モニカ転生   作:パッツンスキー枢機卿

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24.同族嫌悪

『シュナイゼル殿下主導でジルクスタンとの和平、そして同盟が締結されてから半年。 現在、ジルクスタン国内では親ブリタニアのムーブメントが……』

 

 テレビを消し、ベッドの上で寝そべるアーニャに視線を送る。

 

「そろそろ時間です。 準備を」

 

「……KMFのキーは?」

 

「勿論。 お伝えした通り、貴女のグロースターは所定の場所に隠しています。 もしその時が来れば…」

 

「わかった」

 

「では、お願いします」

 

 私とアーニャは既に見慣れた宿の部屋を一瞥してから、そこを後にした。外はやはり雪花に彩られており、その肌寒さはいつになっても慣れない。

 

 あの不愉快極まりない邂逅から一週間と少し。私は重護に屋敷へ招待された。

 要件は当然、養子について。セオドリクどころか重護からも断られた場合についての対応は既に用意しているとはいえ、緊張でついつい歩調が早くなってしまう。次善策にしても、極力借りを作りたくない相手を頼ることになってしまうのだから。

 

 しかし屋敷の玄関に、防寒着を纏った重護とセオドリクが立っているのを見た瞬間、頭の中で渦巻いていた杞憂の殆どが霧散した。と言っても、糠喜びで終わる可能性も否めないが。

 

「待たせて悪かったね」

 

「いえ。 ………それで、ヴォーグ制の件ですが」

 

「それについては、私から……」

 

 最初に会った時よりも痩せ細ったセオドリクは、覇気のないままに言葉を紡ぐ。

 

「今回の養子引取りの件、私が検討してもよろしいでしょうか?」

 

「勿論です」

 

「……実を言うと、つい先日までは私の代でカークウェインを終わらせるつもりでした。忠誠を貫き続けるには……愚息たちの罪はあまりにも大きい。しかし…」

 

 話す度にか細くなっていく、セオドリクの声色を気遣ってか重護が代弁する。

 

「私が説得してね。とりあえず、君が紹介した子達がいる孤児院まで足を運んでみようってね」

 

「無論、まだ心が決まった訳ではありません。しかし、クルシェフスキー卿、貴女には息子たちの愚行を止めてくれた恩義があります。

故に、そんな貴女の厚意を無為にすべきではないと思い孤児院へ赴こうと決断した次第なのです」

 

 そう言いながらも、セオドリクの顔には決して私への好意は浮かんでおらず、複雑な何かを必死に噛み殺そうとしているように見えた。息子たちの貴族としての人生を終わらせた外野の人間に、彼は理屈通りの恩義を感じることが出来ずにいるのだろう。

 それで良い。私は彼と親交を深めるためにここに来たのではないのだから。

 

「では、つまり」

 

「ああ。 お嬢さんがよろしいのであれば、今日にでもその孤児院を訪れようと思っている」

 

 まず第一関門を突破することが出来た私は、表情に出さないように努めながらも、胸を撫で下ろす。隣のアーニャは視線を気にするかのように周囲を何度も見渡していた。私も確かに、纏わりつくような視線をずっと感じていたが、敢えて気づいていない振りをして、その場を後にした。

 

 

 雪原の中に建っている孤児院。フェニックス兄弟が暮らすラベンダー・ホームである。

 事前に連絡をとっていたため、施設長のシスターは私たちをすんなり通してくれた。施設の庭では子供たちが和気藹々と過ごしていて、それを重護は楽しそうに眺めている。

 

「こういう光景を見ると、領主としてもっと頑張らなきゃって気持ちになるなぁ…」

 

 すると、子供たちの中の一人がこちらに気づいて近寄ってきた。他の子達よりも一回りほど年上の赤髪の少女。彼女は困惑した表情で、こちらの様子を窺っている。

 

「あの…貴族さまですよね…? どのようなご用件で…」

 

「初めまして…えっと、貴女はナラさん…ですよね? 私はモニカ・クルシェフスキーと申します。 こちらはホッカイドウブロックの…」

 

「領主をやらせてもらってます、皇重護です! よろしく、可愛いお嬢さん!」

 

「えっ、なんで私の名前を……えっモニカ・クルシェフ…ナイト・オブ・ラウンズの!? というか、ホッカイドウの領主……ええ!?」

 

 予想外の名前に、慌てふためくナラ・ヴォーンに他の子供たちの注目が集まる。

 

「その側近、セオドリク・カークウェインです。 不名誉な形で君たちの耳に家名が届いているかもしれんが…」

 

「いえ、あの……ええと…本当になんでこんな偉い人達がここに…?」

 

「その方々は里親候補ですよ、ナラ。 この子達のね」

 

 何が何だか、と狼狽しているとシスターが苦笑とともに二人の少年を連れてきた。

 

