0人目の嘘吐き彼女   作:モーン21

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サブタイトルからして名探偵コ○ン調。

だけど私がこの話を書くに当たって久しぶりに起動したのは、ダンガン○ンパV3でした。

あの作品は『嘘』についてかなり深く取り扱っているので、久しぶりに触れてみると新たな再発見があったりして面白かったです。

あ、あと最近ウ○娘熱が再熱しました。私の今一押しはスティルインラブです。


嘘吐き-2 真実はいつもひとつ

【恋太郎side】

 

『それじゃあ愛城くん、先行ってるね』

 

『ッ!あ、あぁ!』

 

『……はぁ~~』

 

『な、なんだよ?』

 

『いや?お前の連続失恋記録が今日で途切れるのかと思うと、感慨深くなるのと同時になんかムカついて』

 

『友人の一世一代の晴れ舞台直前で何てこと言うんだ!!』

 

『多すぎんだよ、お前の一世一代。いい加減慣れろや』

 

『慣れる訳ないだろ!!?だって、告白だぞ!!?今でも心臓が爆発しそうなんだぞ!!』

 

『……はぁ』

 

『二度目のため息!!?』

 

 中学校の卒業式、最後のHRを終えるとすぐ大槻さんは教室から出て行った。他のクラスメイトはさっきもらったばかりの卒業証書と卒業アルバムを持ち寄って寄せ書きしているけれど、視界に入らないとばかりに飛び出して行った。

 女子生徒の中には話しかけられずに意気消沈している人もいれば、俺の方を見てニヤニヤしている人もいる。

 

 そんな視線を無視しながら、俺の机に近づいてきた友人にアルバムを渡して代わりに友人のアルバムにコメントを書く。こいつとは長い付き合いだったが高校は別だ。感傷的な別れなんてするつもりはないけれど、形として“思い出”は残したかったから。

 

 パン!!

 

『痛ってぇ!!』

 

『……まぁ、しくじんなよ恋太郎。』

 

『余計なお世話だ!!じゃあな!』

 

 最後小気味よく背中を叩いてきた友人に悪態を吐きながら俺も教室を出て行った。

 

 ……今にして思えば。

 

 桜の木の下では緊張していたのもあって、視線が合ったのは最後の『ダイッキライ!!』と言われたあの時だけだった気がする。

 

 だから、“運命”の妨害前にライちゃんと目と目で繋がれた場面は、この時が最後だった。

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽

 

 “運命”の妨害により、ライちゃんは俺と視線が合うと『好意が反転』するようになり、

 

 俺と目が合ったら『ダイッキライ!!』と叫ばずにはいられなくなったから。

 

 本当なら、こうしてまた何事も無く目と目が合えた事を大喜びできたはずなのに、

 

 今の俺は、ただ呆然とすることしかできなかった。

 

「ラ……ライ……?一体どうしたのだ……?」

 

「数時間ぶり楠莉ちゃん。変身できること隠していてごめんね?信じられないかもだけど、実は最近になって()()()()()から言うタイミングが掴めなかったの」

 

「違うのだ!それも気になるけど…()()()()()より!!」

 

「恋太郎の()()()って、どういうことなのだ!!?」

 

「“羽香里さん”『みたいに』“ライさん”も『大人達に…』」

 

「けれど、それなら今この場に大槻ライがいることと矛盾している」

 

「それもたしかに気になりますけど、ライさん今恋太郎君とバッチリ目が合いましたよね…?なのに何も起こらないということは…それって…」

 

「恋太郎!!あんたも黙ってないで何とか言いなさいよ!!?……ッあんた、私達に何か隠してるわね!!?さっさと白状しなさい!!」

 

 皆が口々に戸惑いの声を上げる。唐音に問い詰められている俺自身今の状況に頭が追いついていなかった。だから、皆には俺の知る全てを伝えた。

 

 夕方、花園家の屋敷を閉め出され、当てもなく彷徨(さまよ)っているとライちゃんの家に辿り着いて招かれたこと。

 

