0人目の嘘吐き彼女   作:モーン21

66 / 69
「野獣810号」さん、☆9評価ありがとうございます!

裏24話から続けていたライダー(姉)視点のお話も今話で終わり。次話からはライちゃん(妹)視点で進める予定です。


27話 決着!フードファイトフェスティバル

【大槻ライ:中学1年生の頃】

 

 

日が落ち始め夕焼けが見えるグラウンドで、高く設定されたバーを目掛け彼はただ愚直に飛び続けている。

 

そして、そんな彼を。

 

教室から出てすぐのところ。廊下の端っこで、バカみたいに飛べっこない高飛びを繰り返すヤツを、私もバカみたいに眺めていた。

 

 ……彼はいったい、何をやっているんだろう?

 

 そう不思議に思い、私はその場から移動した。廊下から昇降口へ。昇降口から校庭の端っこへ。私は彼以外周りに人の気配が無いことをしっかり確認した後、彼自身に変身した。

 

 この時期の男子は女子よりも成長が遅いからか、変身後()の身体は私よりも小さかった。私よりも小さく頼りない身体にも関わらず、彼は1度も走るのを止めなかった。

 

 そして、彼の記憶を読み取った、瞬間

 

 ……っ!?

 

 ()()()()にする変身の反動が私の全身を駆け巡った。ダッドとマムから家族の前以外で変身しないようにと言われていたから、最後に変身したのはアメリカにいた頃。日本に来てからは今日が初めてだった。

 

 けれど、ダメージが大きいのはそれだけが理由ではないようで。

 

 彼の精神性が、まったくもって理解できないものだったから。

 

 彼は、今日の私のような裏切りを、何回も、何十回も既に経験していた。

 

 彼の記憶は0歳8ヶ月の頃、怪我をした彼を心配した女の子に抱いた恋慕を告白するも無残に拒否されたことが始まり。

 

 彼は小さい頃から今に至るまで、ずっと愛に生きる男の子だった。

 

 しかし、それからも。彼は幾度となく失恋を積み重ねた。

 自分磨きに励んだり、恋愛指南本を読み漁ったり。

 頑張って、頑張って。頑張って頑張って頑張っても。

 

 彼の恋が叶うことは1度もなかった。

 

 彼の記憶を読み取り変身を解いた私は、彼を理解不能な化け物(モンスター)を見るかのような目で眺めていた。

 

 今も、彼はバーを跳べるとは一切思っていない。

 

 最初は、気になっている女子陸上部の先輩の記録がどれほどのものかを確認する為だった。けれど、続けていくうちに欲が出て。成功したらそれはそれでよし。失敗しても“これを跳べる先輩はスゴい!”と実感するという。

 

 跳べても跳べなくても何も変わらない、まったく無駄な努力を繰り返す彼に、

 

 なんで、私はこんなにイラついているんだろう。

 

 不思議に思ったのも束の間、すぐに合点がいった。

 

 そんな無駄なこと、私には出来ないからだ。

 

 昔からそう。私は事の成否を測って、今の自分には出来ないって判断したらすっぱり手を引く性質(たち)だ。変身して無理矢理達成することもあるにはあるけれど、基本出来ない事はやらないし、それを力不足だとか残念だって思う事もない。

 今日、元・友達に裏切られたのもそう。事実を事実と受け止めて必要以上に引きずらない。そのあたり冷めてるっていうか、ひどい人間なのかもしれない。

 ボスからは非道ではなく機械的だって言われたな。

 

 でも別に、私はこの事が悪いことだと思っていない。

 ダッドとマム譲りのこの自分に、私は誇りと自信を持っているから。

 

 けど、

 

 依然として飛び続ける彼を眺めながら、思う。

 

 事の成否なんて考えず、ただ物事に打ち込める事が出来たら、それはどんなに純粋な事なんだろうって。

 

 彼みたいに、目の前の恋に全速前進で臨む姿勢も。

 彼みたいに、幾度失恋しても何度も新しい恋に臨む前向きさも。

 彼みたいな、失恋の恨みを他者に向けない誠実さも。

 

 彼の愚直で無駄な行為も、尊ぶべものだと思えた。

 

 ………けれど。

 

 だからこそ、その時の私にとって―――彼はトラウマだった。

 

 いきなり自分と正反対の彼を見せられてショックを受けて。自分にないものを見せつける彼の存在が眩しいから、その場から立ち去ろうかとも思ったけれど。

 