「アッシュとニコル……じゃあ」

 

 どうやら先日の一件を知っているらしいナラはセオドリクに恐る恐る視線を送った。セオドリクは呆然とフェニックス兄弟を見つめていた。

 

「この子達が……」

 

「アッシュ、ニコル。 挨拶を」

 

 促されるままに二人はセオドリクに挨拶をした。アッシュは毅然と、ニコルは緊張そのままに。

 

「初めまして、カークウェイン伯。 僕はアッシュ・フェニックスと言います。 こちらは弟の」

 

「ニ、ニコル・フェニックスです! 今日はぼっ、僕たちのために足を運んでいただき、ありがとうございます……っ!」

 

 緊張でしどろもどろなニコルを見守るアッシュは無表情であるものの、その目線は温かいものだった。きっと、今日の面談が決まった時から二人で練習を行っていたのだろう。

 

「……これは丁寧にありがとう、アッシュにニコル」

 

 跪いて兄弟に接するセオドリクは、なんだか何かを懐かしんで泣きそうになっているように見えた。彼の中で想起される光景は、きっと二度と戻ってこない、私が正しさの元に奪い去ったものなのだろう。

 

 シスターに案内され、面談室へ移動した彼らを見送った私たち三人は暫く他の孤児たちをアッシュの代わりの遊び相手として振る舞うことにした。

 

 大柄な体型を活かして何人もの子供を肩車する重護に、子供たちが育てている花壇を興味深そうに見ているアーニャ。そして、少年少女たちと騎士ごっこをする私。

 連日気を張るばかりだったために、その時間は非常に心休まるものだった。

 

 だが──────

 

「よォ。 先日伝えた要件で来たぞ、シスター」

 

 背後で聞こえた嗄れた声をきっかけに、癒しは全て吹き飛び私は誰にも気取られないように臨戦態勢を取った。振り返れば、長身痩躯の灰色の男が酷く生気のない顔でシスターと話していた。

 

「シザーマン様、本日はお忙しい中、足を運んで頂き…」

 

「下らん前口上はいらん。 それより、ガキどもを見せ……ちっ、面倒なのがいるな」

 

 子供たちと戯れている私たちに気づいたクリストフは、心底嫌そうに頭を掻きむしった。その仕草に白々しさを覚えながらも、表に出さないように気さくな挨拶を送る。

 

「ご機嫌よう、クリストフ」

 

「嫌に馴れ馴れしいな、嬢ちゃん。 そっちは……皇重護…サマか」

 

「初めまして。 貴方は…」

 

「ナイト・オブ・ファイブのとこの使いっ走りで十分だ、領主様。 それよりも、お前さんたちがここに?」

 

「ヴォーグ制ですよ。 貴方もでしょう?」

 

「……」

 

 クリストフは警戒を隠さず、蛇のような鋭い目つきで私を睨みつけた。

 

「……お互い慈善事業に精が出るなァ」

 

 言いながらも、クリストフの視線は何かを探すように部屋を行ったり来たりしている。探し物がどこにあるか、そんなことは知っていながら私は彼に言う。

 

「先日のトラブル以来、貴方の主に対して凝りのようなものがありましたが。 そうですか、リューネベルク卿にも素晴らしい善意があるのですね…」

 

 あの時は失礼しました、とクリストフに笑顔を向ける。するとクリストフは失笑した。

 

「嬢ちゃん。 やっぱりお前さん、アイツと似ているよ」

 

「……?」

 

 似ている? 誰に。クリストフはそれ以上語らずに、シスターへと向き直ったために、追及は出来なかった。

 

「 ……それで、子供はこれで全部か? 前に来た時には」

 

 その時、面談室に繋がる扉が開いた。 そこには、笑顔のフェニックス兄弟と、複雑な表情のセオドリク。シスターの無言の問いかけに、セオドリクが黙ったまま頷く。シスターが安心したように笑った。第二関門突破、というわけだ。

 

 暫定的ではあれど、彼らを救うことが出来た。私はそこで初めて、自己効力感というものを抱いた。この世界に物語の修正力なんて言うものは存在しない。アッシュたちのように、適切に対処すれば悲劇を防ぐことが出来る。

 

「………なるほど、そういう訳かい」

 

 クリストフは静かにそう呟き、気がつけばその場から消え失せていた。私はアーニャに目配せをし、腰の剣の存在を確かめた。さぁ、ここからが鬼門である。

 上手く行けば、いや上手く行かなかったら、ノーランドという男を物語から引き摺り下ろすことが出来るだろう。下卑た愉悦に、顔が引き攣りそうになるという生まれて初めての情動を必死で堪えながら、孤児院を後にした。

 

 より正確に言うのであれば、私のみ、他三人と別れて街へと繰り出した。纏わりつくような視線は、殺気を帯びてやはりずっと私に着いてきている。全ては想定通りだ。

 