 この屋敷に侵入する為に使用したこの屋敷の間取り図と正面玄関の合い鍵はライちゃんからの餞別だったこと。

 

 ……家を出る直前にライちゃんから『別れてください』と言われたこと。

 

 全てを伝え終えた俺は皆に頭を下げた。

 

「……言ったら、皆気にしちゃうかなと思ったら今の今まで言えなくって……。黙っててごめん」

 

凪「そう」

 

羽「私が部屋に籠っている間にそんなことが……」

 

「楠莉は楠莉の薬の効果が薄いことにビックリなのだ」

 

「“くすりと笑った”」

 

「くすりくすりうっせぇな」

 

 皆が受け入れてくれたおかげで俺の隠し事をしていた後悔が薄れた気がする。

 

 俺は皆に感謝しながら下げたままの顔を上げることにした。

 

 …そう。本来ライちゃんと会える明日以降にしようと思っていたことだったけど、ここにライちゃんがいると言うのなら、早急に確かめなければいけないことがあったからだ。

 

「恋太郎ちゃんの話だと、()()()の方から一方的に別れを告げたみたいだけど」

 

「ブーメランです、お母様」

 

「……そこの所、何か弁明はあるかしら?」

 

「俺からもお願いだライちゃん。あんな唐突な『お別れ』理由も聞かずに受け入れられない。教えてくれないか?」

 

 唯一黙っていた羽々里さんが途中羽香里にツッコまれたりしながら嘘発見器(イス)に座るライちゃんに言ったのに続けて、俺も自身の思いを告げた。

 

 唐音達も次々にライちゃんへと視線を向けるのが分かる。

 

『…恋太郎くん……私と……お別れしてくれる?

 

 ライちゃんにそう言われた時から随分時間が経ったけれど、まったく理由に思い当たりが無いから途方に暮れていた所だった。

 

 羽香里みたいにご家族から止められたのかとも思ったけれど、直前に会ったライちゃんのお爺さんからはそんな様子は見られなかったからこれは違う。

 

 ライちゃんがなんであんな事を言ったのか、どんな理由であっても受け入れて改善する

つもりだった。

 

 そんな俺の覚悟は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴメン!ウソ!!」

 

 

 

 

 

 儚くもあっけなく崩れ去った。

 

 

 

 

「……え……?」

 

 

 

「ウソウソ!!いやぁ、あの時はさぁ。恋太郎くんが羽香里ちゃんに『別れてください』って言われた時に()()()()()()()()()()気になっちゃって……だから言ってみたの!!」

 

 おもむろに立ち上がり、大げさにポーズを決めながらライちゃんがそう告白する。

 

その動きは仰々しく指の先まで目を惹かれて、まるで演技の1シーンみたいだった。

 

「…な……なん……て…?」

 

「でも睡眠薬の効果が急に来て恋太郎くんの反応まで見られなかったんだよねぇ。ホント残念。せっかく頑張ったのに……。

 あっ、“元恋人”は唯の冗談だよ。恋太郎くんがどんな反応するかな?って思って……うん!想像以上だった!」

 

「ライ……?」

 

「『ライ……さん……?』」

 

「……大槻ライ、楽しそうね」

 

「え?……うん!

 あっ、羽香里ちゃんの質問の答えがまだだったよね?あれは……」

 

 一人盛り上がるライちゃんとは打って変わって、俺達の反応は芳しくない。絶句した余りに誰も言葉を発せないまま、ライちゃん独り(ソロ)での告白シーンがそのまま続くかと思っていると、

 

 

 

「もういいわ」

 

 唐音が、それに待ったをかけた。

 

「…どうしたの唐音ちゃん?そんなコワイ顔して」

 

 話の腰を折られて少し不満げにしているライちゃんが唐音へと顔を向ける。

 

 けれど、唐音はそれに怯まない。キッとライちゃんを睨み付けながら

 

「……親友(ライ)を……バカにすんじゃないわよ…!この贋者(にせもの)…!!」

 

「―――………何…?」

 