 どうせなら、今回だけでも、最期まで。

 

 敵とかじゃなく、そういうのがいてくれて嬉しかったから。

 

 3時間が経ってようやく後片付けを始めた彼を尻目に、私はその場を後にした。

 

 

 

 

 

♥♥♥♥♥

 

 目が覚めた。

 

 気がつけば、私はいつの間にか恋太郎の上着を枕に横になっていた。

 

 横になる前までの記憶がない。私が覚えている最期の記憶は2回戦のお寿司を一気食いする直前の場面。ステージの熱狂具合と聞こえてくるアナウンスの調子からして、もう決勝らしい。どうやら、途中から暴走していたみたいね。

 

「ライ!?大丈夫か?」

 

「…また心配かけたわね。私は大丈夫よ。ライちゃんはまだかかりそうだけれど」

 

 近くにいた恋太郎に上着を返しながらそう応える。

 

 すると、決勝に出場している原賀(はらが)さん以外の面々が心配そうに近付いてきた。

 

 どうして、暴走したのか。

 どうして、急に倒れたのか。

 

 彼女達の質問に対して、迷惑をかけた自覚がある私は自身の変身のことを初めて彼女達に説明した。

 

――変身している間は、何て言うか記憶の津波に身を晒されてい感じなんだよね。変身の練習を始める前よりは多少マシになったけど、そう長くは持たないかな――

 

 恋太郎を誘っての変身の練習を終えた後、ライちゃんがそう言っていたのを思い出す。

 

 ……あの人(シロ)はこう言っていた。

 

 変身薬は記憶している人物()()()()()()()()を脳に叩きつける薬の為、通常は処理しきれない情報量の多さに脳がパンクするのだと。

 

 でも、私は廃人になることなく変身することができる。

 

そのことについて、あの人(シロ)はこう言った。

 

 幼児の脳に変身薬が影響を及ぼした以外にも。

大槻ライ()2つの魂魂があるからだ、と。

 

 変身先の身体の感覚と経験(ハード)を負担するライダー()と、

 変身先の精神の記憶と性格(ソフト)を負担するあの人(シロ)で。

 

 1つの魂じゃ耐えきれない情報量も、2人だから耐えられた。

 

 消えたあの人(シロ)の代わりをライちゃんが担当することになった訳だけれど、この情報量の多さはライちゃんの不慣れだけが原因じゃないと思う。

 

 確証はないけれど、おそらく。あの人(シロ)がいた頃は、あの人(シロ)が私の分のダメージまで負担していたんだろう。そうでなければ、最初恋太郎に変身した時、ライちゃんだけじゃなく私まで意識を失った理由にはならないから。

 

 ……私が死んだら、地獄にでも行って一言詫びに行きましょうかね。いや、仮にも神様なら天国かしら?

 

『――さあ一騎打ちとなったタケコ・スーパーデラックス選手と恋太郎(れんたろう)ファミリー!!両者すでに10杯目ですが顔色一つ変えません!!』

 

 そのアナウンスの声に導かれ、私はステージへと視線を向ける。

 

 私たちが気を失っている間に、いつの間にか()()()連合チームの5人全員食べ過ぎによりリタイアしていた。

 美味しそうに食べる原賀さんとは正反対にどの料理を食べても表情が変わらないタケコ選手。

 

「おかわり」 「おかわりください!」

 

『16杯…!!17杯…!!――18…!!―20…!!』

 

 両者ペースをまったく落とさない、一見互角の勝負に思えるこの勝負だが。

 

『おーっと、原賀(はらが)選手ついに箸が止まったー!!』

 

 ここにきて、原賀さんの表情が曇った。

 

 それは当然だと言える。

 

予選のお題の『ご飯』と『おかず』

決勝1回戦の『タピオカミルクティー』

決勝2回戦の『お寿司10貫』

決勝3回戦の『激辛麻婆豆腐』

決勝4回戦の『ケーキ』

そして、決勝(ラスト)の『ラーメン』

 

 ここまで1度も箸休めすることなく食べ続ければ、いくら大食いである原賀さんでも人間である以上限界がある。

 

 私の変身やタケコ選手みたいに、反則(ズル)でもしない限り。

 

 ルール上、【誰が何回戦出ても良い】為制限時間内であればいつでも参加は可能なのだが。

 今の私はライちゃんの意識が戻らない限り変身することが出来ないだけでなく先ほどまで暴走していたのもあり体力ももう残り少ない。

 

 それでも、それなのに。まだ……

 

 身体()が残っている。

 

 

 

 

 

♥♥♥♥♥

 

【胡桃side】

 

「…あらぁ…?もうおしまい?やっぱり、このアタシでもない限り全回戦出場なんて無謀だったのねぇ。もう1人の娘もリタイアしている訳だし?