 

 

 

 あの日、ノーランドから仕事を命じられたクリストフが最初に手をつけた事。それは彼女が籍を置いているアッシュフォード学園についての調査だった。

 理由としては単純で軍や貴族を探るよりも圧倒的に、学校の方が簡単に付け入りやすいからである。名門とは言え、所詮は庶民でも入れる普通の学校。諜報に長けているクリストフからすれば、それは非常に楽な仕事だった、のだが。

 

─────情報の扱いが厳重すぎる。在校生の情報が殆ど手に入らん。

 

 どんなアプローチを重ねても、アッシュフォード学園でのモニカの友人は疎か、彼女以外の在校生の情報をまともに手に入れることが出来なかった。

 無論、ゼロではない。貴族の子息も通っているため、その伝手からある程度の情報は握ることはできたが、ノーランドから求められた水準からすると全く足りていない。

 

 ナイト・オブ・ラウンズが通っているが故の情報統制か。そうだとしても、力が入りすぎている。あまりにも胡散臭すぎるために、深掘りすべきか悩んだ結果、掛けられる時間が限られることを理由にクリストフはアッシュフォード学園に見切りをつけた。この裏にあるものは今回の件とは別物であるという直感も、その判断に大きく作用した。

 

 次に手を伸ばしたのは軍人としてのモニカ・クルシェフスキー。こちらもやはり、汚点と呼べるものは見つからなかった。しかし

 

─────妙な空白期間が所々にあるな。何をしている?

 

 期間で言えばほんのわずかではあるものの、E.U.戦線での彼女の実績を詳細に見ていくと、何をしているか記録されていない時間が存在していた。一日から一週間。ただの休暇か、と断定しようとした所で、ひとつの考えが過ぎる。

 

 今彼女がホッカイドウに訪れていることも、この空白のひとつなのでは無いか、ということに。

 

 そもそも、ナイト・オブ・トゥエルブがこの地にやってくるなんていう情報は、ノーランド麾下の誰も掴めてはいなかった。つまり、かなり慎重に動いているわけだ。たかが休暇を送るために、そこまで臆病になる必要があるか?

 

 そこでふと、手元にある報告書に目が落ちる。今の仕事とは別件の、エリア11全体が抱える面倒事。脈絡なく登場した神出鬼没のイレブンへの支援者についてだ。

 

 件の支援者が問題視されている理由は、ブリタニア軍人である可能性が挙げられているためである。ブリタニア軍人しか知り得ない作戦の数々をリークし、イレブンたちの首の皮を既に何度も繋げている。ブリタニアの国是としては、論外もいいところだ。故に上層部、というよりもクロヴィスが躍起になってこれを叩き潰そうと奔走していた。

 

 と言っても、その者が提供したとされる情報はどれも機密度は高くないものばかりであり、その事から尉官程度ではないかと上層部では推測されているらしい。

 

 結びつけるのは、論理の飛躍。しかし、それでもなぜだか気になった。国内外の架空企業を通して情報や物資の支援を行っているらしいその神出鬼没の支援者と、自分たちの目の前に現れて事態を好き勝手掻き乱すナイト・オブ・トゥエルブが重なってしまうのだ。

 

─────まぁ、揺さぶり程度には使えるか?

 

 だが、まだ弱い。 もっと明確な成果物ではないと。クリストフは最後に、貴族としてのモニカ・クルシェフスキーを暴こうと試みた。

 そして、それを見つけたのは、今回の仕事を諦めかけていた矢先のことであった。

 

─────こりゃ、あの嬢ちゃんを殺せるかもな。

 

 タイムリミットまであとほんの少し。別件でとある孤児院に顔を出さなければならないために、殆ど最後のチャンスだった時刻に致命的な情報を掴めたクリストフは、部屋の中で一人高笑いをし、そして大きな欠伸をして、嘆息する。真っ白な顔面には、隈がよく目立っていた。

 

 尚、この数時間後に別件の「殺人機械」に仕立て上げるという計画が、予め見繕っていた有望な子供を横取りされるという形でまんまと潰されたことにより、彼個人の殺意が頂点に達することになった。 それをこの時の彼が知る由はない。

 

 

 

 

 私は街中を、出来る限り人気がなく、その上で窮屈な道を選んで歩いていた。より具体的に言うのであれば、生身で襲撃をしやすい場所を選ぶように、さりげなく歩いているのだ。

 

 と言っても、私の後ろの刺客はこちらの思惑など見透かしているだろうが。まぁ、それでも仕事を敢行しなければならない理由があるのだから、必ずどこかでこちらの誘いに乗ってくるはずだ。

 

 私は偶にカモフラージュとして所々で店に寄りながらも、消えない殺意を確かに感じ取りながら、路地裏へと身を投じた。

 暫く、薄暗い一本道を雪を踏み鳴らしながら歩く。刹那

 

