本当に私でいいのぉ? そりゃ、セシルもプリンも出払ってるから仕方ないけどさ。余所者の私の話聴いて、なんになるのよ。
……まぁいいけどねぇ。
お兄さん…あー、お姉さんの方がいい? あっそう。じゃあ、お姉さんで。
────それでお姉さん、うちのミニプリンちゃんの何を知りたいの?
うちの、じゃなくてシュナイゼル殿下の?
主に面倒を見てるのはうちなんだから、ミニプリンちゃんはうちの子でしょお? そもそも自分は宙ぶらりんだってあの子よくボヤいてるわよ?
そりゃ、あの子だってボヤくわよ。なんでそんなに意外そうにしてんの。
ああ、そっか、あの子ってある程度付き合わないといい子ちゃんぶるところあるからか。
私も最初会った時は、騎士の幼虫が来たって思ったものね。 今はプリン伯爵の子分って感じだけど。 あははは、こんなこと言ってるのがバレたら私も殴られちゃうかしらぁ?
KMF開発に興味津々な癖に素直じゃないのよ、あの子。 こっちが何も言わずに書類を置いたら、次の瞬間には参考書片手にレビュー始めてんの。
一回、間違えて置いただけって取り上げたら、目に見えてシュンとしちゃってまぁ。 自分では取り繕えてると思ってるとこも可愛いわね。……脱出装置を補助輪かなんかだと勘違いしてるのは可愛くないけどね。
最近は誰かさんの悪影響か、憎まれ口も叩くようになったのよぉ? 残念でした、なんて言い出した時は教育のために引っぱたいたほうがいいか本当に悩んだわ。
……あら、本当にびっくりしてる。
へぇ、あんた達から見たミニプリンちゃんは公平を重んじるお淑やかな貴族令嬢なの。実は別人だったりしない? なんてね。思い当たる節が無いわけじゃない。
外面がいい? いや、そういうのじゃないね、あれは。
なんて言うのがいいのか……そう、二人混ざってるんだ。
まぁ当然比喩よ。 別にインド系に変な超能力なんてないわよ? ステレオタイプっていうんだよ、そういうの。
話を戻すけど、あの子ってたまに何かを演じてるような振る舞いをする時がある。 多分、本人は無自覚なんでしょうけど。
演じてるっていうと不自然に聞こえるけど、あの子の場合はちょっと違う。 あれはまるで、本来あるべき自分を頑張って再現してるって感じ。あのモニカも、きっと偽物じゃない。
多分、お転婆娘なミニプリンちゃんとお淑やかな御令嬢のモニカちゃんはあの子の中で混在しているんだと思う。
そ、共存じゃなく、混在。
だから偶にそのふたつが衝突事故して、面白いことになる。 これまた無自覚に、ね。 本人はたまたま軽率だったくらいにしか思ってないんじゃない?
ああ、一応言っとくけどこれはあくまで素人の精神鑑定ごっこ。その証拠に胡乱なことしか言ってないでしょ?
これを根拠にミニプリンちゃんに点数付けたりはするんじゃないよ。
それにね、そのふたつは別に衝突してるばかりじゃなくて、綺麗に合致することもあるの。
どういう時? そうね、それが起きる時は決まって
────KMFに乗ってるとき。
あの時だけは、貴族令嬢でもお転婆娘でも無くなる。 この表現を借用するのは癪だけど、あれぞまさに
最初のプリンの無茶ぶりをこなした時だってそう。
あんな大量の岩石を、あの子は一言も悲鳴を発さずに、まるでそうプログラミングされているかのように、避け、潜り抜け、砕き、ほぼ無傷で生き残った。
まるで、KMFと一体化してるみたいだった。
あの子が騎士として本格的に戦場に身投げした時、ミニプリンちゃんは何になるんだろうね。 それだけは、心配かな。
あの子、この世界から消えたがってるような気がするから。
次回投下は5/6の18:32予定です。