 ライちゃんの笑顔が鳴りを潜め、真顔になる。

 

 その隙を、唐音は見逃さなかった。

 

「あんたがライな訳が無い…ライは恋太郎を試すような嘘を言う訳が無い…」

 

「ライが…恋太郎の傷ついた反応を見て喜ぶ訳が無い…」

 

「私達の誰もが…頼りにしているライは…そんなヤツじゃ絶対無い…!」

 

「待ってよ。いきなり何言い出すの?私はライ―――」

 

 

 

「その名を口にすんじゃないわよ!!!」

 

 

 

 

 

「…そ、そうなのだ!!きっと、変身が得意な()()がライに化けて、こんな適当なことばっかり言ってるのだ!!そうに違いないのだ!!」

 

「『それに賛成でやんす!!』」

 

「…たしかに、そう考える方が合理的。()()大槻ライが、こんなことを愛城恋太郎に言うはずがない」

 

 唐音の叫びに次々と楠莉先輩、静ちゃん、凪乃が賛同の意を示した。

 

 けれど、残りの俺、羽香里、羽々里さんはそれに続くことができなかった。

 

 だって……

 

「……そう…。唐音ちゃんは、最近出会ったばかりの大槻ライ()のことをそんなに信用してくれるんだね…」

 

「ッ…!いいから!!さっさと変身を解きなさい!!ライの姿でこれ以上喋らないで!!」

 

 唐音が叫ぶ。が、ライちゃんはそれを気にする素振りも見せずに傍にある()()へと視線を向けた。

 

「……私さ、この嘘発見器(機械)気に入らなかったんだよね。だって、存在からして“嘘”が悪い物みたいに扱われているみたいでさ」

 

「……それの何が悪いのかしら?」

 

「悪いとは言っていません。気に入らないと言ったんです。……ご気分を害されたのなら謝りますが。

 たった1つしかない“真実”とは違って、嘘には無限の可能性があるのに…。

 “嘘”って分かっただけでその全てを否定するんですから」

 

 所有者である羽々里さんの問いに謝りながらも自己の意見は曲げないライちゃん。

 

「……でもまぁ、今に限っては感謝しますよ。唐音ちゃんたちが好きで好きで堪らない、“真実”を教えてあげられるんだから」

 

 そう言うと、ライちゃんは静かに嘘発見器(イス)へと腰掛ける。

 

 一泊呼吸を入れた後、何てことなくライちゃんは俺達にこう伝えた。

 

「…私は変身も変装も変化も。何かしらの自己を偽る()()()()()の一切をしていない。これが“ホントウノワタシ”です」

 

『ホント!!ホント!!』

 

「……ウソ……」

 

「あと、そうだね。この場にいる皆さん、1人残らずダイッキライです。これは好意が反転してとかいうのではないということも重ねて」

 

『ホント!!ホント!!』

 

「ッ!デタラメよこんなの!!こんなの()()ライが言う筈が……!!」

 

「私達会ってまだそんなに経ってないっていうのに、私のことを知っているだなんてよく言えるよね?

唐音ちゃんがいくらわめこうと、この“真実”は変わらないよ?だって“真実”は1つしかないんだからね!!

 

「ッ……!!」

 

「……ライちゃん」

 

「どうかした?恋太郎くん。さっきから影が薄かったけれど。恋太郎くんも唐音ちゃんみたいに、私の“真実”に恐れおののいたのかしら?」

 

「そんな訳ない。むしろ、()()()()()()よ。だって、中学時代の頃のライちゃんと今のライちゃん、ソックリだから」

 

「…………」

 

 ライちゃんが俺を睨み付けてくる。約1年振りのそれに懐かしさを覚えながらも俺はライちゃんへと向けて歩を進めていった。

 

「…まだ、別れたい理由について、聞きたいのかしら?」

 

「あぁ。俺の反応を見たがったのも、…俺たちのことが大嫌いなのもきっと“真実”なんだろう。嘘発見器(それ)が証明しているし、俺もライちゃんが嘘を吐いているようには見えなかったから」

 