─────私の首元目掛けて、一本のナイフが投擲された。

 

 ブラフ。私はそう判断し、剣で弾くことを選ばずに最小限の動きでそれを回避する。前方に敵はいない。であるのならば───

 

「上ですね」

 

 見上げれば、フードの男がナイフ片手にビルの壁面を蹴りつけながら飛び掛ってくるところだった。私は冷静にそれを回避して、鞘の状態で男を殴り付ける。が、男もそれを簡単に回避し、やはり飛び退いた。

 

「……名を名乗りなさい、と言っても名乗る訳ありませんか」

 

 鞘から放った剣を構えながら、問い掛けるが当然、返答は無い。

 最初から期待はしていなかった。であるのならば、後はどちらかが死ぬまで殺し合い。 ………なんて面倒なことは選ばない。

 

「仕方ありませんね。代わりに名を呼んであげましょう。 ───先程ぶりですね、クリストフ・シザーマン」

 

「…………」

 

 やはり、答えない。だが、襲いかかっても来ない。私の台詞は、こちらの出方を警戒させるに十分だったようだ。畳み掛けよう。

 

「貴方たちが製造予定だった殺人機械、それを妨害してしまったのは申し訳なく思いますが、このような蛮行を働かれるのは些か遺憾です」

 

「………チッ」

 

 そこで漸く、男はフードを脱いでその顔を顕にした。極めて不機嫌といった様子のクリストフは、ナイフをもう一本、懐から取り出しながらこちらを強く睨みつける。

 

「嬢ちゃん、お前さんあまりにもこちらの事情を知りすぎている。どの手の者だ?」

 

「分かりきったことを。私は皇帝陛下の騎士です。貴方の主と同様に」

 

「白々しい。……大方、シュナイゼルあたりの手先か? 随分と()()だと聞いておるが」

 

 含むところがありますよ、と伝えるように懇意のところを強調して言う彼に、私は笑顔で応じる。

 

「確かに私はシュナイゼル殿下を敬愛していますが、それが何か?」

 

「……いやぁ、そうじゃないなぁ。 ああ、こっちが正しいのかな。

 

─────イレブンのお友達に頼まれたのだろぉ? 情報を流したりして、ブリタニアを無茶苦茶にしろとなぁ」

 

「……」

 

「つまらない皮肉を言う口が止まってくれて何よりだ」

 

 どこまで。一瞬だけ、そんな考えが過ぎるが、すぐに打ち消す。想定の範囲内だ。

 

「いえ、すみません。 あまりにも脈絡のない揺さぶりが貴方から放たれたもので。もしかして、体調を崩されてます?」

 

 隈も酷い、というとクリストフはわざとらしくため息をついた。

 

「お前さんたちラウンズのせいで、俺も過労死寸前なんだァ。 頼むから休暇に入らせてくれ。 お前さんなんかよく休暇とって、後暗い所をうろちょろしてるみたいじゃないか。 羨ましいよ」

 

「何を言っているのかよく分かりませんが……長期休暇はもしかしたら間近かもしれませんよ。 だって、こうして暗殺に失敗したのですから、もう貴族として働く必要がなくなるでしょう?」

 

「………」

 

 さて、どう出る。このまま引き下がるのであれば、私は容赦なく彼の貴族としての人生を終わらせてやるつもりだった。ノーランドの右腕をもぎ取れるのだから、躊躇など一切ない。だが、きっと、これでは終わらない。

 

「貴族として働けなくなる、ねェ。 そりゃ困った事態だな、嬢ちゃん?」

 

 まるでこちらの台詞だ、というように猟奇的な笑みを浮かべた。胸の中で、焦燥の萌芽が顔を出したのを感じた。

 

「何が言いたいのです?」

 

「いや、ウチの主がお前さんと仲良くなりたいと、お前さんについて調べろと命令してきてな? それで少々、お前さんの家族について調べさせてもらった」

 

「……随分と不躾ですね。 暗殺に加えてストーカーですか?」

 

「まぁ最後まで聞け。 この数日間でクルシェフスキー家について色々と調べさせてもらったが、まぁ特に変哲もないただの田舎貴族で、最初はつまらんかったよ」

 

 当然だ。クルシェフスキー家は至って堅実な方針で動いており、危うい橋は渡っていない。そう、私という存在以外では─────

 

「ただひとつ、非常に興味深い点があってな」

 

 小枝のように細長い人差し指を立てて、嗤った。

 

「お前さんの誕生日、確か5月3日だったか? 皇暦1999年の」

 

「………」

 

「まぁそれ自体は別にいいんだが。 その前提を踏まえるとひとつ、不自然な記録があってな」

 

 こちらの反応を愉しそうに窺いながら、クリストフは謳うように続ける。

 

