何が起きたのか分からなかった。創くんが黒い鎧を"想像"してステインを倒した。
でも、体格も性格も変わっていた。そして『俺を止めろ』と言った。
今度は黒い鎧から腰まで伸びる赤いロングヘアーの裸の女性が出てきた。
「き、君は何者なんだ…?」
その言葉しか思い浮かばなかった。それ言葉以外は生み出せなかった。
「ほう…妾を知らぬものがいるとはな…お主、創からは何も聞かされておらぬのか?」
間違いなく創くんの声だが、明らかに雰囲気が違う。黒い鎧の時とは違う『圧』がある。
「妾の名は『機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)』だ。
まあ…知らぬだろうな。なにせ、表に出ることのない名前であるからな。」
赤く長い髪を手で靡かせながら創くんは答えた。
「久しぶりの娑婆だ。存分に楽しませてもらうぞ?」
そう言って創くんは俺に近づく。
手始めにこの黒髪の童で遊ぼう。どのようにして遊ぼうか?
「…『想像せよ』。『瓦礫が」
「飯田君に手を出すな!」
何者かが妾の顔を殴り抜ける。流石の妾とて、不意打ちはどうにも出来ぬ。
「妾の顔を殴るとは…面白い奴じゃ。お主から遊んでやろう。」
妾を殴ったのは緑色のもじゃもじゃ髪の童だった。ゴーグルが無事だから許してやろう。
「うええ!?は、裸の…い、いや!誰であろうと飯田君に手を出させないぞ!」
妾の裸で顔を赤くするとは…初心い童のくせしてなかなかやりおるな。
こやつとも遊ぼう。
「『想像せよ』。『瓦礫が降り注ぐ』。」
近くの建物が崩れる。妾は『想像通り』傷一つ追わない。
「…ほう。とっさに避けたか。なかなかやるではないか。」
緑髪の童は黒髪の童を抱えて避けていた。
「すまない、緑谷くん…あれは創くんだ…黒い鎧の姿からあの姿になった…」
「ええ!?確かに相心君の声だけど、"個性"がまるで違うよ!?」
当然だ。妾の"個性"は創の"個性"とまるで違う。
創は『物の具現化』に対し、妾は『事象の誘発』だ。
そして…今の妾は創の"個性"と妾の"個性"両方を併せ持つ。
「『あらゆる物を創り出し』、『あらゆる事象を起こせる』。
だからこそ妾は『機械仕掛けの神』なのだ。童どもよ、六文銭は持った」
妾の体が氷に覆われる。またしても不意打ちか…腹立たしい。
「緑谷、こういうのはもっと詳しくかくべきだ。遅くなっちまっただろ。」
首を動かし後ろを見ると、炎と氷を出す紅白頭の童がいた。
「数分もすりゃプロも現着する…このまま氷漬けにして」
「『想像せよ』。『炎で氷を融かす』。」
紅白頭の童の炎が妾に纏わりつく氷を融かす。
「轟くん!?何をしているんだ!?」
「違う…今のは俺の意思じゃねえ…!」
無論、妾の"個性"だ。
紅白頭の童の"個性"が氷のみであれば、妾も手段を選ばなかったが…
「『想像せよ』。『ワイヤーに縛られる』。」
手から無数のワイヤーを作り出し、童たちに向けて放つ。
それぞれの"個性"を生かして逃げているが、ワイヤーは『想像通り』に彼らを追う。
「なにこれ!?明らかに物理を無視しているよ!?」
「逃げるだけでは埒が明かないぞ…!」
緑髪と黒髪の童は苦戦しておるな…紅白頭の童はどうだ?
「凍らせてワイヤーを止めりゃいいのか…
燃やして溶かしてえ所だが…街中でそれは危険すぎるからな。」
なるほど、厄介な"個性"を持っておる。戦うのは不毛だ。
「『想像せよ』。『鉄壁に阻まれる』。」
道を遮る鉄壁を"想像"する。奴の"個性"では被害を出さずに突破するのは難しいだろう。
路地裏から大通りに躍り出る。仮面をつけた老人がいた。
「おまえは『機械仕掛けの神』!?何でおまえがここにいるんだ!?」
やっと妾を知る者がいたか。この老人から色々聞くとしよう。
「お主…少し話をしようか。『今の妾』について聞きたいことがある。」
「『今の妾』…!?『昔のお前』とは何か違うのか…!?」
「『昔の妾』は『創に殺された』はずだ。
『今の妾』は『創の"被創造"の開放による具現化』でここにいる…
創は妾を殺した事の記憶を封印しておるからな。
狂戦士が門番となっていたが…今回は抑えきれなかったよう」
妾の体が浮く。体を何者かに捕まれたようだ。今日だけで何度不意打ちを食らうのか。
黒い化け物が妾を攫おうとしている。
「『想像せよ』。『剣に体を貫かれる』。」
両手から無数の剣を放つ。化物は生け花の剣山のようになり、動かなくなる。
妾は着地をし、改めて老人の所に向かう。
「どこまで話したか…何にせよ、『今の妾』は『昔の妾』ではない。」
「つまり…お前は『相心終(アイシンオワリ)』じゃねえってことだな!」
老人が勢いよく突進し、妾の腹部を殴る。
「ぐっ…!?硬え…!?」
妾の体は創を基に作られている。創が鍛えれば妾も鍛えれられる。
もっとも、奴の鍛え方が分からぬ以上、身体能力は創に劣る。
しかし『今の妾』の"個性"の前には関係ない。
「『想像せよ』。『鎚で頭を」
「粛清対象だ。すべては正しき社会の為に。」
何者かが妾の喉を貫く。この包帯を巻いた男が妾を刺したのか。
刃物に付いた血を舐め、妾の体が動かなくなる。
「来い。来てみろ。贋物ども。」
「『想像せよ』…『刃で自身の喉を貫く』…」
「俺を殺していいのは本物の英雄だけだ!!」
包帯を巻いた男が刃で自身の喉を貫く。鮮血が飛び散る。
「『想像せよ』…『妾の体の傷が治る』…」
傷は治ったが血が気管に入ってうまく呼吸ができない。意識が揺ら
「げほ、がっ、く、苦し…」
口の中がすごく血の味だ。喉も痛い。思わず咳き込む。血が出てきた。
「ひぃ…だ、誰か助け」
「大丈夫か!?創くん!?」
「大丈夫!?相心くん!?」
「大丈夫か、相心?」
天哉君に緑谷さんに轟さんがいる…いったい何が起きているんだ…?
ゲロヤバ姉さんお披露目です。
この姉さんが何者なのかは後々いろいろ明らかになっていきます。
この時の創君のお股にはリトルハジメはないです。
リトルハジメの上に姉さんの体を具現化しています。