぐらいだ。
そして、その後のことは……正直考えたくもないわね。
屋敷への不法侵入と母親への暴行、そして羽香里の誘拐。罪状を考えるとキリが無い。
恋太郎が私を心配して『逃げろ』って言っているのにその場から動こうとしない。そんな恋太郎を見て、私は少し……いや、すごく嬉しかった。さっきも言ってくれていたけど、私のことも恋太郎は大好きなんだって実感できたから。
だからこそ、信じられる。
「…ふん…っどうせいつか迎えに来てくれんでしょ」
『…待っていてくれないかな…っ!!』
『いつまでも好きで待ち続ける事なんて――できるわけないでしょ』
この屋敷に侵入する前、恋太郎に行ったあの言葉は嘘じゃない。けれど、恋太郎の人柄とこれまでの私や皆に対しての行動、そしてあれだけ正確な嘘発見器が認めるぐらい誠実な恋太郎だったから。私は心から恋太郎を信じて、この言葉を言える。
「――あんたの事なんか…いつまでも待ってられるに決まってんじゃない」
「…
私へお礼を言った恋太郎が部屋から走り去って行った。私の脅しが効いているのか、近くに居た警備員が動く事がなくて一安心。
「ま……」
「フンッ!!」
「ぐッ!!?」
「行かせないっての!」
「ぐおおおお…ッ!!放しなさいぃ…!!
「ちょッ!!動くなっつってんでしょ!!本当に首ぶち折るわよッ!!?」
が、安心する暇はなかった。
私に首を抑えられている羽香里の母親が首元に回した私の左腕を放させようともがいている。
慌てて止めるように脅しも付けて言ったんだけど、
「ぶち折るならぶち折りなさい!!!!母親の愛、ナメんじゃないわよッッッ!!!!」
――ッ!!
私を背負っているというのに、徐々に前へと進んでいく羽香里の母親。
羽香里の母親のあまりの剣幕に、私はついさっきこいつが言ったこいつと羽香里の香小話を思い出させられた。その話で言っていた、こいつの羽香里への
――違うでしょ。何ビビってんのよ…ッ!!!
ここで
それにね、あんた知らないでしょ。私達がこの屋敷で羽香里を見つけた時のこと。恋太郎もあの状態だったから、実際に目にしたのは私だけの、あの時のこと。
羽香里は……泣いてたのよ。
今日のデートでもらったばかりの皆で撮った記念写真をベッドに広げて、その上に雫が数滴も落ちていて。扉が開いたのに気付いてこちらを振り向いた羽香里は泣いていたのよ……!!
「――何が母親よ……羽香里の気持ちをないがしろにしておいて…ッ!」
「――ハッ…」
「あんたこそ――」
「親友の愛ナメんじゃないわよッッッ!!!!」
▽▽▽▽▽
羽香里が窓から飛び降りようとしている所を、警備員やメイドに目撃される数分前のこと。
恋太郎たちが屋敷からの侵入を果たした
「…………」
ここの扉が開いているということは……
まぁ、あれだけ警備が厳重なあそこからわざわざ入ろうとする者なぞ、バカとしか言いようがないだろうが。
そんなことを考えながら、その人物は躊躇うことなく屋敷の中へと入っていく。
この
羽々里さんの台詞を1字表記する際何て書く
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羽々里さんの『々』
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羽々里さんは皆の『ママ』より『マ』
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羽々里さんは羽香里の『お母様』より『母』
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ヤツ(♀)より『ヤ』
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羽香里を『香』で羽々里さんを『羽』表記
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その他