「貴族のご婦人が妊娠した場合、遅くとも出産の四か月前には公の舞台から姿を消す。まぁ、当然だわな。下手に動き回って跡継ぎが産まれませんでした、なんて冗談にもならん。遠隔地のパーティに赴くなんて以ての外だ。

 

……さて、そこを踏まえてお前さんの母君について述べさせてもらおうか。お前さんの誕生日の約四ヶ月前の、1月8日。

本来であれば私室にて安静にしているご婦人は、一体どこで何をしていたと思う?」

 

「……」

 

「おや、答えがないなぁ? 仕方ない、教えてやろう。

 

────ブリタニア本国から海の向こうの奪い取ったヨーロッパの領地にて、とある貴族の誕生日パーティに出席していたらしい。ブリタニア本国側からはお前の父君と母君しか貴族は出席してない、極めて内々のものだったらしいが、身重なご婦人であることを踏まえると、随分とお転婆なことをしておるではないか」

 

 心臓の鼓動が、どんどん早くなる。これは正直、予想外だった。

 目の前の男の諜報力を舐めたことは、明確な落ち度だろう。しかし、今更、悔やんでも仕方ない。

 

「さて、そうなってくると気になることがでてきた。なにを? 簡単な話、お前さんの血についてだ。無論、抽象的な話ではなく医学的な血液型。

 

お前さんの血液型については調べたら直ぐにでてきた。父君は、少々面倒ではあったが調べが付いている。 それによると父君とお前さんは一致していないようだな。 ふむでは、母君かなぁ?

 

………おや、情報によればちゃんと一致しているようだ。 じゃあ、お前さんは歴とした貴族令嬢……」

 

 言って、おや、とわざとらしく何かを思い出したかのように目を見開いた。

 

「そういえばぁ、お前さんの母君。 一度、大きな交通事故にあったらしいな。

輸血をしなければ危ういほどの。だが、まぁ、心配あるまい? なぜなら、娘に同じ血が流れているのだ。 適合する輸血者を探す必要もなく、済む話だ」

 

 そう言って、どこから仕入れたのかわからないカルテを私に向かって投げ捨てた。

 

「済む話なのだが、なぜ別人が輸血しているのかな? それも、このカルテにおいては母君と嬢ちゃんの血液型がなぜか異なっている。 はて、これは」

 

────一体、どう言うことなのだろうなァ?

 

 極上の魂を前に舌なめずりするような死神の如く、クリストフは嗤った。

 

「さて、言うまでもないが貴族であることを偽るのはブリタニアにおいては重罪。ナイト・オブ・ラウンズがそれをやったとなれば、下る沙汰もそれ相応だろうなぁ。 おお、怖い怖い」

 

 ああ、全ては私の落ち度である。これでは、計画が────

 

「………これで終わりですか?」

 

「……なに?」

 

──────必要以上に上手くいってしまうではないか。

 

「最初に一言。 この短期間でよく調べましたね。 流石です」

 

 私は笑顔で拍手をする。クリストフは訳の分からないモノを見る目で、愕然としていた。

 

「正直、事前の予想だと日本での活動のことまでは掴まれると思っていたのですが、まさか私の生い立ちまで暴いてしまうとは。正直、見くびっていました」

 

 お見事です、と笑いかける。クリストフは青筋を立てながら、こちらに殺気を向け、こちらの皮肉への反撃を試みる。

 

「見苦しい強がりはよせ。 お前さんは負けたんだ、トゥエルブ」

 

「──── ()()()()()()()()()()()()()()。クリストフ」

 

「ッ!!!」

 

 実際、ここまでやれるとは思っていなかった。私を潰すにはレジスタンス活動周りでも事足りていたはずなのに、ここまで徹底的に潰しに来るとは。

 

「貴方の、いや貴方たちの目論見はきっとこんな感じ。

まず初めに私を何らかの手段で始末する。ありとあらゆる点で私は、貴方たちにとって邪魔な存在です。特に、本日の一件で貴方はそれを痛感している。 違いますか」

 

「……」

 

「自分たちの暗部を知っている可能性のある同格の敵。 この計画を練った時点ではどこまで知っているのか不明瞭だったのでしょうけど。

 

さて、私を始末すると言っても、ラウンズが同じラウンズの領地で死んでしまえば流石に本国からの追及を防ぐのは不可能です。

さて、そのためにはどうすべきか」

 

「……」

 

「そこで活きてくるのが、私から暴いた秘密の数々なわけです。

貴方たちは私の死体に剣を突き立てながらこう言うつもりだったのでしょう?