 ここまで温存せず無駄に食べ続けたりして失敗だったわねぇ~」

 

 隣に座るタケコ・スーパーデラックスが、勝負の最中にも関わらずクスクスと嘲笑いながら話しかけてきた。

 

「……ッ!!」ギリィ…!

 

 そんなの…あたしが一番よく分かってる……ッ!!

 

 みんなみんな…あたしが思ってたより何倍も…“食べれる”人達だった…!!

 

『いくら胡桃(くるみ)でも全回戦は無茶だ…少しは皆に任せて――』

 

 恋太郎(れんたろう)先輩の言う通り、任せられる部分は任せていれば……!!

 あの人達のことをちゃんと信じていれば……!!

 あたしはここまで、ちゃんと優勝するために食べるあの人達の横で、ただ無駄に食べていただけだった

 

 それだけじゃない。

 

『あ、それなら私も全部出ますね!一緒に頑張りましょうクルミ!!』

 

『…私がオスシを味わって食べられたのは、ナノとクルミがいたからです…』

 

『…もう1人の娘もリタイアしている訳だし?』

 

 こんなあたしが不甲斐ないせいで、付き合わせた大槻ライもバカにされたことと、それに言い返せない私自身に腹が立った。

 

 そんなことさえしてなければ、普段のあたしなら。

 こんなおいしいラーメン…もっともっと、何杯だって食べれるのに―――

 

 

 

 

 

「「「「おかわりくださいッ!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 ……え?

 

「……な…なんで…」

 

 リタイアした筈の恋太郎先輩たちが、なんでここに…?

 

恋「()()()連合と同じだよ…ッ俺達全員に参加権はあるからな…!あとは俺達に任せろ…ッ!」

 

 …違う。あたしが聞きたいのは、そんなこと(ルール)じゃなくて…!

 

胡「…違うよ…ッあたし…あんた達の事…散々―――」

 

唐「ふん…!図に乗んじゃないわよ。あんたがどう思ってるかなんて知らないわよ…ッ」

 

羽「()()()()()()は一緒にここまで来た仲間なんです…っ」

 

「『あなたが隣にいてくれたから、こんな私でも心細くならず立ち向かえた』」

 

凪「“駆けつけたい”と感じてしまったのだから仕方ない…っ」

 

「母親って!そう言うものだからッッ!!!!」

 

楠「ふーっ!ふーっ!オエッ!!

 

 そして、彼女も例外ではなかった。

 

*1?「よく頑張りましたねクルミ。後はお任せを」

 

 恋太郎先輩の左隣に腰掛けながら右隣に座る薬膳楠莉の背中をさする大槻ライの姿を確認した時、良く分からないけれどどこか違和感を覚えた。

 

「――()()なんかじゃないよ胡桃(くるみ)。胡桃はずっと、皆と一緒に戦ってたんだ。」

 

 

 

「つまり愛の力」

 

 

 

 …………

 

 “皆と一緒に”だの、 “愛”だの。

 そんなものが大食いの何の役にって、いつものあたしならそう跳ね()けてるだろうけど。

 ――それは決して綺麗事なんかじゃないって、今分かった。

 

 だって……

 

 皆が来たら…“まだ戦いたい”って思えたから……!!

 

 

 

 

 

 

 恋太郎先輩たちが応援に来てくれたおかげで、あたしももう一度頑張れることができた。

無敵かと思われたタケコ・スーパーデラックスも、あたしみたいに一瞬箸を止めたからイケるか…!?と思ったりもしたけれど。コイツは誰かの応援を受けることもなく、1人で立ち直りやがった。

 

 腐っても【現大食い世界王者】って訳かと畏怖しながら私も麺をすするのを止めなかった。

 

 そして……

 

『――さあ決勝戦も制限時間残りわずか――もはや両チーム(とも)血まみれです…!!

