また投稿が遅れました。それもこれもこんな設定を盛り込んだ私が100悪い。本当に申し訳無い。
「……危険だ」
「いきなりどうしたの?ケリィ」
「……最近、
「あら、
「…キミも知っているだろうが…、カレのあの薬は“変身薬”ではなく“廃人薬”と呼ばれている。ベルノ、何故だか分かるかい?」
「飲んだ人のことごとくが
「あぁ。カレは『頭に思い浮かべた人物に変身できる薬』だと言うが、本当は違う。
実際は、『記憶している人物
……どうしてカレがこんな薬を創ったのか、小一時間問い詰めたい所だが」
「ライちゃんはまだ赤ん坊だったから助かったのよね。…本当、聞いた時は私もヒヤヒヤしたわ」
「幸い“廃人薬”として広まっているおかげでライのように赤ん坊に投与しようとする者がいないのは救いだな。彼女のように誰にでも変身できる者が大勢出て来たら、間違いなくこの世界は滅ぶ」
「……そうね」
「……ベルノ。彼女がこれまでで誘拐されかけたのが何回か、分かるかい?」
「100回だったかしら?ライちゃん人気者よね~」
「…ライ自身好奇心旺盛で外出中親の元から離れたり、簡単に物で釣られるのも要因には違いない。が、全てじゃない。
……相手がペドフィリアや金目当てでの誘拐だけなら楽だったんだが」
「……まさか!?」
「……最近、裏社会で『誰にでも変身できる子ども』のウワサをよく耳にする」
「…!!?」
「どこから情報が漏れたのかは分からない。が、幸いにもまだウワサ段階だ。彼女に手が伸びるのはまだ先と言えるだろう。
が、いつまでも放置しておける問題でもない」
「…………」
「
今すぐにでも彼らの屋敷の警護に
いや、この際
かくなる上は、いっそ……」
「ケリィ…?」
「…!!!?」
「大丈夫よ。ライちゃんには2
「…それに?」
「ライちゃんは、かわいいもの~~ッッ!!!♥♥♥♥♥」
「……理由になっていない」
「大丈夫よ。そもそも子供の自由を奪うなんてアナタ自身したくないでしょう?
私はアナタの妻ですもの。アナタのしたいことを支えるのが私の仕事だから」
「……あぁ。頼りにしている」
▽▽▽▽▽
12月4日(金) 天気:雨 クロ
昨日、アルトリア・セイバーがガス爆発に巻き込まれて亡くなった。
ニュース番組の速報がもたらした情報に私自身知人の突然の訃報に頭が追いついていない。が、そうも言っていられない。
このことを伝えた結果、ライが部屋に引きこもってしまったからだ。
隠した所で遅かれ早かれ知ることになるだろうと思い事実のみを伝えたが、失策だった。これを書いているのが午後8時なのだが、未だに部屋から出てこようとしない。夕飯を部屋の前に置いて声を掛けたのだが、ついさっき見に行ったが全く手を付けられていなかった。
リンはたしか
リンの心配はライの体調もだが、それ以外にもあった。
今回のが
アルトリア・セイバーは誰かに殺されたのではないか。
もしそうであったのなら、最悪の場合その魔の手がライにかかるのではないか。
……なんにしても、今はまだ情報が足りない。
それに、今のライから離れる訳にもいかない。とにかく、今は座して待つことにしよう。
幸い、今のライは大人しい。であれば、
何があっても、即座に動けるように。
……何があっても。
12月8日(火) 天気:曇り クロ
リンが家に帰ってから数日経つ。
ライの体調は未だ戻る様子が見られない。私がこれを書いている今もベッドに横になっている。ケリィのツテで信頼できる医者に往診にきてもらったが、『唯の風邪』という診断結果だった。
きっと、アルトリアの死が原因だろう。ここまで続く程のは
当然、学校に休みの連絡は入れた。が、仮に体調が戻ったとしてもライを学校に通わせることは当分の間出来ないだろう。
今日の朝郵便受けを確認すると、新聞と一緒に送り主不明の手紙があった。細心の注意を払って開封した所、それはケリィからの手紙だった。
『確認したらすぐに処分するように』と注意書きされたそれに訝しみながらリンを呼んで2人で読むことにする。
その内容は。
ケリィがFBIの潜入捜査官であり、とある組織に潜入捜査中だということ。
その組織のボスがアルトリア・セイバーを殺したこと。
ボスの提示した条件が、
しばらくの間は警戒を怠らないようにと書かれていた。