「……へぇ?てっきり唐音ちゃんみたいになるかと思ったけれど。私に『ダイッキライ』って言われる程度じゃ、ダメージはそう無いってこと?」

 

「それは違うよ。今この時も心臓が爆発しそうなぐらい痛むし、口の中に血が逆流して止まらない。大好きなライちゃんに『ダイッキライ』なんて言われて無事でいられる訳がない」

 

「……だったら、どうして……」

 

 口の中に溜まった血を飲み干して、俺はライちゃんに告げる。

 

「…だって、ライちゃん。まだ俺たちに()()()()()ことがあるでしょ?嘘は吐いていないけれど、真実を()()明かした訳でもない。俺の目は誤魔化せないよ?」

 

 そうだ。そうであるのなら、まだライちゃんとの話しを終わらせることはできないはずだ。

 

「……それを明かして何の意味があるの?()()はどうであれ、()()()はもう決まっている。話すだけ時間の無駄。非効率的だよ。

…そうは思わない?凪乃ちゃん」

 

「……ッ!…私は……」

 

「……凪乃ちゃんは否定しなかったけれど、肝心の恋太郎くんはそうじゃないみたいだね」

 

「当然だ。あんな理由だけじゃ受け入れられる訳がない。俺は()()()ライちゃんのことを真剣に愛してるんだ…!!」

 

「……面と向かって大嫌いって伝えているのに……。中学までの()()()()()()()恋太郎くんはどこに行ったのかな?」

 

「…残念だけど、俺は別に諦めが良い訳じゃないよ。ライちゃんがこんな俺のことを大好きと言ってくれたんだ。それだけで、俺はどんな地獄(失恋)だって乗り越えられるってものだよ」

 

「……そう……」

 

 俺とライちゃんの間で沈黙が流れ始める。

 

 正直、ライちゃんから『ダイッキライ!!』と嘘偽りなく伝えられたことで今すぐ倒れ込みたいぐらいにダメージが深刻だった。でも、今そうしたらこれから先ライちゃんと仲良くできなくなると、そういう予感があった。

 

 けれど、今のままじゃダメだ。何かライちゃんが話す切っ掛けになれるものは……

 

「……ライさん……()()覚えていますか……?」

 

「……約束?」

 

「はい。ライさんのお屋敷でお泊まり会*1をした時の()()()()()()()()()()()()私や恋太郎君たちに話をしていただくという約束です。まさか忘れていた、なんてことはありませんよね?」

 

「……覚えているわ」

 

「それを今希望します。丁度恋太郎君もいることですし。まさか、ライさんともあろう人が、()()()()()なんてことはありませんよね?」

 

「…………」

 

 それまで独り沈黙を貫いてきた羽香里がライちゃんに突っ込んで行った。お泊まり会といえば、羽香里と唐音、ライちゃんの3人でライちゃんの屋敷に泊まったとは翌日聞いた事があった。そこまでは聞いたことはなかったけれど。

 

 少し時間をおいたライちゃんだったけれど、顔を顰めてため息を吐いている。一段落ついた後こう伝えてきた。

 

「……いいわよ。私にとっても()()()だし。言っておくけれど、聞いていて楽しい話ではないからね?」

 

「……ッ!は、はいッ!!」

 

「ありがとう、ライちゃん!!」

 

「お礼は良いわよ。……それよりも、他の人達の準備を待った方が良さそうかしら?」

 

「別に…そんな心配いらないわよ…!」

 

「……そう」

 

 唐音に1度視線を向けたライちゃんは静かに話し始める。

 

 その様子からは先程まで向けていた俺たちへの敵意ではなく、ただ強い()()()()を感じた。

 

*1
裏3話参照

羽々里さんの台詞を1字表記する際何て書く

  • 羽々里さんの『々』
  • 羽々里さんは皆の『ママ』より『マ』
  • 羽々里さんは羽香里の『お母様』より『母』
  • ヤツ(♀)より『ヤ』
  • 羽香里を『香』で羽々里さんを『羽』表記
  • その他
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