 

 恋太郎先輩も、大槻ライも。他の皆も、タケコ・スーパーデラックスも。そして、あたしも。これまで無理して頑張って来たけれど、それももう限界だった。

 

『しかし、どちらのチームも食べた(どんぶり)の数は同じ!現在の丼に残った麺の量もほぼ同じ一口!!この一口を制した方が勝者か――!!』

 

 アナウンスの通りなら、この摘まんだ麺数本食べればあたしたちの優勝。でも、これまでの経験から、あと一口でも食べたら――どうなるのか。分かってしまった。

 

 「吐く」なんて食べ物への冒涜(ぼうとく)。死んでも耐えられない。

 

 ……けど――

 

 

 

 ()()()()()優勝したい……ッ!!

 

 

 

 それでもいい。と口に含もうとした、その時だった。

 

 

 

 トッ……

 

 

 

 私を止めるかのように、恋太郎先輩が倒れながら私の肩に手を置いた。

 

恋太郎(れんたろう)先輩…!?」

 

胡桃(くるみ)…お(ねが)…ある…」

 

 そう息も絶え絶えながら、あたしにあるお願いをした。

 

はぁ…!?やだよそんなの…ッ」

 

「頼む…っあとで食べたいもの…何でも食べさせて…やるから…っ」

 

『さあ残り5秒――!!!』

 

 そのお願いがあまりにも恥ずかしすぎて、反射で断ってしまったけれど。必死で頼んでくる恋太郎先輩と、もう残り時間が少ないことに焦ったあたしは、

 

 いつものあたしなら絶対に受けないだろう、そのお願いを……

 

『4…!!3…!!2…!!1…!!』

 

「お姉ちゃん、あ~ん♥」

 

あ…あ~ん…っ♥」

 

あーん

 

「あ~~~ん♥」

 

 

 

 恋太郎先輩へあ~ん♥をしてほしいというお願いを受けてしまった。

 

 そして、恋太郎先輩が飲み込んだ瞬間とほぼ同時にタケコ・スーパーデラックスも最後の一口を含んだ。

 

『終了――――ッ!!!』

 

 アナウンスが競技終了を告げ、恋太郎先輩とタケコ・スーパーデラックス両者が見つめ合う。

 

 そして、

 

「……ッ!!」ゴクンッ!

 

「ブハアアッ!!!」

 

『……選手と愛城選手2名が丼を完食!つまりこれは――』

 

「な…何で…ッあんた達も…限界だったはず…ッ」

 

ええ…普通なら吐いてましたが…彼女にあーんしてもらったものを吐くなんてこと…俺には死んでもできないから――!!!

 

 れ、恋太郎先輩…!!

 

 恥じらうこと無くそう告げる恋太郎先輩から目をそらすと、その視界に映ったのは。

 

 先ほどのアナウンスで恋太郎先輩と一緒に名前を告げられた…

 

「確かにそうね。お姉ちゃんたるもの、妹にあーんしてもらったものを吐くなんてこと天と地が裂けようとも有り得ないわ

 

 光り輝く金髪をポニーテールにした大槻ライが訳の分からないことを堂々と告げる所だった。

 

 

 

 

 

♥♥♥♥♥

 

【ライダー(姉)side】

 

 ――起きて早々あ~んをせがまれるなんて経験きっと私だけだと思う――無理を言ってごめんなさいライちゃん、本当に助かったわ。

 

 優勝賞品の特製ジェラートをライちゃんと一緒に2人で()()()()()()()()を被りながら味わって食べる。うん、美味しい。これまで頑張った甲斐があったわね。

 そうしていると、原賀さんが私達に近付いてきた。

 

「……その、あんたは大槻ライ…先輩…なんだよな?」

 

「そうだよー変装している状態でごめんね胡桃ちゃん――人の目がある今このの場でマスクを剥ぐ訳にはいかないもの」

 

 

 

♥♥♥♥♥

 

『前もってベルノさん(おかあさん)変身した時に作っていたアルトリアさんのマスクと金髪ウィッグ。そして、碧眼コンタクトレンズ。これらさえあれば、変身せずともリリィの姿で決勝に出場することが出来るわ』

 

『ベルノ・ヴィンヤードは変装の達人という眉唾物のウワサがあったけれど、まさか本当だったとは』

 

『さながら名探偵コ●ンのベルモットね』

 

『お2人とも用意周到ですね』

 

『女スパイみたいでカッケーのだ!』

 

「『でも、こんな人がいっぱいの所でどうやって』」

 

『…そうか!俺達でライの周りを囲って、観客達の視界から守ればいいんだな?』

 

『えぇ。40秒ちょうだい。すぐに支度するわ』

 

