"創造"と"想像"   作:神剣狩刃

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第13話 誰かを信じるということはその人に責任を押し付けることじゃない

マニュアルさんの職場体験はパトロールがメインだった。

今日も天哉君と一緒に街を見回る。平和に終わるならそれでいい。

僕の妄想が杞憂に終わってくれることが一ば

 

街で爆発音が響く。何かが起きたのか。

「マニュアルさん!ヒーロー殺しが路地裏にいます!

俺の"個性"なら奴を追えます!"個性"使用の許可を!」

天哉君が叫ぶ。こうなったら僕もやるしかない。

 

「ヒーロー殺しは誰かを追っていました!無視したら被害者が出るかもしれません!

僕も追える"個性"を持っています!僕にも"個性"の使用許可を!」

マニュアルさんは悩んだ。プロとして色々と思うところがあるのだろう。

 

「…分かった!プロヒーローマニュアルの権限で"個性"の使用許可を出す!

ただし、『被害者を出さないようにするため』に限ってだ!戦おうとはしないでくれ!」

その言葉を聞くや否や、天哉君と僕はヒーロー殺しを追う。

 

路地裏でヒーロー殺し『ステイン』は一人のヒーローを追い詰めていた。

「俺が為すべきことを為す…死ね。」

天哉君がステインに向かうも刀で弾き飛ばされる。

「スーツを着た子どもとジャージとゴーグルの子ども…消えろ。

子どもの立ち入っていい領域じゃない。」

ステインは何事もないかのように警告する。

 

「おまえを追ってきた…こんなに早く見つかるとはな!!僕は」

「その目は仇討ちか。」

ステインは天哉君に刀を突きつけながら言う。

 

「言葉には気を付けろ。場合によっては子供でも」

「仇討ちだとも…そしてそこの人を助けるためでもある!

よく聞け犯罪者!!僕の名前はインゲニウム!!お前を止めるヒーローの名だ!!」

天哉君はステインに対して啖呵を切る。

「そうか。死ね。」

ステインは淡々と殺意を返した。

 

天哉君が一瞬でステインに伏せられた。かなりの手練れだ。『アレ』を使うしかない。

「天哉君!動けるようになったらその人を連れて助けを呼んで!」

「創くん…!来るな…!君が連れて」

「君なら僕を止められるよ!信じてるから!」

天哉君ならきっとできる。自分を止められたんだから。

 

「…!分かった!創くん、やってくれ!」

天哉君が僕の背中を押してくれた。勇気が湧いてきた。

百姉さんの人形に祈る。"想像"する姿が明確に見えた。

「色は黒、姿は鎧、性格は高慢にして不遜…

全てを意のままにする狂戦士!"被想像"!」

 

…最近呼ばれ過ぎじゃねえか俺?ビビりもためらいなく俺を呼ぶようになったな…

包帯野郎にスーツ野郎にマント野郎…路地裏…また訓練か?

「なあ、どういう状況だ包帯野郎?教えてくれねえか?」

「…何者だおまえ…」

「Whatの質問ににWhoの質問で答えるなよ。最終学歴保育園か?」

ホイ卒野郎に聞くのは間違いだったようだ。

 

「そいつはヒーロー殺しだ…!そいつを止めないと被害が出る…!」

ホイ卒野郎に踏まれてるスーツ野郎が答えてくれた。

「それなら話が早い。教育してやるぜ、ホイ卒野郎。」

「…おまえから殺すか。」

ホイ卒野郎らしい語彙力だぜ。知能もホイ卒野郎であると楽なんだかな。

 

ホイ卒野郎は刀と蹴りによる攪乱を主軸に戦っている。

「めんどくせえな…『シュバルツ・ツルハトン(黒よ、捕らえろ)』!」

鎧からワイヤーを展開する。カーボンナノチューブだから堅さは保証するぜ。

ホイ卒野郎を見事に捕らえる。そして地面にたたきつける。

「この実力でヒーロー殺しだあ?さては雑魚しか襲ってこなかったな、ホイ卒野郎?」

 

ワイヤーに縛られ動けなくなったホイ卒野郎に詰め寄る。

「何でヒーローを殺すんだ、ホイ卒?先生が聞いてあげまちゅよ?」

「私欲を優先させる贋物を排除するためだ…!贋物の英雄など居てはならない…!」

ホイ卒野郎曰くヒーローは見返りを求めてはいけないらしい。

 

「はあ…ホイ卒らしいバカな理論だ。いいかホイ卒、よく聞け。

この世の英雄に真贋はない。すべてが真の英雄だ。

あるとすれば強弱だ。強いヒーローが認められ、弱いヒーローは淘汰される。

…ま、そもそもホイ卒の犯罪者が英雄どうこう語る資格はないがな。」

ワイヤーを締め、ホイ卒の骨を締めあげる。

 

「それと…お前は人を殺しているよな、ホイ卒?

ってことは…『殺されてもいい』ってことだよな?

自分は人を殺すけど、殺されるのは嫌ですなんて言うわけないよな?

いや、ホイ卒野郎だから言っちゃうか?」

ホイ卒の体からバキバキと音が鳴る。とりあえず両手両足は折れたな。

 

「誰かが血の染まらねば…!英雄を取り戻さね」

「黙れホイ卒。お前の言葉なんざ便所の壁の落書きより意味ねえよ。」

ワイヤーを一気に締め上げる。

ボギボギボギと景気のいい音が鳴り、ホイ卒野郎は黙った。

 

俺は首を鳴らしスーツ野郎に話しかける。

「…さて、一件落着だな。おい、スーツ野郎、俺を止めろ。」

今更立ち上がったスーツ野郎に止めるよう指示を出す。

「…何を言っているんだ、創くん?君の力で解除できないのか?」

こいつ、ビビりのことを知ってるくせに俺のことを知らないのか?

 

ヤバい。そろそろ俺が抑えていられる限界が来る。

 

「一度しか言えねえからよく聞けスーツ野郎!

なんとしてでも俺を止めろ!意識を揺らがすことができればばいい!

最悪殺してもいい!じゃないとビビりがあぶねえ!」

 

『コイツ』に渡したくないが…俺の力じゃ止められない…!

 

…妾が出られるとはな…これは愉快だ。久しぶりの現世を楽しむとしようか。

おや、このゴーグルを着けているとは…何か着ておるのか。邪魔だ。

「『想像せよ』。『ゴーグル以外の身に着けてるものがはじけ飛ぶ』。」

重い何かがはじけ飛び、ゴーグルのみ身に着けた姿になる。ああ、実にすがすがしい。

 

さあ、妾の『想像通り』の世界を作ろうか。




狂戦士は肉体も"想像"で具現化しているため身体能力が半端ではありません。
搦め手とはいえ、血が必要なステインでは相性が悪すぎましたね。
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