ケリィの手紙にはライが狙われた理由までは書かれていなかったが、条件からして十中八九ライが“変身”できるからだろう。
だとしても、一体何処から情報が漏れたというのか。ライには家の外で“変身”をしないように口酸っぱく注意していたはずなのに。甚だ疑問だが、そんなことを気にしている場合ではない。
ライを守る。私達が産まれた理由でもある使命を
それはともかく、“
馬鹿なことを企んでいないといいが…
12月12日(土) 天気:曇り リン
事務所に文書を送り夕食を終えてそろそろ就寝しようという時間に
いつもならアポイントもなしに突然来訪した挙げ句ぐいぐい来る
それだけ、アルトリアが亡くなった事実が堪えているみたいね。体調こそ復調しかけているけれど、未だ万全じゃないからというのもあるのだろうか。お互いに。
うつらうつらと今にも寝そうになったライをクロに任せて私は
ボスを捕らえる算段がようやく付いたらしい。
組織の幹部も次々に捕らえていくことに成功して、残るは大本であるボスのみだということらしい。
数日後、ボスはヴィンヤード家を訪ねる予定らしく、そこからヴィンヤード家が所有するプライベートジェット機で組織の幹部であるケリィと共にアメリカから他の国へと逃亡を図ろうとしているらしい。
その報告を最期に
でも、なぜか。背中を向けて立ち去っていく
……それにしても、ボスは金髪赤眼の神父だってことだけどまさか……そんな訳ないわよね。
捨てるのもなんだし、写真は挟んでおきましょうか
12月16日(水) 天気:晴れ クロ
ニュース速報で、ヴィンヤード家のプライベート機が原因不明のトラブルにより無人島へと墜落したと報道があった。
最悪なことに、丁度家族3人でテレビを見ている時だった為ライにも知られてしまった。私達は2人してライにどう声を掛けようかと顔を見合わせた。が、肝心のライは無表情のまま立ち上がるとそのまま自室へと戻って行った。
リンとアイコンタクトを取ってお互いの行動を決める。ライのことはリンに任せるとして、私は情報収集に勤しむ。
といっても流石にどの局も同じような情報しか発しておらず、ネットを探しても碌な情報は無い。人気俳優であるケリィとベルノの安否を心配する声がほとんどだった。私は諦めてPCの電源を落とした。
先日の話からして、あのジェット機に2人とボスが乗っていたのは確実。そのジェット機が墜落された以上考えられるのは……
1.文言通り、何らかのトラブルか第三者の妨害により墜落。2人の生存は絶望的。
2.フェイクニュース。そもそも『ケリィ・ヴィンヤード』は組織に潜入する為の仮の姿。ボスを捕らえて組織が崩壊した今続ける意味は無いとの判断で消した可能正。この場合事故は起こっていないのだから2人の命を心配する必要はない。
……が、私の勘が告げる。
最悪のケースを考えておいたほうがいいと。
研究の方は失敗だ。プランAの準備を早急に終わらせる必要がある。2人を頼れなくなった以上、選択肢は絞られた。急がないとな。
私達の時間も、残りわずかなのだから。
12月20日(日) 天気:雨 リン
ヴィンヤード家のジェット機が墜落したとニュースで報道されてから数日、テレビでもネットでもそれ以降の詳しい情報は出てこなかった。
精々、身元不明の死体が数体見つかったぐらい。けれど、一向に身元が明かされる気配が無い。もしかしたら情報を明かさないようにと何処かから圧力がかかっているのかもしれない。陰謀論みたいなことを考えることしかできないでいると。
郵便受けに送り主不明の手紙が入っていた。
私はすぐにその手紙をクロに見せる。この手紙が一体誰からのものなのかをハッキリさせたかったから。すると予想通り。
『この手紙は、
と断定された。
私達は2人で手紙を開けた。
『ベルノを殺したのは俺だ』
から始まった手紙は、まるで告解だった。
『
『しばらくすると、無線機で連絡が来た。要約すると、こうだ』
『ジェット機で任務の対象者であるボスを捕らえる所までは成功したが、一瞬の隙を突かれ、とある薬を飲まれたらしい』
『薬の名前は『
『理性を失い、力が増大する薬の効果により、ボスの拘束はあっけなく解かれ、近くにいた捜査員にまず噛みついたという。突然のことで対応できなかった捜査員はあっけなく
『ケリィと共にコックピットに逃げ込もうとしたが、あと一歩の所で私を守ろうとケリィが噛まれ、今生存しているのはコックピットにいた操縦士の2人とベルノの3人だけとのこと』