 

『陛下に仇なす叛徒を駆除した』、なんてことを。

 

 先程私に披露してくれた諸々の情報を開示すれば、実行犯である貴方は兎も角として、ノーランドが罪に問われることは無いでしょうね。功績にもならないでしょうけど。

 

 そもそも論として、なぜ私を殺すのか。 それは私が生きていると、証拠不足故に政治的に殺しきれないから。死人には口なしとはよく言ったものです」

 

 幾ら疑わしかろうが、反証する人間がいないのであればどうにでも出来る。特に私の血統の怪しさに関しては文字通り折り紙付き。クリストフがしたように、徹底的に調べあげればいくらでも埃が出てくる。

 

「……さっきからなんだ、お前さん。 偉そうにものを言っているが、こちらの計画を上から下に朗読しているだけじゃないか」

 

「まぁ最後まで聞いてください」

 

 人差し指を口元において、彼の台詞を流用することでクリストフを黙らせる。もはや苛立ちを隠せてもいない。

 

「さて、実を言うとこの地に来る前から貴方たちがどのような動きを見せるか、ほとんど察しが付いていました。貴方たちの暗躍を妨害すれば、こういう風に消されそうになるということも。

では私はどうすべきでしょう」

 

「……お前、一体」

 

「おや、答えがありませんね。 では、仕方ないので述べましょう。

 

────いつ消されても良いように事前に仕掛けを行う、です」

 

「………仕掛け?」

 

「ええ。 それについては………ナイト・オブ・ファイブ、貴方も是非聞きたいでしょう?」

 

 私はどこかでここを観察しているであろう男に呼び掛ける。返事は無い────と思った矢先に、クリストフが懐から無線機を取りだした。

 

『……トゥエルブ、貴様一体どこまで知っている?』

 

 音質が悪いせいでまるで機械音声のような平坦な声に、私はやはり嫌悪感を抱く。が、今はそれは重要ではない。

 

「おや、そこに居ましたか。 では続きを述べましょう。

 

まず貴方の問いの『どこまで知っているか』ですが、これは、そうですね……

 

────どこまで知っていると思いますか?」

 

 クリストフが理解不能な怪物を見て恐慄くように、僅かに後退した。無線機の向こうの男は、何も答えない。

 

「正直、私が貴方たちの暗躍の奥の奥まで掴んでいるとは思っていませんが、それでもそれなりの情報は握っています。

例えば……そう、ノーランドという男の素顔、とか」

 

『……戯言を』

 

「そう思うのは勝手です。 でも、本当にそれで済まして良いのでしょうか?

ああ、いえ、貴方たちからすれば殺せば無問題なのですから、考える必要はないのでしたね。

 

では、そんな貴方たちに一つ、こちらの仕掛けを開示しましょう」

 

 そう言って、私は携帯電話を彼らに見せつけた。携帯のメールを通して行える、PC間のファイル転送サービスのメッセージ。2015年に至っても未だPHSが主流な世界故に成立した、前世からすれば回りくどく感じる、独特の技術。

 

「……まさか」クリストフが青ざめる。どうやら、こういった分野に詳しい彼は、私の仕掛けについて理解したようだ。

 

「最近は色々と便利なものが増えました。このファイル転送サービスなんかとても便利です。事前にパソコンにソフトウェアを入れて、送りたいファイルを予め設置しておく。

そしてこうして携帯電話のメールを通してファイル転送を行えるんです」

 

 そう言って、未だ送っていないメールの画面も見せる。このメールを送信すれば、本国にあるPCが各所にとあるファイルを送信するように仕掛けてある。

 

「このサービスの予約機能を組み合わせると、あら不思議。私が死んでいても、各所に貴方たちを殺し得るだけの情報を送ってくれる断頭台が完成してしまうんですよ」

 

『下らん。 ならば、貴様を殺してその端末を奪えば』

 

「おやおや、短絡的ですね。 なんで送信を準備している携帯がこれだと思ったのです?」

 

『………』

 

 焦っているな。

 私がどこまで知っているか、それすらも掴めない状況。殺してお終い、という訳にも行かない。窮地もいい所だろう。

 

「ああ、ひとつ聞きたいのですが、クリストフ」

 

「な、なんだ?」

 

「最初の不意打ちの失敗、それ自体は予測していたと思うのですが、じゃあ、その場合私をどのように殺害するつもりだったのですか?」

 

「……それは」

 

「その胸元の流体サクラダイトで諸共死ぬつもりだったとか?」

 

「ッ!? なんでそれを」

 

「あら、当たりとは。適当に言っただけなんですけどね。 おめでとうございます」

 

「………」

 

 途端、彼の外套がずり落ち、胸当てのように装着された流体サクラダイトが顕となった。どっかの誰かさんが同じことをやってたからもしや、と思っていたが当たってるとは。

 どう考えてもノーランド考案だろう。捨て駒上等なのは知っているとは言え、クリストフが憐れに思えてくる。

 

「自爆しないまでも、街の住民を人質に自死を強要するとかそういう腹積もりだったんでしょう。 街が吹き飛ぶのは私としても心苦しいですから」

 

