少し更新遅れました。内容が内容だけに筆が進みづらい。オリジナルの話が長くて退屈な方もいるかもしれませんが、もう少しだけお付き合い頂けると幸いです。
9/23 23:15 誤字修正
【恋太郎side】
“変身薬”と“分裂薬”
立て続けにライちゃんの口から発せられた現実味が全く無い2つの薬を、今までの俺なら受け入れられなかっただろうけれど。
「“変身薬”と“分裂薬”!!?興味深いのだ!!ライ!教えてくれなのだ!!」
「羽々里さん、紙とペンはありますか?」
「
「ありがとうございます。………はい、楠莉ちゃん。どうぞ」
「!……成る程なのだ!ライのお父さんはすごいな!!」
楠莉先輩の薬を幾つか見た経験から、俺たち全員薬に対するハードルが大分ぶれたような気がする。
「…ありがとう。でも、
失敗作?
楠莉ちゃんに褒められているにもかかわらず、一向に浮かない表情のままのライちゃん。
気になったから尋ねようとしたけれど、俺よりも羽香里の方が早かった。
「そういえば、“分裂薬”の割にはライさんのお母様達の容姿が違うのが気になりますね」
「たしかに、そうなのだな?」
「“分裂“は『一つのものが分かれて二つ以上になること』を指す。必ずしも容姿が同一になるとは限らない」
「wikiみたいな解説ありがとう」
「『流石だぜ、ブラザー』」
俺も、それは気になっていた。
ライちゃんの実の父親の外見は知らないからなんとも言えないけれど。俺が知っているライちゃんの実親らしいベルノさんと、育ての親らしいリンさんは似ているようには見えなかった。
凪乃の言う通り、“そういう物”だと言われたらそれまでだけれど。ライちゃんは俺達の疑問に答えてくれた。
「羽香里ちゃんが言ったように、元々はクローンみたいに瓜二つのもう1人の自分を生み出す予定だったらしいの。でも、結果は記憶は同一だけど全くの別人が生まれた。でも調査を進めたら1つの仮説に行き着いたらしいの。
それは“第三者が認識する人物A”と、“人物Aが自認する人物A”の2つには
ズレ?
「自分がいつも聞いている声と録音した声が違うように聞こえることがあるじゃない?あれは聞いている経路が違うからっていう検証結果があるけれど、それと似たようなものだね。
第三者はその人が“人物A”である情報を日々微かながらに五感を通じてアップデートしているけれど、“人物A”本人は出来ないからね」
「…成る程」 「たしかに」 「分からないでもないわね」
羽香里、凪乃、羽々里さんがそれぞれ声を上げる。
残る俺達もなんとか理解することができた。
「まぁ、“こうなりたい”っていう自己の願いが反映されたんじゃないかとも書かれていたんだけど。
だからかな、ダッドは父親よりも背が高い上に筋肉質で、
顔つきも気持ち童顔から大人っぽい印象だったし」
ライちゃんは座ったまま、顔だけを変身させる。突然ライちゃんではない男の声が聞こえてきたことに俺達全員驚いたけれど、その顔つきがどこかさっき披露していた“大槻クロ”に見覚えがあったことから、きっとこの顔がライちゃんの実の父親の“薬膳士呂”だと理解出来た。
赤い髪の毛なのは楠莉先輩の親戚だからなのか。
……でも、ライちゃんの言った通りなら結構気にしているみたいだから言わない方がいいのかな。
その後、ライちゃんの
「それはマムの方も同じだったみたいでね。実際……」
今度は全身で変身するライちゃん。1度見た
!!!!?????
「大きい胸に悩んでいたみたいなんだよね」*1
小さい頃テレビで見た以来のベルノさんの姿が今目の前にある。
記憶のよりも更に巨大な
「あら?ベルノさんもしかして……」
「はい。仕事では
「はぁ!!?なんでよ!当てつけのつもり!!?」
「唐音さん、どうどう」
「当てつけではないけれど……」
憤慨する唐音を後ろから羽交い締めする羽香里。
そんな2人を一瞥した後ぽつりぽつりとライちゃんが呟いていった。
「
恋「うッ…!」 唐「がはッ…!」
「胸が重くてどうしても肩や首が凝りやすいし…」
凪「たしかに」 静「『そうであったか』」
「動く時や寝る時に胸が揺れて動きにくいし…」
楠「そうなのだ?」
「服や下着を気に入っても自分に合うサイズが売られていなかったり…」
羽「あぁ…わかります」
「駆け出しの頃とかは特に、周りから嘲笑されることも多かったりしたとか」
マ「あぁ…わかるわ」
ベルノさん(ライちゃん)の呟きに心当たりがあった俺はダメージを負った。女性がそういう視線に敏感だというのは聞いた事がある。大切な
彼氏として、そういう気まずい思いを彼女には絶対させない!と、俺は覚悟を決めた。
「まぁ、私の胸はどんな大きさにも変えられるけど」
羽「今の流れでそれを言いますか」
唐「全女性を敵に回したわよあんた」
…………覚悟を、決めた。
▽▽▽▽▽
「ごめん。
ベッドに寝たきりの私のお世話を3人で見るのにも慣れてきて、
マ「…………」
「羽々里さん」 「お母様」
マ「…ごめんなさいね。ライちゃん、続けてちょうだい?」
「私のお世話を誰がするかのお話になったんだけど。
多忙?