『その報告を受けた俺は、鈴がどうしてこの場に俺を呼んだのかが分かった』
『俺は、持ってきた
『ベルノたちが空港に着いたら、どれだけの死人が出るか。たしかに、
『彼女達の犠牲で、それは防げるんだ』
『俺は今追われている。この手紙も1度読んだら即刻破棄してくれ』
『落ち着いたらまた連絡する』
ばか
12月24日(木) 天気:晴れ クロ
私達のオリジナルである、
危険性が無いことは分かっていたが、いざ目覚めてすぐに自分自身の顔を目撃するなんて奇妙なこと、いくら生まれ変わってもそう体験できないだろうな。
何が言いたいかと言えば、この“分身薬”は10年で
今月の頭に予感はあった。それも私と同じ頃にリンも感じたと言うのだから笑えてくる。この身体になってからは初めてともいえる製薬作業も苦も無く行えたが、いくら作って飲んでも新しい私達が産まれることはなかった。
私達が
今日はクリスマスイブ。アルトリア、ベルノ、ケリィを失った為ライは未だに憔悴したままだ。そんなライをパーティーに参加させるのは本当に彼女の為なのか。私達の自己満足じゃないのか。
でも、これが“私”からライに贈れる最後のプレゼントだから。“私”のライへの思いを食事やクリスマスプレゼントに精一杯込めて。面と向かって話せない臆病な私をどうか許してくれ。
リンは立派だ。私がこの日記を書いている今、直接ライとお話をしているのだから。私とリンとどちらが正しいのかは分からない。けれど、彼女の強い姿勢や精神力は本当に素晴らしいものだ。できれば、ライも彼女のような女性に成長してくれると嬉しい。
ライ
君のこれからについては
日本にはついぞライを連れて行ったことは無かったが、私達の故郷は良いところだぞ。イギリスはともかくアメリカ特有の脂っこい料理とは違い、あっさりとしたヘルシーな料理が多い。塩分の取り過ぎには気をつけてもらいたいが。
なにより、釣った魚を生で食べられるのが良い。アメリカでも私が調理したものを何度かご馳走したことがあったが、日本ではまた別の種類の魚を楽しめる。日本に着いたら、『オスシを食べたい』とねだってみると良い。きっと、義父さんは極上のオスシを振る舞ってくれることだろう。この日記をライが読むのはいったい何時になるかは分からないが。
“変身”はこれまで通り、人前でするのは禁止だ。けれど、ライが信用できる人相手にだけなら良い。ライは私達の娘だからな。いつまでもルールで縛り続ける訳にもいかないだろう。無論、義父さんに言われた条件があればそれもしっかり考慮に入れてくれると助かる。死んだ先で義父さんに愚痴を言われたら敵わないからな。
ライ、まだ君に言い残したいことが山ほどあるんだ。でも、書き出したら止まらないからここまでにしておくよ。偶に私達のことを思い出すだけなら嬉しいが、私達のことだけを見て立ち止まらないで欲しい。
私は所詮、薬膳士呂《オリジナル》のクローンだ。オリジナルがまだ存命である以上、私は過去の存在にすぎない。これから先の未来を生きるライは私達にとっての宝だ。それが私達のせいで陰るのは私達の本意ではない。
ライ。君は学校で友達が出来なかったと泣いて帰ってきたことがあったな。もしかしたら、日本での生活でも苦労するかもしれない。
今は1人かもしれないが、いつか必ず、“友達”に出会える。
世界は広い。いつか必ず、ライが心から信じられる“友達”が現れる。だって、
この世に生まれて一人ぼっちなんて事は、絶対にないんだから。
私からは以上だ。ライ。君のこれからの道に、幸あれ。
そして、
※オリキャラ各々の正義の味方とライの味方の度合いの違いは、
この場合の“正義”とは、『社会の為に個人を犠牲にする。十を救う為に一(ライ:娘)を犠牲にすること』とします。
正義:ケリィ>=シロ>>>>>アル=クロ>リン>=ベルノ:ライ(娘)
※尚、この騒動後ケリィとシロの順番が入れ替わっているかもしれませんが。
※次回は趣向を変えて本編ではなく、掲示板回をしてみようと思います。慣れない形式なので、また時間がかかるかもですが、それまでどうかお待ちください。
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