 ああ、でも。と私はトドメの言葉を紡ぐ。

 

「私の秘密、沢山暴かれてしまいました。 どちらにせよ、死んでしまうかも。 これなら、静かな自死を選んで貴方たちを道連れにする方が世界のためかもしれません。ねぇ、クリストフ?」

 

 私は己の首に、剣を添える。まるでいつ死んでもいいと主張するように。

 

「貴様、まさか最初から死ぬつもりで…」

 

 死ぬつもりでホッカイドウにやってきた……なんて思ってるのだろうか。

 彼が調べ上げた経歴が、私にとって致命的であればあるほどに、この脅しはよく効く。故に、彼はやりすぎたのだ。彼自身の辣腕によって、私の脅しの説得力を向上させてしまったのだから。

 

 どこまで知っているかもわからない敵を、不必要に追い詰めてしまった。

 

 しばしの張り詰めたような沈黙の後、ノイズ音とともに無線機が問い掛ける。

 

『……何が望みだ』

 

「そうですね」

 

 答える前に、ひとつの考えが過った。

 実際、世界のためを思うならここで死んでしまってあの情報を発信する方がいいかもしれない。

 

 正直なところ、ノーランドを無傷で殺し得るような情報は握れていない。彼の正体やそれに纏わる皇帝のスキャンダルについて記載した資料は用意しているがその裏付けとなる証拠は皆無だ。

 

 仮に生きている間にあれを発信したところで、私が正気を失ったと看做され、失脚して終わりだろう。或いは秘密裏に消されるか。

 

 故に私が彼らに殺されてこそ、あの情報は意味を持つのだ。秘密を掴んだラウンズが、秘密の主であるラウンズによって殺される。その構図は、民衆にとってどう見えるだろうか。

 

 無論、国内外のマスコミ各社も送信先に設定されている。

 彼らの何れも立証することは叶わないだろうが、それなりに大きく騒ぎ立ててくれるだろう。

 

 そしてなにより、私が広めた情報が真実であることをシャルル・ジ・ブリタニアは知っている。そうなればまず間違いなく、父は己の複製物を破棄する。リスクを負ってまで庇うほど、父はノーランドという器を重要視していない。

 

 ここで有無を言わずに死んでしまえば、ノーランドという男の悲願は実現されない。そして、私もノーランドもゼロレクイエムの成立には毛程も関係ないのだから、ゼロによる平和も予定調和のように齎される。

 

 私という命でそれを実現できるとするなら、かなり安上がりに思えてきた。だが……

 

─────それは欲だよ、モニカ。

 

「私を生かして帰すというのであれば、この送信予約は取り消しましょう」

 

 それでは、彼らとの約束を破ることになってしまう。私は自己犠牲的な考えを掻き消して、彼らへ要求を伝える。

 

『生かして帰して、貴様が掴んでいる情報やらを世に出さないとでも?』

 

「分かりきったことを。 貴方であればこちらの手札の状況くらい理解出来ているでしょう」

 

『………』

 

 私が持っている切り札は、私というプレイヤーが生きている間では効力を持たない。それはきっと彼からすればすぐに察知できたことだろう。

 

「私の出生や、日本での活動についての流布。貴方たちの周りで起きている貴族たちの不審死、用途不明な物資の流れ。 それらを察知した場合も、私は躊躇なく自死を選びます」

 

『……そうか』

 

 剣を首に押し付ける。鋭い痛みとともに、血が雪の上に滴り落ちる。

 

「当然、今の例示に含まれていない事柄であっても、私が死ぬべきと判断すれば何の告知もなく死ぬつもりです。

マスメディアで人気者の閃光が死と共に遺した告発文、どれほどセンセーショナルに報じられるか見届けられないのが残念です」

 

 私がこの地に赴いた理由。アッシュたちを助けるという目的も確かにあるが、一番はノーランドたちの暗躍を完全に縛るというところにあった。私が生きている限り、彼らが大きく動くことはできない。その分だけ、彼が人類を駆除できる日が遠のくことになるのだ。

 

「……随分と極端な脅しだ。 しかしなぁ嬢ちゃん。 一つだけ、懸念点がある」

 

「なんですか?」

 

「このホッカイドウ、実を言うとあまり治安がよろしくなくてな。

例えば、例えばの話なんだが、お前さんが懇意にしている皇家に、不埒な輩が押し入る、なんて言う事態が起きるやもしれん」

 

「……」

 

「そして、頼んでもいないのに俺たちのために、その方々を人質に取ってくれる。 そういう場合、お前さんは死ぬのか?