たしか、2人の再婚相手って…
「そういえば、ケリィさんもベルノさんに引けを取らないほどの誰もが知る大人気俳優ですものね」
「ケリィ?誰なのだ、そいつ」
「知らないやついたわよ、ここに」
ケリィ・ヴィンヤード。草臥れた黒スーツと咥え煙草が抜群に似合う、それだけじゃなくて、アクションも本人がこなせるぐらい運動神経抜群だというんだから敵わない。
流石に夫婦揃ってあれだけ引っ張りだこであれば引き取るのも難しいのかと思っていると、
「日記によると、ケリィさんの本業はFBIの潜入捜査官で、とある組織に潜入捜査中だったらしいの。
そんな危ない仕事をしているなら、私の子育てなんて出来る訳ないよね」
羽「FBI!!?」
唐「組織に潜入!!?」
ライちゃんが告げたそれに、俺達はまたもや度肝を抜かされた。
FBIの潜入捜査官だなんて、ドラマや映画の設定でしか聞いた事がないのに。まさか、こんな身近に聞くことになるとは…。
「これが、『トリプルフェイス』という概念…」ハッ
「『100億の男』」
「どこの安室だ」
「そうですね、唐音さん。設定的にはFBIである赤井さんの方が合っていますもんね」
「“設定”言うな」
「僕の声で言えば、毛利小○郎の方が近いと思うが」*2
「一々化けんじゃないわよ」
「おぉ~!おっちゃんの声にそっくりなのだ~!!」
「そっちは分かるのね、楠莉ちゃん」
「それで、
「そうだったのだ!!?」
「いや、そこは知っときなさいよ!!」
「薬さえ作れるなら、他はどーでもいいのだ」
「ぶっちゃけますね、楠莉先輩…」
「やっぱり…そうだったのね……」
「どうされました?お母様」
「セイバー家は英国きっての貴族として有名なの。嘘か本当か大昔、イギリスになる前の王国を治めていたとも言われていてね。私もパーティーの時に代表の方とお会いしたこともあるわ」
「へぇ、じゃあ羽々里さんはアルちゃんと知り合いなんですね」
「アルちゃん?」
「遊園地の時に言われてた“アルちゃん”って、その方だったんですか!!?」
「セイバー家が代々経営する『製薬会社ブリテン』は数年前低迷期があったものの、今では製薬事業のトップを走ると聞く」
「『効いたよね』“早めの”『アヴァロン』」
「あ、そのフレーズ俺も聞いたことある。そのCMの会社だっけ」
「パブ○ンよ」
本当ならもっと慌てふためくべきなんだろうけれど、俺達全員驚き慣れてしまったせいで普通に受け止めてしまっている。きっと落ち着いた頃情報を整理する時に慌てることになるんだろうなと頭の隅で達観しながら俺は皆と会話する。
でも、そうだな。羽々里さんが言っていたけれど、セイバー家が貴族だったのなら父親がライちゃんを連れて行けなかったのも仕方ないのかもしれない。
結婚相手がバツイチである上に連れ子あり、ともなればセイバー家の周りの人達が嫌でも止めてくるだろうから。
まして、万が一奥さんが亡くなられたともなれば残された父親とライちゃんの立場が悪くなるのは必至。父親はともかく、逃れられる立場であるライちゃんは逃れた方が身のためであるとも言える。
……正直、納得しかねるけれど。
▽▽▽▽▽
「とりあえず、私が実の親に引き取られなかった理由は分かってくれた?」
羽「…はい」
唐「正直信じられないわよ…。嘘じゃないでしょうね?」
凪「それはない院田唐音。大槻ライが嘘発見器にずっと座っている以上」
恋「ずっと後ろの方で『ホント!!ホント!!』って言っていたもんな…」
静「『オルゴール』“みたいでやんした”」
マ「ごめんなさいね…、最近になって音量の操作が効かなくなってきて」
楠「でもぶっ壊れた
唐「遊ぶな遊ぶな」
最後は嘘発見器の方に話題が逸れたけれど、ライちゃんのお話が嘘じゃないことはこの場にいる全員が理解していた。
実の親ではないとはいえ、ライちゃんの育ての親である2人ともが実の親の分裂体と考えればあながち実の親であるとも言えるかもしれない。
そもそも、クローンや分裂体の存在がファンタジーのそれだけれど。今更それを言及しても仕方が無かったのもある。
「でも…どうしてですか?」
羽香里…?