『ラピュタじゃねーのよ』

 

♥♥♥♥♥

 

 

 

「…聞きたいことがあんだけど、あんたのそのしゃべり方って…」

 

「色々あってね、大槻ライ()は二重人格なんだー――混乱させてごめんなさい」

 

「……いや、いいよ。そのしゃべり方(それ)があんた等の普通なんだろ?」

 

 そう原賀さんに言われたのに驚き思わず目を見開いた。『馴れ合うつもりはない』と恋太郎に初めて紹介された時に宣言した彼女とは到底結びつきそうになかった。

 ……ここで原賀さんに変身すればその疑問も分かるだろうけれど、それは流石に無粋よね。こういうのは、時間をかけていくべきものでしょうから。

 

「…あなた、根は良い子だけど態度で損するタイプね――初対面の時どうしてあんなにぶっきらぼうだったの?」

 

「う、うっさいッ!!」

 

 きっと、原賀さんにも私みたいな事情があるのだろうと結論付け、彼女にそう応える。

 

 

 

『……す……すいませんでした…あたし…先輩達に…その…失礼な事――』

 

 優勝賞品の特製ジェラートを受け取った彼女がした行動は、皆への謝罪だった。

 これまでの自身の行動が、受け入れがたいものだという自覚はあったのだろう。もしかしたら、皆に受け入れられない為にあえてその行動を取っていたのかもしれない。

 

 けれど、皆はその謝罪を謝罪として受け取らなかった。【新入りの無礼程度気にしない】とばかりに遠慮無く自身のシャーベットを彼女とシェアする皆の姿は彼女達のことが大大大大大好きな恋太郎以外の面々が見ても、美しい光景に見えたことだろう。

 

 

 

 

 ……彼女がこうも変わったんだ。年上である私も変わらなければ無作法というものよね。

 

 私はこれまで、皆のことをライちゃん()の友達として距離感を開けていた。

 それは、皆と関係を結んだのがライダー()ではなくライちゃん()だからという遠慮だけでなく、もし近付いて拒絶されでもしたら怖いからという自己防衛からだった。

 

 裏切りなんて些細なこと。重く引きずることなんてないと、頭では理解できているけど。

 今の私はライちゃん()と一心同体の身。いざ仲違いした場合物理的に距離を開くなんてことはライちゃん()が彼女達に接している以上到底不可能だから。

 

 私だけが嫌われるのならまだ良い。けれど、それでライちゃん()にまで影響が及ぶのは死んでも嫌だから。だから、このままの距離感でいようとつい先ほどまで思っていた。

 

 でも、このフードファイトフェスティバルで皆が彼女に対して見せたこの優しさを見て。

 

 私も、皆のことを信じることにした。

 

「……()()さん」

 

…ッ!?な、なんだよ?」

 

「よければ、今度の休日一緒に食べ歩きにでも行かないかしら?胡桃さんが気に入りそうなお店に心当たりがあるから。なんならアルトリアさん(リリィ)変身して、一緒にいっぱい食べるのも良いわ」

 

「……あり、がとう。…でも、あたしのことは呼び捨てでいいよ。あんたの方が年上なんだし。……えぇっと…」

 

「分かったわ胡桃。遅れたけれど、私のことはライダーと呼んでちょうだい――私のことはライちゃんって呼んでね!胡桃ちゃん!!」

 

「分かった。ライダー先輩と……ライ先輩」

 

 …これは蛇足なのだけれど。

 

 適当なウソを吐く度に唐音並のキレの良いツッコミを返す胡桃相手に調子に乗った結果、いつの間にか胡桃からの呼ばれ方が【ライ先輩】から【ライ】に変わったわ。

 

 ライちゃんはちょっと不思議そうにしていたけれど。

 

*1
リリィ




※オリ主がオリキャラに変身した時に出来る技能の一覧です。

ベルノ・ヴィンヤード 変装、名主役の演技

シロ・セイバー 製薬、家事全般、弓術

リン・オオツキ 機械オンチ、名脇役の演技

クロ・オオツキ 製薬?、家事全般、弓術、剣術(双剣)

アルトリア・セイバー カリスマ、剣術、大食い

ケリィ・ヴィンヤード 銃術、タイムアルター(大雑把に言えば時止め。他の人が10秒動く間、自分だけ20秒、30秒動いたり、その反対のことが出来る。が、使用後身体に大ダメージが入るため基本的に使用不可)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。