お前さんが死ねば、必然的にそいつらが死ぬという状況で、その上で下手人が俺たちとは無関係のイレブンだった場合、お前さんはその剣で自死を選ぶのか?」

 

 刹那、私の携帯電話が鳴り響いた。まるで答え合わせでもするかのように。クリストフは余裕を取り戻したかのように笑って、私に出るように促した。

 

「もしもし」

 

『皇家は制圧した。貴様の可愛い部下や友人たちを殺されたくなければ、今すぐ降伏するんだな、閃光よ』

 

 電話口の相手は、あまりにも予想外で、私は驚愕のあまり携帯電話を落としてしまう。考え得る中で最悪のケースだ。

 

「どうした、嬢ちゃん。 さっきまでの余裕はどこに行った?」

 

 勝ちを確信した。そう言わんばかりのクリストフを無視して、携帯電話を拾い直して応答する。

 

『どうした、返事がないな。あと三つ数えるうちに返事をしないとまずは可愛らしい貴様の騎士から殺すことにするぞ。 さーん、にぃー、いーーっ』

 

「……アーニャ、不謹慎な悪ふざけはやめてください」

 

『あら、ノリが悪いわね。 折角、貴女の悪巧みに付き合ってあげたのに』

 

「………貴女には頼んでませんけどね」

 

 電話の相手、アーニャもとい閃光のマリアンヌは悪戯が成功した悪童のようにケラケラと笑った。

 

「待て、お前誰と話している?」

 

「アーニャ、そちらに放たれた刺客たちは殺していませんね?」

 

『ええ勿論。 全員、ちゃんと生け捕りにしたわよ。……なのだけれど』

 

「自死しましたか」

 

『昔ながらの伝統芸ってやつかしらね。 私の時代でも奥歯に毒仕込む方法流行ってたわよ? いつの時代も暗殺者ってやること変わんないわねぇ』

 

「残念です。 ……くれぐれも死体は彼らの目につかないように」

 

『はいはい。そっちも頑張って』

 

 私は電話を切る。目の前ではクリストフが今にも発狂しそうな面持ちで立っていた。

 

「というわけで、貴方の懸念は消え去りました。 よろしいでしょうか?」

 

「…………クソガキが」

 

 クリストフは敗北宣言に等しい悪態を吐く。対してノーランドは…

 

『ひとつ、貴様に問いたい』

 

「なんですか?」

 

『貴様の出生についてだ』

 

「……」

 

 ジジ…というノイズの後に、ノーランドは続けた。

 

『貴様の生年月日。 私には何故か既視感があった。

その確信にはまだ至れていない。 しかし、敢えて一つだけ挙げるとするなら…』

 

────イユニリストの乱。

 

 と、平坦な声で紡いだノーランドに、私は目を見張る。

 

『貴様が産まれた日より少し前に鎮圧されたあの乱には、ナイト・オブ・ワンの他に非公式ながら二人のラウンズが参戦している。

いや、正確にはどちらもナイト・オブ・ラウンズではなかったか。

後にラウンズになる者と、既にラウンズではなかった者。

片や密命、片や下らん私情で参戦することになったあの戦い。

 

根拠は無いが、私は貴様からあの乱を想起した』

 

 …………やはり、この男は危険すぎる。

 

『その上で、問おう』

 

「…なんでしょうか」

 

────貴様の真の両親は……いや、父は誰だ?

 

 その瞬間、私は必ずこの男を消し去ろうと、改めて決意した。この男を野放しにするのは、嫌悪以前に危険すぎる。

 

「……さて。 私が知りたいくらいですよ」

 

『そうか。 ならばもういい。 貴様の息の根は必ず止める。 この私の手によって、直々に』

 

「そうなる前に私が貴方を舞台から叩き落とします。 ノーランド・フォン・リューネベルク」

 

 これから繰り広げられるは、水面下での情報戦。互いが互いに、相手を無傷で封殺できるほどの情報を求めて、剣を用いずに殺し合う暗夜での泥沼。この息が詰まるような戦いが終局を迎えるのは、何年後になるだろうか。

 

『……ふん』

 

 無線機は、完全に沈黙した。

 

「という訳です、クリストフ。 かなりの労力を費やしたのにも拘らず、無駄にして申し訳ありません」

 

「喧しい、クソガキが。 お前のせいで何もかも台無しだ…」

 

「転職します?」

 

「残念ながら今の環境が気に入ってる。小便臭い温室の中で俺のやりたいことはやれんからな」

 

「血腥い研究室よりもマシな環境だと思うのですが……まぁ、いいでしょう」

 

 私は剣を鞘に収めて欠伸をする。クリストフは忌々しそうに舌打ちをした。ここまでほぼ完璧と言っていい水準でこちらの計画は達成された。後は自分たちへのご褒美だけ。体も軽くなるというものだ。

 

 尚、連日の降雪によって交通機関が麻痺しているために休暇中に五稜郭まで行けないと発覚し膝から崩れ落ちることになるのを、この時の私は知る由もない。

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