俺たちの中で唯一、顔を下げたままの羽香里が上げないままライちゃんに尋ねる。
「お母様のお話では、ライさんのご両親が一体どこにいるのか足を掴めなかったとのこと。
私は当初『プライベートジェット機墜落事故』での事故に巻き込まれたのではないかと考えていました。ですがそれも、お母様の調査によって後日ライさんのご両親の目撃情報があったと聞いてその考えも消えました」
…………
俺達は誰も何も言わず、ただ羽香里の質問に耳を傾けていた。
「……ライさんのご両親が2人ではなく、6人いることは分かりました。ですが、それならなぜライさんの周りにご両親の1人の姿も見当たらないのですか……?」
「…………」
「ッ…!!………お願いします。聞かせて、ください」
最初は羽香里の質問に耳を傾けていたライちゃんだったが、羽香里と視線が合ったと思うと突如プレッシャーが跳ね上がった。
端から見ていた俺でも感じる圧迫感を直接受けた羽香里へのダメージは相当だろう。けれど、羽香里は一切引くことなく聞き返してみせた。
羽香里の覚悟を受け取ったのか、ライちゃんが1つ息を吐いてあふれ出していたプレッシャーを収める。
「そういえば、最初に『聞いていて楽しい話ではない』って念押ししていたわね。ごめんなさい。不要な威圧だった」
「……いえ、当然の反応だと」
「いいえ。羽香里ちゃんはただ疑問に思ったことを聞いただけ。想定出来る質問であったにも関わらずあのように要らないプレッシャーを出したのは、私自身まだ皆に言う覚悟が出来ていなかったみたいね。我ながら情けない」
一度天を仰いだかと思うと、
パンッ!!!
と、強く両頬を叩くライちゃん。
突然の行動に面を食らう俺達だけど、そんな俺達を置いてライちゃんは口を開いた。
「…私は
…友達らしい友達はいなかったけれど、私は皆と一緒にいられて本当に楽しかった。
……こんな生活がずっと続くって、思っていた。そんなこと、あるはずがないのにね」
一度ライちゃんが息を入れる。
けれど、俺は気付いた。
ライちゃんの身体が震えていることに。
「ライちゃん…、無理する必要はないよ。今日の所はこれぐらいにして、続きは明日にでも…」
「黙って……これは、私にとって
「……分かった」
俺の提案をライちゃんは断わった。少しだけ傷ついたけれど、そんなのは身体を震わせながら必死に俺たちに伝えようとするライちゃんと比べたらかすり傷だと思ったからだ。
数度息を吐いて落ち着いたライちゃんが再度口を開いた。
「…11歳の冬頃だった。クリスマス休暇が迫っている事に浮かれるクラスメイトを冷えた目で見つめながらスクールバスに乗り込んで下校したのは今でも覚えている。
かくいう私も、イギリスのアルちゃんが多忙の中クリスマス休暇中に我が家を訪ねてくる予定だったから、ダッドとどう招待しようかって浮かれていたんだけれど。
……私の帰りを迎えてくれたダッドの血の気が引いた顔で浮かれた頭は急激に冷えたけれど」
ぽつりぽつりと、過去を懐かしみながら告げるライちゃん。
そして、
「
嘘だ、信じないってダッドを殴りながら。ほとんど八つ当たりなのに、いつもなら叱って止めてくれるはずなのに。いつまで経っても何も言わずにいるダッドを見てこれが本当のことだって分かった。
……それからは数日部屋に引きこもった。学校なんて行きたくなかったし、いつもなら美味しく食べられるダッドのご飯もほぼ喉を通らなかった」
…………
「これが当時の私の記憶。
で、今から言うのが日記に書かれていた記録。
これによれば、ライちゃんは事故によって死んだ訳じゃなかったらしい」
「ケリィ・ヴィンヤードが潜入していた組織の、ボスが製薬会社の代表であるアルちゃん、アルトリア・セイバーを殺した。
……ボスがアルちゃんの命と引き替えに求めていたのは2つ。シロ・セイバーが開発した薬の回収と、」
「“唯一の変身薬成功被験体”、大槻ライの回収」
○お○ぱいについては、唐音⇔羽香里間で主に大きいのを誇ることが100カノでは多いですけれど、苦労することもあるだろうということで今回入れてみました。
丁度リン(B)とベルノ(G)と“それ”のサイズも合わせて。
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